ニコラス・マドゥロ

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この名前は、スペイン語圏の人名慣習に従っています。第一姓(父方の)はマドゥロ第二姓(母方の)はモロスです。
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  • ニコラス・マドゥーロ
ニコラス・マドゥーロ・モロス
Nicolás Maduro Moros
Nicolás Maduro in meeting with Iranian President Hassan Rouhani in Saadabad Palace.jpg
2015年のマドゥーロ
ベネズエラの旗ベネズエラ・ボリバル共和国
第54代共和国大統領
就任
2013年3月5日
副大統領 ホルヘ・アレアサ
アリストブロ・イストゥリス英語版
ターレク・エル・アイサーミ英語版
デルシー・ロドリゲス英語版
前任者 ウーゴ・チャベス(第53代)
ベネズエラの旗ベネズエラ・ボリバル共和国
第22代 共和国副大統領
任期
2012年10月13日 – 2013年3月5日
大統領 ウーゴ・チャベス
前任者 エリアス・ハウア英語版
後任者 ホルヘ・アレアサ
ベネズエラの旗ベネズエラ・ボリバル共和国
第185代 外務大臣
任期
2006年8月9日 – 2013年1月15日
大統領 ウーゴ・チャベス
前任者 ロドリゲス・アラケ英語版
後任者 エリアス・ハウア英語版
非同盟諸国会議議長
就任
2016年9月17日
前任者 ハサン・ロウハニイラン
南米諸国連合議長
任期
2016年4月23日 – 2017年4月21日
前任者 タバレ・バスケス(ウルグアイ)
後任者 マウリシオ・マクリ(アルゼンチン)
ベネズエラの旗国民議会議長
任期
2005年1月5日 – 2006年8月7日
前任者 フランシスコ・アメリアチ英語版
後任者 シリア・フロレス英語版
個人情報
生誕 (1962-11-23) 1962年11月23日(55歳)
ベネズエラの旗ベネズエラ連邦英語版
ミランダ州カラカス
政党 革命的ボリバリアーノ運動200
第五共和国運動
(1997年-2007年)
ベネズエラ統一社会党 (2007年–)
協力政党 大いなる愛国者の極英語版
配偶者 シリア・フロレス英語版
子供 ニコラス・マドゥーロ・ゲーラ英語版
専業 労働運動家
内閣 チャベス内閣
マドゥーロ内閣
宗教 カトリック教会
署名
公式サイト Official website
この名前は、スペイン語圏の人名慣習に従っています。第一姓(父方の)はマドゥロ第二姓(母方の)はモロスです。

ニコラス・マドゥロ・モロス(別表記:マドゥーロスペイン語: Nicolás Maduro Moros1963年11月23日 - )は、ベネズエラ・ボリバル共和国政治家。第54代共和国大統領、第22代共和国副大統領、ベネズエラ統一社会党書記長。ウゴ・チャベス政権下の閣僚として頭角を現し、「チャベス側近の中で最も有能な行政官」と評される[1]

チャベス死去後に暫定大統領へ就任し[2]、同年4月14日の大統領選挙にチャベス政権の継承を掲げて正式に後任の大統領に選出された[3]。野党が影響力を持つ議会との敵対を通じて反民主主義の傾向を深め、2018年の制憲議会選挙で統一社会党による一党制を確立した。前政権時代から敵対する欧米の政治家やメディアからは「独裁者」と敵視されている[4]

来歴[編集]

生い立ち[編集]

1962年11月23日、ニコラス・マドゥーロ・ガルシアの長男としてベネズエラ連邦英語版の首都カラカスの労働者街に生まれ、ニコラス・マドゥーロ・モロスNicolás Maduro Moros)と名付けられた[5][6]

