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テニュア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

テニュア(英: tenure、academic tenure)は、大学等の高等教育における教職員の終身雇用資格(期間の定めのない労働契約)である。

概要

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tenureはラテン語のtenereを語源とし「保持する」「持っている」という程度の意味の語である。土地所有権のことをland tenureと呼び、封建的土地所有をfedal tenureと呼ぶように、この語はある種の特権的所有権を暗示しており、所有や保持に関連する概念を中心に利用されてきた。

学問領域でtenureの契約方法が議論されるようになったのは1890年代後半から1900年代初頭のアメリカであり、不人気な意見を述べる教員を学内政治的な手段で解雇するという事例が複数発生し、多くの研究者の間で研究者の地位と学問の自由に関する議論が行われた。1915年1月にはジョン・デューイを会長にアメリカ大学教授連合(AAUP)が設立され、現在および過去の論争や紛争を含め調査を始め、12月に会報が創刊され、そこには現在「1915年学問の自由と学術的終身在職権に関する原則の宣言[1]」と呼ばれる宣言書が公表された。AAUPは学問の自由と終身在職権の基準に反する組織を非難し、運営基準に違反する機関に対しては制裁を課しており、「非推奨」大学リストを公表している。この検閲リストは1930年にミシシッピ知事とK.K.K.のメンバーがミシシッピ大学・州立大学・女子大学の3校の学長と教職員179名を解雇した際に作成され、1938年には正式なものとされた。以降、2002年までの間に183の大学が様々な時期にリストに掲載された。2024年時点では59の機関がAAUPの「非推奨」検閲リストに掲載されている。tenureの制度は世界共通と思われ勝ちであるが基本的にはアメリカ特有の制度であり、近年では他国でも同じ制度を採用する大学も存在している。ドイツでは大半の大学が公立大学である事もあって、教授は終身雇用の公務員として地位を保証されるものとしている。日本では若手の研究者が従来の講座に拘束されることなく若いうちから自由に研究が行えるよう支援する目的で2006年度から「テニュアトラック制度」を採用している。

学術上のテニュア

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米国、カナダ等の北米の大学においては、博士号取得後、任期付きの講師(lecturer)、博士研究員(post-doctorate researcher)、そしてテニュアトラック[2][3]のアシスタント・プロフェッサー(tenure-track assistant professor)のいずれかのポジションを取得することで、大学に勤務することとなる。テニュアはアメリカ大学教授連合(英語版)(AAUP) [4]によると、基本的には「審査期間を成功裡に満了後は、教員は正当なる理由又は特別の環境が存在し、かつ教員委員会での聴聞後でないと解雇できないという取決め」のことである[5]。

本来は優秀な研究者に与えられる終身身分保障制度(tenure for life)であり、学問の自由を保障する意味が強調されていたが、昨今は経済的安定の側面も存在する。

テニュアトラックのアシスタント・プロフェッサーは、着任数年目に実施される審査に合格するとテニュアを得てAssociate Professor(准教授)に昇進し、給料は(ほぼ退職まで)大学から保証される[6]。数年契約のテニュアトラックでないアシスタント・プロフェッサーの場合、契約中の業績によりテニュアに推薦されることもある[6]。

テニュア取得までの期間とプロセス(テニュアトラック)

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米国の大学においてはAAUPの基準もあり、どの大学でもある程度類似の基準が用いられている。テニュア審査応募資格としては

が基本条件であり、6年目の初頭早々に応募者が在籍大学のガイドラインと書式に沿って自分で作成したファイルを提出し、各委員会の審査を通過していくこととなる。米国大学においては研究活動、教育活動、雑務事務(学内自治)の3本柱を全て過誤なくこなしている上で、かつ研究活動においては査読付き学術論文を複数発表、審査付学会報告を複数していないと、いかに他の2分野に優れていても研究者としての終身身分保障であるテニュア取得は困難と信じられている。

また、アシスタント・プロフェッサーからテニュア審査を申請する際は、准教授への昇進も同時に申請することになるため、昇進・テニュア審査申込を同時に行うことになる。

米国の大学においては、学術年度は9月に開始し5月までとなるが、5年目の5月には申請意図を明示し、夏季期間に外部審査員の推薦状取付、9月には完成したファイル(申請書)を申請者が完成させる必要がある。その後、学科昇進・テニュア委員会投票、学部昇進・テニュア委員会投票、学部長の意見書、次に大学全体の昇進・テニュア委員会投票、副学長意見書を経て、学長の意見書、その後、外部委員からなる理事会の審議投票を得て完了となる(州立大学の場合は、理事会後にもう一つ、州政府教育委員会審査が必要)。この時点で翌年の5〜6月になるのが通常であり、1年がかりのプロセスとなる場合が多い。

テニュア審査後

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テニュア審査でテニュアが認められた場合
6年目満了前に、通常は学事トップである副学長(Provost) から「次学術年度よりテニュア供与する」旨の書面通知が回付される。
テニュア審査でテニュアが認められなかった場合
基本的には7年目は、更新不可能な1年間任期付きのアシスタント・プロフェッサー扱いとなるため、この1年間を利用して、別の大学で環境を変えて再びテニュアトラックで研究者として再挑戦する職場探しを行うか、テニュアトラックのプレッシャーを避けて、単年度又は複数年度任期付き教員(非常勤)として教鞭を執っていくかの決断を迫られることとなる。

関連項目

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脚注

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  1. ↑ the 1915 Declaration of Principles on Academic Freedom and Academic Tenure
  2. 1 2 『テニュアトラック制度』 - コトバンク
  3. 1 2 『テニュアトラック制』 - コトバンク
  4. ↑ 『アメリカ大学教授連合』 - コトバンク
  5. ↑ AAUP: Tenure - ウェイバックマシン(2012年11月11日アーカイブ分)
  6. 1 2 連載 動物の研究で世界と闘う第5回 さまざまな出会いの中で今川和彦、畜産技術 2010年 7 月号

外部リンク

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