トウキョウサンショウウオ

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トウキョウサンショウウオ
トウキョウサンショウウオ
トウキョウサンショウウオ Hynobius tokyoensis
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Urodela
亜目 : サンショウウオ亜目
Cryptobranchoidea
: サンショウウオ科 Hynobiidae
: サンショウウオ属 Hynobius
: トウキョウサンショウウオ
H. tokyoensis
学名
Hynobius tokyoensis Tago, 1931[2][3]
和名
トウキョウサンショウウオ[3][4]
英名
Tokyo salamander[3]

トウキョウサンショウウオHynobius tokyoensis)は、有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。

分布[編集]

日本茨城県神奈川県埼玉県千葉県東京都栃木県福島県の一部)固有種[3]

模式標本の産地(模式産地)は西多摩郡(東京都)[2]。種小名tokyoensisは「東京産の」の意。

形態[編集]

全長8 - 13センチメートル[3]。体側面に入る皺(肋条)は左右に12本ずつ[3][4]。背面の色彩は黄褐色や黒など変異が大きい[3]。体側面に青白色の斑点が入る個体もいる[3]

上顎中央部に並ぶ歯の列(鋤骨歯列)は小型で、アルファベットの「U」字状[3]。四肢はやや短く、胴体に沿って前肢(および指)を後方へ、後肢(および趾)を前方に伸ばすとわずかに接するか2.5肋条分の隙間ができる[3]。趾は5本。

卵嚢の表面には明瞭な筋が入らない[3]

分類[編集]

以前はカスミサンショウウオの亜種とされたり[4]、愛知県に隔離分布するとされていた[5][6]。1987年に発表されたアロザイムの分子系統解析では、本種はトウホクサンショウウオに近縁で愛知県の隔離個体群はカスミサンショウウオに近縁とする解析結果が得られた[5][6][7]。2001年に発表されたミトコンドリアDNAの分子系統解析でもこの結果が支持された[5][6][8]。2006年現在では愛知県の隔離個体群とされていたのはカスミサンショウウオとする説が有力とされる[5]

種内ではミトコンドリアDNAの分子系統解析から、北部個体群(茨城北部、福島南部)と南部個体群(神奈川、埼玉、千葉、東京、栃木)の2つのグループに大きく分かれると推定されている[3][5]

生態[編集]

海岸から標高300メートル以下の丘陵や低山地にある、落葉広葉樹林やスギ・ヒノキからなる人工林に生息する[3]夜行性[4]

食性は動物食で、昆虫ミミズなどを食べる[4]

繁殖形態は卵生。2 - 4月に水田や湧水溜まりなどで50 - 120個の卵を卵嚢に包んで産む[3]。5月に孵化し、10月までには変態して幼体になる[3]。生後3 - 5年で性成熟する[3]。野生下では繁殖に参加するオスのうち生後10年以上の個体が7 - 35 %を占め、最高で生後21年の個体の報告例がある[3]。飼育下では30年以上の生存記録が報告されている[3]

人間との関係[編集]

宅地開発・ゴルフ場や道路建設による生息地の破壊により生息数が減少し、1990年代以降は谷津田の放棄による繁殖地の乾燥化、人為的に移入されたアライグマアメリカザリガニによる捕食、ペット用の乱獲などによっても生息数は減少している[3]。東京都日の出町では町の天然記念物に指定されている[3]。生息地では有志によるビオトープ造成などの保護対策が進められているところもある[3]

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト[3]

Status jenv VU.png

参考文献[編集]

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  1. ^ Yoshio Kaneko, Masafumi Matsui. 2004. Hynobius tokyoensis. The IUCN Red List of Threatened Species 2004: e.T59103A11880869. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2004.RLTS.T59103A11880869.en. Downloaded on 11 June 2016.
  2. ^ a b Hynobius tokyoensis. Frost, Darrel R. 2016. Amphibian Species of the World: an Online Reference. Version 6.0 (Date of access). Electronic Database accessible at http://research.amnh.org/herpetology/amphibia/index.html. American Museum of Natural History, New York, USA. (Accessed: 06/09/2016)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 草野保 「トウキョウサンショウウオ」『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-3 爬虫類・両生類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい2014年、140頁。
  4. ^ a b c d e 池田純 「トウキョウサンショウウオ」『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』千石正一監修 長坂拓也編著、ピーシーズ、2002年、290頁。
  5. ^ a b c d e 林義雄、草野保 「ミトコンドリア遺伝子D-loop HV2領域に基づくトウキョウサンショウウオの地域間変異」『爬虫両生類学会報』第2006巻 1号、日本爬虫両棲類学会、2006年、1-8頁。
  6. ^ a b c 吉澤賢治、道腰祐一、本間久英 「トウキョウサンショウウオのミトコンドリアDNA遺伝子解析」「東京学芸大学紀要 第4部門 数学・自然科学」Vol.56、2004年、97-100頁。
  7. ^ 松井正文 「本州東部産カスミサンショウウオ-トウホクサンショウウオ複合群におけるアイソザイムの変異と1新種の記載」『爬虫両棲類学雑誌』第12巻 2号、日本爬虫両棲類学会、1987年、50-64頁。
  8. ^ Masafumi Matsui, Kanto Nishikawa, Shingo Tanabe, Yasuchika Misawa, "Systematic status of Hynobius tokyoensis from Aichi Prefecture, Japan: a biochemical survey (Amphibia, Urodela). Comparative Biochemistry and Physiology," Comparative Biochemistry and Physiology Part B: Biochemistry and Molecular Biology, Volume 130, Issue 2, 2001, pp. 181-189.
  • 大谷勉著『ポケット図鑑 日本の爬虫両生類157』、文一総合出版、2009年、18-19頁。

関連項目[編集]