マドゥーロ家は労働者階級であり[7][8][9]、自身が16歳の時に事故死した父ガルシアは左派政党「人民投票運動英語版」を支持する労働組合の指導者であった[5]。民族的にはメスティーソ(白人と先住民の混血)でユダヤ系ベネズエラ人の家系であった[10]。母テレサ・モロスはベネズエラとコロンビアの国境都市ククタの出身で、コロンビア国籍を取得していた事から母方を通じてコロンビア系の血も引いている[6]。宗教的にはコンベルソとしてカトリックに属しているが、自身はヒンドゥー教の宗教家サティヤ・サイ・ババの思想に影響を受けてインドに赴いた経験があり、キリスト教徒ながら輪廻転生も信じているという[11][12]。身体面ではベネズエラ人の平均身長を大きく超える190cmの高身長で知られている。

カラカス市内にあるリセオ・ホセ・アバロス公立高等学校に進むと[8][13]、学生団体の書記長を努めるなど[7]父譲りのオーガナイザーとしての素質を見せた。1979年、左派テログループによる米国人誘拐事件(後に解放)に関与した疑いで捜査を受けている[14][15]。後に公立学校を退校してカラカス地下鉄が運営するメトロバスの職員として勤務しつつ[16] 、労働組合運動に関わった。1983年、大統領選出馬で左派系候補であるホセ・ビセンテ・ランゲル英語版陣営の選挙ボランティアに参加した[16][17]

1986年、24歳の時にキューバ共和国の首都ハバナに渡航し、キューバ共産党の政治局員ペドロ・ミレット・プリエトスペイン語版の知遇を得た[18]。ユニオ・アントニオ・メッラ国立学校に1年間在学して、プリエトの指導で共産主義理論を学んだ[6]。帰国後もキューバの諜報組織である内務省情報局英語版(G2)の支援を受け、右派政党が主導する現政府に不信感を覚えていたベネズエラ軍のウーゴ・チャベス陸軍中佐に助力した。チャベスが陸軍内に設立したボリバル主義英語版の秘密結社「 革命的ボリバリアーノ運動200英語版」(MBR-200)にも入党している[19]

チャベスの腹心として[編集]

1980年代のベネズエラは原油に依存した経済構造から巨額の負債を抱えており、IMFの指導によって新自由主義的な企業中心の経済政策が推進された事で貧富の格差が拡大、経済犯罪も多発していた。MBR-200は南米の自主独立を目指した英雄シモン・ボリバルの生誕200周年に結成され、産業国有化やアメリカの影響力排除を掲げて軍や労働者に支持を広げた。勢力拡大の過程でキューバや労働組合との協力関係を生かして資金や人員を集め、マドゥーロは陸軍出身のチャベスを軍外から補佐する腹心と目される様になった。

1989年、治安と経済格差の悪化に歯止めが掛からない中、首都カラカスで発生した大暴動に対して政府軍が700名以上の国民を殺害する凄惨な事件が起こった(カラカソ英語版)。 ベネズエラ民主行動党英語版から選出されていたカルロス・アンドレス・ペレス政権に国際的非難が集まり、軍の中でも不服従が広がり始めた。1992年、軍の青年将校を率いるチャベスの決起(1992年ベネズエラ軍事クーデター英語版)が失敗に終わった際、反乱軍指揮官であるチャベスの解放を求めて反政府運動を継続した[16]。1993年、ペレス政権は不正蓄財の容疑で退陣した。

1994年、収監されていたチャベスが釈放されるとMBR-200の再編成に取り組み、1997年にMBR-200を前身とする議会政党「第五共和国運動」(MVR)の結成に参加した。1998年、大統領選挙でのチャベス陣営勝利に尽力し[13]、自らも同年に行われた下院選挙に出馬して当選を果たした。議会内ではまだ第五共和国運動の議員は少数与党に留まっており、新憲法制定によって制憲議会を召集することで権力を掌握する自己クーデターが計画された。

1999年、チャベスはボリバル主義に基づいた新憲法(ボリーバル憲法)の制憲議会を召集すると宣言、政府から議員の一人に指名された。制憲議会ではチャベス派の「愛国者の極」(Polo Patriótico)に所属して新憲法制定に賛成した。新憲法は国民投票でも賛成多数を得て正式に発効され、ベネズエラ・ボリバル共和国が成立した。議会制度については上院・下院から国民議会の一院制に改められた。

2000年、第1回国民議会選挙に第五共和国運動から出馬してカラカス首都選挙区で当選、2005年からは国民議会議長も兼任した。

外務大臣[編集]

