テスラ・モデルY
| テスラ・モデルY | |
|---|---|
|
フロント | |
|
リア | |
| 概要 | |
| 製造国 |
|
| 販売期間 | 2020年1月 - |
| ボディ | |
| 乗車定員 | 5・7名 |
| ボディタイプ | 5ドアクロスオーバーSUV |
| 駆動方式 | 後輪駆動、全輪駆動 |
| パワートレイン | |
| 変速機 | 単速 |
| 車両寸法 | |
| ホイールベース | 2,891 mm |
| 全長 | 4,750 mm |
| 全幅 | 1,920 mm |
| 全高 | 1,623 mm |
| 車両重量 | 1,780 kg - 2,003 kg |
モデルY(Model Y)は、アメリカの自動車メーカー、テスラが製造・販売しているクロスオーバーSUVタイプの5ドアステーションワゴン型電気自動車である。
概要
[編集]ロードスター、モデルS、モデルX、モデル3に続くテスラの5番目の電気自動車[1]。小型EVセダンのモデル3をベースに開発された。モデル3よりも約10%ボディが大きく、モデル3の同じバッテリー仕様と比較して価格は約10%高く、航続距離は若干短くなっている[2]。グリルのないフロントフェイスなど、デザインはモデル3と共通の外観イメージを持つ。インテリアもモデル3に類似したデザインで、車両に関する設定は殆ど15インチのタッチパネルに集約されている[3]。初期モデルは2列シート5人乗りステーションワゴンだが、オプションで3列目シートを追加し7人乗りとすることも可能であった。2列目シートは3人掛けのベンチシートで、個別に倒すことができる。また、2・3列目をすべて倒すとフルフラットの荷室になる[3]。
部品の70-75%をテスラ・モデル3と共用しており、シート、ハンドル、センターコンソールなどは、そのままモデル3のものを使用している。モーターやバッテリー、熱管理システムなども基本的に同じものである。そのためモデル3と比較して大幅に大きな車体であるものの、前席の空間はモデル3と大差ない状態(ヘッドクリアランスとシートからドアの距離だけが異なる)となっている。シートヒーター・シートベンチレーションを標準で装備する。2021年にアナリストが調査した結果、モデルYの利益率は29.4%以上であると報じられ、高級車メーカーの平均利益率8-10%と比較すると際立っていることが指摘された[4]。2023年と2024年には、2年連続で年間100万台超えのセールスを記録した。テスラは仕様や値段をたびたび改定するため、2021年3月には4万8990ドルだったベースモデルが2022年8月には6万5990ドルに価格変更された[5]。HW3.0を搭載した。
マイナーチェンジ
[編集]
2025年1月、マイナーチェンジが行われ、Juniperと呼ばれる後期型に変わった。フロントには左右を一文字につなぐデイタイムランニングライトを採用し、大きなイメージチェンジを図った。デザインの変更により空力特性も改善され、前期モデルがCd値が0.23であったものが、後期モデルではCd値は0.22へ改善した。シフトレバーはモデル3の後期モデル同様に削除され、15.4インチの大型タッチスクリーンで、ほぼすべての操作を行う仕様となった。ウインカーレーバーは、先にマイナーチェンジしたモデル3では削除されたが、非常に不評だったためにモデルYではウインカーレバーの削除は行われなかった。吸音材なども追加され、車内の静かさも大幅に改善している。ルーフガラスにはシルバーメッキコーティングが施され、遮熱効率は従来比は26%向上し、夏場のエアコンによる電力消費が抑制された。後輪駆動モデルのRWDが5,587,000円、前後にモーターを装備したロングレンジAWDモデルが6,476,000円であった。AP41(Autopilot Hardware 4.1;HW4.1)と呼ばれるハードウエアが搭載され回路設計の最適化・安定化が図られ、処理ユニットの発熱も軽減された。
モデルYL
[編集]2025年8月23日に中国で3列シート仕様(6人乗り)となるモデルYLが発売された。モデルYのロングレンジAWDがベースになっており、全長は186mm延長され4976mmとなった。ホイルベースも150mm延長されて3040mmとなった。重量は2088kg。Cピラー以降の外観が変更されており、延長された車体に合わせて空力デザインが変更されている。新デザインの19インチホイールが装備され、リヤスポイラーが標準装着される。ギガ上海で製造されるモデルYLには82kWhのLG製バッテリーが使用され、CLTCモードで751kmの航続距離となった。センターコンソールのワイヤレス携帯電話充電器は出力が15Wから50Wに増やされ充電中に発熱する携帯電話を冷却するシステムが組み込まれた。サスペンションはモデル3パフォーマンスと同様の電子制御ダンパーが装備された。車体の延長に伴い、Cd値は0.216に改善した。2列目は、左右独立のシートとされた。セールスは非常に好調で、当初は毎日1万台の予約が入ったとされ、12万台の予約注文台数に積みあがった。欧州市場でも型式認証が取得され2026年内に導入が検討された。2025年3月8日、アメリカフリーモント工場でもモデルYLの生産体制が整い、北米市場へ納車が開始された。2025年3月10日、ギガベルリンでの生産体制が整い、欧州市場への導入が始まった。中国以外のアジア・オセアニアエリアにおいては、2026年3月13日にオーストラリア・ニュージーランドで受注開始された。2026年4月2日、日本、タイ、香港、シンガポール、マレーシア、マカオ、フィリピン、韓国での販売が開始された。
