ドゥシャン・ラヨビッチ

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ドゥシャン・ラヨビッチ
Dušan Lajović
2017年ウィンブルドン選手権でのドゥシャン・ラヨビッチ
基本情報
国籍 セルビアの旗 セルビア
出身地 同・ベオグラード
生年月日 (1990-06-30) 1990年6月30日(33歳)
身長 183cm
体重 83kg
利き手
バックハンド 片手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2007年
ツアー通算 4勝
シングルス 2勝
ダブルス 2勝
生涯獲得賞金 8,220,836 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 4回戦(2021)
全仏 4回戦(2014)
全英 2回戦(2014・17・21・22)
全米 3回戦(2018)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 2回戦(2017)
全仏 ベスト8(2019)
全英 2回戦(2018)
全米 2回戦(2014・18)
国別対抗戦最高成績
デビス杯 準優勝(2013)
ATP杯 優勝(2020)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 23位(2019年4月29日)
ダブルス 82位(2020年9月21日)
2024年4月19日現在

ドゥシャン・ラヨビッチDušan Lajović, セルビア語: Душан Лајовић, 1990年6月30日 - )は、セルビアベオグラード出身の男子プロテニス選手。これまでにATPツアーでシングルス2勝、ダブルス2勝を挙げている。自己最高ランキングはシングルス23位、ダブルス82位。身長183cm。右利き、バックハンド・ストロークは片手打ち。

選手経歴[編集]

ジュニア時代[編集]

ラヨビッチは1990年6月30日にセルビアベオグラードで生まれる。7歳からスタラ・パゾヴァ英語版のテニススクールでテニスを始め、現在でもそこに住んでおり、自身のカフェを営業している。

2007年 プロ転向[編集]

プロ転向後しばらくの間はフューチャーズチャレンジャーなどの下部大会での下積み期間が続いた。

2011年 ATPツアーベスト8[編集]

クレムリン・カップで予選を通過して、本戦初戦敗退。サンクトペテルブルク・オープンでは自身初のATPツアーベスト8入りを果たす。年間最終ランキングは190位。

2012年 デビス杯初出場[編集]

デビスカップセルビア代表として参戦し、1回戦ではシングルスでデビスカップスウェーデン代表を破る活躍で、チームはベスト8進出。8月にはサマルカンドATPチャレンジャーツアー初優勝を果たし、今季だけでチャレンジャー3勝を挙げた。年間最終ランキングは163位。

2013年 デビス杯準優勝[編集]

2013年のデビスカップ決勝のチェコ戦にヤンコ・ティプサレビッチが怪我のため欠場したため、ノバク・ジョコビッチに次ぐセルビアの2番手として出場した。トマーシュ・ベルディハラデク・ステパネクにストレートで敗れチームも2勝3敗で敗退し優勝を逃した。年間最終ランキングは116位。

2014年 トップ100入り[編集]

4大大会では全豪オープンで予選を勝ち上がり初出場した。2回戦で錦織圭に1-6, 1-6, 6-7(3)で敗れたが、2月10日の世界ランキングで99位となり、トップ100入りを果たした。2度目の4大大会出場となった全仏オープンでは4回戦まで勝ち進んだ。4回戦では今大会を優勝する第1シードのラファエル・ナダルに1-6, 2-6, 1-6で完敗した。年間最終ランキングは69位。

2015年 ツアーダブルス初優勝[編集]

ラドゥ・アルボットと組んだイスタンブール・オープンのダブルスではツアーダブルス初優勝を果たした。これはセルビア人として初のATPツアーダブルス優勝であった。 全仏オープンでも2回戦で今大会を優勝する第8シードのスタン・ワウリンカに3-6, 4-6, 7-5, 3-6で敗れた。年間最終ランキングは76位。

2016年 ATPツアーベスト4[編集]

アルゼンチン・オープンではジョン・イズナーを破り、ベスト8進出。ブラジル・オープンではブノワ・ペールを下して、自身8度目のベスト8進出を経て、シングルスで初のATPツアーベスト4進出を果たす。さらにオーストリア・オープンロス・カボス・オープンでもベスト4進出を果たす。年間最終ランキングは93位。

