トロ・ロッソ STR13

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トロ・ロッソ STR13
Pierre Gasly-Test Days 2018 Circuit Barcelona (2).jpg
ピエール・ガスリーがドライブするSTR13
(プレシーズンテストにて)
カテゴリー F1
コンストラクター トロ・ロッソ
デザイナー ジェームス・キー
(テクニカルディレクター)
先代 トロ・ロッソ STR12
後継 トロ・ロッソ STR14
主要諸元
エンジン ホンダ RA618H
1.6L V6ターボ
タイヤ ピレリ
主要成績
チーム レッドブル・トロ・ロッソ・ホンダ
ドライバー フランスの旗 ピエール・ガスリー
ニュージーランドの旗 ブレンドン・ハートレイ
出走時期 2018年
通算獲得ポイント 33
初戦 2018年オーストラリアGP
最終戦 2018年アブダビGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
21(42台)0000
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トロ・ロッソ STR13 (Toro Rosso STR13) は、スクーデリア・トロ・ロッソ2018年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。

概要[編集]

2018年2月21日にシェイクダウンを行い[1]2月26日に初日を迎えたカタロニア・サーキットでのプレシーズンテストに先立って新車発表会が行われた[2]。本年よりホンダのパワーユニット(PU)が搭載された[3]

いくつか設計変更は行われ、ノーズは突起のついたワイド&ローの形状を採用し、本年より装着が義務付けられた「Halo」の上部にはフェアリングが施され[2]、リアエンドの下部の絞り込みが深くなっている[4]。また、ホンダPUへ変更する契約締結が遅かったこともあり、チームはルノーPUを前提に車体の開発を進めていた。その関係でトランスミッションやギヤボックス周りの設計に関しては大幅な変更を迫られることになったが、V6ターボになってからチームはほぼ毎年のようにPUを変更してきたこともあり、大きな混乱もなく設計変更は順調に進んだとしている[5]。実際、プレシーズンテストまでに遅れを出さず完成させることはできたものの、準備期間が十分ではなかったため、純粋な新設計というより、STR12の改設計という面が強かった。そのため、準備期間の少なさが結果的にシーズンに影響を与えることとなった。

2018年シーズン[編集]

ドライバーは前年終盤に起用されたピエール・ガスリーブレンドン・ハートレイが引き続き務める。

カタロニア・サーキットで行われたプレシーズンテストでは順調に周回をこなし[6]、トロ・ロッソ及びホンダPUにおけるテストの走行距離の最長記録を更新した[7]

その経験を手に望んだ開幕戦オーストラリアGPでは、まさかのガスリーがPUトラブルのリタイア[8]、ハートレイは最下位で終わった。だが、第2戦バーレーンGPではセッティングが上手くいきガスリーが予選Q3進出の4位入賞を果たし、ホンダとしては2015年に復帰してからの最高順位。トロ・ロッソも数少ない4位入賞の一つとなった。
ここから、本領を発揮するかと思われたが、第3戦以降もマシンのセットアップに悩まされ、第5戦スペインGPのフリー走行でマシンのセッティングの再構成が必要なこと[9]を把握したが、それでもマシンのセッティングに苦戦。そんななか、第6戦モナコGPや第12戦ハンガリーGPでのガスリーがQ3進出の入賞など、性能差が少なくなる低速コースでは好成績を叩き出した。一方で、ハートレイは第4戦アゼルバイジャンGPと第11戦ドイツGPを共に10位入賞を果たしたものの、前述の影響によって苦戦を強いられていた面もあるが、彼に限っては第10戦イギリスGPまで(彼自身の運転ミスのケースもあるが)何らかの外的要因に遭遇するなど運から見放された感があり、ここまでノートラブルで終えたGPが一つもない状況であった。

