トップハム・ハット卿

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トップハム・ハット卿(トップハム・ハットきょう、: Sir Topham Hatt)は、絵本シリーズ『汽車のえほん』およびその映像化作品テレビシリーズ『きかんしゃトーマス』において、トーマスのいるソドー島の鉄道の重役・局長である。

トップハム・ハット卿
汽車のえほん』および
きかんしゃトーマス』のキャラクター
登場(最初) 原作:
汽車のえほん
三だいの機関車
『なさけないヘンリー』
人形劇:
きかんしゃトーマス
第1期 3話
『でてこいヘンリー』
作者 ウィルバート・オードリー
声優 宮内幸平(第1-4期)
青野武(第5-8期)
納谷六朗(長編第2作-第18期第24話)
田中完(第18期第25話-)
プロフィール
性別 男性
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概要[編集]

原作『汽車のえほん』及びテレビシリーズ『きかんしゃトーマス』においてレギュラーの立ち位置にある人間キャラクターであり、ノースウェスタン鉄道(ソドー鉄道)の運営を仕事とするが、原作及びテレビシリーズで設定などの相違点がある。

原作とテレビシリーズ共通の設定[編集]

若い頃に鉄道技師としてソドー島へやって来て、ノースウェスタン鉄道の局長となった。黒いシルクハットがトレードマーク。仕事と時間には厳しく、イタズラや怠慢、慢心が原因で事故や騒動を引き起こした機関車などには毅然とした態度で諌めることは勿論、度が過ぎる場合には謹慎や大喝など厳罰を課す事も辞さないため、トーマス達は勿論、ディーゼルなど我の強い他の車両達にとっても頭が上がらない存在である。

しかし機関車達が任務を成し遂げたり、役に立つ行動を取った際は支線を提供したり貨車をプレゼントしたりするなど功績を認めたり、粗相をした際も罰則期間中の態度によっては期間を縮めるなど寛大な処置を取ることもある。これらは全て、ソドー島の機関車や自動車達に「他者の役に立つ存在になってほしい」という考えに基づいてのことである。

自分専用の車があり、原作とテレビシリーズ第1~4シリーズまでは黄色のセダン、第5シリーズ以降は青のセダンを使用している。

名前の変遷[編集]

最初期の原作が考案・執筆されたのが4大私鉄時代だったので「ふとっちょのじゅうやく」(Fat Director)とされていた。3巻「赤い機関車ジェームズ」執筆・発行年の1948年に4大私鉄が国有化され、「ふとっちょのきょくちょう」(Fat Controller)に役職名が変わった。これについて同巻の日本語版には注記が付加されている。

原作6巻「みどりの機関車ヘンリー」の前書きで初めて「サー・トッパム・ハット」(Sir TopHam Hatt)の名前が登場している。だが映像化作品の英語版では局長の名は全く使われず「Fat Controller」表記だったが、アメリカで放送する際に「Fat」(デブ)という単語が放送コードに引っ掛かる事を避ける為「サー・トップハム・ハット」と脚本が全て訂正され、日本語吹替え版でも「トップハム・ハット卿」と翻訳された。ただし、初期のシリーズでは「ハット卿」と略される場合もあった。

人物[編集]

『汽車のえほん』[編集]

以下、原作の設定はウィルバート・オードリー執筆の書籍「Island of Sodor: Its People, History and Railways」及び息子クリストファー・オードリー執筆「Sodor: Reading Between the Lines」に記述されたものである。原作においては3人のトップハム・ハット卿が存在し、3人は直系の親子である。