2017年 マスターズ4回戦進出[編集]

BNPパリバ・オープンでは予選から5試合を制して、マスターズ1000で初の4回戦進出を果たす。4回戦ではパブロ・カレーニョ・ブスタに4-6, 6-7(5)のストレートで敗れた。

デビスカップセルビア代表として参戦して、準決勝のデビスカップフランス代表戦ではシングルスでリュカ・プイユを6-1, 3-6, 7-6(7), 7-6(5)で破るも、次のシングルスでジョー=ウィルフリード・ツォンガに6-2, 2-6, 6-7(5), 2-6で敗れ、チームは準決勝敗退となった。年間最終ランキングは75位。

2018年 トップ50入り[編集]

全豪オープンでは1回戦で第24シードのディエゴ・シュワルツマンに6-2, 3-6, 7-5, 4-6, 9-11のフルセットで初戦敗退。BNPパリバ・オープンマイアミ・オープンではそれぞれ2回戦進出。

モンテカルロ・マスターズでは予選を通過するも、1回戦でノバク・ジョコビッチに0-6, 1-6のストレートで圧倒させられる。マドリード・オープンでは1回戦でカレン・ハチャノフ、2回戦でリシャール・ガスケ、3回戦でフアン・マルティン・デル・ポトロらを下してマスターズ1000ベスト8進出。準々決勝ではケビン・アンダーソンに敗退。 リヨン・オープンではベスト4入り。準決勝ではドミニク・ティームに4-6, 7-5, 4-6で敗れた。全仏オープンでは1回戦でイジー・ベセリーを6-3, 6-1, 6-3のストレートで破り、2回戦では第2シードのアレクサンダー・ズベレフに6-2, 5-7, 6-4, 1-6, 2-6のフルセットの末に敗れた。

ウィンブルドン選手権では1回戦で第1シードのロジャー・フェデラーに1-6, 3-6, 4-6のストレートで敗れた。全米オープンでは1回戦で第24シードのダミル・ジュムールを3-6, 6-1, 6-3, 6-4、2回戦でキャメロン・ノリーを6-2, 2-6, 6-4, 6-4で下して初の3回戦進出。3回戦では第11シードのジョン・イズナーに敗れた。チャイナ・オープン2回戦では当時世界ランキング7位のグリゴール・ディミトロフに6-4, 2-6, 6-4で下して、ベスト8進出。自身2度目のトップ10選手から勝利を挙げた。10月15日の世界ランキングでトップ50入り。年間最終ランキングは48位。

2019年 マスターズ準優勝 ツアー初優勝[編集]

2019年全仏オープンでのドゥシャン・ラヨビッチ

全豪オープンではパブロ・クエバスにストレートで初戦敗退。BNPパリバ・オープンでは2回戦でマリン・チリッチに敗れた。マイアミ・オープンでは2回戦で錦織圭を破るも、3回戦でニック・キリオスに敗れた。

モンテカルロ・マスターズでは決勝戦でファビオ・フォニーニに3-6, 4-6で敗れたものの、ダビド・ゴフィンドミニク・ティエムダニール・メドベージェフらを倒し、自身初のマスターズ決勝進出を果たす飛躍を見せた[1]全仏オープンでは3回戦まで進出。3回戦でアレクサンダー・ズベレフにフルセットの末に敗れた。同大会のダブルスではヤンコ・ティプサレビッチと組み、ベスト8入り。ウィンブルドン選手権ではホベルト・ホルカシュに初戦敗退。

7月のクロアチア・オープンでも決勝に進出すると、決勝戦ではアッティラ・バラージュに7-5, 7-5で勝利し、ツアー初優勝を果たした[2]全米オープンでは2回戦でデニス・クドラに敗れた。年間最終ランキングは34位。

2020年 ATP杯初優勝[編集]

