テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン
ジャンル | ロールプレイングゲーム |
---|---|
対応機種 |
ゲームボーイ ゲームボーイカラー |
開発元 |
日本テレネット ナムコ |
発売元 | ナムコ |
プロデューサー |
横山茂 岡本進一郎 |
ディレクター | 鈴木健一 |
シナリオ | 新免G之進 |
音楽 |
田村信二 桜庭統 会田敏樹 |
美術 | 藤島康介(キャラクターデザイン) |
人数 | 1人 |
メディア | ロムカートリッジ |
発売日 | 2000年11月10日 |
売上本数 |
136,000本(出荷本数)[1] 120,796本(売上本数)[2] |
『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン』(TALES OF PHANTASIA Narikiri Dungeon、略称:なりダン)は、2000年11月10日にナムコから発売されたゲームボーイ用ダンジョンRPG。
概要[編集]
『テイルズ オブ ファンタジア』の100年後の世界が舞台の続編で、キャラクターデザインは藤島康介。攻略本や小説版のイラストは松竹徳幸が担当。
シリーズの外伝的作品「なりきりダンジョン」シリーズの第1作でもある。ただし、本作は「テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン」であり「テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン2(同3)」とはストーリー面での意味合いと発売タイトル的な位置づけが異なる。さまざまなコスチュームに着替えて戦うという点が共通である。なお、このソフトの発売時点では名称は存在しなかったが、後に本作品をエスコートタイトルに分類されている。2020年に「マザーシップ / エスコート」という分類は廃止された。
2010年8月5日にはPlayStation Portable用ソフト『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』が発売された。戦闘システムが一新されてシリーズ本来の「リニアモーションバトルシステム(LMBS)」となった。一方、性格システムや「たのまれごと」などの仕様が削除されるなど、原作と異なったゲームシステムとなった。また、キャラクター設定やストーリーが大きく変更されたことも別ゲーム感を抱かせるリメイクとなった要因である。詳細は本ページおよび該当記事ページを参照。
ストーリー[編集]
ある人物(プレイヤー)が空から落ちてきた双子の赤ちゃんを見つけたところから始まる。
時は流れ、13年後、“なりきり”という特別な力を持つ2人の前に突然、ノルンという不思議な女性が現れる。ノルンはメルとディオの2人が黒き運命と共に生まれたと言い、自分の運命を切り開くために六人の「時空戦士」に会い、12の精霊による「精霊の試練」を受けなければならないと告げる。その言葉に従うことにした2人はディオが山で拾ってきた不思議な生き物クルールを合わせた2人と1匹で冒険に出ることになる。
精霊と戦って様々な“心”と教えを授かった2人は「12の精霊による試練は終わった」とノルンに告げられる。しかし、双子は喜べなかった。試練の終盤から自分たちの前に現れて人間の黒い感情について話した“仮面の男”の存在だった。その気持ちを払うかのように時空戦士のアーチェが自作料理を持ってやってきて2人を祝福する。
その数日後、ノルンは2人に「自分たちが何のために存在して何を目指しているのか分かっているのか」を問う。試練はまだ終わっていなかったのだ。自分の時空に出現したカオスの洞窟に入ると、目の前に現れたのは自分たち自身だった。続いて出現した暗黒時空では自分たちの罪を知ることとなる。自分の好奇心に突き動かされて魔科学を完成させた科学者メルティア[注釈 1]。戦争によってメルティアを失った絶望感から魔科学兵器を発動してしまった軍人ディオス[注釈 1]がもう1人の自分たちであり過去の自分だった。魔科学兵器の発動によって命の源であるマナが急速に減少したことで惑星デリス・カーラーンは滅びの危機を迎え、それを救うための大いなる実りを求めたダオスが異星に旅立ったのだ[注釈 2]。
暗黒時空でダオスと出会う2人だったが、ダオスは時空戦士との戦いに敗れて息絶えた幻だった。そのダオスから「最も恐るべき敵であり勝たなくてはならない敵は自分の心だ」と教えられる。さらに、全ての感情には意味があり、たとえ憎しみの感情であっても自分だと認めて制御するのだと告げられる。
カオスの洞窟の最下層部で自分たちの過去であるディオスとメルティアを倒し、再びひとつになった2人だったが、聞き覚えのある女性の呼びかけが聞こえた。周囲を見ると、一緒にいたクルールが宙に浮きノルンの姿となった。クルールはノルンの化身だったのだ。ノルンによる最終審判を乗り越えた2人だったが、戦いに敗れた際にディオスが言ったことが実現してしまう。今の2人は時の波の修正によって消えてしまうのだ。
