ドウェイン・デ・ロサリオ

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ドウェイン・デ・ロサリオ
名前
本名 ドウェイン・アンソニー・デ・ロサリオ
Dwayne Anthony De Rosario
ラテン文字 Dwayne De Rosario
基本情報
国籍 カナダの旗 カナダ
ガイアナの旗 ガイアナ
生年月日 (1978-05-15) 1978年5月15日(45歳)
出身地 スカーバロー
身長 180cm
体重 74kg
選手情報
ポジション MF (OH)
利き足 右足
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
1997 カナダの旗 トロント・リンクス 7 (3)
1997-1999 ドイツの旗 ツヴィッカウ 12 (1)
1999-2000 アメリカ合衆国の旗 リッチモンド・キッカーズ 35 (17)
2001-2005 アメリカ合衆国の旗 サンノゼ・アースクエイクス 108 (27)
2006-2008 アメリカ合衆国の旗 ヒューストン・ダイナモ 78 (24)
2009-2011 カナダの旗 トロントFC 57 (27)
2011 アメリカ合衆国の旗 ニューヨーク・レッドブルズ 13 (2)
2011-2013 アメリカ合衆国の旗 D.C. ユナイテッド 68 (23)
2014 カナダの旗 トロントFC 19 (1)
代表歴2
1996-1997 カナダの旗 カナダ U-20 8 (5)
1999-2000 カナダの旗 カナダ U-23 11 (3)
1998-2015 カナダの旗 カナダ 81 (22)
1. 国内リーグ戦に限る。2016年4月27日現在。
2. 2016年4月27日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

ドウェイン・アンソニー・デ・ロサリオDwayne Anthony De Rosario, 1978年5月15日 - )は、カナダオンタリオ州スカーバローの元サッカー選手。元カナダ代表デ・ロザリオとも表記される。

2021年まで同国代表の最多得点記録を保持していた[1]カナダ人最優秀選手賞英語版を最多の4度、メジャーリーグサッカー・ベストイレブンを歴代2位の6度受賞。カナダのみならずMLSを代表する選手。

経歴[編集]

初期[編集]

1997年、18歳の時にUSL1部トロント・リンクス英語版でプロキャリアをスタートさせ、チームメイトには将来カナダ代表で共にプレーするポール・スタルテリがいた。デビュー年ながらシーズン途中にドイツのFSVツヴィッカウへ移籍。ツヴィッカウで2シーズン過ごした後、北米へ戻り1999年にリッチモンド・キッカーズと契約。シーズン終盤の加入ながら2ゴール5アシストを決めると、翌2000年には15ゴール5アシストとブレイクし、20勝6分1敗の記録にチームを導いた。

サンノゼ[編集]

2001年、サンノゼ・アースクエイクスの監督に就任した同胞のフランク・ヤロップの最初の補強として加入。加入初年度は1072分出場の中で5ゴール4アシストし、MLSカップ進出に貢献するとゴールデンゴールを決め、初優勝に重要な役割を果たした。この活躍でMLSカップMVPに選出されるなど、ヤロップの判断が正しかったことを証明した。2002年のチームは連覇を果たすことは出来なかったものの、自身は1637分で4ゴール8アシストと前年同様に成功を収めた。2003年は、靭帯損傷したことで686分と出場機会が限られたものだったが、4ゴール3アシストの記録。さらにMLSカップでは、後半から途中出場するとランドン・ドノバンのゴールをアシストし2度目の優勝に貢献した[2]。2004年は、1214分で5ゴール3アシストを記録し、同年のメジャーリーグサッカー最優秀ゴール賞英語版を受賞。12月にノッティンガム・フォレストFCのトライアルに参加[3] したが、契約には至らなかった。

2005年にドノバンが移籍すると、MFにポジションを移し2年連続の最優秀ゴール(シーズン最終節のロサンゼルス・ギャラクシー戦での強力なカーブがかかったFK)を含む9ゴール13アシストと大活躍し、サポーターズ・シールド獲得に貢献。さらにメジャーリーグサッカー・ベストイレブンカナダ人最優秀選手賞英語版を初受賞した。

ヒューストン[編集]