モデルYスタンダード
[編集]2025年10月、アメリカで従来のRWDモデルから大幅な装備品カットを実施した廉価モデルとしてエントリーグレード「モデルYスタンダード」を発売した[6]。RWDモデルから約5500ドルの価格改定を行い、3万9990ドルという価格と実現した[6]。Juniperモデルの特徴だったデイタイムランニングライトも削除し、シートベンチレーションや後席エンターテイメント画面も削除され、バッテリー容量も69kWhに削減している[6]。バッテリー容量の低下に対応するために、新デザインの専用18インチホイールが装備され、転がり抵抗の改善などによる効率改善や装備の省略による軽量化(56kg減)により従来のRWDモデルと比較して5%の電費改善がなされている[6]。このため、バッテリーが小さくなったにも関わらず、321マイル(約517km)の航続距離を確保した[6]。天井はガラスルーフに見えるが、内張りが貼られており外を見ることは出来ない。従来と同じハードウエア4(HW4.1)を搭載し、FSDにも対応できる[6]。
2026年1月の改良
[編集]2026年1月中旬より、センターのディスプレイが15.4インチ1080p(フルHD)から16インチ2K画質に更新された。また室内の内張がライトグレイからダークグレイに変更された。メインカメラのレンズの状態の問題に対応するため、ハウジングの気密性が改善され、レンズが汚れたり曇ったりしないように改良がおこなわれた。パッキンの追加(以前の車両は下面のパッキンが無かったが新型ではフロントガラス上部のレンズを1周する形で下部にもパッキンが追加された)や、ハウジング内部のヒーター機能の強化が行われた。以前は定期的にディーラーでレンズの清掃が必要であった。ハウジングの形状も変更され、ゴーストやハレーションを発生させる光の反射や、レンズ端の歪が最小限に抑制されたモデルとなった。レンズの表面に撥水コーティングも施行されるようになった。
HW4.5に関する話題
[編集]2026年1月よりAP45という識別ステッカーが張られたECUを装備した車両の納車が始まり、パーツリストにもAP45(つまりHW4.5)と明記した新型ECUの掲載(パーツ番号2261336-S2-A)が始まった[7]。内部コードの解析によりこの新型ECUには、AIの判断の信頼性を高める3つ目のチップが追加されているとされた[7]。これに対してテスラは、車両のECUのステッカーのAP45という表記は『誤表記』であるとコメントし、HW4.5の存在を否定した。また、パーツリストのAP45に関する記載や品番2261336-S2-AのECUに関する記述をすべて削除した。
FSDの進化と肥大化により、HW4.0(およびHW4.1)であっても内部リソースの対応が難しくなっていることが知られていた。HW4.0には、冗長性と処理分担のために2つの計算ユニット(Node AとNode B)が搭載されるが、Drive Logicを担当するNode BのAIモデル(NNs)の規模がFSD Ver12の2.3GBからVer13では7.5GBに増大している。さらに2025年10月以降から導入されたver14ではパラメーター数が10倍に増えており、AIコードの整理や量子化でコードを省略化して対応しているが、HW4.0では今後の対応が厳しくなっていた。しかし処理速度8倍、メモリ容量9倍とされるHW5.0の投入は、生産計画の遅延により少なくとも2027年夏以降となるとされていた。HW4.5は、HW5.0の遅延によって生じる空白期間を埋めるための、HW4.0の発展型システムだと想定された。
オートステアリングの削除
[編集]2026年1月22日、アメリカで新規注文画面から、これまで標準装備(無料)だった「オートステアリング(車線維持機能)」に関する記載が削除された。これにより、1月23日以降に契約された車両には「オートステアリング」が使用できなくなった。顧客はサブスクか一括購入でFSDを使用するか、車間距離保持機能だけのクルーズコントロール(ハンドル支援機能なし)で我慢するかを選択するシステムに変更された。2026年2月14日には、FSDの買い切り販売(アメリカでは8000ドル)は終了した。イーロンマスクは、これよりFSDの継続契約(サブスク)数を1000万件に増加させることを目指すとともに、将来的なFSDの高機能化にともない、月額99ドルというサブスク価格も値上げされるであろうと語った。日本などのFSDが導入に至っていない販売エリアに対しては、引き続きオートパイロットは搭載された状態で納車が続けられた。
2026年4月の出来事
[編集]2026年4月、モデルYLが日本でも発売された。また同時期にモデルYおよびモデルYLの内装色の白が廃止され、Zen Grey に刷新された。センターコンソールやアームレストまで同色で統一されてるようになった。日本では2025年1月から開始された127万円のEV補助金が、同年4月以降も同額で継続されることが決定された。ソフトウエアの更新も実施されているが、それについてはテスラ・モデル3を参照のこと。