2006年、総選挙で第五共和国運動を母体としたベネズエラ統一社会党(PSUV)の結成に参加、同党から立候補して国民議会議員に再選された。同年8月9日、チャベス政権からロドリゲス・アラケ英語版の後任として外務大臣に起用され、初入閣した。任期中にはチャベス政権の反米主義外交に従い、カダフィ政権下のリビアを支援する外交政策を採った[20]。語学が不得手ではあったものの[21]、諜報機関時代の経験を生かしてシリアやイランなどでの外交工作に従事していたとされている。

2008年、隣国コロンビアとの間にはアンデス危機が勃発して一時は国交が断絶する状態となったが、関係修復に注力して2010年8月に国交を回復した[20]

副大統領[編集]

2012年10月13日、大統領選挙に勝利して4選したチャベスからエリアス・ハウア英語版の後任として副大統領に任命された。同年12月8日、チャベス大統領は国民に向けて自身のガンが再発した事を声明し、手術と治療のため医療の進んだ同盟国キューバへ向かうと発表した。同時にチャベスは自分の容態が悪化して代わりとなる大統領を選ぶ選挙が行われる場合は「ベネズエラ人はマドゥーロに投票すべきだ」と述べている。チャベスが後継者について、また自らの余命について言及したのはこの声明が初めてだった[22][23]

チャベスがマドゥーロを後継者とすることを明らかにしたことで、それまで有力な後継者候補と目されていたディオスダド・カベリョ英語版統一社会党副書記長は大統領候補から外れた。マドゥーロはチャベスの模倣者と批判される一方、汚職疑惑のあるカベリョよりもボリバル主義英語版に忠実な人物と評価されている。チャベスも「私が明らかに確信している、絶対的かつ不可逆的な事はマドゥーロが次の大統領に選ばれるだろうという事だ…もし私が職務を遂行できなくなったとしても、彼なら継続できる」と評している[20]。失脚の可能が生じたカベリョは「ただちにチャベスとマドゥーロに忠誠を誓った」という[24]

2013年3月5日、副大統領としてチャベスが58歳で病死した事を発表すると共に、暫定政権の樹立を宣言する演説を行った。

国民の皆さん、今此処に私が居るのは個人的野心や虚栄心の為ではありません。寡頭制の一員として、銀行の代理人として、アメリカ帝国主義の支持者としてでもなく、犯罪組織や党派を守る為でもありません。 —  Nicolás Maduro Moros[25][26]

選挙直後で任期を5年以上残していたとはいえ、憲法の規定により暫定政府は前大統領が死去してから30日以内に大統領選挙を行う必要があった[27][28][29]。野党側は前年の大統領選でチャベスに僅差で敗れた正義第一党の党首エンリケ・カプリレス・ラドンスキーを再擁立した。これを受けて自身も統一社会党から大統領選に出馬を表明した[30]。野党陣営からは副大統領を辞任せずに大統領選に出馬するのはベネズエラ憲法229条、231条、233条に違反する行為だとの批判が行われた[31][32][33]

共和国大統領[編集]

一期目[編集]

大統領選挙はチャベス死後の争いという事から両陣営のネガティブキャンペーンは加熱し、私生活の話題にまで及んだ。演説でラドンスキーがマドゥーロを「悪魔」「嘘吐き」と攻撃すると、マドゥーロもラドンスキーを「ブルジョワ」「貴族」と罵倒した。2013年4月14日、50.6%の得票を得てラドンスキーを破り、名実共にチャベスの後継者として19日に第54代共和国大統領へ就任した[34]。2年連続で統一社会党に敗北したラドンスキーは前回より僅差であった事もあり、「選挙に不正があった」と主張して再集計を求めるデモを実施した。元より野党連合は選挙委員会の協定文に署名を拒否しており、最初から反政府デモを起こす予定であったともされている。中央選管は票の再集計を行い[34]、同年8月7日に不正投票はなかったと結論された。