しかし、ノルンは否定する。これは死や消滅ではなく新たなあなたたちの誕生であると。
親(プレイヤー)に別れの言葉を告げて消滅した2人は、しばらく時を経た後に体も記憶も一新した状態で親の前に帰ってくる[注釈 3]。
システム[編集]
なりきりシステム[編集]
主人公であるディオとメルは「なりきりし」という特別な能力を持っている。これはある職業のコスチュームを着ることで、その職業になりきることができる、という能力であり、例えば「剣士」のコスチュームを着れば「魔神剣」などの特技、「ヒーラー」のコスチュームを着れば「ファーストエイド」などの特技を使うことができるようになる。コスチュームは「剣士」「格闘家」「魔法使い」などの基本的なもの、「クレス」「ミント」「ダオス」などのファンタジアキャラもの、「手品師」「漫画家」「風水師」などの主にたのまれごと解決に必要なもの、「パックマン」「ワルキューレ」「ワンダーモモ」などのナムコキャラものなどがある。小説版では「弁士」などの衣装がある。コスチュームはディオ、メルそれぞれ66着ずつあり、店で購入する、オーダーメイドで作成する、モンスターから盗む、などの手段で入手する。
たのまれごと[編集]
ディオとメルは様々な人々から「たのまれごと」をされる。たのまれごとは全部で30個あり、「なりきりし」の能力をうまく活用して本編シナリオとたのまれごとシナリオを並行して解決する必要がある[注釈 4]。
ダンジョン自動生成[編集]
ダンジョンは入るたびにマップが変わる自動生成ダンジョン方式を採用している。戦闘システムはシリーズ他作品のLMBとは異なり「プチLMB(リニアモーションバトル)」というほぼコマンド入力式のものとなっている。素早い順に攻撃順が周り、通常攻撃のコマンド入力後にはタイミング良くボタンを押すことで与えるダメージが増す。
性格システム[編集]
ディオ、メル、クルールには「性格」が存在する。性格とコスチュームがマッチするとより能力が発揮できたり、ある特定の性格でないと解決できないたのまれごとが存在したりする。ディオとメルの性格は、戦闘時に身に付けているコスチュームや、二人からの質問にプレイヤーがどう答えるかによって変化する。クルールの性格はメルとディオの性格に応じて変化する。ディオとメルの性格は最終的に21種ずつ、クルールの性格は「友達」「忠実」「野生」の3種である[注釈 4]。
12の精霊のダンジョンをクリアするごとにディオとメルが親(プレイヤー)に質問をしてきたり躾の方針を決めたりするイベントがある(性格イベント)。親自身の価値観なども問われ、実際の子育ての雰囲気を感じさせる[注釈 4]。
時間設定[編集]
本作ではアセリア暦4203年(クラースの時空)、4306年(クレスの時空)、4354年(すずの時空)、暗黒時空、4408年(ディオの時空)の時空が存在し、「なりきりハウス」からマーテル像(ディオ達の時空)と4枚の絵(その他の時空)を使用してそれぞれに時空転移ができる。
本作では、「時間を遡ることによる過去変更は、未来を変更するものではなく、新たに分岐した未来が作られる」というパラレルワールド的解釈がなされている。このことは精霊マクスウェルの「転んで怪我をした者が昨日へタイムトラベルを行い、昨日の自分に転ぶなと忠告するのはタイムトラベルの動機を考えた場合、矛盾である」というセリフの中で説明されている。また、エンディング間際のノルンのセリフでは因果律についても言及されている。
登場キャラクター[編集]
声はドラマCD版でのキャスト。
パーティーキャラクター[編集]
- ディオ (Dio)
- 声 - くまいもとこ
- 本作の主人公の一人。山で遊んだりすることを趣味とする、行動的な13歳の男の子。メルとは双子。13年前の夜に流れ星のように落ちてきたところをプレイヤーに保護され“元気に男の子らしく”育ってきた。
- その正体は、デリス・カーラーンの民であるディオス・バンディ。自分から分離したディオスの思念との戦いの結果、本当の自分を取り戻して試練を終了するが、過去の自分を倒したことにより時の修正を受け、存在する時空間を失い消滅し、後にメルと共に記憶を一新されて生まれ変わった。
- 作中で、ディオとメルがエルフの血を引いていないのに魔術を行使していることをアーチェに指摘されるが、その疑問の答えは、ディオとメルの肉体がディオスとメルティアのそれから引き継がれているためで、ダオスと同じくデリス・カーラーンの種族特有の力である。また、魔術と対をなす法術は「清らかな心を持つ乙女」にしか使えないはずだが、ディオはなりきりの力で法術を行使できる。こちらの理由についての説明はない。