メカニズム
[編集]| 区分 | モデル・時期 | AI世代 | プロセス / 演算性能 | 動作クロック | 自動運転用メモリ | カメラ解像度 | MCU世代 | メインメモリ | 独立GPU | VRAM |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 前期型 | 初期 (2020-21) | HW3.0 | 14nm / 144 TOPS | 2.0 GHz | LPDDR4 8GB | 1.2 MP | Intel (MCU2) | LPDDR4 8GB | なし | なし (iGPU) |
| Ryzen化 (2022-) | HW3.0 | 14nm / 144 TOPS | 2.0 GHz | LPDDR4 8GB | 1.2 MP | AMD (MCU3) | LPDDR4 16GB | あり (Navi 23) | GDDR6 8GB | |
| 改良型 (2023-25) | AI4.0 | 7nm / 500+ TOPS | 2.1 GHz | GDDR6 16GB | 5.0 MP | AMD (MCU3) | LPDDR5 8GB | なし | なし (iGPU) | |
| ジュニパー | 現行 (2025-) | AI4.1 | 5nm / 500+ TOPS | 2.3 GHz | ECC-GDDR6 16GB | 5.0 MP | AMD (MCU3) | LPDDR5 16GB | あり (Navi 23) | GDDR6 16GB |
パワートレイン
[編集]AWDモデルは、リヤに搭載された永久磁石モーターで走行し、出力が不足するときのみ前輪のインダクションモーターに通電される。永久磁石モーターには強い引きずり抵抗があるが、テスラはそれをあえて電気的に緩和せず、それを回生エネルギー回収として活用している。前期モデルおよび後期モデルには、それぞれAWDロングレンジと、AWDパフォーマンスの2グレードが設定されており、前期モデルのパフォーマンスでは時速100 kmまで3.7秒で加速する力をもつ[3]。後期モデルのAWDパフォーマンスはモーター出力: 合計466ps(ポテンシャルとしては最大510hp)であり、0-100km3.5秒であった。後期モデルのAWDパフォーマンスは日本では販売されていない。
安全装備
[編集]「オートパイロット」と呼ばれる運転支援システムが全車標準装備となっており、OTAでのソフトウェアアップデートで機能の追加や改善も可能である。
雨や雪などの天候により路面状況が変化しても安定して走行できるよう、トラクションコントロールが装備されている。
鋳造シャシー
[編集]リアシャシー部分などはギガプレスと呼ばれる型締力8000トンの超大型鋳造マシンで一体的に製造したパーツ、アルミニウム製のメガキャストを使用している。部品点数や製造工程を減らすことでコスト40%、重量を30%をカットできる新技術であるが[8]、事故時の修理費用は高くなる、状況によっては即廃車になることが懸念されている[9]。 なお、2025年のマイナーチェンジモデルからは、アルミ合金のメガキャスト使用は後部骨格に限るものとし、前部は鋼板のプレス部品などからなる骨格としている[10]。
ドアの開閉方法とその問題点
[編集]ドアハンドルは、完全に車体側面に対してフラットな形状となり、指でシーソー式に押し出してドアを引くスタイルを採用している[11]。また車内では電気式のプッシュボタンでドアを開錠する形式となっている。電気的なトラブルや事故によってドアが内部から開錠出来ない場合は、ドアポケットに隠されたワイヤーを引くことでドアをリリース出来る仕組みになっているが、これが緊急時に直感的ではないとして批判されている[11]。同様の問題はサイバートラックなどの他車でも指摘されているが、事故時にドアの機械的な開錠方法が分からず焼死したケースもあり、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2025年9月に予備調査を始めた。またアメリカや中国、欧州の新たな車両規制で問題になるとして2027年までに抜本的な構造変更が求めれている(2026年1月初旬に米国連邦議会に提出された「SAFE Exit Act(安全な出口法)」の規制など)。モデル3とモデルYのチーフデザイナーのフランツ・フォン・ホルツハウゼンは、電子式ボタンと機械式ボタンを兼用したドアリリースシステムを開発中であると説明した[11][12]。電子錠はテスラが先駆者であり、その後レクサスなどの他メーカーも追従するようになり、2025年時点で約70車種が同様のメカニズムを搭載している[13]。その後中国で法律改正があり、2027年1月以降はモデルYのようなドアノブは新規には認可しないとした。また既に販売中の車両についても2029年1月以降は改善策なしには継続販売できないと定めた。
年表
[編集]脚注
[編集]参考文献
[編集]- ↑ “テスラ「モデルY」、数年以内に登場予定…マスクCEO”. Response. (2017年3月30日). 2020年4月24日閲覧。
- 1 2 “テスラの電動コンパクトSUV、モデルY …3月14日のデビューが決定”. Response. (2019年3月4日). 2020年4月24日閲覧。
