ナクソス (レコードレーベル)

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ナクソス(NAXOS)は、1987年ドイツの実業家のクラウス・ハイマン英語版が、夫人である日本人ヴァイオリニスト西崎崇子とともに香港に設立したクラシック音楽系のレコードレーベル

来歴・特徴[編集]

ナクソスは1982年に香港で設立された「マルコ・ポーロ」(MARCO POLO)から1987年に新レーベルとして立ち上げられたレーベルである[1]

元々、マルコ・ポーロでは、知名度や演奏頻度の低い「秘曲」などを中心とした録音に特化したレーベルであったことに対して、ナクソスではマルコ・ポーロで取り扱う内容よりも一般的なレパートリーを中心とする方針を取っていることが特徴である[1]。またナクソスから発表される新譜はいずれもバジェット・プライス (お買い得価格)で販売され、さらにそのペースも非常に早いことも特徴である[1]。そうした傾向からしばし「安かろう悪かろう」というイメージが持たれがちであるが、古楽や現代、後述する日本人作曲家やアメリカ人作曲家などの特色あるレパートリーなどの録音なども取り入れるなど、戦略的な制作を続けている[1]

ナクソスはコンセプトの一つとして「クラシック音楽の百科事典を目指す」という目標を掲げており、古楽から近現代の作曲家の全集企画なども行われている[2]

1990年代以降は、SP録音時代の復刻などを中心とした「ナクソス・ヒストリカル」[注釈 1]や、片山杜秀を監修に迎えて始動した「日本人作曲家撰」などのプロジェクトを発足して継続して続けている[3]

こうした安さとレパートリーの幅広さを活かした成長から、欧米では「CD店のクラシックコーナーにはナクソスしか置いてない」と言われた[2]

日本の総代理店は株式会社アイヴィ愛知県豊明市)だったが、2007年9月末を以って解散し、Naxos Global Distribution ltd.の子会社ナクソス・ジャパン株式会社に日本代理店の権利を譲渡することとなった。

主な演奏家[編集]

マルコ・ポーロ時代からの特徴として、香港を拠点としていたことから、香港やシンガポールなどの演奏団体や、低予算で録音制作ができる中東欧の管弦楽団が録音に起用されることが多い[1]。また演奏家ではピアニストヤンドー・イェネーや、チェリストマリア・クリーゲル、指揮者のアントーニ・ヴィットなどは会社の創業初期から看板として活躍してきた人たちである[4]。また、創業者クラウス・ハイマンの夫人である西崎崇子のヴァイオリンによる録音も多い。ピアノ連弾デュオのジルケ・トーラ・マティースクリスティアン・ケーンのコンビは、アントニン・ドヴォルザークヨハネス・ブラームスの4手ピアノ作品全集録音に取り組んできた。ナクソスのレコード業界での評価が上がるにつれて、著名な音楽家がナクソスで録音をする機会も増加した。

「国際コンクールの優勝者は、どのような理由であっても支援する」というのは実は活動初期にピエール=アラン・ヴォロンダをフォローしたころからのポリシーだが、この傾向を推し進め、副賞にNAXOS一枚分のCDデビューを取り付ける国際コンクールが急増した。

また貴重な音源として、セルゲイ・ラフマニノフ自身が演奏したピアノ協奏曲の自作自演の録音や、ウィレム・メンゲルベルクのすすり泣きのマタイ受難曲などのCDも販売している (RCAレコードから復刻されていた)。

ナクソスに登場する主な演奏家リスト[編集]

オーケストラ[編集]

指揮者[編集]

弦楽器奏者[編集]

鍵盤楽器奏者[編集]

アンサンブル[編集]

各種プロジェクト[編集]

ナクソスでもマニアックな作品が発売可能になったことに伴い、複数のプロジェクトが始動できることになった。

  • ウィンドバンド・クラシックス (吹奏楽シリーズ)
  • スパニッシュ・クラシックス (スペインの作曲家シリーズ)
  • イタリアン・クラシックス (イタリアの作曲家シリーズ)
  • ラテンアメリカ・クラシックス (中南米の作曲家シリーズ)
  • 華人作曲家系列 (中国の作曲家シリーズ)
  • 期待の新進演奏家

日本作曲家選輯[編集]

アメリカン・クラシックス[編集]

アメリカン・クラシックスアメリカの音楽を幅広く網羅することを目指している。バーンスタインの作品でも、前述した『ウエスト・サイド物語』のような代表作のみならず、ユダヤ教から発想した声楽曲を集めた『ユダヤの遺産』までが入手できる。また、アメリカの名門レコード会社である「デロス社」(Delos)の古い音源の一部をナクソスが買い取って、当シリーズに含めて発売した商品もある。2021年11月現在、ナクソスのシリーズの中でも最も発売部数が多いシリーズとなっている[5]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ なお「ナクソス・ヒストリカル」は後に「ナクソス・アーカイヴス」と改名された[3]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 相葉 2021, p. 68.
  2. ^ a b 吉池 1996, p. 164.
  3. ^ a b 相葉 2021, p. 69.
  4. ^ 相葉 2021, p. 70.
  5. ^ ナクソス・ジャパン. “シリーズで探す | ナクソス ミュージックストア” (日本語). www.rakuten.ne.jp. 2021年11月11日閲覧。

参考文献[編集]

  • 相葉ひろ (NAXOSの記事担当) 『保存版 迷うもまたよし! クラシック・レーベルの歩き方』音楽之友社、2021年。 
  • 吉池拓男 (NAXOSの記事担当) 『輸入盤CD読本』音楽之友社、1996年。 

外部リンク[編集]