二河白道

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二河白道(にがびゃくどう)とは、浄土教における極楽往生を願う信心の譬喩。ニ河譬(にがひ)とも。善導が浄土教の信心を喩えたとされる。主に掛け軸に絵を描いて説法を行った。

二河白道図(奈良国立博物館蔵、重要文化財

絵では上段に阿弥陀仏観音菩薩勢至菩薩のニ菩薩が描かれ、中段から下には真っ直ぐの細く白い線が引かれている。 白い線の右側には水の河が逆巻き、左側には火の河が燃え盛っている様子が描かれている。 下段にはこちらの岸に立つ人物とそれを追いかける盗賊、獣の群れが描かれている。

下段の岸は現世、上段の岸は浄土のこと。 右の河は貪りや執着の心(欲に流されると表すことから水の河)を表し、左の河は怒りや憎しみ(憎しみは燃え上がると表すことから火の河)をそれぞれ表す。 盗賊や獣の群れも同じく欲を表す。

東岸からは釈迦の「逝け」という声がし、西岸からは阿弥陀仏の「来たれ」という声がする。 この喚び声に応じて人物は白い道をとおり西岸に辿りつき、悟りの世界である極楽へ往生を果たすというもの。

参考文献[編集]

  • 「日本佛教語辞典」岩本裕 1988年 平凡社 557ページ
  • 「仏教用語事典」須藤隆仙 1993年 新人物往来社 301ページ

脚注[編集]

関連項目[編集]