2006年、サンノゼのオーナーAEGはサッカー専用スタジアムの建設が困難と判明したためヒューストンへ移転しヒューストン・ダイナモを設立。それに伴いデ・ロサリオを始めとした選手やスタッフも移動した。同年シカゴで開催されたオールスターゲームは、ロンドンチェルシーFCを招待した試合で70分にこの試合唯一となるゴールを決め、1-0の勝利に導いたことでMVPを受賞。また、デ・ロサリオはMLSの全試合に出場した4人のうちの1人だった。

この年のリーグ戦は、サポーターズシールドを獲得すると11月12日のMLSカップまで進出。ニューイングランド・レボリューションをPK戦の末に破り、タイトルを獲得。この活躍から年俸32万5000USドル[4]・2010年まで契約を延長した[5]。後に契約が終了する前にトロントFCへ去った。

翌2007年もサポーターズシールドを獲得しMLSカップへ進出。再びニューイングランドとあいまみえると2-1で破り優勝の偉業を繰り返した。デ・ロサリオはこの試合で決勝ゴールを決めると、初めてMVPを2度受賞した選手となった[6]

母国トロントで開催されたオールスターゲームに3年連続出場したデ・ロサリオは、ウェストハム・ユナイテッドFC相手に69分にPKを決めた。これが決勝ゴールとなり3-2で勝利した。

トロント[編集]

デ・ロサリオが故郷のクラブに戻るだろうと長期憶測がよんだ後、2008年12月12日にトリニダード・トバゴ代表DFのジュリアス・ジェームズ英語版+金銭のトレードでトロントFCに移籍した[7]。2009年3月21日土曜日のスポルティング・カンザスシティ戦でデビューをし、ジム・ブレナン英語版の先制ゴールで3-2と勝利。この試合のデ・ロサリオは、相手選手のハンドによりPKを蹴るチャンスを得るも失敗し初ゴールはおあずけとなった[8]。ホームのBMOフィールドFCダラスを迎えた試合で、ヘディングで移籍後初ゴールを決め1-1で引き分けた。

2010年1月31日、トレーニングキャンプのジャマイカ戦で脹脛を負傷したことにより2-4週間欠場することが予想された[9][10] が、プレシーズンの南フロリダ大学戦に復帰し1-0で勝利した。

4月8日、ブレナンが引退したことによりクラブ史で2番目となるキャプテンに就任[11]。その2日後のニューイングランド戦では、シーズン最初のゴールにして先制ゴールを決めるも1-4で敗れた[12]

4月15日、ホーム開幕戦のフィラデルフィア・ユニオン戦で81分のPKを含め2ゴールを決め2-1で勝利した[13]。次戦のコロラド・ラピッズ戦でシーズン4ゴール目を記録すると、これがクラブ史上通算最多得点を更新した[14]。4月25日、ホームのシアトル・サウンダーズFC戦で先制ゴールにしてシーズン5ゴール目を挙げ2-0で勝利した。ちなみに、この試合でオブライエン・ホワイト英語版が2ゴール目を決めるまでチームの総得点は全てデ・ロサリオのゴールによるものだった[15]。また、この試合の活躍から週間最優秀選手に選ばれた[16]。第10節目の古巣サンノゼに3-1で勝利した試合でチームの2ゴール目, 3ゴール目と2ゴールを決めると、再び週間最優秀選手に選ばれた[17]

この2010年は常に成功し続け、2-5で敗れたオールスターゲームのマンチェスター・ユナイテッドFC相手にゴールを決め最高潮に達した[18]

8月3日、CONCACAFチャンピオンズリーグ予選CDモタグアとの第2戦でゴールを決め、1-1にすると最終的に2-2で引き分けた。2試合合計3-2で勝利し見事本戦出場の切符を掴んだ[19]

12月28日、スコティッシュ・プレミアリーグに所属する名門セルティックFCのトライアルに参加していることが相手側のニール・レノン監督より伝えられた[20]。その際にレノンはデ・ロサリオを熟練され賢くシャープな選手で、プレースタイルはショーン・マロニーに似ていると評した[21]。その後、セルティックからMLSが3月に開幕するまでのオフを利用した短期レンタルでのオファーが来たが、トロントのコーチに新たに就任したアーロン・ヴィンターは、トーレニングキャンプの段階からデ・ロサリオは必要な選手との声明をし、申し出を断った[22]

2011年3月19日、初のカナダ勢同士の試合となったバンクーバー・ホワイトキャップス戦でチームのシーズン最初のゴールを決めるも2-4で敗れた。この試合開始20分で決めたゴールは、MLSがスタートしてから通算8000ゴール目だった[23]