- 小説版では、ミントにいい所を見せようとするなど彼女に好意を持っていたが、ドラマCD版は逆にサーカスの踊り子を探している時、アーチェに好意を抱いていた。原作中ではどちらが姉か兄は明言されていないが、小説版ではメルの弟で、本名はディオ・フォート。
- メル (Mel)
- 声 - 柳瀬なつみ
- 本作の主人公の一人。読書や裁縫などを趣味とする、穏やかでおっとりとした13歳の女の子。ディオとは双子。13年前の夜に流れ星のように落ちてきたところをプレイヤーに保護され“おしとやかに女の子らしく”育ってきた。
- その正体は、デリス・カーラーンの民であるメルティア・バンディ。自分から分離したメルティアの思念との戦いの結果、本当の自分を取り戻して試練を終了するが、過去の自分を倒したことにより時の修正を受け、存在する時空間を失い消滅し、後にディオと共に記憶を一新されて生まれ変わった。原作中ではどちらが姉か兄は明言されていないが、小説版ではディオの姉で、本名はメル・フォート。
- クルール (Kruelle)
- 声 - 永島由子
- ディオが山で拾ってきた不思議な小動物。性別はメス。ディオとメルの性格の影響を受けて戦闘時の姿が大幅に変わる。性格に応じた3形態と、レベルに応じた形態が8段階、計24の姿を持つ。
- 鳴き声は「クルール!(プレイヤーの入力した名前によって変化)」「ウキュ?」などがある。
- 冒険を共にする頼もしい仲間だが、最後のダンジョンの最深部で本当の姿(ノルン)に姿を変える。クルールが抜けることにより、最終審判(最後の戦闘)はディオとメルの2人で戦うことになる。
- なお、すずは初対面でクルールの正体に気付いたようである。
前作のパーティーキャラクター[編集]
- アーチェ・クライン (Arche Klaine)
- 声 - かないみか
- 時空戦士の一人。ダオスとの戦いの後、自分の時代(AC.4203年)に帰るが、ハーフエルフという長寿種のため、現在でも全く変わらない姿で「魔女っ娘の塔」で暮らしている。AC.4306年にもいた形跡はあるが、その時代では放浪中。このゲームの最初のボスキャラクターでもある。その天真爛漫な性格は200年以上の時を経ても変わらない。
- 小説版「テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン」では、ディオとメルに会ってからは度々家に遊びに来ている。それは小説版「テイルズ オブ ファンダム 旅の終わり」からでも読み取れる。一部を除いて壊滅的な料理の腕はまだまだ進歩していないようである(それでもいくらかマシになったようであるが)。得意料理はチェスター直伝(レシピ付き)のマーボーカレーと大好物のフルーツポンチ。しかしバークライト本家が作るマーボーカレーとアーチェが作るマーボーカレーはレシピはあっているのに、何かが違うようである。本人は、舌がまだ味を覚えているうちに早く完成させたいと思っている。
- クラース・F・レスター (Klarth F. Lester)
- 声 - 井上和彦
- 時空戦士の一人。ダオスとの戦いの後、自分の時代に戻りユークリッド村でミラルドと共に暮らしている。古に絶えた召喚術を復活させたとして未来では有名だが、この当時の人々はそれを知らない(知っているのはヴァルハラ戦役に関わっていた者達だけである)。因みに、未来では確かに有名なのだが、学会の間では召喚術そのものの存在を疑問視され始めている。これは召喚術があまりにも高度で理解不能らしく、またその資料が残っていないため、召喚術の立証が不可能であるからである。
- 未来から訪れたディオとメルに「ダオス戦役」が“一方的で都合の良い”歴史として伝わっていると教える。そして、クレスに会い、「ダオス戦役」の真実を聞くように指示をする。
- なお、ノルンはクラースだけには全て(ディオとメルの過去生、デリス・カーラーンのマナが枯渇した原因、など)を語っていたようである。
- クレス・アルベイン (Cless Alvein)
- 声 - 草尾毅
- 前作の主人公。時空戦士の一人。ダオスとの戦いの後は、壊滅したトーティス村を再建して剣術道場を開き暮らしている。
- クレスは、未来から訪れたディオとメルに「ダオス戦役」の真実を話す。ダオスが、枯れてしまった自分の星デリス・カーラーンの世界樹を生き返らせるために「大いなる実り」を求めて戦っていたこと、その際にデリス・カーラーンで救いを待つ人々にとっては自分達が“悪”の立場であったであろうこと、戦いに絶対的な正義や悪などは存在しないのだと語る。
- 小説版「テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン」では、アルベイン流剣術道場の師範である。後に未来でその師範の座をチェスターが養っていた孤児に任せ、ミントと共に旅に出る。その旅の途中、忍びの里を訪れていたクレス達は再びディオとメルに出会う。当然ながら、その際のクレスは相応に老いている。
- ミント・アドネード (Mint Adnade)
- 声 - 岩男潤子