サマーブレイクが明け、第13戦ベルギーGPのガスリーが9位入賞。第14戦イタリアGPは決勝こそ2台とも他車との接触が原因で不調に終わるが、予選ではガスリーがQ3進出を果たすなど好調なスタートを切ったかと思われた。だが、第15戦シンガポールGPから低迷。第16戦ロシアGPでペナルティを消化してホンダが投入した「スペック3」により、第17戦日本GPの予選では2台ともQ3に進出してハートレイが6位、ガスリーが7位の大健闘がシーズン最後の輝きとなってしまい、同GPは入賞圏外で終えた。以降はレース展開などのチャンスを生かして第18戦アメリカGPと第19戦メキシコGPにて下位ながらも入賞し、ポイントを若干稼いだものの、ザウバーに抜かれコンストラクターズ9位に終わった。

シーズン全体としては、ガスリーがQ3進出を果たしたGPでの入賞や時折見せた彼の好走やハートレイの不運さが目立ったが、実際のところ、タイヤ戦略を含むチーム側のミスやマシンセッティングの不発で入賞のチャンスを逃した点の方が大きかった。更にホンダPUに合わせた設計を突き詰められないまま完成させたこともあり、ダウンフォースが不安定になってしまった空力やトラクション不足気味のシャシーなど課題を抱えたマシンとなり、それもチームを苦しめることとなった。また、シーズン後半はテクニカルディレクターのジェームス・キー離脱の影響による混乱も少なくなく[10]、シーズン終了後にチーム代表のフランツ・トストがシャシー側の開発不足があったとの認識[11]を示したように、マシンの熟成に失敗したことも影響した。

また、PUのコンポーネント交換が他チームと比べて非常に多く、シーズン前半戦(ハンガリーGP)終了時点でハートレイがエンジン(ICE)だけで年間最大基数の2倍の6基、他のコンポーネントも既に年間最大基数を超えており、ガスリーもICEとMGU-Kが1基ずつ少ないだけとなっている。ただし、ホンダ側が担当した分野の故障による決勝リタイアはオーストラリアGPと最終戦アブダビGPのガスリーの2回のみで、オーストリアGPとイギリスGPのハートレイのリタイアは、トロロッソ側にも責任があるもので、仮にそれらをカウントしても4回に留まっており、他は巻き込まれ事故が中心である。そのため、前年のような故障による交換ではなく、予選順位が悪かった後の「戦略的交換」を行うことが多く、来シーズンからホンダPUを搭載することが決まっているレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、コンポーネント交換が多いからホンダPUの信頼性が低いと解釈するのは間違いだと考えている[12]。チーム代表のフランツ・トストも、ホンダPUの信頼性向上を評価している[13]

そのため、結果的に見れば、ダウンフォースのセッティングがしやすい低速コース(ハンガロリンクなど)などの好成績や高速コース(スパ・フランコルシャンなど)での奮闘など明るいニュースもあったが、シーズンを通じてマシンのセットアップに悩まされた。他にもアクシデントに巻き込まれたことによるリタイアや失速、ドライバーによるミスでチャンスを失う、決勝リタイアこそ少なかったものの、カナダGPのようなフリー走行あるいは予選で実走後のトラブル発生や日本GP後にスペック3の緊急点検の実施など、一基当たりのの長期使用や信頼性という点では一抹の不安を抱えており、評価が分かれるシーズンとなった。

スペック[編集]

[14][15]

シャシー[編集]

  • 名称:STR13
  • シャシー構造:スクーデリア・トロ・ロッソ コンポジットモノコック
  • フロントサスペンション:スクーデリア・トロ・ロッソ カーボンファイバーダブルウィッシュボーン プッシュロッド トーションバースプリング アンチロールバー
  • リアサスペンション:スクーデリア・トロ・ロッソ カーボンファイバー製ダブルウィッシュボーン プルロッド トーションバースプリング アンチロールバー
  • パワーステアリング:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • ギアボックス:スクーデリア・トロ・ロッソ カーボンファイバーコンポジット製ケース
  • ギア数:8速 油圧式
  • 排気システム:ホンダ
  • ブレーキキャリパー:ブレンボ
  • ブレーキ・バイ・ワイヤ:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • ステアリング:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • ドライバーズシート:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • ペダル:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • 消火システム:スクーデリア・トロ・ロッソ
  • タイヤ:ピレリ
  • 燃料システム:スクーデリア・トロ・ロッソ ATL製タンク
  • 重量:733kg