ATPカップではセルビア代表としてシングルスで活躍して、母国の優勝に貢献した。

全豪オープンでは3回戦でディエゴ・シュワルツマンにストレートで敗れた。全米オープンでは初戦敗退。BNLイタリア国際では3回戦でラファエル・ナダルに敗れた。全仏オープンでは2回戦でケビン・アンダーソンにフルセットで敗れた。年間最終ランキングは26位。

2021年 グランドスラム4回戦進出[編集]

2年連続でATPカップに出場するも、結果はラウンドロビン敗退。

全豪オープンでは初の4回戦進出。4回戦では第6シードのアレクサンダー・ズベレフにストレートで敗れた。マイアミ・オープンでは3回戦でフランシス・ティアフォーに敗れた。全仏オープンでは1回戦で第28シードのニコロズ・バシラシビリに敗れた。ウィンブルドン選手権では2回戦で第22シードのダニエル・エバンスに敗れた。ナショナル・バンク・オープンでは3回戦進出。3回戦ではキャスパー・ルードに敗れた。またアスラン・カラツェフとペアを組みダブルスにも出場。1回戦でキャメロン・ノリー/アレックス・デミノーを6-4 6-7(4) 10-8、2回戦で第5シードのルカシュ・クボット/マルセロ・メロを6-4 6-4で下し、ベスト8に進出。準々決勝では第4シードのホリア・テカウ/ケビン・クラビーツに3-6 6-3 3-10で敗退。全米オープンでは2回戦でペーター・ゴヨフチクにフルセットの末に敗れた。年間最終ランキングは33位。

2022年 トップ100圏外[編集]

2022年モンテカルロ・マスターズでのドゥシャン・ラヨビッチ

ATPカップでは3年連続でセルビア代表として出場して、ラウンドロビン敗退。

全豪オープンでは1回戦のマートン・フチョビッチ戦をフルセットで破るも、2回戦で第31シードのカルロス・アルカラスに敗れた。4月のマドリード・オープンでは予選を通過して、1回戦でボルナ・チョリッチを6-3 4-6 6-4、2回戦で第5シードのキャスパー・ルードを7-6(7) 2-6 6-4を下し、3回戦に進出。3回戦では第12シードのフベルト・フルカチュに5-7 3-6で敗れた。全仏オープンでは初戦敗退。ウィンブルドン選手権ではパブロ・カレーニョ・ブスタを1回戦で破るも、アレクサンダー・ブブリクに敗れた。年間最終ランキングは80位。

2023年 ツアー2勝目[編集]

1月、全豪オープンでは1回戦で第20シードのデニス・シャポバロフに4-6, 6-4, 4-6, 1-6で敗れた。

2月、アルゼンチン・オープンリオ・オープンではベスト8入りするも、両大会とも準々決勝でカルロス・アルカラスに敗退。

3月、チリ・オープンではベスト8入り。準々決勝ではトマス・マルティン・エチェベリー英語版に1-6, 2-6のストレートで敗れた。BNPパリバ・オープンでは予選初戦でテニーズ・サングレンに敗れた。マイアミ・オープンでは1回戦でアンディ・マレーを6-4, 7-5のストレートで下すも、3回戦でアルカラスに敗れた。

4月、スルプスカ・オープン英語版では準々決勝では同胞の世界王者であり、今大会第1シードのノバク・ジョコビッチを6-4, 7-6(6)のストレートで下し、準決勝でも同胞の第4シードのミオミル・キツマノビッチを4-6, 7-6(5), 6-4で破り、決勝進出。決勝では第2シードのアンドレイ・ルブレフを6-3, 4-6, 6-4で破り、ツアー2勝目を挙げた。

5月、マドリード・オープンでは3回戦まで進出。3回戦ではヤン=レナード・ストルフに敗れた。ローマ・マスターズではヌーノ・ボルヘス英語版では4-6, 1-6のストレートで初戦敗退。全仏オープンではジャン・ジジェン英語版に6-4, 4-1の時点で途中棄権。