政権では副大統領にチャベスの娘婿であるホルヘ・アレアサ元科学技術大臣を任命した事を皮切りに、福祉国家警察国家(軍・警察の重視)、非米主義外交(反米・親露・親中)などチャベス体制の継承を前面に押し出した政務を行った。福祉の充実化を図って幸福省を新設し、キューバとの同盟関係もチャベス時代以上に強化して医療だけではなく国軍や治安部隊にも顧問団を受け入れている。チャベスに忠実な反面、自身の独自性やカリスマ性に欠けると評されている点を補うべくチャベスの顕彰・神格化を進めている。議会では野党連合に対してより攻撃的に接し、野党の影響力排除を目指している。一方、チャベス政権末期から原油価格の下落や国有化政策による大企業との対立によってベネズエラ経済はインフレ化と景気後退が起きていた。原油に依存した経済からの転換も進んでいなかったが、この点についてもチャベス時代を踏襲して方針を修正しなかった。

2014年、原油価格の続落で経済は危機的な水準となり、ハイパーインフレーションが進展した。周辺国からの輸入物資が滞った事もあり、重視していた福祉政策も医療機能の麻痺などが生じるようになった。

2015年9月、中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典に出席し、天安門広場で行進するベネズエラ軍を閲兵した[35]。抗議デモの際に大量に投入されている中国軍の装甲車VN-4英語版の導入など両国は関係を深めており[36]、最大の援助国かつ債権国でもあり[37]、中国との同盟関係から出席したと見られている[38]。ロシアからも債務免除を受けるなど同盟深化が図られ、窮地に立たされる中でチャベス時代から親密だったイランシリアなどアジア・中東の反米主義政権とより結び付きを深めている。同年12月、総選挙でディオスダド・カベリョ英語版の統一社会党は40%の得票に留まり、正義第一党を中心とする右派の民主統一会議(56%)に敗北した。自身の任期はまだ続いている為、少数与党として政権運営は続けられるものの任期途中での大統領罷免を求めるなど野党が攻勢を強めた[39]

2016年4月、民主統一会議が多数派となった議会は大統領罷免の前提条件となる国民投票の実施を議決したが、軍・警察と共に統一社会党を支持する司法組織は「手続きの不備」を理由に却下した[39]。同月23日、南米諸国連合議長に就任し、9月17日にはイランのハサン・ロウハーニー大統領から非同盟運動の議長職を引き継いだ。

制憲議会体制[編集]

2017年3月29日、議会と政府の対立が激化する中でベネズエラ最高裁判所英語版から反政府的な議会の立法権を一時停止する決定が下された[40]。与党はこれを歓迎したが、議会制民主主義の危機について懸念が広がった事を受けてマドゥーロは最高裁判断を差し戻す命令を出した[41]。同年5月6日、マドゥーロは民主統一会議の早期再選挙の要求を却下し、代わりに憲法の修正による改革を提案した[42]。チャベス時代からの体制が危機に晒される中、かつてのチャベスと同じくマドゥーロも新憲法制定による自己クーデターを目指しているものと看做されている。民主統一会議は提案を拒否したが、マドゥーロは制憲議会の召集を強行した。

同年7月31日、開始された制憲議会選挙では野党連合が立候補をボイコットして支持者にデモや暴動を呼び掛けた為、選挙が成立するかが成否の分岐点となった。選挙と平行して政府支持派・反対派の衝突や国軍・警察の治安作戦が展開されて市街地は騒乱状態となった。最終的に同日深夜の開票を持ってマドゥーロは勝利宣言を行い[43]、政権支持派の政党連合「愛国者の極」(Polo Patriótico)が全議席を占める制憲議会が発足した。制憲議会の権限で国民議会の立法権を正式に停止し、反政府的な野党指導者や検察庁長官を拘束している他、政権批判を行う新聞局やテレビ局の閉鎖を行い[44]国内に戒厳状態を布いた。チャベスですら成し得なかった革命による議会制民主主義の廃止に成功し、ベネズエラ統一社会党による一党独裁体制が確立した。

