ニコニコカレンダー

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ニコニコカレンダー(Niko-niko Calendar、Mood Board[1])とは、組織/チームの士気やメンバーの気持ちを見える化するツールである。略称は「ニコカレ」[2]

概要[編集]

ニコニコカレンダーでは、1日の出来事を振り返って感じた気持ち(いい感じ、まあまあ、やな感じなど。)をフェイスマークに書き表して、日々カレンダーに貼り付ける事を実践する。

フェイスマークには以下のようなものが使用される。

  • アナログ方式
    • 黄色(=いい感じ)、赤(=まあまあ)、青(=やな感じ)の丸いシール[3]
    • 上記のシールに顔を書き入れたもの[3]
    • カレンダーに直接顔を書き入れたもの
  • デジタル方式

フェイスマークに加え残業時間を記入し運用する場合もある[3]

ニコニコカレンダーはアナログでもデジタルでも、また個人でもチームでも実践できる。特に個人作業の多いプロジェクトで有効である[2]。いずれの場合においてもカレンダーが見える(自然と目に入ってくる状態にしておく)ことが重要である。

背景[編集]

ソフトウェア開発見える化という流れの中で[4]、個人の気分を可視化する手法として2005年に富士通ソフトウェアテクノロジーズの黒田幸子によって発案された[2]。生産管理指標のうち測定の困難なSM(Safety, Morale)=「精神的な健康や意欲」の見える化を試みたものである[4]。その後、ソフトウェア開発チームだけではなく、それ以外の組織やチームにも有効な手法として、ソフトウェア業界を中心に口コミで広く知られるようになった。

特徴[編集]

ニコニコカレンダーはそのシンプルさ故に、一度説明を聞けば誰でも内容をすぐに理解する事ができる。さらに、それを実践する際の煩わしさもほとんど無いため、他の見える化のプラクティスに比べて継続しやすいという特徴を持つ。また、打ち合わせや報告書などではなかなか表に出てこないメンバーの本音の部分が表れてくるため、そのシグナルを適切に感知し対処することによって、問題の早期発見と解決に役立てる事ができる。

一方で、

  • 見かけの幼稚さ
  • 表現できる感情の種類の少なさ
  • カレンダーが公開されているため本当の感情が反映されないこと
  • 各人で仕事の内容や重要度が異なるのに感情を一律に測ること

を批判する意見もある[5]

脚注[編集]

  1. ^ a b What is a Niko-Niko Calendar?”. Agile Alliance. 2022年10月8日閲覧。
  2. ^ a b c 西雄大 (2007年9月11日). “知っておきたいIT経営用語 ニコニコカレンダー”. 日経クロステック. 2022年10月8日閲覧。
  3. ^ a b c 坂田晶紀 (2020年9月14日). “テクノロジーコラム アジャイル開発の士気管理(前編)ニコニコカレンダー”. 富士通. 2022年10月8日閲覧。
  4. ^ a b 坂田晶紀 (2020年9月14日). “テクノロジーコラム アジャイル開発の士気管理(後編)プラクティスは実践知”. 富士通. 2022年10月8日閲覧。
  5. ^ Sabrina Son (2016年5月10日). “Why a Niko-Niko Calendar Kills Workplace Morale”. TINYpulse. 2022年10月8日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]