ニューグレン
| ニューグレン | |
|---|---|
|
| |
| 基本データ | |
| 運用国 | アメリカ合衆国 |
| 開発者 | ブルーオリジン |
| 運用機関 | ブルーオリジン |
| 使用期間 | 2025年 - (現役) |
| 射場 | ケープカナベラル空軍基地LC-36 |
| 打ち上げ数 | 2回(成功2回) |
| 公式ページ | New Glenn |
| 物理的特徴 | |
| 段数 | 2段 |
| 全長 | 98 m |
| 直径 | 7 m |
| 軌道投入能力 | |
| 低軌道 | 45,000 kg (99,000 lb)[1][2] |
| 静止移行軌道 | 13,000 kg (29,000 lb)[1][2] |
ニューグレン(New Glenn)は、アメリカ合衆国の宇宙企業ブルーオリジンが民間資本により開発・運用している大型ロケット。
概要
[編集]
ニューグレンは、直径7mの2段式のロケットである。1段目には同社が開発するBE-4エンジンが7基、2段目にはBE-3Uエンジンが2基搭載される。同社が開発したサブオービタル機ニューシェパード同様に、1段目の再使用が計画されている。
ロケットの設計は2012年から開始されており、機体の詳細は2016年9月の公式発表により初めて明らかにされた[3]。初打ち上げは当初2019年頃とされていたが、その後の開発遅延繰り返しにより、ようやく2025年1月に実施され成功した[4]。2回目の打ち上げでブースターの回収にも成功した[5]。
ニューグレンの名称は、アメリカで初めて地球周回軌道を飛行したジョン・グレン宇宙飛行士に由来する[6]。
エンジン数を増やし大型化したニューグレン9x4を開発、1段目エンジンを9基、2段目エンジンを4基にする新たな計画がある[7]。ニューグレン9x4では直径8.7mもの大きなフェアリングが使用される[7]。打上能力としてはSLSに匹敵し、サターンVロケットよりも全長が大きい[8]。
仕様
[編集]ニューグレンは、直径7mの2段式ロケットで、1段目のブースターの再使用を行う。
1段目には、同社が開発したBE-4メタン/LOXエンジンを7基搭載する。1段目は地上に垂直着陸させて再利用を行う計画で、この方式は先行するニューシェパードにおいて2015年から2016年にかけてテストされた[3]。
2段目は1段目と直径は同じだが、搭載するエンジンは真空環境に最適化された2基のBE-3Uエンジンとなる[9]。推進剤としてはLH2/LOXを用いる。BE-3Uも同じくブルーオリジンが開発したエンジンで、こちらは既にニューシェパードにおいて大気下に最適化されたバージョンが使用されている[3]。当初は1基のBE-4U(BE-4の真空環境に最適化されたバージョン)を用いるとされていたが、開発の遅れから2018年に変更された[9]。
ニューグレンの1段目のブースターは最低でも25回のミッションに耐えられるようデザインされている[10]。
ニューグレンの打ち上げには、ブルーオリジンが2015年にリースしたケープカナベラル空軍基地LC-36が使用されている[11][3]。
2025年11月にはニューグレンの将来のアップグレード計画が発表された。第3機目のNG-3から段階的にBE-4, BE-3U両エンジンの出力を向上させる他、再利用可能なフェアリングや熱防護システムの搭載に、燃料タンクの改良が行われる。さらに将来的には、1段目エンジンを9基、2段目エンジンを4基に増やしたニューグレン9x4と呼ばれる派生型を開発することも発表された。ニューグレン9x4では、打ち上げ能力は低軌道 (LEO) に70トン以上、静止軌道 (GEO) に14トン以上、月遷移軌道 (TLI) に20トン以上に達する予定である[7]。
打ち上げ履歴
[編集]| No | 打ち上げ日時 (UTC) |
ブースター | 射場 | 積荷 | 積荷の 重量 (kg) |
軌道 | 荷主 | 打上 結果 |
着陸 結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2025年1月16日 07:03 |
GS1-SN001 | KSC LC-36 | ブルーリング | 不明 | MEO | ブルーオリジン | 成功 | 失敗 |
| ニューグレンの初飛行。同社が開発する輸送プラットフォームブルーリングの実証機が搭載された。2段目は軌道に到達し打ち上げに成功した。一方で同時に試みられた1段目の回収は失敗した[4]。 | |||||||||
| 2 | 2025年11月13日
20:55 |
GS1-SN002-1 | KSC LC-36 | ESCAPADE (探査機)
Viasatの技術実証ペイロード |
