ダイヤモンド半導体

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ダイヤモンド半導体(ダイヤモンドはんどうたい、diamond semiconductors)とは、人工ダイヤモンドを使用した半導体のことである。報道においてダイヤ半導体と略される場合もある。

概要[編集]

他のシリコン炭化ケイ素窒化ガリウムといった半導体素材と比べ、ダイヤモンドは絶縁耐圧や熱伝導率といった物理特性に優れており、究極の半導体になると言われているが、その実用化は技術的に実現不可能と思われてきた。しかし、近年物質・材料研究機構産業技術総合研究所などの日本の研究グループや日本国内の企業などで高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功するなど、基礎技術が大いに発展がしてきたことにより、実用化の可能性が開かれてきている。これに伴い、次世代の半導体候補として国家レベルの研究開発が開始するなど、この分野の研究が日本国内で活発となってきている。さらに、日本国外でも研究開発が積極化しつつある。

物性[編集]

現在主流のシリコン半導体に比べ、数十倍から数百倍とも言われる大幅な高速化が可能で基本性能自体が高いばかりか、耐熱性なども極めて優れ過酷な環境下でも動作する。さらに大気中で安定な負性電子親和力(Negative electron affinity: NEA)を示す唯一の材料である。近年、超伝導特性も発見されている。

歴史[編集]

課題[編集]

  • 現在、日本国内にて複数の研究機関、大学等で開発が進められているが、ダイヤモンド半導体の基盤となる大型単結晶基板を作ることが困難である。現在は主流の2mm角の基板を用いて単結晶ダイヤモンド薄膜を合成することに成功している。今後は、この結晶基板サイズを大きくすることが重要な技術的な課題である。
  • 不純物を抑えることが半導体物性利用上重要であるが、コストを抑えての更なる高純度化技術の開発が望まれる。
  • ホウ素およびリンなどをドープし、p型、n型制御を実現している。しかしダイヤモンド格子に欠陥を与えずにこれらのイオンをドープする技術の開発が課題である。
  • 電極などの他の物質との接触部で、ナノレベルの不要な界面構造が生じる。今後はこれら接触界面の均一化が必要とされる。

想定される応用例[編集]

ダイヤモンド半導体は他の半導体材料に比べて耐久性が高く、宇宙などの苛酷環境での使用に向いている。

また、優れた物理特性により、ダイヤモンド半導体を用いたパワーデバイスを電気自動車や産業機器などの制御モジュールに搭載することで、大幅な省エネルギーが達成できる可能性がある。

衛星通信分野では現状宇宙空間の環境に耐えられる半導体増幅器が存在しない為、進行波管(TWT)という真空管ベースの増幅器が使用されていたがダイヤモンド半導体が実用化されれば衛星の軽量化によるコスト削減、効率向上によるデータ転送量の増大で8Kの次世代デジタル放送においても現行方式と同等水準の受信環境を実現する為に実用化は必須である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]