テクニカルランディング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
アンカレッジ国際空港でテクニカルランディングを行うチャイナエアラインのボーイング747-400F貨物機

テクニカルランディング英語: Technical Landing)とは、飛行機が給油のみの目的で空港に着陸すること。従って乗客の乗降や貨物の積み下ろしは原則行なわない。ただし、多くの場合乗務員の交代は行われる。

概要[ソースを編集]

1920年代-1960年代[ソースを編集]

1920年代に民間航空が勃興してから、1960年代ボーイング707-320Bやダグラス DC-8-50シリーズなどの、大西洋無着陸横断などの長距離飛行が可能なジェット旅客機が登場するまでの間、大西洋および太平洋横断路線や、アジア-ヨーロッパ路線などの主要航空路においても多く行われていた。

なお、航空機の性能が飛躍的に向上する第二次世界大戦前のアジア-ヨーロッパ路線やオーストラリア-ヨーロッパ路線などにおいては、当時の航空機の航続距離が短く10か所以上のテクニカルランディングが必要な上、運航速度が遅く到着までに数日を要すことから、テクニカルランディングが行われる地において宿泊が伴うことも多かった。

1960年代以降[ソースを編集]

1960年代中盤に入り、ダグラスDC-8-62などにより、無着陸での太平洋横断飛行やユーラシア大陸横断飛行が可能になってからも、政治的問題などにより、テクニカルランディングを余儀なくされる例は多く、1980年代に入り航空機の航続距離の問題がほぼ解消した後も、「国防上の理由」から、ソビエト連邦上空の領空が開放されていなかったため、依然として北回りヨーロッパ線が存在した。

1989年冷戦終結後、1991年ソビエト連邦が崩壊し、ロシア連邦が領空通行料を得る目的で、ロシア空域が完全開放されるまでの間は、日本などの北東アジアヨーロッパ諸国間の路線においても多く行われていた。

また、自国政府によるアパルトヘイト政策に反対する近隣諸国上空を飛行できなかった南アフリカ航空のヨーロッパ路線や北アメリカ路線、冷戦下で敵対するアメリカ上空を飛行できなかったキューバクバーナ航空のヨーロッパ路線でも行われていた。

現在[ソースを編集]

現在においても、飛行時間が12時間を超える超長距離路線や離着陸重量のかさむ貨物便、航続距離の短い小型機のフェリーフライトを中心に行われている。また、超長距離路線でなくとも、ジェット気流季節風の影響などを受けて行われることや、使用する航空機の航続性能不足のため行われることもある。

テクニカルランディングを実施している都市、航空会社、路線[ソースを編集]

現在[ソースを編集]

アンカレッジ国際空港に駐機するノースウェスト航空のボーイング747-200F貨物機
テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港
  • 日本やアジア諸国と北アメリカ大陸を結ぶ太平洋路線の貨物便のほぼすべて
グアム国際空港
仁川国際空港
  • タイ国際航空
    • バンコク→ロサンゼルス→ソウル→バンコク
    通常はA340-500型機によるノンストップフライトだが、機材がA340-600型機に変更になった場合でかつロサンゼルス発のみソウルに寄港。
中部国際空港
オークランド国際空港
マタベリ国際空港
横田飛行場

過去[ソースを編集]

グースベイ国際空港

過去の代表的な寄港地を以下に記す。

各空港と空港会社別のルートの詳細は以下の通りであった。

テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港
ホノルル国際空港
  • フィリピン航空
    • マニラ~ホノルル~サンフランシスコ
    • マニラ~ホノルル~ロサンゼルス~サンフランシスコ
      • 上記2路線はB747-400・A340-300での運航に変更後、サンフランシスコ・ロサンゼルス発のみ寄港。
    • マニラ~ホノルル~サンフランシスコ~ニューアーク(のちにマニラ~バンクーバー~ニューアークに変更。)
インディラ・ガンディー国際空港(ニューデリー)
バンクーバー国際空港
  • エア・カナダ
    • トロント→バンクーバー→成田
    767-300ER運航時のみ
    • トロント→バンクーバー→香港
    A340-300運航時のみ
ダーウィン国際空港
  • カンタス航空
    • シドニーダーウィンムンバイ→シドニー
      • シドニー~ムンバイ線は当初767-300ER使用し、シンガポール経由で運航していたが、エアバスA330-300に変更後、上記での運航形態になった。エアバス330-200に変更後、往復とも直行化されたが、再びシンガポール経由に変更。
ドンムアン国際空港
成田国際空港
  • 中国民航中国国際航空
    • 上海成田~サンフランシスコ
    後に、上海~成田・成田~サンフランシスコ間のみの利用も可能となりテクニカルランディングから除外。
  • フィリピン航空
    • マニラ→成田→サンフランシスコ→シカゴ→サンフランシスコ→ホノルル→マニラ
    • マニラ→成田→ロサンゼルス→シカゴ→ロサンゼルス→ホノルル→マニラ
    この他、マニラ→成田→サンフランシスコ→ホノルル→マニラの便があったが、この便に限り、マニラ→成田、成田→サンフランシスコのみの利用もできた。
関西国際空港
  • タイ国際航空
    通常はA340-500型機によるノンストップフライトだが、整備等で機材がA340-600型機に変更になった場合のみ関西に寄港。
中部国際空港
福岡空港
  • 全日本空輸
    通常は737-700ERによる東京~ムンバイ間ノンストップフライトだが、冬季のみムンバイ行きNH943便が福岡に寄港。なお2008年までは長崎空港への寄航であった。
横田飛行場
  • パンアメリカン航空
    • 羽田→横田~ウェーク島~ホノルル~サンフランシスコ
    1959年にボーイング707が太平洋路線に就航した当時、羽田空港は滑走路の距離が2,550mと短かったため、1961年に3,000mに延伸されるまでの暫定措置として羽田を最小限の燃料で出発、滑走路の長い横田基地で給油していた。
オークランド国際空港 (カリフォルニア州)
  • アメリカン航空
    本来はMD-11(後にB777-200)によるノンストップフライトだったが、1991年の開設当時はMD-11の納入が遅れていたため、暫定的にDC-10で就航していた。またサンノゼ空港の滑走路が2,712mと現在より短かったため、成田行きでは条件によってサンノゼを最小限の燃料で出発、滑走路の長いオークランドで満タンにするといった措置をとることがあった。2006年廃止。

参考文献[ソースを編集]

シカゴ条約(国際民間航空条約) 第96条より

関連項目[ソースを編集]