初代(Sir Topham Hatt I (1880-1956))
1894年グレート・ウェスタン鉄道のスウィンドン工場にて修行を受け、1901年にソドー島のティドマスの建設会社「AW Dry&Co」に入社する。技師としてティドマス・ナップフォード・アンド・エルスブリッジ・ライト鉄道(Tidmouth, Knapford and Elsbridge Light Railway)等の建設に携わり、1914年にノースウェスタン鉄道の建設を手掛ける。1923年にはゼネラルマネージャーとなり、1936年に重役に昇進した後1948年に鉄道が国有化された際に局長となり、鉄道経営の功績から準男爵位を授与される。製造、建造に関する功績としては、1905年から1908年に4台の垂直型ボイラーの機関車コーヒーポットを設計・製造した他、1915年にビカーズタウンとグレートブリテン島を結ぶ跳ね橋を設計・建設した。コーヒーポットはテレビ版の長編第10作『きかんしゃトーマス トーマスのはじめて物語』ではグリンという名前で登場し、跳ね橋も長編第8作『きかんしゃトーマス キング・オブ・ザ・レイルウェイ トーマスと失われた王冠』以降登場する。
1910年にジェーン・ブラウン(Jane Brown、映像化版におけるハット卿夫人)と結婚し、バーバラ・ジェーン(Barbara Jane)とチャールズ・トップハム(Charles Topham)という2人の子どもを授かる。その後1954年に局長を引退し、1956年にウェルスワースで死去する。享年76歳。
・登場巻 - 『三だいの機関車』~『青い機関車エドワード
2代目(Sir Charles Topham Hatt II (1914-1997))
初代の息子チャールズが局長を引継ぎ、1954年から1984年までノースウェスタン鉄道局長を務めた。クロンクの学校を卒業後、クルーの工場で働くが1939年王立工兵連隊として第二次世界大戦に参戦する。その後大佐となり1945年に兵役を終え、1952年にソドー島に戻るとクロバンズゲート工場(映像化版におけるソドー整備工場)の技師となるが、1954年に父親が局長を引退したことで2代目局長となり、1956年に準男爵位が継承された。
ナップフォード港の改修やアールズバーグ線、アールズデール鉄道の建設を手掛けた。1940年にアマンダ・クローリー(Amanda Croarie)と結婚し、ステファン・トップハム(Stephen Topham)とブリジット・ハット(Bridget Hatt)の2人を授かる。この2人はテレビ版でも登場しているが、ステファンはスティーブンと翻訳されている。 
第6~8巻[1]にてシルクハットを脱ぐと髪の毛が全くなかったが、第15巻『ふたごの機関車』においてドナルドとダグラスのもとに向かうシーンでは後頭部に少し毛が残っている点から、この間に初代と二代目の局長が代替わりしていることを確認することができる。
・登場巻 - 『ちびっこ機関車パーシー』~『わんぱく機関車
3代目(Sir Stephen Topham Hatt III (1941-))
1984年に3代目局長となり、1970年にヘレン・マーガレットと結婚した後3人の子どもを授かる。
・登場巻 - 『機関車トビーのかつやく』(幼少期)、『Really Useful Engines』~『Thomas and his Friends』

『きかんしゃトーマス』[編集]

時代設定が曖昧な為、原作のような代替わりはなく、同一の局長が登場し続けている。フルネームはサー・バートラム・トップハム・ハット(Sir Bertram Topham Hatt)であるが、バートラムという名前はテレビシリーズが3DCG化後に呼ばれるようになった。

功績・性格[編集]

定時運行至上主義者で、「混乱と遅れが生じている」が口癖。日本語吹替え版では、フジテレビ放送の第1シリーズから第8シリーズまでは機関車達を「お前」「君」と両方呼んでいたが、放映局及び翻訳家が変更された第9シリーズからは二人称を「君」だけに統一した。

ソドー島の再開発を推し進め、多くの産業遺構を観光地とすることに成功する等、積極的で優秀な経営者として描かれている。若い頃は車の運転が下手で、蒸気トラックのエリザベスからトラックの運転を学んだ[2]。近年のシリーズではレール点検車ウィンストンの運転に四苦八苦している様子が見られる。

第1シリーズから第16シリーズまでは威厳のある人物としての面を描いていたが、ストーリーの執筆スタイル等が変更された第17シリーズ以降はおっちょこちょいな姿などコミカルな要素が強く描かれている。

ビジュアル[編集]

整備士の制服を着用し、自ら機関室に乗り込み不調のヘンリーの状態を見たこともあったが、基本は中に黄色いチョッキを着たタキシードにシルクハット姿で登場する。製作体制変更後の第8シリーズ以降はパジャマ水着で登場したり、ハロウィンのエピソードでは仮装した姿も見られる。

第1シリーズから第5シリーズまでは眉毛があったが、第6シリーズの途中から第11シリーズでは眉毛がなくなり、CG化した第12シリーズからはまた眉毛が付け加えられた。

家族・その他との関係[編集]

家族は妻のジェーン(劇中での呼称はハット卿夫人)、母、弟のローハム・ハット、孫のスティーブンとブリジットがシリーズで登場している。弟ローハム・ハットは第13シリーズでしか登場しない。第7シリーズではペットとしてネコを飼っていたが、そのシリーズ以外では登場しない。また、移動する際は2人の付き人を引き連れており、人形劇版では専属の執事も登場した。

高山鉄道の経営を、原作ではサー・ハンドル・ブラウンとほっそりじゅうやくが担当しているが、第8シリーズまではハット卿が経営していた。第9シリーズ以降はミスター・パーシバルに任せているが、時折高山鉄道にやってきているので彼らとの関係は続いている。