- 前作のヒロイン。時空戦士の一人。現在はトーティス村の教会で人々を癒している。
- 大法術師と讃えられ、多くの人々に頼られるミントだったが、彼女は悩んでいた。自分は身体を癒す力を持っているが、人々の“心”まで癒すことができるのかと。ミントの記憶を覗いたノルンは、一人でできることには限りがある、仲間と協力することで多くの人を幸せにできるとミントを励ます。
- 小説版「テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン」では、レニオス教会でトーティスの村の人々を癒し続ける。その後、道場を退いたクレスと共に旅に出る。その旅の途中、忍びの里を訪れていたクレス達は再びディオとメルに出会う。当然ながら、その際のミントは相応に老いている。
- チェスター・バークライト (Chester Barklight)
- 声 - 伊藤健太郎
- 時空戦士の一人。弓術が得意。その天才的な弓術から、エルフからは「妖精弓の射手」と敬意を評されている。現在はトーティス村の剣術道場で戦争により親を失った子どもの世話をしている。
- 小説版「テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン」では、「妖精弓の射手」と双子がうっかり漏らしてしまった言葉をきっかけにディオとメルが未来から来たと察した。その際、ディオとメルを捨て子だと勘違いしてしまうが、過去のアーチェからの紹介状によりその誤解は解ける。因みに小説版の未来編では、些細なケンカによって出て行ったアーチェを家に戻そうと追いかけている様子をクレスが語ってくれる。
- 藤林 すず (ふじばやし すず / Suzu Fujibayashi)
- 声 - 川田妙子
- 時空戦士の一人。ダオスとの戦いの後、自分の時代に戻り、忍びの里の頭領を祖父・乱蔵から継いだ。幼い頭領ながら、他の忍達からの評判もいいようである。
- すずはディオ達の訪問と目的について事前に気がついていたようである。また、姿を現す前のノルンの存在も察知していた。
- 小説版「テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン」では、初めディオとメルを、国が遣わしたマナの調査隊だと思って勘違いしていたが、クレス達の紹介状を渡したことにより、その誤解は解ける。精霊の試練の間、ディオとメルに接して、年頃の少女らしい一面を見せたこともあった。
その他のキャラクター[編集]
- ノルン
- 声 - 永島由子
- 白い翼を持った謎の女性であり本作のラストボス。双子の前に度々現れては、謎めいた言葉や次なる目標を語る。その正体はデリス・カーラーンにある「大樹カーラーン」の番人。
- 大樹カーラーンを枯らし、マナ消滅という大罪を犯したディオスとメルディアの本質が“悪”なのか、二人の記憶を封じて子供に戻し、もう一度やり直させることで見定めていた。どのような親に育てられるかによって、人間の性格、さらに運命が変わるのかという事は本作のテーマのひとつと言える。
- シリーズでは珍しく第二形態がないラストボスであり[注釈 5]、最終戦闘の前にディオとメルを完全回復させるなど優しくも厳しい女性の雰囲気をエンディングまで貫いている。また、戦う理由も他作品と異なっている。
- なお、エンディング後のエクストラダンジョンであるドルアーガの塔の最上階ではディオとメルと共に寸劇を演じるなどコミカルな面も見せている[注釈 6]。
- ダオス
- 声 - 塩沢兼人
- 前作のラストボス。母なる星:デリス・カーラーンの統括者。当初は魔科学を憎んでいるわけではなかったのだが、自分の星と同じ過ちを冒そうとしているミッドガルズの行いを見、直ちに止めるように宣告したがそれを拒否したミッドガルズをヴァルハラ戦役より後の時代で滅ぼす。その後、次第に魔科学へと憎しみの矛先を向けるようになった。
- 自らの星デリス・カーラーンの失われたマナを復活させるため、大樹カーラーンから生まれる「大いなる実り」を求めてクレス達の世界へやって来た。その星で「魔王」としてクレス達の手によって滅ぼされている。しかしデリス・カーラーンの人々からの視点に立てば、星を救う唯一の希望であるダオスを滅ぼしたクレス達こそ、「魔王」と考えることもできる。どちら側からの視点から見るかによって、悪の存在が変化するのはテイルズ オブ シリーズでは類をみない背景である。それゆえシリーズのラスボスとしては、他のシリーズから見て非常に人気が高い。
- 今回のシナリオでは、なぜデリス・カーラーンのマナが失われたのか、そして「大いなる実り」を手に入れるために魔王と呼ばれるまでの行動を起こすことへの苦悩、などを知ることができる。物語の終盤にメルとディオの前に現れたダオスは、この星が記憶しているダオスという存在が、実体を持たない残留思念として現れたものである。
- なお、本編クリア後の「おまけの部屋」ではシナリオライターによる「今回の主役はダオスである」ということを含んだコメントを読むことができる[3]。
