ナイキ エアマックス

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エアマックス(AIR MAX)は、ナイキから製造、販売されるランニングシューズのシリーズである。初代エアマックスは、通称エアマックス1として1987年3月26日発表。デザイナーはティンカー・ハットフィールド。世界初のビジブルエア搭載のシューズである。

ビジブルエアの誕生[編集]

当時のナイキ製のエアバッグ搭載シューズには、シューズに体重がかかった際に、エアバッグの圧の逃げ場がなかったため、走破性が不安定になることが懸念されていた。その問題を解決するに当たり、デザイナーのティンカー・ハットフィールドは試験的にミッドソールに大きな窓を開けることを考案した。この考えは、ティンカーがパリを訪れた際、ポンピドゥーセンターを観て、「外から中の構造がみえている」という建築デザインから着想を得たものである。これが「ビジブルエア」の誕生であり、以後、人類はエアを「履く」ばかりか「見る」こととなる。ちなみに、1987年最初期ロットのエアマックス1のみ、ほかのエアマックス1と比較し、若干ミッドソールのウインドウが大きい。

ネーミング[編集]

ミッドソールに開けたウインドウから適度な圧が解放されるようになり、エアバッグにより多量のエアを充填できることとなった。このことから、エアマックスに搭載されているエアバッグは「マキシマムエア」や「マックスエア」と呼称されることとなる。この「エアマックス」という製品名に関してかなり厳格であり、舗装路用ランニングシューズでビジブルエア搭載かつ最大容量のエア搭載の最上位モデルにその名が冠せられることとなった。ただしこのネーミングに関しては、当時からエア・スタブやエア180、エアクラシックBWなどの例外も存在し、エアマックスCB34やエアノモマックスなどランニングシューズ以外にも適応される事がある。

ビジブルエア登場後の反響[編集]

エアが「見える」という斬新性に加え、シンプルなデザインや通気性から、瞬く間に人気シューズとなり、市場にも大きな影響を与えた。所謂「ハイテクシューズ」の象徴とも言える技術にまで進化する。当時のナイキはバスケットボール市場で大成功を収め、一躍世界の大企業へと登壇した。ここでナイキはこの新たな技術に対し「Air Revolutions」と題した数多くのプロモーションを打ち出し、万人の運動能力向上の技術と謳った。しかし一方で、ビジブルエアによって運動能力が向上するという科学的根拠は薄く、ナイキのプロモーションは過剰広告ではないかという懸念も生じている。ビジブルエアが運動能力や故障防止にどれだけ寄与するかという問題は、現在でも数多くの議論・検討がなされている。

歴代のエアマックス代表モデル[編集]

初代エア[編集]

  • エアマックス1:前述記事を参照
  • エアマックスライト:ミッドソールの前足部にファイロンフォーム、後足部にウレタンフォームという2つこ異なる素材をインターロッキングという手法で結合させたモデル。アッパーにはTPU(熱可塑性ポリウレタン)を用いている。
  • エアスタブ:エアバッグにかかる圧を均一かつ安定化させるため、フットブリッジというパーツを内臓した。
  • エアマックス90:アッパーのサイドに斜めがかったTPUパーツを用い、走る際の速さを表現している。またビジブルエアを強調するために、ウインドウの周囲にカラーリングを施した初のAIR MAXである。このモデルのインソールに、1991年から「ナイキインターナショナル」のロゴ表記が初めて用いられた。また、現在に至るまでナイキの象徴色とも言える「インフラレッド」を落とし込んでいる。
  • エアクラシックBW:発売当時はエアマックス4という名前であったが、後に改名。「BW」=「Big Window」の名のごとく、ウインドウを従来より広くしていることが特徴。

180°エア[編集]

  • エア180:ビジブルエアをアウトソールからも180度可視化した初のモデル。ティンカー・ハットフィールドがデザインを手がけ、ブルース・キルゴアもその一役を担った。アッパーにはダイナミックインナースリーブを搭載し、フィット性を強化している。

270°エア[編集]

  • エアマックス93:270°ビジブルエアを搭載。270°からエアを見せるデザインは、取っ手のついたプラスチック製ミルク瓶から着想を得たとされている。このエアバッグは射出成型(ブローモールディング)様式によって成型されており、より均一なエアバッグの成型が可能となった。スウッシュとエアバッグの色が統一された初めてのモデルでもある。
  • エアマックス94:エアバッグを2つの「部屋」に分け異なる圧に設定している(マルチチャンバーエア)。それぞれ5psiと25psiに設定されており、高い方はクッショニングに、低い方は安定性に寄与している。アッパーにはハラチシステムを搭載し、メッシュ素材は金属パーツを用いている。
  • エアマックス95:日本における第一次スニーカーブームの火付け役となったモデル。世界中で法外なプレミアム価格で販売され、エアマックス狩りなる社会問題まで引き起こすに至った。
  • エアマックス96:第一次スニーカーブーム終焉時期に発売されたモデル。技術的には前年のAIR MAXのソールのエアチャンバーの配置換えをしたのみであった。1996年秋冬モデルと1997年春夏モデルが存在し、とくに秋冬モデルが「エアマックス97」となるはずであったが、人気を得ることができず、後述のエアマックス97が正式な名称を関したモデルとなり、春夏モデルは後にエアマックス96−2と呼ばれることとなる。