1070 | 太陽-地球L2から火星周回軌道 | NASA | 成功 | 成功 |
| ニューグレンの2回目の飛行。火星の磁気圏について調査を行うNASAの低コストSIMPLExプログラムの一環・火星探査機ESCAPADE (探査機)と、Viasatの技術実証ペイロードが搭載された。
NASAは打ち上げのためにブルーオリジンに約2000万ドルを支払った[12]。本来は当機の打ち上げがニューグレンの初飛行となる予定で、2024年10月13日の打ち上げが既に延期されていた[13]。2025年11月9日に打ち上げを試みたが、気象条件により再延期された。 再び打ち上げが11月12日に予定されたが[14]、磁気嵐のためにさらに1日遅延することとなった[15]。2段目が軌道に到達し、2回目の打ち上げに成功すると共に、1段目の着陸と回収についても初めて成功した。 | |||||||||
脚注
[編集]- ^ a b Berger, Eric (2017年3月7日). “Blue Origin releases details of its monster orbital rocket”. Ars Technica 2017年3月8日閲覧。
- ^ a b Foust, Jeff (2017年3月7日). “Eutelsat first customer for Blue Origin's New Glenn”. SpaceNews
- ^ a b c d Bergin, Chris (2016年9月12日). “Blue Origin introduce the New Glenn orbital LV”. NASASpaceFlight.com 2016年9月13日閲覧。
- ^ a b “ブルー・オリジン、新型ロケット「ニューグレン」の初打ち上げを実施”. Sorae (2025年1月16日). 2025年1月20日閲覧。
- ^ “ブルー・オリジンが「ニューグレン」2号機を打ち上げ NASA探査機の軌道投入とブースター海上着陸に成功”. sorae 宇宙へのポータルサイト (2025年11月14日). 2025年11月23日閲覧。
- ^ a b c “New Glenn Update - Upgraded Engines and Subcooled Components Drive Enhanced Performance” (英語). BLUE ORIIGIN (2025年11月20日). 2025年11月21日閲覧。
- ^ “Because you asked…” (英語). Dave Limp. X (2025年11月21日). 2025年11月21日閲覧。
- ^ a b “Blue Origin switches engines for New Glenn second stage”. SpaceNews (2018年3月29日). 2020年8月10日閲覧。
- ^ Berger, Eric (2016年9月12日). “Why Bezos’ rocket is unprecedented—and worth taking seriously”. Ars Technica 2016年9月20日閲覧。
- ^ Boyle, Alan (2016年3月5日). “Jeff Bezos lifts curtain on Blue Origin rocket factory, lays out grand plan for space travel that spans hundreds of years”. GeekWire 2016年3月9日閲覧。
- ^ Foust, Jeff (2024年4月25日). “NASA planning September launch of Mars smallsat mission on first New Glenn”. SpaceNews 2024年4月26日閲覧。
- ^ Foust, Jeff (2024年9月6日). “NASA removes ESCAPADE from inaugural New Glenn launch” (英語). SpaceNews 2025年11月15日閲覧。
- ^ Warren, Haygen (2025年11月9日). “Blue Origin scrubs launch of ESCAPADE on second New Glenn mission” 2025年11月9日閲覧。
- ^ “NASA scrubs ESCAPADE launch due to ‘highly elevated solar activity’ – Spaceflight Now” (英語) (2025年11月12日). 2025年11月12日閲覧。