ダイヤモンド・プリンセス (客船)

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ダイヤモンド・プリンセス
Diamond Princess in Hobart.jpg
基本情報
船種 クルーズ客船
船籍 2004-2014 バミューダ諸島の旗 バミューダ諸島 ハミルトン
2014-現在 イギリスの旗 イギリス ロンドン
所有者 P&O
運用者 プリンセス・クルーズ
建造所 三菱重工業長崎造船所
姉妹船 サファイア・プリンセス
建造費 5億米ドル
航行区域 日本、アジア
船級 ロイド船級協会[1]
信号符字 2HFZ7
IMO番号 9228198
MMSI番号 235103359
経歴
竣工 2004年2月26日[1]
就航 2004年3月13日
現況 就航中
要目
総トン数 115,875 トン
全長 約290 m[1]
全幅 37.50 m[1]
高さ 54 m(水面上)[1]
喫水 8.05 m[1]
デッキ数 18
機関方式 統合電気推進
主機関 ディーゼル
バルチラ 9L46C(9,450 kW[1]) 2基
バルチラ 8L46C(8,400 kW[1]) 2基
ガスタービン
LM2500+ (25,000 kW[1]) 1基
推進器 電動ポッド推進器(20,000 kW) 2基[1]
航海速力 22ノット
旅客定員 2,706名
乗組員 1,238名
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停泊するダイヤモンド・プリンセス(2006年2月25日)

ダイヤモンド・プリンセス(Diamond Princess)は、イギリスP&O社が所有しアメリカプリンセス・クルーズ社によって運航されている外航クルーズ客船

概要[編集]

アメリカに本拠地があるカーニバル・コーポレーションCarnival Corporation & PLC)の傘下のプリンセス・クルーズ社が運航しているクルーズ客船であり、同型の姉妹船にサファイア・プリンセスがある。

客室総数1337室。そのうち72%の960室が窓が外に面している部屋いわゆる「オーシャンビュー」であり、56%の748室には専用バルコニーをそなえ、バリアフリーに配慮した客室が29室ある[1]レストランは乗客の好みに応じるため7つあり、24時間営業のものもある[2]

環境規制の厳しいアラスカ水域でも運航するために、ガスタービン発電機も設置し、また最新鋭の排水処理システムも採用している[3]

2014年に日本マーケット向けに大規模なリノベーションを行い、展望浴場や寿司バーなどが新設された。また、船籍バミューダから英国(ロンドン)へと変更した。2017年にはドライドックにて、船体前方部にプリンセスのロゴマークである「シーウィッチ」の塗装が追加された。

近年の運行スケジュールは日本人向けの日本発着のクルーズを主に担当している。

2020年2月初旬に、新型コロナウイルスに感染した人が横浜から香港にかけて乗船していたことが発覚し、横浜港で長期検疫体制に入り、その後も感染していたと判明した人の人数が増え続ける事態となった(#新型コロナウイルスの集団感染の節も参照)。

船室構成[編集]

デッキ名 設備
1 - 3 - 非公開
4 ガラ・デッキ 医務室
5 プラザ・デッキ 客室、ランドリー、アートギャラリー、ライブラリー、ツアーデスク、リピーターデスク、アトリウム[4]、インターネットコーナー、クルーズデスク、カフェ、バー、メインダイニング×2
6 フィエスタ・デッキ シアター(1F)[4]、シガーラウンジ、客室、チャペル、バー×2、カジノ[4]、フロント、ショップ×2、メインダイニング[4]×3
7 プロムナード・デッキ シアター(2F)[4]、バー×4、ショップ×3、ラウンジ、フォトショップ、寿司レストラン、イタリアンレストラン
8 エメラルド・デッキ 客室、ランドリー
9 ドルフィン・デッキ 客室、ランドリー
10 カリブ・デッキ 客室、ランドリー
11 バハ・デッキ 客室、ランドリー
12 アロハ・デッキ 客室、ランドリー、プール(屋外)
14 リド・デッキ 操舵室、客室、バー×3、ピザスタンド、ハンバーガースタンド、プール(屋内・屋外)、ジャグジー(屋内・屋外)、アイスクリームスタンド、ビュッフェレストラン、ステーキハウス
15 サン・デッキ フィットネスセンター、エアロビクススタジオ、スパ、プール、美容室、サウナ、バー、屋外スクリーン、ソラリウム、卓球、子供向け施設、展望大浴場
16 スポーツ・デッキ サンクチュアリ(野外リラクゼーションスペース)、フォトスタジオ、ミニゴルフ、シャッフルボード、デッキチェス、バー、ジャグジー
17/18 スカイ・デッキ スポーツコート(バスケットボール、パドルテニス)、ディスコ、バー

※デッキ13は欠番

機械装備[編集]

