ツルムラサキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
ツルムラサキ
Basella alba-2.JPG
ツルムラサキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ツルムラサキ科 Basellaceae
: ツルムラサキ属 Basella
: ツルムラサキ B. alba
学名
Basella alba L.[1]
和名
ツルムラサキ(蔓紫)
英名
Indian spinach, Malabar spinach

ツルムラサキ(蔓紫[2]学名Basella alba)はツルムラサキ科のつる性一年生草本である。東南アジア原産の野菜で、現在は東南アジアから中国南部に分布する。カロテンやカルシウムを豊富に含む、緑黄色野菜でもある。

特徴[編集]

原産地は熱帯アジアとされる[2]。茎はつる状で、葉の付け根に紫色の実をつけることから「ツルムラサキ」の名がつけられている[3]。俗名で「パセラ」と呼ばれることもある[3]英語名は malaber nightshade(マーラバー・ナイトシェード) 、フランス語名は épinard de malabar(エピナー・ドゥ・マラバー)、中国名は落葵(ラオクエイ)という[3]

茎が紫色で葉が緑色の紫茎系と、茎・葉ともに緑色の緑茎系がある[2]。紫色のもの(赤茎種とよばれる)は花が美しく観賞用に栽培される場合も多い。は淡紅色、果実は紫色で1個の種子を含む。

栽培[編集]

日本国内では主に宮城県、福島県、徳島県、山形県などで栽培され[3]、一年草として収穫できる。緑茎系と紫茎系があるが、食味がよい緑茎系の栽培が多く見られる[4]。春に種をまき、苗の植え付けをして、主に夏場に栽培をして、次々と出てくるわき芽の先端をつんで収穫する[4]。栽培難度は易しい方で、病害虫の発生は少なく、肥料も少なく済むので手間をかけずに育てられる[4]。発芽適温は25 - 30℃、栽培適温は25 - 30℃とされる[5]連作は不可で、同じ畑では1年あけるようにする[5]

発芽温度が高いことから、十分に気温が暖かくなってからポットに種をまき、約10日から2週間で発芽するので苗を育成する[4]。種皮は固いため、種を一昼夜水につけることで発芽しやすくなる[5]。畑に直播きする場合は、畝に筋まきか点まきにして、間引きしながら育てていく[4][5]。畝には雑草を抑えるためマルチングを行い、約30 - 60センチメートル (cm) 間隔で苗が植え付けされる[6]。草丈が60 cmになったころ、様子を見ながら柔らかいつるの先端を15 - 20 cm切り取って収穫していくが、次々にわき芽が出てくるので晩夏まで収穫することが出来る[6]

利用[編集]

つるむらさき、茎葉、生[7]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 44 kJ (11 kcal)
2.6 g
食物繊維 2.2 g
0.2 g
0.7 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(31%)
250 µg
(28%)
3000 µg
チアミン (B1)
(3%)
0.03 mg
リボフラビン (B2)
(6%)
0.07 mg
ナイアシン (B3)
(2%)
0.3 mg
パントテン酸 (B5)
(4%)
0.21 mg
ビタミンB6
(7%)
0.09 mg
葉酸 (B9)
(20%)
78 µg
ビタミンB12
(0%)
(0) µg
ビタミンC
(49%)
41 mg
ビタミンD
(0%)
(0) µg
ビタミンE
(7%)
1.1 mg
ビタミンK
(333%)
350 µg
ミネラル
ナトリウム
(1%)
9 mg
カリウム
(4%)
210 mg
カルシウム
(15%)
150 mg
マグネシウム
(19%)
67 mg
リン
(4%)
28 mg
鉄分
(4%)
0.5 mg
亜鉛
(4%)
0.4 mg
マンガン
(14%)
0.29 mg
セレン
(0%)
0 µg
他の成分
水分 95.1 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

葉と茎、花軸ともに食べられるが、主に葉やつる先から15センチメートル (cm) ほどの若い茎を食用にする[3]。夏場にを迎える緑黄色野菜で、旬の時期は7月 - 10月といわれている[2]。味はホウレンソウに似るが、モロヘイヤ同様、調理すると独特の匂いと、ムチレージという粘り気のぬめり成分がある[3]。生でも食べられるが、えぐみがあるため軽くさっと茹でてから使われる[2]おひたし胡麻和え白和え炒め物天ぷらなど、ホウレンソウと同様に使われる[3]。油との相性も良いため、天ぷらや炒め物にすると、独特の香りが抑えられる[2]

中華料理ベトナム料理でよく使われる野菜で[5]、中華料理では木耳菜(ムーアルツァイ)、潺菜広東語 サーンチョイ)などと呼んで炒め物にすることが多い。つるが紫色のものは、炒めると汁が赤くなる場合があるため、中国語で臙脂菜(イエンジーツァイ)とも呼ばれる。ベトナム料理ではモントイ(ベトナム語: mồng tơi)と呼び、スープの具にすることが多い。

沖縄で栽培されるものは「じゅびん」(地紅)と呼ばれ島野菜の一つと認識されている。おひたしや味噌汁にしたりじゅーしーの薬味として用いられたりする。

保存するときは、湿らせたペーパータオルなどで茎の根元を包み、ビニール袋などに入れて冷蔵する[2]

栄養価[編集]

栄養価が高く、冬場の青菜やホウレンソウよりカルシウムが4倍で、コマツナ並みに多く含まれる[3]カロテン(可食部100グラム中、3000マイクログラム)、ビタミンCも豊富である[2]。またなどのミネラルを非常に多く含み、他の栄養素量もコマツナとよく似ている[3]。茹でることで出てくるぬめり成分はムチレージによるものである[2]

ツルムラサキのスピナコシド(spinacoside)類とバセラサポニン(basellasaponin)類には小腸でのグルコースの吸収抑制等による血糖値上昇抑制活性が認められた[8]

脚注[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Basella alba L.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年10月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 36.
  3. ^ a b c d e f g h i 講談社編 2013, p. 25.
  4. ^ a b c d e 金子美登 2012, p. 128.
  5. ^ a b c d e 丸山亮平編 2017, p. 86.
  6. ^ a b 金子美登 2012, p. 129.
  7. ^ 食品成分データベース”. 文部科学省. 2021年10月27日閲覧。
  8. ^ 吉川雅之、薬用食物の糖尿病予防成分 『化学と生物』 2002年 40巻 3号 p.172-178, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172

参考文献[編集]

  • 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、36頁。ISBN 978-4-415-30997-2
  • 金子美登『有機・無農薬でできる野菜づくり大辞典』成美堂出版、2012年4月1日、128 - 129頁。ISBN 978-4-415-30998-9
  • 講談社編『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社、2013年5月13日、25頁。ISBN 978-4-06-218342-0
  • 丸山亮平編『野菜づくり大辞典』ブティック社〈ブティック・ムック〉、2017年5月20日、86頁。ISBN 978-4-8347-7465-8

関連項目[編集]