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デーヴァナーガリー数字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

デーヴァナーガリー数字(デーヴァナーガリーすうじ;: Devanagari numerals: देवनागरीऽङ्काः: देवनागरी अंक)は、主に北インドの諸言語で使用されるデーヴァナーガリー文字で数を表すために使われる記号である。これらは、西洋のアラビア数字の代わりに、十進法の数値を表記するために用いられる。

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現代では、ヒンディー語、マラーティー語、ネパール語などが標準文字としてデーヴァナーガリーを採用しており、それ以前はそれぞれカイティー文字モーディー文字ネワール文字で書かれていた。

現代デーヴァナーガリー 西洋アラビア 漢字 日本語音読み訓読み 数詞(サンスクリット語語幹) ヒンディー語 マラーティー語 ネパール語
0 零/〇 れい/まる शून्य (śūnya) शून्य (śūnya) शून्य (śūnya) सुन्ना (sunnā)
1 いち/ひとつ एक (eka) एक (ek) एक (ek) एक (ek)
2 に/ふたつ द्वि (dvi) दो (do) दोन (don) दुइ (dui)
3 さん/みっつ त्रि (tri) तीन (tīn) तीन (tīn) तिन (tīn)
4 よん/よっつ चतुर् (catur) चार (cār) चार (cār) चारि (cāri)
5 ご/いつつ पञ्च (pañca) पाँच (pāñc) पाच (pāch) पाँच (pānch)
6 ろく/むっつ षष् (ṣaṣ) छह (chah) सहा (sahā) छअ (chaā)
7 なな/ななつ सप्त (sapta) सात (sāt) सात (sāt) सात (sāt)
8 はち/やっつ अष्ट (aṣṭa) आठ (āṭh) आठ (āṭh) आठ (āṭha)
9 きゅう/ここのつ नव (nava) नौ (nau) नऊ (naū) नअ (nā)

デーヴァナーガリー数字は、インド亜大陸における数学的・記述的伝統の一部として発展してきた。特に「शून्य (śūnya)」というゼロの概念は、インドの数学者によって体系化され、後にアラビア語「صفر (sifr)」に翻訳されてイスラム世界に広まり、さらに中世ヨーロッパに伝播した。この語は、ラテン語「zephirum」を経て、英語を含む多くのヨーロッパ言語において「zero」として定着した[1] ヒンドゥスターニー語ヒンディー語ウルドゥー語を含む)では、「ゼロ」を表す語として、アラビア語由来の「सिफ़र (sifar)」も一般的に使用されている。これは、ペルシア語を経由して取り入れられたものであり、宗教的・行政的文脈においても見られる。[2]

異体字

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サンスクリット数字と東洋アラビア数字の比較

デーヴァナーガリー数字の字形は、地域や時代によって異なる場合がある。いくつかの異体字は、古代のサンスクリット文献にも見られる[3][4]



標準形


ネパール語で使用される形
1


「ボンベイ」異体字


「カルカッタ」異体字
5


「ボンベイ」異体字


「カルカッタ」異体字
8


標準形


ネパール語の異体字
9

ネパール語においては、(5)、(8)、(9)の数字が現代のデーヴァナーガリー数字とはやや異なる形で書かれる。これは、ネパール語が古いデーヴァナーガリー体系を保持しているためであり、現在でも伝統的な字形(, , )が使用されている。

関連項目

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出典

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  1. zero - Origin and meaning of zero by Online Etymology Dictionary”. www.etymonline.com. 2025年9月27日閲覧。
  2. zero - Origin and meaning of zero by Online Etymology Dictionary”. www.etymonline.com. 2025年9月27日閲覧。
  3. Devanagari for TEX version 2.17, page 22
  4. Alternate digits in Devanagari”. Scriptsource.org. 2017年9月13日閲覧。