- ボエボエ
- ディオとメルの行く先々に現れる悪徳商人。ザマス言葉の意地悪な男。
- 幼い頃父親に「世の中は金が全て」と教え込まれた哀れな過去を持っていた。ディオたちと別れたしばらく後に病死する。
- エリザベス
- 脚の悪い自分の代理として、孫のアリサに誕生日プレゼントを届ける依頼をする老婦人。
- アリサ
- オリーブ村に住んでいる女の子。
- オットー・グスダフ・フォン・トリッテンハイム3世
- 自称世界一のグルメ。美食の限りをつくしたので何か珍しい料理が食べたいとわがままな依頼をしてくる。また、長い名前であるにもかかわらず常にフルネームで呼ばないと怒るので、使用人も閉口している。ディオも面倒なのか、たのまれごとを記載する「ひみつメモ」には、この人物の名前を(長いので略)としか書かない。
- ロベール
- 奥さんと共に仲良く暮らすおじさん。鉱脈をあてて現在の財産の礎を築いた先祖に感謝する意味で、先祖の肖像画を描く絵描きを探している。
- ハル
- 母親を失って以来、心を閉ざしてしまった少年。そんなハルを見て父親はオロオロするばかりである。
- メモリー
- 幼い頃の思い出の花“ティアの花”を摘んできて欲しいとディオとメルに依頼する女性。母は寝たきりになっている。
- ベロボン
- 旅巡業のサーカス団団長。サーカス団は、“水の洞窟”をクリアすると、オリーブ村に現れる。団員が出演できなくなり、サーカスの興業に“やや支障”があるため、ディオとメルに手助けを依頼する。かなりのシブチンらしい。
- マリー
- 旅巡業のサーカス団団員。ダンサー。オリーブ村の暑さのせいでダウン中。
- ダン
- 旅巡業のサーカス団団員。動物の飼育係。調教師が、団長とケンカをして出て行ってしまったので、代わりを探している。
- ジョン
- 旅巡業のサーカス団団員。足を骨折中のピエロ。
- ジャンボ
- 旅巡業のサーカス団で飼われているライオン。ディオの“ともだち”になる。
- ファンク
- 作詞作曲に悪戦苦闘する男。口ではすごいことばかり言うが、一向に作詞が進まない。「絶対にすごい歌が出来るはずだ! 乞うご期待! COMING SOON!」が口癖。
- ティナ
- やることなすことメチャクチャで“話をしているだけで、なんだかムカつく”女。占い師になりたいと、初対面のメルに“メルっち”と勝手なあだ名をつけて指南を頼む。
- ハンマー
- 相方が腰痛でダウンしたため、助手を探している鍛冶屋。
- サブリナ
- アーチェと仲がよく、「魔女っ娘の塔」にたびたび通って世間話をしている女性。ハンマーからプロポーズを受ける。
- ピトー
- ハンマーの先祖。仕事繊細、口調豪快の工芸家。
- パック
- 大切な宝物をクレイアイドルに奪われてしまい、取り返してくれる人を探している少年。
- ルーシー
- 戦争で両親を失ったショックで空想の世界に閉じこもってしまい、「自分は実はある国のお姫様で、いずれは城から迎えが来る」と思いこんでいる哀れな少女。
- シルバー
- 自称・トレジャーハンターZ。世界のどこかに眠るお宝オーパーツを手にするのが夢だが、高齢になってしまったため夢を受け継いでくれる誰かを探している。
- ロゼ
- かつての有名モデル。自分の娘も同じモデルへの道を歩んで欲しいと願っている。
- トム
- ペットのブッシュベイビーが逃げ出して困っている少年。
- ポンタ
- トムが飼っているブッシュベイビー。
- フランシーヌ
- ヴァルハラ村のある家から行方不明になったため、その家の奥さんから捜索依頼がなされる。旦那さんは「飼い犬がいなくなったくらいで大げさな」と言い、奥さんは「私たちの大切な娘」と言う。
- カリプソ
- 絵本を読んで、いつか「自分だけの王子様」が現れると夢見ている少女。
- ユリシーズ
- カリプソの幼なじみ。少し勇気がない少年。
- アルカージナ
- かつての大歌手。老いることで、自信や気力を失ってしまっている女性。
- トレープレフ
- 母親のアルカジーナの元気を取り戻そうとしている孝行息子。
- トーマス
- メルヘン大好きおじさん。幼い頃に聞かされた童話に出てくるウサぴょんと金のボタンに執心している様子。金のボタンを13個集めてプレゼントすると、ディオを讃える歌「愛の戦士 バニーハンター・ディオ」を大熱唱する。
- マダム・ミスティ
- 「占いの館」の主でタロット占い師。特別なアルカナカードが見てみたいとディオとメルに依頼する。カードを22枚全て集めて訪れるとギルとカイのコスチュームをディオとメルに与え、悪魔ドルアーガについて伝説を語る。
- ディオス・バンディ
- ディオの正体。デリス・カーラーンの民。27歳。パレスグドラの軍隊所属。養父であるバンディ将軍の命令に疑問を感じつつも“育ててやった恩”を振りかざされ従う。結果、隣国同士の民族紛争の中でメルティアを失い、憎しみに任せて魔科学兵器を発動させる。その結果、15万あまりの人々の命と、星の命ともいえるマナを失うこととなる。“魔科学兵器の使用”、これがディオの“罪”である。
