ツブリネア綱

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ツブリネア綱
Amoeba (PSF).svg
典型的な構造
分類
ドメ
イン
: 真核生物 Eukaryota
: アメーボゾア Amoebozoa
: ツブリネア綱 Tubulinea
学名
Tubulinea
Smirnov et al.2005[1]

ツブリネア綱(class Tubulinea)は、アメーバ属ナベカムリ属ディフルギア属等の大型で身近なもののほとんどを含む、アメーボゾアの主要な分類群の1つである。ツブリナ綱とも。

特徴[編集]

移動の際には、大部分が身体を円筒形にするか、多くの円筒形の仮足を形成する。それぞれの円筒は、その内部にある、顆粒を含んだ細胞質の流れによって進み、亜仮足は持たない。いくつかの種では、これが通常の移動法ではないものもあるが、この特徴がアメーバの他の分類から本綱を分けている。

分類[編集]

古典的には肉質虫亜門根足虫綱のうちアメーバ目有殻アメーバ目プロテオミクサ目にばらばらに所属していた。分子系統解析による分類体系では、アメーボゾアに含まれる3つの主要な系統の1つに位置づけられている。

2019年時点での下位分類は以下の通り。[2][3][注釈 1]

歴史[編集]

アメーバ類を分類する上で、特に1960年代以降になると仮足の形態や運動機構が注目されるようになった。これを主導したのがアメリカ合衆国の原生動物学者Theodore JahnEugene Boveeであり、既存の分類体系の再検討を積極的に行い[6]、それを自身の著した教科書に反映させた[7]。彼らは殻の有無を問わず管状の仮足を持つアメーバをまとめた分類群として、1966年に管形亜目(suborder Tubulina)[8]を提唱しており、これは現在のツブリネア綱とかなりの部分で重なっている[1]。もっとも、こうした大規模な変革が受け入れられるには時間がかかり、20世紀の間は葉状根足虫綱(Lobosea)の下で無殻の裸性葉状根足虫亜綱(Gymnamoebia)と有殻の殻性葉状根足虫亜綱(Testacealobosia)に区分することが主流であった(たとえば岩波生物学辞典[9])。前者には現在アメーボゾアのあちこちに属する多様なアメーバが含まれていた。

2000年以降分子系統解析が行われるようになると、裸性葉状根足虫が全体としては多系統群であり、その内の一部が有殻アメーバと単系統を組むことが明らかとなった。そこでこの群は、「狭義のロボセア綱」(Lobosea sensu stricto)[5]またはツブリネア綱(Tubulinea)[1]と命名された。ツブリネア綱は国際原生生物学会の2005年の合意体系[10]に採用され、その後順次内部の分類体系が整理されて現在にいたる。

脚注[編集]

  1. ^ Kang et al. (2017)およびAdl et al. (2019)はリンネ式分類階級を直接的には使用していないため、原生動物学で使われてきた伝統的な接尾辞[4]を踏襲したものとして階級名を補っている。

出典[編集]

  1. ^ a b c Smirnov et al. (2005). “Molecular phylogeny and classification of the lobose amoebae”. Protist 156 (2): 129–142. doi:10.1016/j.protis.2005.06.002. PMID 16171181. 
  2. ^ a b c d Kang et al. (2017). “Between a pod and a hard test: the deep evolution of amoebae”. Mol. Biol. Evol. 34 (9): 2258-2270. doi:10.1093/molbev/msx162. 
  3. ^ Adl et al. (2019). “Revisions to the Classification, Nomenclature, and Diversity of Eukaryotes”. J. Eukaryot. Microbiol.. doi:10.1111/jeu.12691. 
  4. ^ Pearse, A. S., ed. Zoological Names. A List of Phyla, Classes, and Orders. Durham, North Carolina: Duke Univ. Press. p. 4. doi:10.5962/bhl.title.6792 
  5. ^ a b c Cavalier-Smith et al. (2004). “Molecular phylogeny of the Amoebozoa and evolutionary significance of the unikont Phalansterium”. Eur. J. Protistol. 40: 21–48. doi:10.1016/j.ejop.2003.10.001. 
  6. ^ Jahn, Bovee, Griffith (1974). “Taxonomy and evolution of the Sarcodina: a reclassification”. Taxon 23 (4): 483-496. doi:10.2307/1218771. 
  7. ^ Jahn, Bovee, Jahn (1979). How to know the protozoa. Wm. C. Brown Company Publishers. ISBN 0-697-04759-8 
  8. ^ Bovee & Jahn (1966). “Mechanisms of movement in taxonomy of Sarcodina. III. orders, suborders, families, and subfamilies in the superorder Lobida”. Syst. Zool. 15 (3): 229-240. doi:10.2307/sysbio/15.3.229. 
  9. ^ 『生物学事典』岩波書店、1996年、第4版。ISBN 978-4-00-080087-7
  10. ^ Adl et al. (2005). “The New Higher Level Classification of Eukaryotes with Emphasis on the Taxonomy of Protists”. J. Eukaryot. Microbiol. 52 (5): 399-451. doi:10.1111/j.1550-7408.2005.00053.x.