ダーマ・イニシアティブ

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ダーマ・イニシアティブ(THE DHARMA INITIATIVE)は、テレビドラマ『LOST』に登場する架空の研究機関、思想的共同体。サンスクリット語のダーマから名付けられた。

概要[編集]

1970年ミシガン大学の博士候補生だったジェラルド・デグルート及びカレン・デグルートは気象学、心理学、超心理学、動物学、電磁気学、空想的社会動物学などを研究するために大規模な共同研究施設を構想した。デグルート夫妻は大学を離れるとデンマークの軍需産業の実業家であるアルバー・ハンソの財政支援を受け多目的社会科学研究施設を作ることとなった。

事務や組織運営全般は創立の地であり本部の置かれるアナーバーで行われている。

一方、主な実験は「島」に家族と共に住み込む職員らによって行われる。同時に、「島」のダーマ・イニシアティブ職員たちは、「調和を求めて」この島にやって来た宗教的自給自足共同体でもある。その信仰はやや混合宗教的で、 組織の名前「DHARMA」(ダーマ)や、メンバーの間で挨拶や祝福の際よく使われる言葉「Namaste!」(ナマステ!)がサンスクリット語であるのに対し、彼らの行動原理の底にあるのは旧約聖書であるともされている。また、アメリカ本土にある基地の一つはキリスト教の教会に設けられている。

ただし劇中、メンバーが信仰内容に強いこだわりを見せるような場面、描写は無い。「島」の超エネルギー探求事業の人員を集めるための方便として掲げられているようでもあり、実際、つまらぬ仕事をあてがわれてふてくされるロジャーのような人物もいるなど、宗教的生活共同体としての平等や調和は必ずしも優先事項になっていない。

ダーマにとって「島」の所在の秘匿は徹底を極める。まず、ダーマに入るには既に加入している人物からの勧誘を受ける必要がある。 そして加入を許された後も、島と外界の行き来は潜水艇の潜行によってのみ行われ、航行中、艦長と操艦要員以外は睡眠薬が義務づけられ、「島」の所在を推し量ったりその情報を外部に持ち出したりすることは、絶対にできないようにされている。

1970年代、島にきた当初から先住民と対立していたため休戦協定を作り争いは避けていたが、1992年、元ダーマメンバーである「他の者たち」のリーダー=ベンジャミン・ライナスが率い、また彼自身が発案した毒ガス攻撃により、幼かったイーサン以外の島内のダーマ・イニシアティブメンバーは全員死亡する。

スワン基地にいた人間は生き残ったが、彼らは島内の施設の配置も知らされず「交代要員」を待つ被験者であり、メンバーであるかどうかは判然としない。また、スワン基地にはダーマ村全滅後も定期的に食糧等のダーマ製生活物資が空中投下されていたが、誰が投下しているのかがスワン内部の被験者にはわからないようにされていた。これが何者によるものなのかもまた不明である。

また、「ランプ・ポスト」等の島外のダーマ施設も2000年代には「他の者たち」、あるいはその関係者の手中となっている。このため、島での毒ガス虐殺以降、ダーマ組織全体がどうなったのかは、劇中最後まで明らかにされない。

バラック[編集]

ダーマが島内職員とその家族の居住地として建設した村。

島の北西部の、やや海岸から離れた盆地にあり、山脈を背にしている。

中央には児童遊具を備えた公園、ピクニック場があり、その周りに計18軒の家屋が建ち並ぶ。内11軒が居住用の住宅であり、残りは公共施設である。

北部に警備事務所、ウェルカムセンター、レクリエーションルーム、南部に学校、カフェテリア、診療所、東部のやや離れた位置に車両整備所がある。

村内の家屋には、電気、上下水道などのライフライン、光熱、調理設備などが通常の住宅と変わらぬ水準に完備され、快適な生活をおくることができる。外敵の侵入を防ぐために集落の周りには「音波フェンス」が設置されている。ベンの自宅には、隠し扉から繋がる謎の地下室がある。

