ドゴン諸語

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ドゴン諸語
民族ドゴン族
話される地域マリ共和国の旗 マリ
言語系統ニジェール・コンゴ語族?
  • ドゴン諸語
下位言語
Glottologdogo1299[1]
Map of the Dogon languages
  Plains Dogon – Jamsai, Toro Tegu, Western Plains (Togo Kan, Tengu Kan, Tomo Kan)
  en:Escarpment Dogon – Toro So, Tommo So, Donno So
  West Dogon – Duleri, Mombo, AmpariPenange, Budu
  North Plateau Dogon – Bondum, Dogul
  Nanga languages – Nanga, Bankan Tey, Ben Tey, Yanda

ドゴン諸語(DonogまたはKaador、Kaado)は、マリドゴン族によって話されている小さな語族であり、より大きなニジェール・コンゴ語族に属す可能性がある。その十数言語か成り、約60万人の話者がいる。声調言語であり、Dogul語のようにほとんどが2つの声調を持っているが、DonnoSo語のように3つ持っているものもある。 基本語順は、主語-目的語-動詞である。

帰属[編集]

ドゴン諸語とニジェール・コンゴ語族を結びつける証拠は弱く、もし属していると仮定すると、ニジェール・コンゴ語族内での位置は明確ではない[要出典]。さまざまな理論が提案されており、グル諸語マンデ諸語に含められたり、または独立した語群とされることもある(現在は独立した語群とする説が優勢)。ドゴン諸語は、ニジェール・コンゴ語族の言語の多くに特徴的な名詞クラスシステム(の残骸)も無く、言語学者は、ニジェール・コンゴ語から非常に早く分岐した可能性が高いと結論付けている[要出典]

ロジャー・ブレンチは以下のようにコメントしている[2]

ドゴン諸語は、語彙的にも構造的にも、他のほとんどのニジェール・コンゴ語族とは大きく異なる。ニジェール・コンゴ語の典型と通常見なされる名詞クラスが無く、マンデ諸語イジョー諸語に似た語順(SOV)を持つが、これは他の分派には無い。フランス語に似た語形変化のシステムは、周囲の言語とはまったく異なる。結果として、ドゴン族の祖先は非常に早く分岐した可能性があるが、現在の言語はおそらく3〜4000年前の起源を反映している。ドゴン諸語は長らく同じ地に分布し続けており、地域内の移動はあったが、誕生時からマリのこの地域にいたことを示唆している。

また、次のようにも言っている[3]

ドゴン諸語は確かに十分に根拠のある首尾一貫したグループである。しかし、ニジェール・コンゴ語を特徴づける要素(名詞クラス、動詞的拡張、両唇口蓋音)を持たず、語彙には同根語がほとんど無い。独立した語族である可能性もある。

Blench(2015)は、ドゴン諸語には、ナイル・サハラ祖語から比較的早く分離したナイル・サハラ語の分派が基層となっていると提案し、暫定的にその分派を"Plateau"と呼んでいる[4]

脚注[編集]

  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Dogon”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/dogo1299 
  2. ^ Dogon Languages Archived June 15, 2013, at the Wayback Machine. Retrieved May 19, 2013
  3. ^ Roger Blench,Niger-Congo: an alternative view
  4. ^ Blench, Roger. 2015. Was there a now-vanished branch of Nilo-Saharan on the Dogon Plateau? Evidence from substrate vocabulary in Bangime and Dogon. In Mother Tongue, Issue 20, 2015: In Memory of Harold Crane Fleming (1926-2015).