ナグアルの風

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ナグアルの風』(Winds of Nagual)は、マイケル・コルグラスが作曲した吹奏楽曲

概要[編集]

ニューイングランド音楽院ウィンドアンサンブルの委嘱で1985年に作曲され、同楽団の指揮者フランク・バティスティ(Frank Battisti)に献呈された。同年のウィリアム・レヴェリ作曲コンテストサドラー国際吹奏楽作曲賞、翌1986年ブリガムヤング大学バーロー国際作曲賞を受賞している。

副題に「カルロス・カスタネダの著作によるウィンドアンサンブルのための音楽の寓話」(A Musical Fable for Wind Ensemble on the Writings of Carlos Castaneda)とあり、ペルー出身と言われるアメリカの作家カルロス・カスタネダの著作にインスパイアされた。カスタネダはヤキ・インディアンの呪術師ドン・フアン・マトゥス(Don Juan Matus)に14年間にわたって弟子入りしたとされ、その体験を基にしたという一連の著作を発表した。コルグラスはそれらに基づき、カスタネダとドン・フアン、ドン・フアンの友人の呪術師ドン・ヘナロを表す3つの主題をライトモティーフのように用いてストーリーを形成している。

演奏時間は約25分。スコアはアメリカのカール・フィッシャー(Carl Fischer Music)から出版(演奏用のパート譜はレンタル)。

編成[編集]

編成表
木管 金管
Fl. 6 (Picc. 6およびAlto 2持ち替え) Tp. 6 (Crnt. 2持ち替え), Flh.1 Cb. 2
Ob. Hr. 6 Timp.
Fg. Cfg. 1 Tbn. 6 Parsifal Bells, Vibe., Crotales, Tub.Bells, Xylo., Mari., B.D., Gong 3, Large Susp.Cym. 4, Large Crash Cym. 3, 8" Crash Cym., Cowbell 5, T.B., Bongo, Timbales, S.D., T.D., F.D.
Cl. 6, E♭, Bass, C-Alto, C-Bass Eup. 2
Sax. Sop. 1 Alt. 1 Tub.2
その他Celesta & Piano, Harp

構成[編集]

続けて演奏される8つ[1]の部分からなり、この他にも情景などを表す説明が各部に記されている。

  1. 砂漠:ドン・フアンが山から現れる(The Desert: Don Juan emerges from the mountains)
  2. カルロスがドン・フアンと出会う:最初の会話(Carlos meets Don Juan: First conversation)
  3. ドン・ヘナロがカルロスを皮肉る(Don Genaro satirizes Carlos)
  4. カルロスは水を見つめ、やがて泡になる(Carlos stares at the water and becomes a bubble)
  5. 力の歩み(The gait of power)
  6. たそがれに静寂と力を求めて(Asking twilight for calmness and power)
  7. フアンがカルロスにおどけてみせる(Juan clowns for Carlos)
  8. 最後の会話と別れ(Last conversation and farewell)

脚注[編集]

  1. ^ スコアの初めに記載されている解説に基づく。資料により6つないし9つともされ、CDのトラックもそれぞれそのように分けられることが多い。