1992年、ベンの指令でリチャードたちと毒ガスを撒いてメンバーを皆殺し西、バラックを含むダーマの島内インフラの一切は、「他の者たち」が乗っ取った。

実はこの村の土地は、ダーマ入植前の1954年、「他の者たち」が処分した米国製水爆「ジャッグヘッド」の地下保管施設の真上にあたっている。

ステーション[編集]

ダーマ・イニシアティブが造った個々の役割をもつステーション。登場しているステーションの詳細を下記に挙げる。

ステーション1:ハイドラ[編集]

ギリシャ神話の6頭のヘビ“ハイドラ”の名を持つステーション。Season3初頭にてジャックたちが監禁された基地。本島から約3km離れたハイドラ島の水面下に位置している。島の面積はアルカトラズ島の2倍ほど。ダーマメンバーが毒ガスで皆殺しにされる前に、すでに使われなくなっていた。

鮫やイルカ、 遺伝子を組み換え熱帯でも生息できるようにしたホッキョクグマを飼育していた。また、サブリミナル効果の実験をする部屋や電磁気の研究をする場所があり、後者の施設では物語終盤、デズモンドの意識を並行宇宙に飛ばす試みがなされた。

ステーション2:アロー[編集]

島の北部、東海岸近くに所在。崖の壁面に設けられた扉から入る地下施設である。

主な目的は他の者たちの偵察。重火器が装備されており音波フェンスの調整も可能で要塞となっている。

815便後部座席組が発見し使用していた。建設の担当はホレス。

ステーション3:スワン[編集]

西側山脈南東端の麓に位置し、815便の胴体が落下した南岸西部のビーチにも比較的近い。

主な目的は島の異常な電磁波の制御。本来この基地は島の電磁波を研究するための物だったが建設中にエネルギー滞留地に穴を開け大量のエネルギーが放出されたためコンクリートで固め、以後少しずつエネルギーを放出するためのダムの役割になってしまった。安全にエネルギーを放出するためには108分ごとにコード(4,8,15,16,23,42)を入力しなくてはいけない。

このボタンを押さないと島のエネルギーが大量に放出されてしまうため非常に危険。実際デズモンドが初めて押し損ねたときは電磁波で飛行機の計器が狂い飛行機が墜落してしまった。ロックがボタンを押さないとどうなるか試した結果爆発した。

立地場所は「休戦協定」で立ち入りが禁止された「他の者たち」の領土であり、「グリッド334」と呼ばれていた区画である。しかしそこに基地を作ったため、建設時も非常に気を遣い完成後も地中に埋められている。

ブーンとロックが発見し他の者たちの襲撃を避けるため「ブラックロック号」のダイナマイトでハッチを破壊した。

チャン博士とラジンスキーが建設を担当していた。

コードを入力しないと島が爆発することを「他の者たち」は知っていたのでダーマのステーションで唯一「他の者たち」に占領されていなかった。

ステーション5:パール[編集]

真珠”という名のステーション。島のほぼ中央、東山脈の西側の麓にある。

双発プロペラ機のすぐ近くにありスワンなどの職員を観察している。ブーンが乗り込んだ際に飛行機が転落しハッチをふさいだためキャンプの近くにあるにもかかわらず発見されなかった。塩を除草剤に使って巨大な「?」(クエスチョン)が描かれ、上空から場所を確認しやすくされているが、何者が何の目的でそうしたかは明言されていない。他の者たちは場所を知っていて簡単に出入りしている。1977年にはまだなかった。

ステーション?:医療基地[編集]

クレアが誘拐され胎児の調査をしていた。島での病院の役割を持っている。ダーマの村=バラックにも住民用の診療所があるが、こちらはより先端的な医療実験施設の色彩が強い。

ステーション?:フレイム[編集]

”という名のステーション。島の北部、東西山脈の間にある。

大きなパラボナアンテナがあり島の外との通信基地。カメラやレーダー記録で不審者の侵入を監視するのにも使われ、1977年当時はラジンスキーが異状の有無をしばしば気にしていた。

