チラミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
チラミン
{{{画像alt1}}}
識別情報
CAS登録番号 51-67-2
KEGG C00483
特性
化学式 C8H11NO
モル質量 137.179
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

チラミン(Tyramine;4-hydroxy phenylethylamine,C8H11NO)は生体内で、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼの作用によりチロシン(Tyr)から産生されるアミンで、フェネチルアミン誘導体の一つ。チラミンは、モノアミン神経伝達物質セロトニンノルアドレナリンアドレナリンヒスタミンドーパミンアセチルコリンなど)と構造が良く似ている。 ある種の食物に含有されていることから高血圧発作の誘因となる化合物である。

含有する食品[編集]

チラミンは、動物及び植物に広く分布し、生体内の酵素により産生されるモノアミンである。モノアミンオキシダーゼ(Monoamine Oxidase,MAO)により代謝されて不活化する。また、食物中のタンパク質微生物により分解を受けることにより生じる腐敗アミンとしても産生される。チラミンを含む食品は、赤ワイン、熟成チーズチョコレートココアなどのカカオ製品、漬け物類、発酵食品、薫製魚、トリの肝臓、イチジクの一部など[1]、加えて柑橘類である[2]

作用機序[編集]

チラミンは交感神経細胞の神経終末からのノルアドレナリンの遊離を促進する。このノルアドレナリンはアドレナリン受容体のα1サブタイプに作用するため、血管収縮作用(収縮作用消失から拡張への反転)があり、血圧を上昇させ、片頭痛発作の誘因となりえる。心拍数の上昇の作用もある。ただ、短時間内に反復投与すると、チラミンの連続投与に対してノルアドレナリンの生合成が追いつかなくなり、神経終末から遊離できるノルアドレナリン分子が枯渇し作用が減弱する(このような作用の減弱化をタキフィラキシーと呼ぶ)。ココアには、血管収縮作用を有するチラミンが含まれているので、多量または濃厚のココアを飲んでから数時間後にチラミンの血管収縮作用が消える際に血管が拡張する反動の影響として頭痛を引き起こすことがある[2]

さらに、チラミンに対して直接結合可能なGタンパク質共役受容体であるTA1受容体も同定されている。TA1受容体は脳や末梢組織に広く分布しており、主に神経伝達物質の機能調節に働いている。

相互作用[編集]

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)は、モノアミン酸化酵素の働きを阻害する薬剤の総称で、この薬が作用している間にチラミンを摂取したとき、致命的な高血圧が生じたり、重篤な肝障害を生じることがある。

日本では現在パーキンソン病の治療にのみ使われているが、海外ではうつ病の治療にも用いられる。

従来のモノアミン酸化酵素阻害薬では、モノアミン酸化酵素Bの働きを阻害し、改良された可逆性モノアミン酸化酵素A阻害薬(RIMA)では副作用が緩和されているものの、依然としてチラミンには注意が必要である。

脚注[編集]

  1. ^ Kantor, D (2006年11月21日). “MedlinePlus Medical Encyclopedia: Migraine”. 2008年4月4日閲覧。
  2. ^ a b http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/guidance/patient.html

関連項目[編集]