発電機

当船は4基のディーゼル発電機と、1基のガスタービン発電機をそなえている。

ディーゼル発電機のうち2基は直列9気筒型 (9L46)で、別の2基は直列8気筒型(8L46)であり、それぞれ9,500 kW (12,700 hp) および8,500 kW (11,400 hp)のパワーを生み出す。燃料は C重油バンカーC)である。

ガスタービン発電機のほうはゼネラル・エレクトリック社のLM2500であり、最大で25,000 kW (34,000 hp) のパワーを生み出す。燃料は船舶用ガスオイル(MGO:Marine Gas Oil)である。このガスタービン発電機のほうが発電費用が高くつくものであるが、主にアラスカなど排ガス規制が厳しい海域で使用するために設置されている。

着岸用装備

着岸時の操船のために、二台の電気モーターにより駆動される固定ピッチのプロペラも装備している。また6台のスラスター(船首に3台、船尾に3台)も備える。

運航エリア[編集]

主に夏季はアジア、冬季はオーストラリアでクルーズを開始している。

2014年4月〜10月は日本に配船され、20本の横浜発着クルーズを行った。さらに2015年以降は日本人向けに設備を改造し主に4月〜10月にかけて日本発着クルーズを毎年行い、2019年以降は2月からの開始に延長される予定[要出典]である。

建造[編集]

現在「ダイヤモンド・プリンセス」と呼ばれている船体は、もともとは「サファイア・プリンセス」という名で建造開始されたものである。運航会社は対外的に「ダイヤモンド・プリンセス」という名の船をまず運航する予定だと発表し、それにもとづいてさまざまな段取りをつけていて、2つの船体が(ダイヤモンド・プリンセス号が先行し、サファイア・プリンセス号が後追いする形で)同時並行的に建造されていたのだが、当時「ダイヤモンド・プリンセス」と呼ばれていた船体のほうで三菱重工業が火災事故を起こしてしまい、修復作業や作業再開に日数がかかりすぎ納期が大幅に遅れ、運航会社にとって支障が出る、と判明したため、しかたなく姉妹船で無事に建造中だった「サファイア・プリンセス」と呼んでいた船体のほうを「ダイヤモンド・プリンセス」という名前に変更し、火災事故が起きた船体(当初「ダイヤモンド・プリンセス」と呼ばれ、先行するはずだった船体)のほうの完成は後になってしまうことは受け入れ、同船体の名称を「サファイア・プリンセス」へと変更した、という経緯がある。

2002年10月1日、午後5時50分頃、長崎市飽の浦町の三菱重工業長崎造船所内にて造船所2180番船として艤装工事中の「ダイヤモンド・プリンセス」(当時「ダイヤモンド・プリンセス」と呼ばれていて現在「サファイア・プリンセス」と呼ばれることになった船体)が火災を起こした。出火時に船内では約1000名の従業員が作業をしていたが全員すぐに避難して怪我人などは出なかった。稲佐消防署の発表では出火場所は船体中央部付近で全14デッキ(甲板)のうちの下から5番目のデッキ付近から出火したと見られている。施主であるP&Oに対する納入期限が2003年7月に迫っていたため、同時に建造していた2番船(造船所2181番船・サファイア・プリンセス)を急遽、新「ダイヤモンド・プリンセス」として改修し[5]、つまり「サファイア・プリンセス」として建造していた船体を「ダイヤモンド・プリンセス」と改名し登録しなおして、2004年2月に「ダイヤモンド・プリンセス」として7ヶ月遅れながらも納入にこぎつけた。これが現在「ダイヤモンド・プリンセス」と呼ばれている船体である。

新型コロナウイルスの集団感染[編集]

除染作業のため大黒埠頭に停泊中のダイヤモンド・プリンセス(2020年3月1日)

2020年1月20日に横浜を出発するクルーズ M003 (PDF) に参加し、1月25日に香港で下船した乗客が、2019新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)に感染していることが判明した[6]。2月3日に横浜港大黒埠頭に移動し長期の検疫体制に入ると、他の乗客の感染が相次いで判明し、各国メディアが大々的に報じる事態となった。

当船は、2020年1月20日に横浜港を出発後、1月22日に鹿児島に寄港、1月25日に香港に到着。その後、ベトナム台湾を巡り、2月1日に那覇を経て、2月4日に横浜へ帰港する行程だった。

1月25日、横浜から乗船した中国系男性乗客が香港で下船した。男性は乗船中の1月23日から咳の症状を呈し[7]、下船後の1月30日に発熱、2月1日に新型コロナウイルス陽性が確認された。

当船は香港出発後、那覇への寄港を2月1日に終え、次の寄港地の東京エリアに向かっていたため、関東域で検疫の体制に入ることになった。行程を早めて2月3日に横浜に戻り、2月4日に横浜港沖にて273名に再検疫を行った。2月5日には、検査結果が判明した31名のうち、10名に陽性反応が確認され、神奈川県内の医療機関へ搬送された[8]。2月5日早朝まで船内での行動は制限されておらず、ショーなどのイベントは通常通り開催されていた[9]。2月5日早朝以降、症状が発生していない乗員・乗客合わせて約3,700人は14日間、船内で待機することとなった[10]