島内のダーマ滅亡後は「他の者たち」のミハイルが住んでいる。ロックらに発見されたが、彼が誤って施設の自爆処分装置を作動させてしまい破壊された。

ステーション?:ルッキング・グラス[編集]

Season1で見つけたケーブルがつながっている施設。長らくそのケーブルは何かは不明だったがSeason3フィナーレにてこの基地に繋がるケーブルであることがわかる。

陸とは全くつながっていない海中基地であり、潜水艇や潜水夫が底面から上陸する以外、内部へのアクセス手段は無い。

ベンが「他の者」以外が島外と通信するのを妨害するための妨害電波発信に使っていた。これはベンが施設駐在員には秘密にしていた。

チャーリーが妨害電波を切るが、ミハイルが施設の爆破浸水処分をはかり、正常な通信を阻もうとする。チャーリーは命と引換に通信機から大切な情報を入手し、脱出するデズモンドに伝えた。

ステーション?:テンペスト[編集]

Season4で存在が発覚した毒ガス製造工場であり発電所。ファラデーとシャーロットが侵入し毒ガスは無効化された。

ステーション6:オーキッド[編集]

”という名の第6ステーション。島の西山脈の西側尾根にある。

表面上は植物の研究施設という事になっているが、時空を超える研究をしていた施設で、また島を動かすために造られたもの(だがベン曰く「動かすと何が起こるか分からない」ほど危険な事である)。地下深くの壁に「歯車」があり、これを動かすと、島が過去の色々な時代へランダムに移動する。「歯車」の位置を元に戻すと、島はその時の滞在している時代に再び固定される。「歯車」を動かした人、動物は1年1ヶ月未来のチュニジア、サハラ砂漠に飛ばされる。

1977年当時は、チャン博士の監督のもと、建設及び掘削作業中であった。

地上部の温室が建てられる前は、古井戸の底部から「歯車」の部屋にアクセスできた。元々「井戸」と「歯車」は古代の昔、黒服の男が仲間と共に作ったものである。埋まってしまう前は、タウエレトの石像が見えていた。

ステーション?:ランプ・ポスト[編集]

L.A.郊外の教会の地下にあり、唯一島外にある基地である。数十年前に造られた。特殊な電磁エネルギーが滞留して世界の他の滞留地につながっている。島が現れる場所を発見するのが目的でダーマが島を見つけたのもこの基地。中央には大きな世界地図があり揺れている振り子で島の位置を発見する。

島外ではあるが、2005年現在、その所有、管理者はダーマではなくなっており、「他の者たち」の一員であるファラデーの母エロイーズである。彼女は意識の転送状態にあるデズモンドとも顔見知りであった。

備品[編集]

車両[編集]

島に住むダーマ・イニシアティブ職員たちは、生活のため、あるいは業務のため、組織のオフィシャルカラーでペイントされた自動車を使っている。

フォルクスワーゲンTYPE2T2a
島内で最も多く使われている車両である。メーカーオリジナルのツートンカラーのうちボディ下半分の有彩色部分が水色に塗装され、フロント中央のフォルクスワーゲン社のエンブレムはダーマ・イニシアティブのそれに交換されている。劇中では、森林内でロジャー・ライナスの遺体と共に朽ちかけていた1両をハーリーが発見、景気づけにレストアして走らせ皆とはしゃいだのが初出である。ダーマが健在だった1974〜77年当時は、新品の車体が数多く稼働していた。
M38A1 ジープ
1両だけしか登場しないが、1977年当時、警備主任のソーヤーがよく乗っていたため活躍シーンが多い。これも水色で塗装されている。

船舶[編集]