ニューヨーク[編集]

2011年4月1日、カメルーン人MFトニー・チャニ英語版, 南アフリカ人DFダンレイ・ボーマン英語版とのトレードで移籍[24][25]チーヴァスUSA戦、チーム2ゴール目にして移籍後初ゴールとなるPKを決めるも2-3で敗れた[26]

DCユナイテッド[編集]

2011年6月27日、アメリカ代表MFダックス・マッカーティとのトレードで移籍した[27]レッドブル・アリーナにNYレッドブルズを迎えた試合で古巣相手に移籍後初ゴールを決めると、7月30日の古巣サンノゼ戦で2ゴールを決め2-0で勝利。8月6日の古巣トロント戦、前半早々にGKのビル・ハミードが退場し10人と苦境に立たされたが、ハットトリックを決め3-3の引き分けに持ち込む等、立て続けに古巣相手にゴールを決めた。9月25日のレアル・ソルトレイク戦では、MLS最短記録となる9分の間にシーズン2度目のハットトリックを達成した[28]。デ・ロサリオは32試合16ゴール12アシストを記録し、シーズンを終えた。そのうちの13ゴール7アシストは、DCユナイテッドに移籍してから出場した17試合で記録したものだった[29]

ポートランド・ティンバーズとの試合後に相手側のジョン・スペンサー英語版監督はデ・ロサリオを評した。

もし、デ・ロサリオがMVPを獲得出来なかったら、何かの間違いだろう。プレーンでシンプルなことだ。シーズン全体のうち、特に最後の3ヶ月間は圧倒的にリーグで最高の選手だった。彼はMVPを獲得する必要がある。

シーズン終了後にMVPの最終候補に選出されているティエリ・アンリは、デ・ロサリオについて語った。

このリーグでデ・ロサリオより良い選手は見たことがない、彼こそがリーグの顔だ。

2011年11月18日、メジャーリーグサッカー得点王英語版と、初のメジャーリーグサッカーMVP英語版を受賞し[32]、さらに6度目のベストイレブンと4度目のカナダ人最優秀選手に選ばれるなど、充実したシーズンを送った。

2012年2月20日、デ・ロサリオは2014年までのオプション付きで2013年までの契約延長にサインした[33]

2012年8月29日、ホームで古巣のNYレッドブルズ相手にMLS通算100ゴール目を達成した[34]

クラッチ・パフォーマー[編集]

MLSでのキャリアの中、デ・ロサリオはリーグで最高のクラッチ・パフォーマーの1人として名声を得てきた[6]

リーグ戦以外で行われた大会では、MLSカップでMVPを受賞することになる2度の決勝ゴールやオールスターゲームでウェストハムのように国外のクラブ相手に2度決勝ゴールがキャリアの通算得点記録に含まれている。他には、トロント時代に参加したカナディアン・チャンピオンシップで、2009年6月18日に行われ3-1で勝利したモントリオール戦のハットトリックを含め、この大会では4ゴールを記録した。また、CONCACAFチャンピオンズリーグで6-1と勝利したモントリオール戦でゴールを決めている。

2010年9月18日のヒューストン戦では、前半を0-1で折り返すと後半とロスタイムにFKを2度決め、チームのプレーオフ圏内を保った。

2011年、デ・ロサリオはMLSで最多となる6度目のベストイレブンに選ばれた。

代表[編集]

FWやMFでプレーするデ・ロサリオは、カナダ代表の中で優秀な選手の1人として認識されている。U-20時代に1997 FIFAワールドユース選手権に参加し、U-22では母国ウィニペグで行われた第13回パナメリカン大会に出場。

1998年5月18日、マケドニア戦で20歳時に初キャップを記録。また、CONCACAFゴールドカップでは2000年で初優勝を経験すると、2002年で2-1と勝利した韓国戦で代表初ゴールを記録した。

2007年から3年連続でカナダ人最優秀選手賞英語版を受賞。また、この年には8試合で5ゴールを決め、1993年のジョン・キャットリフ英語版以来の年間最多得点を記録した。