- 1 2 3 “モデルY”. テスラ. 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “Tesla Model Y Made In China Has 29.4% Gross Margin Per Analysts”. InsideEVs (2021年1月6日). 2022年10月22日閲覧。
- ↑ “テスラが値上げで難路 平均750万円に、EV普及遅れ懸念”. 日経新聞 (2022年8月7日). 2022年10月22日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 テスラが米国で、新エントリーグレード「モデルYスタンダード」「モデル3スタンダード」を発表 webcg 2025年10月09日
- 1 2 Tesla HW4.5 spotted in new Model Y, triggers speculation January 26, 2026
- ↑ “ものづくりが危ない、世界最大8000トンの鋳造機械「ギガプレス」の衝撃”. SANKEI BIZ (2021年7月8日). 2022年8月10日閲覧。
- ↑ “6万社の下請けが不要になる…「おもちゃのように車を作る」というテスラ方式はトヨタ方式を超えられるのか”. プレジデントオンライン (2022年8月9日). 2022年8月10日閲覧。
- ↑ “テスラ、車体前部のギガキャスト廃止 ホットスタンプ再脚光”. 日経X-TECH (2025年8月4日). 2025年8月9日閲覧。
- 1 2 3 [https://www.notateslaapp.com/news/3466/teslas-next-steps-in-redesigning-its-door-handles-to-meet-new-regulations Tesla’s Next Steps in Redesigning Its Door Handles to Meet New Regulations January 13, 2026]
- ↑ [https://www.wired.com/story/new-rules-could-force-tesla-to-redesign-its-door-handles-thats-harder-than-it-sounds/ New Rules Could Force Tesla to Redesign Its Door Handles. That’s Harder Than It Sounds Proposed regulations in China would mean the end of flush handles on car doors, with precious little time to roll out the changes.]
- ↑ テスラ車ドア問題、この10年で15人が死亡-衝突後に炎上し脱出できず bloomberg.com 2025年12月23日
- ↑ “テスラの新型コンパクトSUV、車名は「モデルY」に”. Response. (2016年8月8日). 2020年4月23日閲覧。
- ↑ “テスラの電動SUV、モデルY …ティザーイメージ”. Response. (2018年6月7日). 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “テスラの電動SUV、モデルY …2020年内に量産開始へ”. Response. (2019年1月31日). 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “テスラの新型EV『モデルY』、2020年秋までに生産開始へ”. Response. (2019年7月26日). 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “テスラの新型EV『モデルY』、生産計画を前倒し…2020年夏をメドに生産開始へ”. Response. (2019年10月25日). 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “テスラの新型電動SUV『モデルY』、3月までに納車開始へ”. Response. (2020年2月1日). 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “テスラのEV、生産100万台達成… モデルY がラインオフ”. Response. (2020年3月11日). 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “テスラの新型EV、『モデルY』…納車を開始”. Response. (2020年4月24日). 2020年4月24日閲覧。
- ↑ “テスラ「モデルY」で走行中にハンドル外れる、米運輸当局が調査”. ロイター (2023年3月9日). 2023年3月9日閲覧。
- ↑ 「テスラ株、一時11%高 自動運転タクシーに期待」『日本経済新聞』2025年6月24日、夕刊、1面。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- モデルYテスラ公式