ダークエルフ

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ダークエルフは、ファンタジー小説やテーブルトークRPGなどに登場する架空の種族。多くの場合、エルフの近縁種とされ、エルフが気位は高いものの人間に対し友好的(あるいは無関心)であるのに対し、人間に害を成す存在として描かれる[1]。また、エルフとも敵対していることが多い[1]

概要[編集]

上記のようなダークエルフの設定は、歴史的な伝承はもちろんのこと、『指輪物語』にも登場してこない。『指輪物語』ではむしろオークエルフに敵対する存在として、そのポジションを占めており、劇中に「オークはエルフの紛い物」との記述もある(ただし、オークは醜く愚かしい怪物として描かれている)。前史である『シルマリルの物語』では、古代に浄福の国の光に接する機会のなかったエルフたちが「暗闇のエルフ」と呼ばれるが、上記とは全く別の意味である(原語版ではDark Elfである)。同作には闇の陣営に唆されて一族を裏切ったエルフも登場するが、これはあくまでも個人であり種族というわけではない(ただ、敵に捕らえられたエルフがオークに変えられた事を仄めかす記述はある)。

テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に登場するダークエルフは「ドラウ・エルフ(堕落したエルフ)」とも呼ばれ、ほぼ上記の存在とされている。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を世界背景に採用した小説、『フォーゴトン・レルム』シリーズのうち『アイスウィンド・サーガ』『ダークエルフ物語』(R・A・サルバトーレ著)では、ダークエルフとしては例外的に善良な心を持つキャラクターが主人公として登場している。『ドラゴンランス』シリーズや『ソード・ワールドRPG』シリーズなどにも同様のダークエルフが登場する。

起源[編集]

北欧神話で、「闇のエルフ〔デックアールヴ〕」という存在は、英語に直訳すると「ダークエルフ」であるが、原典(スノッリ・ストゥルルソン著『散文エッダ』)においては、「黒エルフ〔スヴァルトアールヴ〕」と同義であり、「黒エルフの国〔スヴァルトアールヴヘイム〕」には、ドワーフということが確定できるグレイプニル作成の鍛冶たちや、アンドヴァリ[注釈 1]が住んでいる。)また、「闇の妖精〔デックアールヴ〕」に対する「光の妖精〔リョースアールヴ〕」などの区別は、より古い北欧神話の経典である古エッダにはない。

ダークエルフの類型[編集]

D&Dのダークエルフ[編集]

テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)の背景世界、特に「グレイホーク」「フォーゴトン・レルム」「エベロン」の世界設定では、ダークエルフはドラウ (もしくはドロウdrow) と呼ばれている。彼らは漆黒の肌と白い髪を持ち、一般的に凶悪である。

ミスタラ」の世界設定では、漆黒肌のダークエルフではなく、色素の薄い肌と髪を持つシャドウエルフ (shadow elf) と呼ばれる種族が存在している。シャドウエルフは、はるか昔に魔法の影響で地下世界に閉じ込められてしまったエルフが、地下世界に適応するために変異・進化したものである。

ドラゴンランス」世界(クリン)でのダークエルフは、エルフと別の種族ではない。クリンでは、他のD&D世界のような「ドラウ」は存在せず、主として悪事を働いたためにエルフ社会から追放されたエルフに与えられる蔑称である。ただし、クリンのエルフは観念的に、むしろ過剰に「善」であろうとする傾向がある為、必ずしも邪悪な存在とは言えない。同シリーズに登場するダラマールはその好例である。ただし、ドラゴン卿となったフェアル・サスのような例[要文献特定詳細情報]もある。

また初期にはゲームブック「ウェイレスの大魔術師」などのように他のD&D世界と同じDrow型のダークエルフが登場する作品も存在した。

フォーセリアのダークエルフ[編集]

ロードス島戦記」や「ソード・ワールドRPG」などの舞台となる「フォーセリア」の世界でのダークエルフは、茶褐色の肌である。彼らは必ずしも凶悪あるいは邪悪というわけではないが、上古の時代の「神々の大戦」の際に暗黒神ファラリスによって妖精界から召喚された存在であるとされ、暗黒神への信仰を「魂に刻まれている」為、多くの場合は悪の陣営とされる側に属している。能力や特性ではむしろ一般のエルフより優れている(ハイ・エルフにほぼ相当する)。「クリスタニア」のリプレイ版には、上古の時代から生き続けている「ダークエルフ・ハイロード」が登場する。これはおそらくはハイ・エルフの最長老をも凌ぐ、ほとんど神(邪神)に近い力を持つとされている。

フォーセリア世界のダークエルフは、強い忠誠心や深い愛情で結ばれることもある。代表的な例は、人間の男性アシュラムとダークエルフの女性ピロテースとの関係である。また、『サーラの冒険』シリーズ(山本弘)には、エルフの父親とダークエルフの母親の婚姻によって生まれたキャラクターが登場する(このダークエルフの母親も作中に登場するが、魅力的なキャラクターであり「邪悪な存在」とは言い難い)。『ダークエルフの口づけ』(川人忠明)は、ダークエルフにも市民権が与えられているファンドリア王国を舞台としており、ヒロイン役としてダークエルフが登場する。

関連項目[編集]

脚注[編集]

補注[編集]

  1. ^ リヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指環』でも、北欧のアンドヴァリにあたるアルベリッヒはドヴェルグと位置付けられている。

典拠[編集]

  1. ^ a b サイドランチ 「エルフ」『ゲームシナリオのためのファンタジー解剖図鑑:すぐわかるすごくわかる歴史・文化・定番260』 誠文堂新光社、2016年ISBN 978-4416516072