潜水艇「ガラガ」(Galaga)
ダーマ・イニシアティブが「島」と外部を行き来する唯一の手段として用いている交通機関。「島」のダーマが滅んだ後は引き続き「他の者たち」が使用している。
洋上船舶を使用しないのは、乗船者が海上で見える風景から「島」の所在地を推し量ることができないようにするためである。
日本語吹き替え、字幕共に「Submarine」を「潜水艇」と訳しているが、海底調査がもっぱらで海中の昇降以外の移動力が貧弱な民間のそれではなく、小型ながら自力で巡航し外洋を横断できるため、潜水艦、あるいは潜行艇と呼ぶべきものである。形状は21世紀現在の潜水艦で主流の涙滴型ではなく、水上航行速度を重視した第二次大戦型のデザインに近い。
艇名の日本語音写も劇中の吹き替え、字幕では「ガラガ」とされているが、命名の元となったのは日本製アーケートゲーム『ギャラガ』(GALAGA)であり英字スペルも同じであるため、それにならえば「ギャラガ」が正しい。
シングルアウトリガーカヌー
本島とハイドラ島の間3kmを行き来するのに使用される手漕ぎの船。主胴と副胴(アウトリガー)の2つの船体で構成される、東南アジア島嶼部独特のカヌーである。粗末な人力の小舟が敢えて使われるのは勿論、航洋能力のある船舶での密入島、密出島を防ぐためである。
数艘が存在しており、島のダーマ滅亡後は「他の者」にも使用されていた。しかし、最終的には黒服の男の指示で全て破壊された。

航空機[編集]

「島」のダーマ・イニシアティブによって航空機が所有され、使用される明示的場面は無い。しかし、「ステーション3スワン」に、食料品をはじめとするダーマブランドの生活物資が定期的にパラシュートで空中投下されることから、何らかの飛翔体を物資運搬のために運用していたであろうことがほのめかされている。

銃器[編集]

ダーマ・イニシアティブは、自衛や組織内の保安を目的として、多くの銃器も保有している。

トカレフTT33
1974-77年のエピソードでも登場した他、「ステーション3スワン」の武器庫の所蔵火器群にも含まれていた。
マカロフPM
トカレフと同様、「スワン」の武器庫にあった。デズモンドが錯乱してナンバー入力用のコンピュータを撃ち抜いてしまったのもこの銃である。
コルトM1911(コルトガバメント)
第二次大戦前から長きにわたり軍、そして民間でも普及してきたアメリカ製自動拳銃のベストセラー。在りし日のダーマ職員の所有する拳銃として最も一般的であった。「スワン」の武器庫にもある。
ベレッタM92F
「スワン」の武器庫にあった。1970年代にはまだ存在していない銃である。「島」のダーマ滅亡後、「他の者」のミハイルも使っていた。
グロック17
合成樹脂が多用された自動拳銃。「スワン」の武器庫にあったが、1970年代にはまだ存在していなかった銃である。
SIG SAUER P226
「スワン」の武器庫の所蔵品。1970年代にはまだ存在していなかった銃である。
ルガーP08
ドイツ製の名銃して知られる拳銃。1970年代のダーマで使われていたが、それを2004年には「他の者たち」のトムが使っている。
AKMアサルトライフル
AK-47の改良型で、世界的に普及したいわゆるカラシニコフ銃の一つ。「スワン」の武器庫にあった。
SKS騎兵銃
1945年からある旧ソビエト製短銃身型自動小銃。「スワン」の武器庫の所蔵品。撃ち合いだけでなく、デズモンドとチャーリーがイノシシ狩りに使ったこともある。
レミントンM1100
「スワン」の武器庫の所蔵品。錯乱していたデズモンドが持ち出し、後にヨットの中からジャック達を敵と勘違いして撃った。イノシシ狩りにも使われている。

ハンソ財団[編集]

ハンソ財団(The Hanso Foundation)は、ダーマ・イニシアティブに対して資金援助をしている謎の組織。財団のオーナーであるハンソ家は19世紀に遭難して「島」に流れ着いた東インド会社の奴隷船「ブラックロック号」船長マグナス・ハンソの子孫達である。しかし彼らがどのような経緯と目的を持ってダーマ・イニシアティブの設立、運営に参加しているのかは不明。表向きは主に軍事産業等の事業をおこなっている模様。