乗客のうち330人のアメリカ人については、当初は日本政府が早期下船と帰国を提案したもののアメリカ政府が船内に留めることを要請し、2月15日になってアメリカ政府が帰国方針に変えたことが明らかになっている[11]

乗客は基本的に船室待機で、2月6日より7階や15階のデッキ左舷側に1時間ほど交代で出られるようになった。[要出典]2月9日、運航会社プリンセス・クルーズは全乗客の旅行代金等を払い戻し、無料とするコメントを発表した[12]

法的には、多国間を移動する船舶の船上は各寄港地の「国内」とは見なされず、WHOはダイヤモンド・プリンセス船内で発生した感染者について、日本国内で発生した感染者として計上していない。日本政府もWHOの方針に沿って日本国内で発生した感染者として計上していない[13]

当初乗船していた約3700人は、船長を含めて全員が3月1日までに下船した[14]。この時点での乗客・乗員の感染者数はのべ706人、うち4人が死亡している[14]

3月15日、船籍の置かれているイギリスのボリス・ジョンソン首相が、日本の安倍晋三総理大臣との電話会談の際、日本の支援に対する謝意を示した[15]

3月25日午後、除染を終えて横浜港を出港し、改修のために本牧埠頭にある工場に向かった[16]。この際、船は船室の照明を利用して「#ARIGATO JAPAN♡」のイルミネーションを点灯している[17]。4月3日、アメリカのジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使は「ダイヤモンド・プリンセス号の米国人乗客は最高のケアを受けました」「これは優秀な地域医療だけでなく日本の素晴らしい“おもてなし”の心を映し出すものです」と謝意を述べている[18][19]

2020年5月16日午後、横浜港を出港しマレーシアへ向かった[20]。運行会社によるとCOVID19次第ではあるが2020年10月1日からの日本発着クルーズより再度日本投入予定である。

ギャラリー[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g h i j k 斧口淑郎他 2004, p. 310.
  2. ^ 斧口淑郎他 2004, pp. 310-311.
  3. ^ 斧口淑郎他 2004, p. 312.
  4. ^ a b c d e 斧口淑郎他 2004, p. 311.
  5. ^ 斧口淑郎他 2004, p. 315.
  6. ^ 新型コロナウイルスへの対応について(2020年2月4日付 10:00) - プリンセス・クルーズ 2020年2月4日
  7. ^ 国立感染症研究所の報告書「現場からの概況:ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例」”. www.niid.go.jp. 2020年2月29日閲覧。
  8. ^ 横浜港停泊のクルーズ船、10人に陽性反応 新型ウイルス - BBC NEWS 2020年02月5日
  9. ^ 乗客が語るクルーズ船内…イベントは通常開催 マスクなし、接触は制限されず - 産経新聞 2020年2月4日
  10. ^ クルーズ船、新たに10人感染 食料補給のため着岸―乗客ら検査続く・新型肺炎 - 時事通信 2020年2月6日
  11. ^ クルーズ船米人乗客 当初は米側が「船内に」とどめるよう要請”. NHK News Web. 2020年2月23日閲覧。
  12. ^ ダイヤモンド・プリンセス-全乗客の旅行代全額払い戻し - 産経新聞、2020年2月10日配信。
  13. ^ クルーズ船の感染者は日本国内感染者とは別扱い? 加藤厚労相が方針”. SankeiBiz (2020年2月7日). 2020年2月10日閲覧。
  14. ^ a b 横浜のクルーズ船どうなる? 全員下船も出港見通せず”. 日本経済新聞. 2020年4月3日閲覧。
  15. ^ 日英首脳電話会談”. 外務省 (2020年3月15日). 2019年5月17日閲覧。
  16. ^ “ダイヤモンド・プリンセス出港 改装作業へ”. 日テレNEWS24. (2020年3月25日). https://www.news24.jp/articles/2020/03/25/07615337.html 2020年4月4日閲覧。 
  17. ^ @PrincessCruises (2020年3月31日). "ダイヤモンドプリンセスの出港を告知するプリンセスグルーズのツイート" (ツイート). Twitterより2020年4月4日閲覧
  18. ^ 日本の医療関係者へ感謝のメッセージ” (2020年4月3日). 2020年4月4日閲覧。
  19. ^ “ダイヤモンド・プリンセス号に対応した日本の医療関係者に米国大使から感謝の言葉 「最高のケアを受けました」-Yahooニュース”. ねとらぼ. (2020年4月3日). https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200403-00000065-it_nlab-soci 2020年4月4日閲覧。 
  20. ^ “ダイヤモンド・プリンセス号が横浜を出港 マレーシアへ :朝日新聞デジタル”. 朝日新聞. (2020年5月17日). https://www.asahi.com/articles/ASN5J63BKN5JUTIL01V.html 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]