チャンドラヤーン2号

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チャンドラヤーン2号 (Chandrayaan-2) (चन्द्रयान-2)
Chandrayaan-2 lander and orbiter integrated stack.jpg
所属 インド宇宙研究機関
任務 オービターランダーローバー
周回対象
軌道投入日 2019年8月20日
打上げ日時 2019年7月22日
打上げ機 GSLV-III
任務期間 1年 (オービタ)
公式サイト ISRO - Chandrayaan-2

チャンドラヤーン2号(チャンドラヤーン2ごう、Chandrayaan-2、サンスクリット語: चंद्रयान-२[1][2])は、インド宇宙研究機関 (ISRO) による月探査ミッションである。当初はインドオービターロシアランダー/ローバーによる共同計画であったが[3][4]、後にインド単独の計画となった。2019年7月に打ち上げられ、8月に月周回軌道へ投入された(着陸は失敗)。

車輪のついたローバーは月表面を移動し、土や岩のサンプルを採取してその場で科学的な分析を行い、そのデータはオービタから地球に送信される予定であった[5]チャンドラヤーン1号のミッションを成功させたミルスワミー・アナドゥライの率いるチームが引き続き運営を担当している。

歴史[編集]

インド政府は、マンモハン・シン首相の下で、2008年9月18日にミッションを承認した[6]

2007年11月12日、ロシア連邦宇宙局とインド宇宙研究機関の代表者が、チャンドラヤーン2号のプロジェクトに対して両機関が協力するという協定に調印した[7]。インド宇宙研究機関はオービタを担当し、ロシア連邦宇宙局はランダー/ローバーを担当することとなった。宇宙船の設計は、両国の科学者の合同チームにより2009年8月に完成した[8][9]。チャンドラヤーン2号はインドのGSLV打上げ機によって2013年中に打ち上げられる予定であった[10]。ロシア側のこの探査計画はルナグローブ2(ルナ・レスールス)と呼ばれていた。

2013年8月に、ロシアの探査機を外して、インドの探査機のみの単独ミッションで打ち上げることに変更したことが明らかにされた。この大きな変更は、ロシアのフォボス・グルントミッションの失敗を受けて信頼性向上の対策を行った結果、重量が超過したためにインド単独の計画にするよう見直しされた[11]。またこれに伴って、2013年に予定されていた打ち上げ時期は2016年か2017年へと変更された[12]

しかし打ち上げはさらに遅延し、最終的に2019年7月22日に新型のロケットであるGSLV-IIIロケットにて打ち上げられた。すべてうまく行けば、着陸機が9月上旬には月面の南極域に降り立つ予定であった[13]。 月への軌道を順調に飛行した後、9月2日に着陸機「ビクラム」を切り離し、月面に向けて高度を徐々に下げていたが、現地時間9月7日午前2時ごろ(日本時間同5時半ごろ)、月面の上空2.1キロ付近まで降下したところで交信が途絶えた。正式に着陸が失敗したとは認めてないものの、ナレンドラ・モディ首相は「科学に失敗はない」と述べて事実上失敗したことを認め[14]、インド宇宙研究機関は「90~95%の目標は達成した」として通信の失敗原因に触れなかった[15]。その後の調査で月面に落下した着陸機は目標地点の近くで発見されており、一部の報道によれば分解はしておらず一塊のままと見られている[16]。成功の見込みは低いながらも、ISROはその後も交信を試みる意向である。しかし南極付近の斜面であるため日陰になりやすく発見が困難であり、その後の9月19日に着陸地点が夜を迎えたため、復活の可能性はさらに低下している[17]

設計[編集]

ロシアは、ランダーとローバーを設計し、製造した。宇宙船が月軌道に入ると、ローバーを抱えたランダーがオービタから放出され、月面に着陸して、ローバーがランダーの中から外へ転がり出る[18]。インド宇宙研究機関は、オービタに核エネルギーで電力を供給する実現可能性について研究を行う[19]

アメリカ航空宇宙局欧州宇宙機関も、オービタに積む計測機器を提供する形でミッションに参加する。既にインド宇宙研究機関に提案を送っていると報じられている[20]

ローバー[編集]

