トッケビ

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トッケビ韓国語: 도깨비)は、朝鮮半島昔話に登場する妖怪である。姿は人間に似ており、悪戯好きで特殊能力を持つ。トッケビが登場する代表的な昔話はパンソリの題目としても有名な「フンブとノルブ」である。

トッケビは、朝鮮の民話に登場する。怖い存在とされているが、ユーモラスで、かつグロテスクな妖精または小鬼でもある。いたずら好きで、悪人をたぶらかし、善人には富などの恵みで報いた。朝鮮の昔話には同様な人ならぬ者として鬼神(韓国語: 귀신)が存在するが、鬼神が死者の霊魂から生まれるのとは異なり、道具類など無機物が年数を経た末にトッケビが生まれるとされ、付喪神的な存在でもある。ほうきオンドルの火かき棒、すりこぎ唐竿のような広範囲な物と、時には少女の血を塗った木さえ含む。

特徴[編集]

トッケビの姿は人間に似ており、韓服を着てペレンイ(帽子の一種)を被っている。 鬼神、怪物と認識されているが、トッケビは人を困らせたり懲らしめたりするのではなく、人間との楽しい交流を好むとされる。 自尊心が強く、除け者にされれば怒る。猜疑や嫉妬の感情もあり、それでいて若干愚かなところもある。 メミルムク(そば粉で作った葛餅のような食品)、マッコリどぶろく)、話、歌、シルムを好み、赤い色を嫌う。 赤い色を嫌うことから、小豆血液などはトッケビ除けになるとされる。

昔話処容歌を通じて知られた話では、トッケビは処容の夫人と同寝しようとして処容に懲らしめられる。そこで処容に許しを乞い、処容の姿が見える所には二度と現れないと誓った。それで、赤色と一緒に処容の顔を描き付けてトッケビを追い払った。また、冬至の日には赤色の小豆粥を食べたり、処容の絵を門の外に描き付ける風習があった。

代表的なトッケビの話には、トッケビ大王だと言う鬼王の本来戦神蚩尤、話で人を魅入るというホケビ、人と親しくなろうとして血を見て逃げたというトッケビ、貧米甕に米を満たして入れるとか三年が経つまでお金を返すというトッケビ、針を恐がるトッケビなどがある。

朝鮮のトッケビ伝説では、トッケビの性質は話によって異なる。場合によっては、彼らは悪意がないが、それでもいたずら好きである。いつも人をからかったり、旅人にシルムをしなければ通さないと言ったりする。

大部分のトッケビは、トッケビ棒(韓国語: 도깨비 방망이)という一種の棍棒または木槌を持っている。それは、魔法の杖のように、欲しい物を何でも出すことができる。だが、この棒は新しく物を生み出すのではなく、既存のものを呼び出すことができるだけなので、それを使って何かを得るときは、他の誰かから「盗む」ことになる。

トッケビは、ゲーム、特にシルムをするのが好きである。その折、トッケビを左側から押しても決して負かすことができないが、右側が弱点のため右から攻めればよい。一説によれば、トッケビは足が1本しかないため、勝つためにはトッケビの足を引っかければ容易く倒せるという。

トッケビは、トッケビガムトゥ(韓国語: 도깨비 감투)と呼ばれる帽子を持っていることもある。それを被れば、姿が見えなくなるという。

伝説[編集]

朝鮮の多くの伝説に、トッケビが登場する。多くのものはトッケビが人間に悪戯したり、悪人を罰する話である。

その中の1つに、山の中で一人で暮らしている老人の家にトッケビがやってくる話がある。親切な老人はトッケビに酒を与え、彼らは友人になる。トッケビはしばしば老人を訪ね、2人で長く話をした。しかし、ある日、老人は川に映る自分の姿がトッケビのように見えることに気づいた。老人は自分が徐々にトッケビに化している事を悟って怖れ、トッケビを排除するためにあえてトッケビを招いた。老人は尋ねる「あなたの一番怖いものは何か?」。トッケビは答えた「わしは血が怖い。爺さんは何が怖い?」。老人はおびえているふりをして、言った 「わしはお金が怖い。だから一人で山に住んでいるのだ」。次の日、老人は牛を殺して家じゅうにその血を撒いた。トッケビは、驚き、怒り、逃げながら言った「仕返ししてやる!」。次の日、トッケビはお金の袋を持ってきて、それを老人に投げつけた。その後、トッケビは二度と戻らなかった。老人は町一番の金持ちになったという。

日本の鬼との関係[編集]

箒や火かき棒、割れた鉢、草履などが時を経て魂を持つというのは、日本式の鬼神・付喪神と同様である。これは日本の百鬼夜行に登場する雑神たちの姿であり、韓国のトッケビとは関係ない。日本のは、肌が赤色や青色で角があり、人を食らうなど直接的な被害を与える。

現代の韓国人が一般的に想像するトッケビは次のような特徴がある。

  1. 頭に角が突き出ている。
  2. 原始人の服装をしている。
  3. トッケビ棒を握っている。

しかしある学者たちは、このトッケビの姿は日本統治時代の朝鮮に絵本などで伝えられた「日本式の鬼」が、朝鮮のトッケビと取り違えられたために生まれたものと主張する[1][2]梨花女子大人文学研究院では、日本の「鬼」が変形された国籍不明のトッケビではなく、朝鮮固有のトッケビを復元するプロジェクトを進行している[3]大韓民国教育人的資源部はこの事案を再検討した後、誤りだと分かれば初等学校教科書を修正する予定だと明らかにした[4]

頭に突き出た角は、明らかに日本の鬼の特徴である。その由来は、日本統治時代の朝鮮の小学校の教材になり、今でも韓国の童話のように認識されてしまった、こぶとりじいさん(と歌財布)の話である。

脚注[編集]

  1. ^ http://news.naver.com/news/read.php?mode=LSD&office_id=020&article_id=0000412550§ion_id=102&menu_id=102
  2. ^ デジタル資料室支援センター(トッケビの話)
  3. ^ 梨花消息 62号
  4. ^ http://news.naver.com/news/read.php?mode=LSD&office_id=214&article_id=0000043098§ion_id=102&menu_id=102

関連項目[編集]