居住地[編集]

トップハム・ホール(Topham Hall)と呼ばれるウェルスワース付近に在る豪邸でハット卿夫人と暮らしている。

原作及びテレビシリーズにおける職場の所在地[編集]

原作5巻3話や12巻2話においては「きょくちょうしつ」(Controller's Office)と呼ばれるハット卿のオフィスの所在地は、原作ではティドマスのノースウェスタン鉄道本社内にあるが、テレビシリーズでは設定が変更され、ナップフォード駅にあるように描かれている。但し、ナップフォード駅にオフィスが存在することが明確に描かれているのはテレビシリーズがCG化以降であり、第1シリーズ「ゴードンみぞにはまる」や第2シリーズ「ダックしごとをもらう」ではティドマス機関庫の様子をオフィスから窺う場面が確認できる事から、人形劇製作の頃のオフィスは原作に倣いティドマスに在ったことも考えられる。

鉄道における問題の対応[編集]

先述の通り、ハット卿は定時運行主義者で仕事に厳しい反面、穏和で優しい人柄だが、事故や失態を起こした機関車に対し、いい加減な解釈をしたり、話の前後で理論が矛盾している場面を作中で確認することができる。時として信号手の職務怠慢(居眠り、ポイント転換誤り)や保線区の整備不良、天災、貨車たちの悪戯が原因でも、人員ミスや貨車の悪行は棚上げして機関車を叱ることも多い。

貨車に関する事故の対応
実際に作中、劇中において貨車の悪戯でオーバーランしたり脱線したトーマスやオリバーを貨車の扱い方が不十分として叱る場合もあれば、第2シリーズ「とこやにいったダック」において暴走する貨車に押され乗客を乗せた客車に追突する直前に路線を変更し、床屋に突っ込んでしまったダックに対して憤慨する店主には、ダックが大事故を防いでくれたと伝え、ダックを褒める場面もあるが、いずれの場合も事故原因である貨車に対しては叱責しない[3]
ポイント転換ミスによる事故の対応
第6シリーズ「すべったゴードン」においてゴードンがポイント転換ミスで支線に入ってしまい、その結果速度超過で脱線した際、ポイント転換ミスは棚上げしゴードンの速度超過を批判した。但し、この件については事故が起こる直前にゴードンがソルティーを小馬鹿にしていた事に対する戒めも兼ねていた。
機関車の点検不備による事故の対応
第5シリーズ「ゴードンのまど」にて、ゴードンの機関室の中でゴードンのブレーキが故障しているのを目の前で確認していたにも関わらず、駅の壁に突撃したゴードンを批判し、乗務員などは叱責しなかった。
ディーゼル機関車への対応
第2シリーズ「とこやにいったダック」にて問題を招いたディーゼルをイギリス本土へ送り返し、ディーゼルを信頼していなかったとも話したが、その後助っ人として再びディーゼルを幾度と呼び出し問題を起こすと送り返すというパターンを繰り返していた。なお、第7シリーズ以降は本土へ送り返さず、問題を起こした場合でも叱るのみでソドー島に残している。「ディーゼル10の逆襲」では、ディーゼル整備工場の再建を後回しにしたことが事件の遠因であることが示唆されている。
その他
機関車を叱る際には、皮肉を含んだ言い回しを用いる事も多い。第3シリーズ「くだものれっしゃ」にて果物を積んだ貨車を壊して、果物をグシャグシャにしてしまったパーシーに対して、「わしはジャム工場を経営してるわけではない」と叱責する場面がある。また、第6シリーズ「フォッグマン」にて老いた保線社員・シリルの代わりとして霧信号機フォッグホーンを導入したが、その動作不良が原因で落石事故が起きた際には「シリルの代わりをフォッグホーンにしないで、フォッグホーンの代わりをシリルにしてもらう。その方が、ずっと頼りになるからな」と自己解決させるという、虫の良い一面もある。

声優[編集]

脚注[編集]

  1. ^ それぞれ「『ヘンリーとせきたん』でヘンリーに乗って調べるシーン」、「『トーマスのもめごと(トーマスとおまわりさん)』で食事をしているシーン」、「『ペンキとおめし列車』でやってきた女王陛下にお辞儀をするシーン」。
  2. ^ 第6シリーズ「ヴィンテージトラックのエリザベス」
  3. ^ 最も、この時代のイギリスで使用されていた貨車は基本的に鉄道側ではなく荷主の所有物であり、顧客の手前叱れないという事情もある。