ロシア製のローバーの質量は50kgで、6つの車輪を備え、太陽電池で走行する。どちらかの極の付近に着陸し、1年間運用される。最高速度360m/hで走行距離は150kmに及ぶ。

ローバーに関しては、2013年8月の見直し前からインドが開発したローバー「プラグヤーン」に置き換える方針で開発が進められていた。

出典[編集]

  1. ^ candra”. Spoken Sanskrit. 2008年11月5日閲覧。
  2. ^ yaana”. Spoken Sanskrit. 2008年11月5日閲覧。
  3. ^ “Chandrayaan-2 to be finalised in 6 months”. The Hindu. (2007年9月7日). http://www.hinduonnet.com/2007/09/27/stories/2007092756381500.htm 2008年10月22日閲覧。 
  4. ^ “Centre approves Chandrayaan 2”. Deccan Herald. (2008年9月19日). http://www.deccanherald.com/Content/Sep192008/national2008091890836.asp 2008年10月22日閲覧。 
  5. ^ “ISRO plans moon rover”. The Hindu. (2007年1月4日). http://www.hindu.com/2007/01/04/stories/2007010401342200.htm 2008年10月22日閲覧。 
  6. ^ “Cabinet clears Chandrayaan-2”. The Hindu. (2008年9月19日). http://www.hindu.com/2008/09/19/stories/2008091961981800.htm 2008年10月23日閲覧。 
  7. ^ “India, Russia to expand n-cooperation, defer Kudankulam deal”. Earthtimes.org. (2008年11月12日). http://www.earthtimes.org/articles/show/140647.html 2008年11月11日閲覧。 
  8. ^ “ISRO completes Chandrayaan-2 design news”. domain-b.com. (2009年8月17日). http://www.domain-b.com/aero/space/spacemissions/20090817_chandrayaan-2_design.html 2009年8月20日閲覧。 
  9. ^ “India and Russia complete design of new lunar probe”. (2009年8月17日). http://en.rian.ru/world/20090817/155832962.html 2009年8月20日閲覧。 
  10. ^ “India and Russia Sign an Agreement on Chandrayaan-2”. ISRO. (2007年11月14日). http://www.isro.org/pressrelease/Nov14_2007.htm 2008年10月23日閲覧。 
  11. ^ “India Drops Russia from Chandrayaan-2 Lunar Mission”. spaceNews.com. (2013年8月15日). http://www.spacenews.com/article/civil-space/36795india-drops-russia-from-chandrayaan-2-lunar-mission 2013年8月18日閲覧。 
  12. ^ “India to launch second mission to moon by 2017”. Moondaily.com. (2014年1月13日). http://www.moondaily.com/reports/India_to_launch_second_mission_to_moon_by_2017_999.html 2014年1月26日閲覧。 
  13. ^ “「月の南極」初探査へ、インド宇宙開発のねらいは”. (2019年7月25日). https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/072500433/ 
  14. ^ “交信途絶えたインドの月面探査機 首相、着陸失敗認める”. 朝日新聞. (2019年9月7日). https://www.asahi.com/articles/ASM970V81M96UHBI04F.html 2019年9月14日閲覧。 
  15. ^ “目標の90~95%達成とインド 無人探査機の月面着陸失敗で声明”. 時事通信. (2019年9月8日). https://this.kiji.is/543096866482160737?c=39546741839462401 2019年9月14日閲覧。 
  16. ^ 塚本直樹 (2019年9月10日). “インド着陸機は衝突分解せず月面に存在? ISRO匿名筋の報道伝わる”. sorae.jp. https://sorae.info/space/2019_09_10_india.html 2019年9月15日閲覧。 
  17. ^ 塚本直樹 (2019年9月25日). “チャンドラヤーン2号の画像撮影失敗か、復帰の見込みもほぼなし”. sorae.jp. https://sorae.info/space/20190925-chandrayaan-2.html 2019年9月27日閲覧。 
  18. ^ India and Russia complete design of new lunar probe
  19. ^ Chandrayaan-II may have N-powered systems (08 August 2009)
  20. ^ “NASA and ESA to partner for chandrayaan-2”. Skaal Times. (2010年2月4日). http://www.sakaaltimes.com/SakaalTimesBeta/20100204/4693467461593115964.htm 2010年2月22日閲覧。 

外部リンク[編集]