- メルティア・バンディ
- メルの正体。デリス・カーラーンの民。27歳。魔科学を研究する科学者。養父であるバンディ将軍に命じられ、魔科学兵器開発の中心となって動いていた。助手は魔科学「青き光」の持つ危険性について助言するが、メルティアは破滅に向かっていると知りつつ科学者としての好奇心により魔科学兵器を完成させる。そんな中、民族紛争は激しさを増し、敵国兵の襲撃によって命を奪われる。結果、メルティアを失った深い悲しみと憎しみを負ったディオスによって、魔科学兵器は引き金を引かれることとなる。“魔科学兵器の開発”、これがメルの“罪”である。
ゲストキャラクター[編集]
- ドルアーガ
- 『ドルアーガの塔』からのゲスト。
- リリス・エルロン
- 『テイルズ オブ デスティニー』からのゲスト。本編クリア後の「おまけの部屋」に登場する。
各ダンジョンおよびボスキャラクター[編集]
# | 時空 | ダンジョン | ボス | アルカナ | |
---|---|---|---|---|---|
1 | AC4408 | 魔女っ子の塔 | アーチェ | 1 | 「THE MAGICIAN」 |
2 | AC4203 | 風の谷の塔 | シルフ | 6 | 「THE LOVERS」 |
3 | AC4203 | 炎の洞窟 | イフリート | 11 | 「STRENGTH」 |
4 | AC4203 | 水の洞窟 | ウンディーネ | 8 | 「JUSTICE」 |
5 | AC4203 | 大地の洞窟 | ノーム | 0 | 「THE FOOL」 |
6 | AC4306 | 不思議な塔 | マクスウェル | 9 | 「THE HEMIT」 |
7 | AC4306 | 悪魔の塔 | グレムリン | 16 | 「THE TOWER」 |
8 | AC4306 | 古代遺跡 | アスカ | 19 | 「THE SUN」 |
9 | AC4306 | 12星座の塔 | ルナ | 18 | 「THE MOON」 |
10 | AC4354 | 電気の洞窟 | ヴォルト | 7 | 「THE CHARIOT」 |
11 | AC4354 | 闇の洞窟 | シャドウ | 14 | 「TEMPERACE」 |
12 | AC4354 | 魔王の洞窟 | プルート | 15 | 「THE DEVIL」 |
13 | AC4354 | 精霊の森 | オリジン | 21 | 「THE WORLD」 |
14 | あんこく時空 | ムスペルヘイム(炎の塔) | フラムベルク | 2 | 「THE PRIEST」 |
15 | あんこく時空 | ニヴルヘイム(氷の塔) | フェンビースト | 5 | 「THE POPE」 |
16 | あんこく時空 | ヨツンヘイム(巨人の洞窟) | イシュラント | 10 | 「FORTUNE」 |
17 | あんこく時空 | ニダヴェリール(小人の洞窟) | ジェストーナ | 12 | 「THE HANGED MAN」 |
18 | あんこく時空 | ヘル(死の洞窟) | ビッグアイ | 13 | 「DEATH」 |
19 | あんこく時空 | ビフレスト(虹の塔) | ダオス | 17 | 「THE STAR」 |
20.1 | AC4408 | カオスの洞窟 | ディオス | 4 | 「THE EMPEROR」 |
20.2 | AC4408 | カオスの洞窟 | メルティア | 3 | 「THE EMPRESS」 |
20.3 | AC4408 | カオスの洞窟 | ノルン | 20 | 「JUDGEMENT」 |
21 | AC4408 | ドルアーガの塔 | ドルアーガ |
BGM[編集]
BGMは『テイルズオブファンタジア』の曲をゲームボーイ音源用にアレンジした27曲、新曲7曲、『ドルアーガの塔』の曲4曲、計38曲で構成される。新曲の作曲者はあいだとしき。
# | 曲名 | 補足 |
---|---|---|
1 | PREMONITION | |
2 | ARCHE | |
3 | HARMONIOUS MOMENT | |
4 | OLIVE VILLAGE | |
5 | MYSTERIOUS JAPON | |
6 | THE SECOND ACT | |
7 | FREEZE | |
8 | UNDERGROUND WAY | |
9 | SYLPH | |
10 | RETALIATION | |
11 | MORLIA GALLERY | |
12 | FIELD OF SUNSET | |
13 | BURNING TOWER | |
14 | DARK CAVE | |
15 | FOREST OF THE TREANT | |
16 | BITING COLD | |
17 | WHO IS GOOD OR EVIL | |
