チリクワガタ属

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チリクワガタ属
Chiasognathusgranti.JPG
雄と雌(右) Chiasognathus granti
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: 甲虫目 w:Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目 Polyphaga
上科 : コガネムシ上科 Scarabaeoidea
: クワガタムシ科 Lucanidae
亜科 : クワガタムシ亜科 Lucaninae
: チリクワガタ属 Chiasognathus
学名
Chiasognathus
Stephens, 1831

本文参照

長い手足と大顎

チリクワガタ属昆虫綱甲虫目クワガタムシ科に属する分類群。6種が含まれる。南アメリカチリアルゼンチンに生息する。

形態[編集]

オスの大アゴは細く長く、内側に小歯が密生し、体長の半分をも占めるチリクワガタ以外ではさほど長くはない。メスの大アゴは太短く、ニッパーの様な形になる。体表は金属光沢があるものもあるが、特に前翅では褐色のものも多い。腹面には白い毛が密集し、ジュセリンチリクワガタではこの毛が全身に及んでいる。頭部が極端に小さく、面積にして前胸背板の3分の1程。このため前胸背板も頭部に接続する側がすぼみ、全体として丘のようになっている。近縁のシワバネクワガタ属と同じく、触角に6本の片状節はあり;眼縁突起は二つの複眼を上下に仕切れて、ミズスマシの様な四ツ目の姿になる。

南米産のクワガタムシの中では比較的大型で、中でもチリクワガタは南米産クワガタムシ中の最大種である。

生態[編集]

比較的寒冷な地域に生息していて、高温への適応力にも乏しい。もともとの寿命も短いため成虫の長期飼育はほぼ不可能で、また幼虫も飼育が難しい。

華奢な外観に似合わず、気が荒くて非常に好戦的であり、同種間で雌雄とも激しく争い合うという。

分類[編集]

南米とオセアニアにまたがって分布する共通点の多いシワバネクワガタ属と共にChiasognathinae族を構成する。また、遺伝子分析によるとオーストラリアに分布するムナコブクワガタ属南アフリカに分布するマルガタクワガタ属等との類縁関係を窺わせ、両属共にゴンドワナ大陸起源の祖先を持つことを示唆している。

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チリクワガタ Chiasognathus grantii
コガシラ(小頭)クワガタ、グラントチリクワガタ(学名から)とも。褐色の地色に虹色を帯びた金属光沢(構造色)をもつ。オス成虫の大アゴは体長の半分をも占め、根元から先端まで多数の細かい内歯が均等に並ぶ。この大アゴは上向きに伸びた後、途中で下向きになる。また、大アゴは基部で枝分かれし、前述の上向きに長く伸びる枝の付け根付近から前向きに牙のような短く鋭い枝が生えている。大アゴが発達しているが、挟む力は弱い。チャールズ・ダーウィンが南アメリカを訪れた際にこのクワガタムシに指を挟ませたが、意外にも力がなかったというエピソードが日記に残っており、「過剰適応」の例とされる。この話から「ダーウィン・ビートル」と呼ばれることもある。
しかし実際は短い方の大アゴにはさまれると大変痛いため、長い方の大アゴは相手のクワガタなどをすくい投げるための、短い方の大アゴは哺乳類などの大型の外敵を撃退するための、各々別々の役割があるという説もある。体長は♂33mm~90mm(飼育下81.4mm2011)、♀25.1mm~37.1mm。
Ch. g. ssp. pygmaea Dallas, 1933
ラトレイユチリクワガタ Ch. latreillei
チリに生息する。体長♂26mm~35、9mm、♀20.5mm。
ショーエネマンチリクワガタ Ch. schoenemanni
チリ・アルゼンチンに生息する。体長♂22.6mm~28.9mm、♀14mm。
ジュセリンチリクワガタ Ch. jousselini
チリに生息する。大アゴや脚を含む全身が白い毛に覆われており、全体として灰色がかって見える。体長♂27.2mm~37.8mm、♀28.3mm。
ベネッシュチリクワガタ Ch. beneshi
チリに生息する。前翅が栗色で、前胸背板と小楯板が黒くなる。♂24.0mm~26.0mm、♀25.0mm~26.0mm。
ムニスゼッチチリクワガタ Ch. mniszechii
チリに生息する。ベネッシュチリクワガタと似通っている。

参考文献[編集]