フルレングスエア[編集]

  • エアマックス97:通称「サイバーマックス」。日本の新幹線の形状から着想を得たデザインから、近未来を彷彿とさせ、日本において失われたハイテクスニーカー人気に再び火をつけることとなった。フルレングス・ビジブルエアを搭載した初のモデル。
  • エアマックス2003:セルジオ・ロザーノがデザインしたものだが、同じくデザインを手がけたエアマックス95とはテイストが異なり、極めてシンプルなデザインに仕上がっている。ソールはエアマックス97と同様のフルレングス・ビジブルエアだが、ミッドソールの素材がTPUを用いているなど、マイナーチェンジが施されている。アッパーは陸上競技用スパイクで用いるカーボン調の素材で軽量化を実現しているが

同素材は日本の帝人社が提供している。

チューンドエア[編集]

  • エアマックスプラス:

360°エア[編集]

  • エアマックス360:360°ビジブルエアを搭載した初のモデル。2006年1月21日、世界同時リリースされた。
  • エアマックス+2009:ペバックスケージを用いていない、第2世代360°ビジブルエアを搭載したモデル。アッパーはメッシュ素材となっている他、AIR MAXとしては初のフライワイヤーを搭載したモデル。
  • エアマックス+2010:前年同様、第2世代360°ビジブルエアが採用されているが、アッパーはフロントのメッシュ素材と後側のフライワイヤーをシームレスで接続する「No-Sew」テクノロジーが採用されている。
  • エアマックス+2011:第2世代360°ビジブルエア採用。アッパーにハイパーフューズを用いた初のエアマックスである。
  • エアマックス+2013:屈曲性をより重視し、さらなる軽量化を実現した第3世代360°ビジブルエアを搭載。インソールにはクッショニングをサポートする「FIT SOLE 2」が搭載されている。

現在のエアマックス[編集]

エアマックス1の登場以降、さまざまなビジブルエア搭載シューズが登場することとなった。しかしエアマックス人気は衰えず、各モデルでカラーバリエーションを変え、ディテールやアッパー素材をマイナーチェンジさせながら現在に至るまでナイキのインラインモデルの主力として販売を続けている。また世界各国のスニーカーブティックなどとのコラボレーションモデル、ハイブランドのコンセプトモデルなども数多く見受けられる。特に別注モデルともなると非常に入手困難であり、中には一足数十万円を超えるプレミアム価格がついているものも存在する。同じモデルとはいっても、例えばエアマックス1のように、時代に合わせてマイナーチェンジを繰り替えしてきた結果、少しずつ初版のエアマックスとはディテールが異なっていったものもある。例えばエアマックス1に関して言えば2016年、復刻するにあたり初版のディテールに忠実に再現する動きがナイキ社内で起こり、シュータンのパーツ数やミッドソールの高さ、ヒールボックスの形状や硬さなどを初版に限りなく近い形で再現した。使用する材質に関しては、顕微鏡レベルでオリジナルを研究したほどの拘りをみせた。この製品は2017年に、オリジナルカラーであるユニバーシティレッド、ユニバーシティブルーの2色展開で復刻するに至った。

エアマックスデー[編集]

発売日である3月26日は、「エアマックスデー」として世界各国でエアマックスの生誕を祝う行事が催されている。

2016年の「エアマックスデー」では「VOTE FORWARD」と題した、世界各国の歴代エアマックスの中から一足を投票し、一位を獲得したモデルが復刻されるというイベントが行われ、アトモスから2003年に発売された「エアマックス1アトモスエレファント」が一位を獲得し、2017年3月11日に世界中で復刻販売されるに至った。このモデルも、上述の通り発売直後から争奪戦状態となり、入手困難なモデルの一つとなっている。日本においては、特に生誕30周年である2017年3月24日から26日にかけて、「エアマックスレボリューション」と題して上野東京国立博物館で盛大に生誕イベントが行われた。

MASTER OF AIR[編集]

2016年、世界各国の主要都市から、9人のエアマックスコレクターがMASTER OF AIRとしてナイキから選出された。ラスベガスのANGELA、ロンドンのSTEVEY、メキシコシティのMAURICIO、プラハのDJ WICH、アムステルダムのCHANICA、東京のG-KEN、パリのLALLA、北京のKRYSION、ベルリンのICEBERGである。いずれもエアマックスに関して抜きん出た所持数を誇り、中にはエアマックスのみで2000足以上所持している者もいる。

エアマックス1マスター

脚注[編集]

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外部リンク[編集]