スティーブン・ハート英語版監督に2011 CONCACAFゴールドカップのメンバーに選ばれ、4年ぶりにこの大会に出場することとなった。しかし、グループリーグ初戦のアメリカ相手に0-2で敗れると1勝1分1敗でグループリーグ敗退と失望の結果に終わった。また、得点はデ・ロサリオが挙げたPK2本だけだった[35]2014 FIFAワールドカップ・北中米カリブ海予選では、9月上旬の初戦セントルシア戦, 11月中旬のセントクリストファー・ネイビス戦でそれぞれゴールを記録。また、セントクリストファー・ネイビス戦で通算19ゴール目を決めると、デイル・ミッチェル英語版が持つ代表最多得点記録に並んだ[36]。12月14日、シメオン・ジャクソン英語版を2位, ジョシュ・シンプソンを3位に抑え47.7%の票を集めると、最多4度目となるカナダ人最優秀選手賞英語版を受賞した[37]。2012年9月7日、2014 FIFAワールドカップ予選のパナマ戦で通算20ゴール目を決め、最多得点記録を更新した[1]

私生活[編集]

ガイアナからカナダへ渡った移民の息子[38] として育ち、従兄妹には陸上競技選手で北京オリンピック女子100mハードル銅メダリストのプリシラ・ロペス=シュリエプがいる[39]。また、既婚者で2人の息子と娘がいる。

タイトル[編集]

代表
クラブ
個人

脚注[編集]

  1. ^ a b DE ROSARIO'S BECOMES CANADA'S ALL-TIME LEADING GOALSCORER
  2. ^ MLS CUP / Earthquakes rumble / Donovan, Onstad secure S.J.'s 2nd title
  3. ^ Forest end interest in De Rosario
  4. ^ De Rosario signs four-year deal with Toronto
  5. ^ Dwayne De Rosario inks extension with Dynamo
  6. ^ a b After Heady Play, De Rosario Is MVP
  7. ^ Dynamo trade star midfielder De Rosario to Toronto
  8. ^ Guevara guides Toronto FC past Wizards
  9. ^ "De Rosario to miss two to four weeks" Archived 2010年2月19日, at the Wayback Machine.
  10. ^ "Reds Win 1-0 against USF" Archived 2010年2月19日, at the Wayback Machine.
  11. ^ "Preki Names New Captain"
  12. ^ "Revs Rout Reds"
  13. ^ "De Rosario Notches Brace In Win"
  14. ^ "De Ro Set To Duel Against Seattle Top Striker"
  15. ^ "De Rosario attack stuns Seattle"
  16. ^ "De Rosario Named Player of the Week"
  17. ^ "De Rosario wins league award"
  18. ^ "De Rosario Goal In All-Star Game"
  19. ^ "TFC earns 1st Champions League Berth"
  20. ^ "Dwayne De Rosario joins Freddie Ljungberg on trial at Celtic"
  21. ^ De Rosario on trial at Celtic
  22. ^ Toronto FC Say No To Dwayne De Rosario's Potential Celtic Loan
  23. ^ "Toronto Falls Short in Vancouver"
  24. ^ De Rosario trade makes sense to Red Bulls
  25. ^ Red Bulls acquire five-time MLS Best XI midfielder Dwayne De Rosario
  26. ^ "Braun's hat trick too much to overcome as Chivas USA defeats Red Bulls"
  27. ^ D.C. United acquires five-time MLS All-Star Dwayne De Rosario
  28. ^ De Ro steals the spotlight in historic outing for D.C.
  29. ^ "STATISTICS"
  30. ^ Steven Goff (2011年10月20日). “Poll: MLS MVP award goes to .....”. Soccer Insider. The Washington Post. 2012年12月13日閲覧。
  31. ^ Kristian Dyer (2011年11月10日). “Henry Lauds DeRo as Red Bulls Seek New No. 10”. MLSsoccer.com. Major League Soccer. 2012年12月13日閲覧。
  32. ^ D.C. United's De Rosario voted Volkswagen MLS MVP
  33. ^ De Rosario receives two-year extension from D.C. United
  34. ^ D.C. United 2 - 2 New York Red Bulls
  35. ^ Late goal gives Panama 1-1 draw with Canada Archived 2013年12月30日, at the Wayback Machine.
  36. ^ Canada’s Dwayne De Rosario wins MLS MVP award[リンク切れ]
  37. ^ De Rosario is male selection for 2011 BMO Canadian Players of the Year Award
  38. ^ "MLS Player of the Week: Week Five"
  39. ^ De Rosario gets lifted

外部リンク[編集]