7月、ウィンブルドン選手権ではヤン・ホインスキ英語版に7-5, 6-7(4), 2-6, 2-6で初戦敗退。

8月、ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは予選を通過して、2回戦で第8シードのヤニック・シナーを6-4, 7-6(4)のストレートで下すも、3回戦ではテイラー・フリッツ戦で0-5の時点で途中棄権。全米オープンでは呉易昺に6-3, 4-6, 6-2, 4-6, 2-6のフルセットの末に初戦敗退。

9月、成都オープンでは2回戦でジョーダン・トンプソンに1-6, 6-7(1)のストレートで敗れた。チャイナ・オープンではヤニック・ハンフマン英語版に予選敗退。

10月、上海マスターズでは1回戦でスタン・ワウリンカを6-4, 7-6(7)のストレートで下して、2回戦でのタロン・フリークスポール英語版戦では6-4, 3-2の時点で相手の途中棄権により、初の3回戦進出。3回戦ではファービアーン・マロジャーンに3-6, 3-6のストレートで敗れた。

11月、パリ・マスターズでは予選を通過するも、2回戦でアレックス・デミノーに6-4, 4-6, 4-6で敗れた。年間最終ランキングは52位。

2024年[編集]

1月、全豪オープンではGiulio Zeppieri英語版に6-3, 3-6, 6-3, 7-6(3)で初戦敗退。

ATPツアー決勝進出結果[編集]

シングルス: 3回 (2勝1敗)[編集]

大会カテゴリ
グランドスラム (0–0)
ATPファイナルズ (0–0)
ATPツアー・マスターズ1000 (0–1)
ATPツアー500 (0–0)
ATPツアー250 (2–0)
サーフェス別タイトル
ハード (0–0)
クレー (2–1)
芝 (0–0)
カーペット (0–0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2019年4月21日 モナコの旗 モンテカルロ クレー イタリアの旗 ファビオ・フォニーニ 3-6, 4-6
優勝 1. 2019年7月21日 クロアチアの旗 ウマグ クレー ハンガリーの旗 アッティラ・バラージュ 7-5, 7-5
優勝 2. 2023年4月23日 ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 バニャ・ルカ クレー ロシアの旗 アンドレイ・ルブレフ 6-3, 4-6, 6-4

ダブルス: 2回 (1勝1敗)[編集]

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2014年7月27日 クロアチアの旗 ウマグ クレー クロアチアの旗 フランコ・シュクゴール チェコの旗 フランティシェク・チェルマク
チェコの旗 ルカシュ・ロソル
4–6, 6–7(5)
優勝 1. 2015年5月3日 トルコの旗 イスタンブール クレー モルドバの旗 ラドゥ・アルボット スウェーデンの旗 ロベルト・リンドステット
オーストリアの旗 ユルゲン・メルツァー
6–4, 7–6(2)

成績[編集]

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 通算成績
全豪オープン LQ LQ 2R 1R 2R 2R 1R 1R 3–6
全仏オープン LQ LQ 4R 2R 2R 1R 2R 3R 8–6
ウィンブルドン LQ LQ 2R 1R 1R 2R 1R 1R 2–6
全米オープン LQ LQ 1R LQ 1R 1R 3R 2R 3-5

大会最高成績[編集]

大会 成績
ATPファイナルズ A 出場なし
インディアンウェルズ 4R 2017
マイアミ 3R 2014, 2019, 2021, 2023
モンテカルロ F 2019
マドリード QF 2018
ローマ 3R 2020
カナダ 3R 2021
シンシナティ 3R 2023
上海 3R 2023
パリ 2R 2015, 2021, 2023
オリンピック A 出場なし
デビスカップ F 2013
ATPカップ W 2020

脚注[編集]

  1. ^ 世界48位ラヨビッチ 自身初の決勝へ。メドベージェフをストレートで破る[ATP1000 モンテカルロ]”. www.thetennisdaily.jp. 2019年7月22日閲覧。
  2. ^ 悲願の初V「記憶に残る」”. news.tennis365.net. 2019年7月22日閲覧。

外部リンク[編集]