2017年9月16日、「米国帝国主義制度を除去する」としてドルから中国の人民元に原油価格表示を切り替えた[45]。以前から敵対していたアメリカの制裁圧力がクーデター後に強まった事から反米主義(左派ナショナリズム)及び中国・ロシアとの同盟に傾斜しており、アジアインフラ投資銀行(AIIB)にもベネズエラを加盟させた[46]9月17日、国連総会の一般演説の中でトランプが「貧困を生み出す誤った主義主張を押しつけている」と批判すると[47]、マドゥーロ側もトランプ大統領をアドルフ・ヒトラーに例えて反論を行っている[48]。しかし同時にかつてのチャベスとジョージ・W・ブッシュ政権の対立に比べると、国内重視を掲げるドナルド・トランプ政権の外交政策には一定の理解と期待を示してもいる。

12月11日、前日に行われた地方選挙でも反政府政党のボイコットが行われた事を理由に、主要な反政府指導者に立候補を認めない決定を下した[49]。経済混乱は一層に悪化を続けており、同年12月3日に経済制裁の影響を回避する事を目的に独自の仮想通貨「ペトロ」を導入することを発表した[50]、1億単位のペトロの発行を命じた[51]。同通貨は石油(ベネズエラの原油確認埋蔵量は世界1位[51]である)・天然ガスなどの資源で裏付けられているが、「国家が発行する仮想通貨」として世界初の試みとなる[52]

2018年1月24日、制憲議会において大統領選挙の早期選挙実施と自身の立候補を声明した[53]。同年2月2日、統一社会党党大会でマドゥーロを党の大統領候補とする決議が行われた[54]

同年5月17日、同じ反米主義・独裁体制を取る北朝鮮とアメリカが直接対話(米朝首脳会談)に向けた交渉を行っているトランプ大統領を「非常に建設的」「世界には寛容さが必要」と高く評価し、「我々は核兵器を持っていない」とした上でベネズエラにも対話の準備があると呼び掛けた[55]。これに先立つ形でトランプ大統領が愛用するツイッターで「今こそ(トランプ政権は)他国への内政不干渉の公約を守るべきだ」と投稿した事もある[56]

2期目[編集]

2018年5月21日、大統領選挙では統一社会党から民主統一会議に転じた改革党英語版スペイン語版党首エンリ・ファルコン英語版、無所属で出馬したキリスト教牧師のハビエル・バルトッチ英語版らをマドゥーロが大差で破り、大統領に再選された。民主統一会議は主要指導者の拘束に加え、内部対立から野党統一候補を立てられないなど以前より勢力を後退させている。再選後、制憲議会議長であるイザヤ・ロドリゲス英語版を副大統領に抜擢し、また党の実務を纏めてきたディオスダド・カベリョ英語版を後任の制憲議会議長に任命した。政権内でも自身に近い人物で要職を固め、独裁制の確立に本腰を入れ始めたとされている[57]

同年8月4日、カラカスで挙行されたベネズエラ国家警備隊英語版の創立記念式典で演説をしている最中、会場の上空に接近していた2機のDJI M600[58]ドローンが爆発して[59]、式典に参加していた兵士7名が負傷した[59]。中継映像では爆発音が記録されており、怯えた様子で屈み込むシリア・フロレス英語版大統領夫人や、隊列を崩す兵士が報道されている[59]。マドゥーロを横から撮影していた別の中継映像では爆発音が起きた際、驚いた表情で上空を見ながらもそのままマドゥーロは演台に留まっており、護衛の兵士達が周囲を囲んで防護する間にも演説を続けようとしていたが、やがて側近らに促されて演台を降りている[60]。事件の後、「Tシャツの兵士たち国民運動」と名乗る集団が、「プラスチック爆弾を搭載した2機のドローンで大統領を狙ったが、目標到着前に撃ち落とされた」とする犯行声明を発表した[59]

同年8月21日、ハイパーインフレによって殆ど無価値になっていた実通貨のボリバル・フエルテデノミ(制憲議会と同じくチャベス時代から数えて2回目)を行い、新通貨ボリバル・ソベラノを発行した。今後は新しい実通ソベラノと仮想通貨ペドロで経済システムを構築するとしているが、長引く経済混乱の収拾は進んでいない。国債の部分的デフォルトに陥り、日用品はおろか食料や水など基本的な物資も不足している。これまでの政治的亡命とは異なり経済難民が周辺国に溢れ出しており、近隣のペルーやブラジルでは社会問題となっている。

