ティーンズラブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

ティーンズラブとは、日本の漫画の分類のひとつ。略してTLと表記されることもある[1]

概要[編集]

少女漫画的な絵柄と人物設定でありながら、成人向け漫画のような、具体的かつ直接的な性的表現が物語の中で展開される少女向けの商業漫画を指す。なお同人誌の場合は、同様の漫画は男性向けも女性向けも成人向け漫画とみなされる。

レディコミより若い年齢層をターゲットにしており、昔のレディコミは男性編集が結構多かったが、ティーンズラブはほとんど女性が作っている[2]

レディコミは絵が劇画タッチだが、ティーンズラブは可愛らしい感じの絵で描写されている[2]

定義は少女マンガ王道のラブストーリーの「その先を見せる」こと[2]で、内容としては少女漫画のラブコメディをアレンジしたものだが、恋愛とセックスを同義として描かれる場合が多い。また、明確な恋愛感情を伴わないまま、性交する関係の中を行き来する姿が描かれる例もあるが、基本は愛がある行為が絶対である[2]レディコミの影響からか、レイプ近親相姦援助交際といった犯罪や禁忌的な要素が物語に含まれることがある。ほか、エッチは必ず“男の方から”というのが基本となっている[3]。なお、男性の社会的スペックは今も昔も高いものが求められている[4]。読者の反感を買わない主人公というのも重要である[3]

主人公の女性は、読者の年齢層に合わせて10代半ばから20代前半に設定されていたが、東京都青少年の健全な育成に関する条例などの影響による自主規制として、漫画では主人公の年齢は18歳以上が主流になった。相手役の男性は、10代半ばから作品によっては50代も登場することがあり幅広い。

作品の流れとしては、付き合ってはいたが、倦怠期に入ったカップルが一度は流されるがまた元の鞘に収まるパターンや障害を乗り越えて結ばれる、強引な男性に翻弄される女性主人公等様々なパターンがあるが、大抵の作品はハッピーエンドである。

作家[編集]

ティーンズラブ漫画を執筆する作家は、多くがBL漫画とのかけもちである。また、‘商業雑誌ではティーンズラブ、同人誌ではボーイズラブ’という形態の作家や、成人向け漫画や少女漫画から転向した作家もいる。

これといった漫画賞は長らく創設されていなかったが、エヌ・ティ・ティ・ソルマーレが提供する「コミックシーモア」で2015年11月2日よりコミックシーモアTLマンガ大賞というプロ・アマを問わない漫画賞の試みが行われた[5]

年譜[編集]

エルティーンコミック』や『少女革命』が草分けとされる[6]1990年代後半からゼロ年代初頭にかけてジャンルとして定着した[7]

媒体[編集]

雑誌[編集]

初期には『エルティーンコミック』や『少女革命』などA4中綴じが多かったが、2009年現在ではA5平綴じ、厚めのものが主流である。また、さらに小さいB6平綴じも見られる。

価格は平均600円弱程度[8]。表紙にはイラストが使われており、実写の写真が使われるレディコミとは対照的である[9]レディコミでもイラスト表紙のものもあり差別化は緻密ではない。元々はレディコミ雑誌だったものが、ティーンズラブ雑誌に変貌したものもある。

主な現在発行されている雑誌[編集]

主な過去に発行されていた雑誌[編集]

単行本[編集]

複数の出版社[10]がティーンズラブのレーベルから単行本を発行している。雑誌で発表された作品をまとめたものや書き下ろしたものの他に、読者投稿を複数の漫画家が描くアンソロジー形式の単行本も販売されている[11]

ジャケ買いをする人に向けて、タイトルで設定がわかるよう、雑誌掲載時とはタイトルを変えているものも結構多い[4]。普通の少女漫画よりもそういうケースが多いと分析されている[4]

電子書籍[編集]

電子書店によって、電子書籍の形式でも販売されている[12]。なお、後述の小説に関しても、この形式で発売されているものが少なくない。

小説[編集]

小説についても、2002年から2003年にかけて同様の形態のものが存在した(ラブノベルズ光彩文庫ピンキーティーンズ・ノベルズ、大都ノベルズアンジェリーナシリーズ)が、いずれも短期間で廃止になった。

その後、2009年6月にフランス書院ティアラ文庫を立ち上げた。さらに2011年7月以降は、この分野への新規参入が活発に行われている。ティアラ文庫以降のジャンル傾向は現代日本を舞台としないものが寡占しておりティーンズラブ漫画とは傾向が異なっていたが、昨今では現代日本を舞台にしたものも復活傾向にある。

2008年9月から出版されるようになったエタニティブックスのような大人の女性に向けた性描写のある作品もティーンズラブ小説の一種といえよう。元々ティーンズラブ小説以外も扱っているレジーナブックス講談社X文庫ホワイトハートのようなレーベルでもラインナップにも加わるようになった。

また、小説家になろうという小説投稿サイトでは2005年5月より女性向け18禁小説サイトたるムーンライトノベルズを開設しており、そのうちティーンズラブ小説の投稿作品の書籍化を行うレーベルも2014年より登場している。

以下、ここにレーベル名と版元、発刊年月を記す。☆は小説家になろう作家の作品専用。

なお、これらの小説レーベルに関しては「乙女系」と呼ばれることがある。

上記のレーベル以外にも書籍として出版されず、電子書籍として販売されているレーベルも多数存在するようになった。

オーディオブック[編集]

書籍としての出版されているものは少なく音声データのみの商品が主である。2012年にティーンズラブを含むレディコミ誌を多く扱っている宙出版より創刊されたYLCスイートキス文庫から端を発し、2014年にはおとめ堂のマカロンブックスやオトバンクのラブスワン文庫が参入した。

アニメ[編集]

2017年には初のアニメ化作品『僧侶と交わる色欲の夜に…』が制作された。

放送局により対象年齢が異なり、全年齢対象の地上波版、R-15指定のAT-X版、R-18指定でノーカットのアニメZONE配信版(完全版)の3種類が存在する。地上波版ではアダルトシーンはミニコーナーに差し替えられている。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 堀あきこ 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』 臨川書店、2009年、73-74頁。ISBN 978-4653040187
  2. ^ a b c d TL(ティーンズ・ラブ)編集者座談会 1ページ目”. サイゾーウーマン (2014年11月23日). 2016年7月14日閲覧。
  3. ^ a b TL(ティーンズ・ラブ)編集者座談会 2ページ目”. サイゾーウーマン (2014年11月23日). 2016年7月14日閲覧。
  4. ^ a b c TL(ティーンズ・ラブ)編集者座談会 3ページ目”. サイゾーウーマン (2014年11月23日). 2016年7月14日閲覧。
  5. ^ 目指せ賞金100万円&連載権『コミックシーモアTLマンガ大賞』創設!!”. エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ (2015年11月2日). 2016年7月14日閲覧。
  6. ^ 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』109頁。
  7. ^ 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』109-110頁。
  8. ^ 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』110頁。
  9. ^ 『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』154頁。
  10. ^ 近代映画社、宙コミッククリエイション、笠倉出版社松文館ぶんか社など多数。
  11. ^ りん太のももいろコミック(近代映画社) - エルティーン編集部による。既刊19巻。
  12. ^ 電子書店パピレス参考

関連項目[編集]