エンジン[編集]

記録[編集]

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 ポイント ランキング
AUS
オーストラリアの旗
BHR
バーレーンの旗
CHN
中華人民共和国の旗
AZE
アゼルバイジャンの旗
ESP
スペインの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
AUT
オーストリアの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
SIN
シンガポールの旗
RUS
ロシアの旗
JPN
日本の旗
USA
アメリカ合衆国の旗
MEX
メキシコの旗
BRA
ブラジルの旗
ABU
アラブ首長国連邦の旗
2018 10 フランスの旗 ガスリー Ret 4 18 12 Ret 7 11 Ret 11 13 14 6 9 14 13 Ret 11 12 10 13 Ret 33 9位
28 ニュージーランドの旗 ハートレイ 15 17 20 10 12 19 Ret 14 Ret Ret 10 11 14 Ret 17 Ret 13 9 14 11 12

脚注[編集]

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  1. ^ トロロッソ・ホンダ、STR13のシェイクダウン画像を公開”. F1-Gate.com (2018年2月22日). 2018年2月28日閲覧。
  2. ^ a b トロロッソ・ホンダ、2018年F1マシン『STR13』を正式発表”. F1-Gate.com (2018年2月26日). 2018年2月28日閲覧。
  3. ^ マクラーレンとホンダF1、袂を分かつ。2018年はマクラーレン・ルノー、トロロッソ・ホンダが誕生”. AUTOSPORTweb (2017年9月15日). 2017年9月16日閲覧。
  4. ^ 躍進なるか!? トロロッソ・ホンダ、ニューマシン『STR13』を正式発表”. motorsport.com (2018年2月26日). 2018年2月28日閲覧。
  5. ^ 【F1新車分析】トロロッソ・ホンダSTR13:ハロにもひと工夫。手堅さと独創性をちりばめたマシン作り”. AUTOSPORTweb (2018年3月13日). 2018年3月20日閲覧。
  6. ^ ホンダの2018年型F1パワーユニット、1台のみで7レース分を走破”. F1-Gate.com (2018年3月10日). 2018年3月24日閲覧。
  7. ^ 2018年 F1プレシーズンテスト:総合タイム&周回数・走行距離”. F1-Gate.com (2018年3月12日). 2018年3月25日閲覧。
  8. ^ ホンダ田辺TD「ガスリーのトラブルはMGU-H。原因を調査する」”. motorsport.com (2018年3月25日). 2018年3月26日閲覧。
  9. ^ スペインGPで判明した不振の原因、モナコで好結果を出すために必要なこと/トロロッソ・ホンダF1コラム”. オートスポーツweb (2018年5月22日). 2018年5月22日閲覧。
  10. ^ 【トロロッソ・ホンダ】ガスリー「ジェームス・キーが出ていったのは痛い」トロロッソは来季レッドブル・ホンダの“テストカー””. www.topnews.jp (2018年10月11日). 2018年10月13日閲覧。
  11. ^ トロロッソ、F1選手権9位に転落「問題はホンダエンジンではなく車体の開発不足」”. formula1-data.com (2018年12月17日). 2018年12月21日閲覧。
  12. ^ マックス・フェルスタッペン 「ホンダのPU交換率は信頼性とは一致しない」”. F1-Gate.com (2018年8月11日). 2018年8月11日閲覧。
  13. ^ トロロッソ 「ホンダのF1エンジンはもっと壊れると覚悟していた」”. F1-Gate.com (2018年10月28日). 2018年10月29日閲覧。
  14. ^ トロロッソ・ホンダ STR13 : 主要諸元&スペック”. F1-Gate.com (2018年2月26日). 2018年2月28日閲覧。
  15. ^ STR13”. Scuderia Toro Rosso (2018年2月26日). 2018年2月28日閲覧。
  16. ^ トロロッソ・ホンダが燃料メーカーの『エクソン・モービル』を使用する狙い”. オートスポーツweb (2018年4月24日). 2018年4月24日閲覧。