18 | TAKE UP THE CROSS | |
19 | OVERCOME DIFFICULTIES | |
20 | FIGHTING OF THE SPIRIT | 「あいのせんし バニーハンターディオ」という歌詞あり |
21 | BE ABSENTMINDED | 「やくそく~あなたと~」という歌詞あり |
22 | OASIS | |
23 | GO A STEP FURTHER | |
24 | AWAKENING | |
25 | CONTRACT | |
26 | HONOR | |
27 | AH MY GOD.. | |
28 | FUNNY TOWN | 本作用新曲 |
29 | TRY TO FORGET THE SAD PAST | 本作用新曲 |
30 | DARK MIND | 本作用新曲 |
31 | REBIRTH | 本作用新曲 |
32 | THE STARS TWINKLED | 本作用新曲 |
33 | MANTAL PAIN | 本作用新曲 |
34 | JUDGEMENT | 本作用新曲 |
35 | TOWER OF DRUAGA (1) | 『ドルアーガの塔』の使用曲 |
36 | TOWER OF DRUAGA (2) | 『ドルアーガの塔』の使用曲 |
37 | TOWER OF DRUAGA (3) | 『ドルアーガの塔』の使用曲 |
38 | TOWER OF DRUAGA (4) | 『ドルアーガの塔』の使用曲 |
評価[編集]
グラフィックはポップでキュートだが、後半のストーリーは暗く重いものである。こうした作風からユーザーからは賛否両論があるが、後年では名作として評価されている[4]。
心の荒廃によって精神に異常をきたした者ばかりの村であるとか、反道徳的なセリフが多いなどという理由により、ゲームボーイというハード本来のターゲット(低年齢層)と乖離していないかとの疑問が少なからず呈された。序盤が童話風のナレーションでありギャグも多い明るい雰囲気であったことがかえってヴァルハラ村や暗黒時空以降のストーリーの恐ろしさを色濃くした。 また、大人でも結論困難な哲学的な問いが行われ、傲慢・迎合・迂闊・流転・因果などの難しい言葉も(フォントの都合上ひらがなで)平気で使用されている事も年齢層ギャップ指摘を招いた。数が限られた漢字フォントに「死」が割り振ってある事もこのシナリオの内容や「死」の文字の頻度を表している。
ゲームを批評する書籍においても「出だしの軽いノリで最後まで押せばよかったのに[5]」や「深い絶望を容赦なく描くこのディープでハードな世界観が魅力である[6]」などライターごとに正反対の感想が出たほどである。
攻略本に掲載されたシナリオライターのコメントでは「世界を救うような壮大な物語ではなく自分の心と対峙するような(小さな)物語を作った[7]」「罪と罰・欲望・慢心・憎悪・差別・狂気といった要素を盛り込んだが、コミカルなパートも自分の側面[7]」「町の人のセリフやたのまれごとはかなり遊ばせてもらいました[3]」と述べられており、このコメントはまさに本作のシナリオ全体の設定[注釈 7]と雰囲気[注釈 8]を表している。後年における本作シナリオへの高い評価は、初プレイ当時は内容が理解できなかったりトラウマ的な恐怖を感じたりした低年齢層が大人になってからの称賛の声が加わったものである。
小説[編集]
- 著:結城聖、イラスト:松竹徳幸、発刊:集英社 スーパーダッシュ文庫
- テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン 上 2000年12月22日 ISBN 4-08-630017-6
- テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン 下 2001年ISBN 4-08-630022-2 1月25日
原作と小説版の違い[編集]
- ノベライズにあたって、原作シナリオでは言葉を発しない場面があった[注釈 9]ディオやメルの会話や各キャラクターの心情について掘り下げられている。前作『テイルズオブファンタジア』の主役キャラクターたちについては描写やセリフが小説版独自のものとして追加されている[注釈 10]。
- ゲームではプレイヤーの役割であったディオとメルの育ての親としてエリック・フォートとファーメル・フォートという夫婦が設定されていて、ラストで消滅したディオとメルはフォート夫妻の実子として転生する。
- 原作では大樹カーラーンの番人である運命の女神(名前の通りノルン)であったノルンが「大樹カーラーンの精霊であり、マーテル(大樹ユグドラシルの精霊)の娘」[注釈 11]と設定されている。
