トリロジー (ELPのアルバム)

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トリロジー
エマーソン・レイク&パーマースタジオ・アルバム
リリース
録音 1972年
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル イギリスの旗アイランド(オリジナル盤)
WEA(リイシュー盤)
アメリカ合衆国の旗アトランティック(オリジナル盤)
Rhino(リイシュー盤)
日本の旗ワーナー・パイオニア(オリジナル盤)
イーストウエスト・ジャパン→ビクター(リイシュー盤)
プロデュース グレッグ・レイク
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 2位(英国・オフィシャルチャート)
  • 4位(日本・オリコンチャート[1]
  • 5位(米国・ビルボードチャート
  • ゴールドディスク
  • Platinum(英国・BPI)
  • Gold(米国・RIAA
  • エマーソン・レイク&パーマー アルバム 年表
    展覧会の絵
    (1971)
    トリロジー
    (1972)
    恐怖の頭脳改革
    (1973)
    テンプレートを表示

    トリロジー』 (Trilogy) は、イギリスにおいて1972年6月に発売されたエマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)の3作目のスタジオ・アルバム。通算で4作目のアルバムである。

    解説[編集]

    タイトルの「トリロジー」は「三部作」或いは「三部曲」と訳される。表題曲を意味していると同時に、メンバー3人による三位一体の音楽という意味も込められている、と言われている。

    収録曲のうち、コープランドの曲[注釈 1]をアレンジした「ホウダウン[注釈 2]は、長年にわたってライブのレパートリーに起用された[注釈 3]。また、グレッグ・レイク作の「フロム・ザ・ビギニング」はアメリカでシングル・カットされ、39位まで上昇した[注釈 4]

    「奈落のボレロ」の原題 "Abaddon's Bolero" の「アバドン」とは『新約聖書・ヨハネの黙示録』第9章11節で言及される「深淵」 "Abyss" の天使である[2]。ELPは、ドイツでのコンサートで、テープ・レコーダーによる再生音に合わせて、キース・エマーソンがモーグ・シンセサイザー、レイクがメロトロン、カール・パーマーがドラムスを演奏してこの曲を披露したが、一度で断念した[3]。エマーソンは、1975年に「ピアノ協奏曲第一番」の作曲と並行して、この曲を管弦楽曲に編曲して、同年10月、ジョン・メイヤーが指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で録音した[注釈 5][4]。この管弦楽曲版は、1977年5月、新作『ELP四部作』の発表に合わせてオーケストラを帯同して行われた北アメリカ・ツアーで、オープニングに演奏された[注釈 6][5]

    ヒプノシスのデザインによるジャケットは、メンバー3人が合体した様なコンセプトの図案を絵画調に仕上げている[注釈 7]。ジャケット内側は、森の中に沢山のメンバーが写っている合成写真[注釈 8]が使われ、LP及び紙ジャケットのCDで見る事が出来る。

    本作が発表されたのは、ELPの初来日公演の約一か月前であった。その為、本作の日本盤のオビには「来日と同時に新作を発表!」と書かれており、ほぼ来日記念盤という扱いであった。来日した彼らは、当時読売ジャイアンツの選手だった長嶋茂雄氏を訪問して本作をプレゼントした、というエピソードを残した。

    2015年、新しいステレオミックスと5.1サラウンドミックスを含むリイシューが発売されている[6]

    収録曲[編集]

    アナログA面[編集]

    1. 永遠の謎 パート1 - The Endless Enigma (Part One) (Emerson/Lake)
    2. フーガ - Fugue (Emerson)
    3. 永遠の謎 パート2 - The Endless Enigma (Part Two) (Emerson/Lake)
    4. フロム・ザ・ビギニング - From the Beginning (Lake)
    5. シェリフ - The Sheriff (Emerson/Lake)
    6. ホウダウン - Hoedown (Aaron Copland arr. Emerson Lake & Palmer)

    アナログB面[編集]

    1. トリロジー - Trilogy (Emerson/Lake)
    2. リヴィング・シン - Living Sin (Emerson/Lake/Palmer)
    3. 奈落のボレロ - Abaddon's Bolero (Emerson)

    2010年日本盤ボーナス・トラック[編集]

    1. ホウダウン (ライヴ) - Hoedown (Aaron Copland arr. Emerson Lake & Palmer)
    2. 石をとれ (ライヴ・アット・マル・イ・ソル 1972) - Take A Pebble (Lake)
    3. 奈落のボレロ (オーケストラ・ヴァージョン) - Abaddon's Bolero (Emerson)

    チャート[編集]

    イギリスのチャートでは最高2位、アメリカでは最高5位だった。前作までのアメリカでの最高位は『タルカス』の9位であり、本作は記録を更新した。

    脚注[編集]

    出典[編集]

    1. ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.93
    2. ^ Macan (2006), p. 227.
    3. ^ 2006年に発表されたエマーソンのCD "Off The Shelf" (Castle, CAS 36254-2)に添付された彼自身の解説。
    4. ^ Macan (2006), p. 231.
    5. ^ Macan (2006), p. 402.
    6. ^ Emerson Lake & Palmer – Trilogy (2015, CD) - Discogs”. discogs.com. 2022年1月10日閲覧。

    注釈[編集]

    1. ^ アーロン・コープランドが1942年に作曲したバレエ音楽「ロデオ」を基に作曲した演奏会組曲「ロデオより4つのダンスのエピソード」の一曲 "Hoe-Down"。
    2. ^ ELPは、アメリカ民謡の「オクラホマミキサー」の一節を取り入れた。
    3. ^ 本作発表の直後に催された初の日本公演でも、コンサートのオープニングとして演奏された。
    4. ^ 1992年の再結成の後のコンサートでは、頻繁に取り上げられた。
    5. ^ 1995年に発表されたエマーソンのCD "Changing States" (AMP, CD-025)と、2006年に発表されたエマーソンのCD "Off The Shelf" (Castle, CAS 36254-2)に収録された。
    6. ^ CD 『ワークス・ライヴ』に収録された。
    7. ^ キース・エマーソンは、インタビューで「当初はこの絵をサルバドール・ダリに依頼する予定だったが、ギャラの面で折り合わなかった」と発言している。
    8. ^ この写真がフランスの同性愛雑誌で無断使用されたという話が伝わっている。

    参考文献[編集]

    • Macan, Edward (2006), Endless Enigma: A Musical Biography of Emerson, Lake and Palmer, Open Court, ISBN 978-0-8126-9596-0