同年9月21日、訪中から帰国したマドゥロがツイッターで発表した中国人民解放軍海軍の艦艇によるベネズエラへの初寄港が行われ、同年8月にコロンビアにアメリカ海軍コンフォートが寄港したことに対抗したとされる[61]

発言[編集]

  • チャベスが「毒殺されたと直感している」と述べ、チャベスの癌はアメリカによる暗殺作戦との見方を示している。
    • アメリカ国務省報道官は「チャベス大統領の発病に米国がかかわったとの主張はばかげている」とこれを退けている[62][63][64][65]
  • チャベスの顕彰を進める中で市街地に多数の肖像画を描かせ、「チャベスの目」と呼ばれるチャベスの両目を象ったロゴを旗やポスターに使用している。
  • 演説においてしばしば敵対する政治家を「同性愛者」と罵倒する事があり、大統領選挙でも未婚であったラドンスキーを「ホモかもしれない」とジョークを飛ばして問題になった。

私生活[編集]

私生活では青年時代に結婚した最初の妻アンジェロとニコラス・マドゥーロ・ゲーラ英語版を儲けており、陸軍付属の高等技術学校を経て大統領補佐官を務めている。

2013年、大統領選後に弁護士シリア・フロレスと再婚した。フロレスはベネズエラ初の女性国会議長を務めるベテラン政治家でもあり[73][74]、軍事クーデター失敗後のチャベスを裁判で弁護するなど古くから活躍してきた「同志」でもある。一説にマドゥロが後継者争いを制したのもフロレスの推薦が一因であったとする説もあり[11]、大統領夫人としても強い権力を握っているとされる。フロレスとの間に子供はいないが彼女も結婚歴があり、前夫との間に3人の子を儲けている事からお互いの連れ子を合わせて4人の子を育てている。

脚注[編集]

  1. ^ De Córdoba, José; Kejal Vyas (2012年12月9日). “Venezuela's Future in Balance”. Wall Street Journal. http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324001104578168283496596560.html 2012年12月10日閲覧。 
  2. ^ “マドゥロ氏が暫定大統領に就任=次期選挙の早期実施要請-ベネズエラ”. 時事ドットコム. (2012年3月9日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013030900187 2013年3月13日閲覧。 
  3. ^ “チャベス氏の路線引き継ぐマドゥロ氏、ベネズエラ大統領選に出馬”. ロイター. (2013年3月12日). http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE92B04R20130312 2013年3月13日閲覧。 
  4. ^ “「マドゥロ氏は独裁者」 米国、ベネズエラ大統領に制裁”. AFP. (2017年8月1日). http://www.afpbb.com/articles/-/3137670 2017年10月1日閲覧。 
  5. ^ a b MinCI – Maduro: perfecto heredero de Chávez”. MinCI. 2016年4月27日閲覧。
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  7. ^ a b Perfil | ¿Quién es Nicolás Maduro?” (Spanish). El Mundo (2012年12月27日). 2013年3月9日閲覧。
  8. ^ a b Profile: Nicolas Maduro – Americas”. Al Jazeera (2013年3月). 2013年3月9日閲覧。
  9. ^ Lamb, Peter (17 December 2015). Historical Dictionary of Socialism. Rowman & Littlefield. p. 289. ISBN 978-1-442-25827-3. https://books.google.com/?id=vSHuCgAAQBAJ&pg=PA289&dq=nicolas+maduro+born+1962#v=onepage&q&f=false. 
  10. ^ Venezuela’s ‘anti-Semitic’ leader admits Jewish ancestry”. 2018年9月13日閲覧。
  11. ^ a b “チャベス氏指名後継者の指導力は?”. ウォール・ストリート・ジャーナル. (2013年1月7日). http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324890804578226342108131234.html 2013年3月13日閲覧。 
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外部リンク[編集]

公職
先代:
ウゴ・チャベス
ベネズエラの旗 ベネズエラ共和国大統領
第54代:2013年 -
次代:
(現職)