- 小説版には原作ゲームのもうひとつのシナリオである「たのまれごと」の要素は入っておらず、第二部(暗黒時空以降)も駆け足である。暗黒時空部分がほぼカットされているため、原作ゲームの特徴である哲学的問いも同時にカットされている。ヴァルハラ村が登場しないため、狂気要素・非道徳要素も薄められているか存在しない。この原作シナリオのマイルド化は10年後のリメイク『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX』も同様である。
ドラマCD[編集]
- レーベル:フロンティアワークス
- ドラマCD テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン -太陽の章- 2001年4月28日 ASIN B00005HXXA
- ドラマCD テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン -月の章- 2001年5月26日 ASIN B00005J48Z
関連商品[編集]
書籍[編集]
- Vジャンプブックス [ゲームシリーズ] テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン ISBN 4-08-779081-9
- テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン 超着こなし術 ISBN 4-88749-063-1
- テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン オフィシャルガイドブック ISBN 4-7577-0295-7
- Tales of 大事典 ISBN 4-575-16358-9
他のシリーズ作品との関連[編集]
- テイルズ オブ ザ ワールド なりきりダンジョン3(2005年1月6日発売)
- ディオとメルがなりきりショップの店主として登場。
- テイルズ オブ ザ レイズ(2017年2月28日リリース)
- ディオとメルが期間限定イベントに登場。ただし、ビジュアルや性格は『なりダンX』のものとなっている。
関連項目[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ a b リメイク版の「なりきりダンジョンX」では異なる動機に変更されている。
- ^ ここから「テイルズ オブ ファンタジア」のストーリーに繋がる。つまり、本作のシナリオはファンタジアの前日譚であり後日談である。
- ^ エンディングのテキストより。転生した2人が再び親(プレイヤー)のもとに現れる。また、小説版では小説版の親であるフォート夫妻の子供として生まれ変わる。
- ^ a b c リメイク版の「なりきりダンジョンX」ではこの仕様は削除された。
- ^ リメイク版の「なりきりダンジョンX」のノルンはこれと異なる。第二形態がある事と化け物化があるため、シリーズ独自のラストボスではなくなった。
- ^ ディオがギル、メルがカイ、ノルンが女神イシターになりきる。
- ^ 『罪と罰』『欲望』『憎悪』はディオ・メル・ディオス・メルティアを指す。『慢心』『憎悪』はダオスを指す。『狂気』についてはシナリオ全体に散在する。
- ^ 30あるうちのたのまれごとは5つほどが非常に暗く後味の悪いもので残りはコメディまたは徹底したギャグの明るい内容である。
- ^ ディオとメルは一部イベントや性格イベントでは喋るが、12精霊の試練や暗黒時空での問いでは無言である。つまり、道徳観や死生観などの厳しい問いに対してキャラクターは主張や考えを示さない。考えるのはプレイヤーとなる。
- ^ 原作ゲームボーイ版ではラストダンジョンに「魔鏡の間」が存在し、前作のキャラクター6人の後日談や苦悩が語られている。つまり、クレスたち6人の「『テイルズ オブ ファンタジア』以降」については原作と小説版は別な世界となっている。
- ^ ノベライズ「テイルズオブファンタジアなりきりダンジョン・下巻」P.241
出典[編集]
- ^ “『テイルズ オブ』シリーズ全世界累計1,000 万本突破! (PDF)”. バンダイナムコゲームス (2007年12月11日). 2012年9月12日閲覧。
- ^ “2000年のソフト販売本数ランキング”. ファミ通.com (2001年2月9日). 2012年9月12日閲覧。
- ^ a b ゲームクリア後の『おまけのへや』(スタッフルーム)
- ^ M.B.MOOK『懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』 (ISBN 9784866400259)、23ページ
- ^ 『ゲーム批評』2001年3月号、17ページ
- ^ 『ユーゲー』 2002年 No.03号、125ページ
- ^ a b 『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン 超着こなし術』5ページ
外部リンク[編集]
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