ツーハンデッドソード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search
ツーハンデッドソード
ツヴァイヘンダー

ツーハンデッドソード: Two-handed sword)は、一般的には両手を使わなければ扱えない大きさののこと[1]。またヨーロッパルネサンス期に生まれた武器についても、他にふさわしい言葉がないことから、同じ呼称が使われる。ドイツ語ではツヴァイヘンダーと呼ばれ、傭兵部隊ランツクネヒトが使用していたことでも知られる[1]

概要[編集]

戦闘用に造られたツーハンデッドソードのサイズは120cm~180cm,1.5~3kgほどが一般的である[2]。使用するのには腕力と技術が必要になる。[3] 当時の剣士たちはツーハンデッドソードは多数の敵を相手どったり長柄武器に対抗するのに有効な武器であると認識していた。[2]パイクやハルバードなどの槍襖を食い破るための武器として利用された他に、軍旗や指揮官を護衛する部隊の武器としても利用された[2]

両手剣は槍襖を食い破るための武器として非常に効果的だった。[4][5]ハルバードも同様の目的で使用されたが、ランツクネヒトは槍襖を食い破る目的においては両手剣を優先した。[6]

両手剣の中には刀身の根元部分を持てるようになったものもある[7][1]

片手半剣と同じく板金鎧の発達に対応した武器でもある。[8]両手剣は想像以上に応用のきく武器であった。両手で振り回せば、鎧を断ち切り、突撃してくる馬の脚を叩き斬るほどの破壊力が生じた。[9]別の使い方として、リカッソと呼ばれる刃のついていない部分に手をかけ、短く持つことで、短い鋼鉄の槍として使うか、至近距離で相手を斬りつけることもできた。両手剣を帯びた剣士はどの距離から攻撃を受けても、不利になる事がなかった。[9]

騎士が下馬して戦う事が珍しくなくなると両手剣や両手斧といった武器が使われるようになった。[9]

両手剣は騎士が白兵戦でよく使用した武器の一つであり、板金鎧だけが攻撃に耐える事ができた。[10]

片手半剣や両手剣でも板金鎧を斬り裂くことはできなかった。[11]剣で鎧を斬り裂くことが出来なくなったため、鎧の上から叩いて

ダメージを与えるようになった。[12]

15世紀から17世紀にかけて両手剣の流行があった[13][7]。15世紀になって甲冑が完璧になると、甲冑ごと叩くツヴァイハンダーという両手剣が出回った。[14]これはランツクネヒトが常用した。[14]

ドイツでは、傭兵部隊ランツクネヒトが後続の仲間のため、敵兵のパイク(歩兵用の長槍)やハルバードなどの長柄武器を切り払う用途でツヴァイハンダーを活用した[1]。スイス傭兵も一時期、パイクやハルバードやサブウェポンの剣の他に、両手剣や両手斧、モーニングスターやルツェルンハンマーといった武器を使用していた。[13][15]

両手剣の登場は13世紀で、14世紀以降は刀身の長さが増し、それまでの90cm~100cmから115cm~130cmになった。[16]

騎士同士の決闘やただの雑兵にも用いられた。[13][16]

しかし、両手剣は上質の材料と熟練の鍛冶屋を要するため、製造に費用がかかった。刃が長ければ長いほど、値段もつりあがった。[9]

なお、両手剣は「背負って持ち運んでいた」と解説されることが多いが、実際は手で持って持ち運んでいた。[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 「強腕の戦士」『武器屋』 Truth In Fantasy編集部編、新紀元社1991年12月24日、第3版、78-83頁。ISBN 4-88317-209-0
  2. ^ a b c d 長田龍太『続・ヨーロッパの武術』新紀元社
  3. ^ ジョエル・レヴィ. 図説 世界史を変えた50の武器. 原書房. 
  4. ^ リチャード・ホームズ. 武器の歴史大図鑑. 創元社. 
  5. ^ ハーピー・S・ウィザーズ. 世界の刀剣歴史図鑑. 原書房. 
  6. ^ 戦闘技術の歴史3 近世編. 創元社. 
  7. ^ a b 「ルネサンスと17世紀の刀剣」『武器 歴史,形,用法,威力』 ダイヤグラムグループ編、田村優・北島孝一訳、マール社1982年12月20日(原著1980年)、第19刷、48頁(日本語)。ISBN 4-8373-0706-X
  8. ^ 渡辺信吾. 西洋甲冑&武具作画資料. 玄光社. 
  9. ^ a b c d マーティン・J・ドアティ. 図説 中世ヨーロッパ武器防具戦術百科. 原書房. 
  10. ^ R・G・グラント. 戦争の世界史大図鑑. 河出書房新社. 
  11. ^ 奥主博之. 写真とイラストで見る西洋甲冑入門. アッシュ・クリエイティブ. 
  12. ^ 世界の武器・防具バイブル 西洋編. クリエイティブ・スイート. 
  13. ^ a b c 市川定春. 武器事典. 新紀元社. 
  14. ^ a b 三浦権利. 図説 西洋甲冑武器事典. 柏書房. 
  15. ^ 市川定春. 武器と防具 西洋編. 新紀元文庫. 
  16. ^ a b 三谷康之. イギリス中世武具事典. 日外アソシエーツ. 

関連項目[編集]