ドニントン・グランプリ・コレクション

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ドニントン・グランプリ・コレクション

ドニントン・グランプリ・コレクション: Donington Grand Prix Collection)は、イングランドレスターシャードニントン・パークに存在したレーシングカーの博物館である。1973年3月に設立され、2018年11月まで、45年間に渡って公開が続けられた。

概要[編集]

1971年にドニントン・パークを買い取ったトム・ウィートクロフト英語版により、この博物館は1973年3月にドニントン・パークの敷地内に設立された。設立当初の展示品は、自動車コレクターでもあったウィートクロフトの個人的なコレクションを中心にしたものである。

レーシングカーの展示はほぼ全てシングルシーター(レース専用の単座車両)で、特にグランプリまたはフォーミュラ1向けに作られた車両を中心とした展示であった。

2013年時点の、マクラーレンの間(McLaren Hall)とウィリアムズの間(Williams Hall)。 2013年時点の、マクラーレンの間(McLaren Hall)とウィリアムズの間(Williams Hall)。
2013年時点の、マクラーレンの間(McLaren Hall)とウィリアムズの間(Williams Hall)。

コレクションの展示は、ウィートクロフトが所有するレーシングチームで走ったドライバーであるロジャー・ウィリアムソンデレック・ベルが乗った車だけでなく、外部の他の所有者から譲り受けたり貸し出された車両などを加えて展示の拡張が続けられ、100両を超える規模の展示が行われていた。展示品にはイギリス国内のF1チームから貸し出された車両も多数あり、マクラーレンとウィリアムズには展示用の専用スペースが用意され、両チームの1970年代から2000年代までの車両をほぼ網羅する形で展示が行われていた。

車両だけではなく、ドライバーのヘルメットや、レース車両に搭載されたエンジンも常設展示された。

ウィートクロフトの死[編集]

2009年10月31日にトム・ウィートクロフトが死去したことで、同年末にグランプリ・コレクションも一時的に閉鎖された。この時は、翌年1月には公開が再開されたが、この時期から、サーキットの財政問題を解消するため、売却される車両が目立つようになる。

また、トム・ウィートクロフトの息子で、ドニントン・パークを引き継いだケビン・ウィートクロフト英語版はミリタリーコレクターであり、ウィートクロフト・コレクション英語版として知られる、多数の軍用車両を保有していた。通常は非公開のそのコレクションの一部がグランプリ・コレクションで展示され始めたのもこの時期である。

2017年1月、ドニントン・パークの運営は、ジョナサン・パーマー率いるモータースポーツ・ビジョン英語版社(MSV)に21年間の期限付きでウィートクロフト家から委託された。同年8月、イギリスの競争・市場庁英語版(CMA)から契約が承認され、MSVによるサーキット運営が始まった。

閉館[編集]

2018年10月、MSVは、グランプリ・コレクションは今後の継続が困難であるとして、翌11月をもって閉館することと、残った車両は、貸し出された車両は所有者に返却し、所有している車両は売却する旨を発表した。ケビン・ウィートクロフトも、「閉鎖は難しい決断ではあるが」としつつ、決定に同意する旨を語った。

閉館後、コレクションの展示に使われていた建物には「旧博物館」(The Old Museum)という名称が付けられ、貸し出し用のイベント用スペースとして使用されている。

特筆される展示品[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯52度49分38秒 西経1度21分58秒 / 北緯52.82722度 西経1.36611度 / 52.82722; -1.36611