タールア駅

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タールア駅
ท่าเรือ
Tha Rua
バーンプルックラット (3.57 km)
(6.05 km) バーンモー
地図
所在地 タイ王国の旗 タイ王国
アユタヤ県タールア郡
北緯14度33分44秒 東経100度43分27秒 / 北緯14.56222度 東経100.72417度 / 14.56222; 100.72417
駅番号 1039
所属事業者 タイ国有鉄道
等級 一等駅
所属路線 北本線
キロ程 102.73 km(クルンテープ駅起点)
電報略号 ทร.
駅構造 地上駅
ホーム 2面2線
開業年月日 1901年4月1日
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タールア駅(タールアえき、タイ語:สถานีรถไฟท่าเรือ)は、タイ王国中部 アユタヤ県 タールア郡にある、タイ国有鉄道 北本線である。

概要[編集]

タールア駅はタイ王国中部アユタヤ県の、人口約5万人が暮らすタールア郡にある。タールアとは、タイ語で港を意味する。内陸部で「港」とは奇妙だが、パーサック川が当駅を包む様に「J」字形に流れており、水運しか輸送手段のなかった時代では重要な位置づけであった。クルンテープ駅バンコク)からは102.73km地点に位置し、快速列車利用で2時間15程度である。町の中心部に位置するため、利便性が良いが小さな町である。駅の正面側(西側)が、市街地である。

一等駅であるが、特急急行は停車せず、1日当たり26列車(13往復)の発着があり、その内訳は快速4往復、普通9往復である。当駅を含むバーンパーチー分岐駅からロッブリー駅 までは、複線区間である[1]

当駅で特筆すべきは、かつて当駅よりサラブリー県クンコローン町(当時)まで民営鉄道であるプラバート軌道が伸びていた点が挙げられる(後述)。

プラバート軌道[編集]

プラバート軌道[2]((泰)รถรางพระพุทธบาท ททุนจำกัด (英)Phra Phutthabat tram Co.,ltd [3]) は、当駅よりサラブリー県プラプットバート区(当時)[注釈 1]クンコローン町((泰)ขุนโขลน、(英)Khun Khlon)までを結ぶ全長19 kmの軽便鉄道である[4]。タイでは数少ない民営鉄道であり、その軌間は600 mmとされるが、写真の分析により約750 mmとする見解もある[3][5]1901年に免許が交付され、1903年に完成した。その後タールア鉄道に継承され1942年に廃止された[6][注釈 2]

歴史[編集]

1897年3月26日にタイ官営鉄道最初の区間が、クルンテープ駅 - アユタヤ駅間に開業した[7]1900年12月21日に当初計画のナコンラチャシーマ駅まで完成した。この頃北本線チエンマイ延長が決定し、1901年4月1日ロッブリー駅まで完成、それに伴い当駅も中間駅として開業した[8]。なお、当駅開業の約21年後の1922年1月1日に、北本線はチエンマイ駅まで全通完成した[9]

タイ国有鉄道 北本線
1897年3月26日 【開業】クルンテープ駅 - アユタヤ駅 (71.08 km)
1897年5月1日 【開業】アユタヤ駅 - バーンパーチー駅 (18.87 km)
1901年4月1日 【開業】バーンパーチー駅 - ロッブリー駅 (42.86 km)
プラバート軌道
1903年 【開業】タールア駅 - プラプッタバート駅 (19 km)
1929年 【運休】(免許失効のため)[3]
1931年 3月31日【再開】タールア鉄道として運行再開[3]
1940年 6月24日 (パホンヨーティン通りサラブリー - ロッブリー間が延伸開業。以降、輸送量が激減)
1942年 【廃止】タールア駅 - プラプッタバート駅 (19 km)

駅構造[編集]

単式及び島式1面の複合型ホーム2面2線をもつ地上駅であり、駅舎はホームに面している。

  • プラバート軌道の駅は国鉄駅の東側にあったとされている。

周辺[編集]

  • ボーソック駅遺構 - 駅より約10 km、バーンポー郡タムボン・サンソック庁舎の敷地内。確認されている建物としては唯一の、現存するプラバート軌道遺構(2021年現在)であるが、どのような目的の構造物であるかは不明。
  • ワット・プラプッタバート - 駅の北北東、約19 kmにある仏足跡で有名な寺院。プラバート軌道は国道3022号線沿いにこの付近まで伸びていた。サラブリー県の県章にも描かれている。なお現在の最寄り駅としては当駅よりもノーンドーン駅が近い。

注釈[編集]

  1. ^ 当時の日本語地図(帝国陸軍地図、外部リンク節を参照)における表記に倣い「プラプットバート」とした。現代的な呼称であればプラプッタバート郡となる。ただし、2021年現在におけるクンコローンはプラプッタバート市タイ語版に属する。なお『プッタバート』とは『仏陀の足跡』の意味である。
  2. ^ タイの鉄道リスト(英語版)によれば、Phra Phutthabat Railwayは1902年開通、1947年廃止になっている。同年に鉄道用地が道路局に売却された記録に基づくとみられるが、詳細不明。

脚注[編集]

  1. ^ 柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 (京都大学学術出版会、2010年)p.295
  2. ^ 『王国の鉄路』による日本語表記に基づく。開業時の現地法人名を日本語に訳せば『プラプッタバート路面軌道株式会社』
  3. ^ a b c d สุนันทา เจริญปัญญายิ่ง. “ทางรถไฟสายท่าเรือ–พระพุทธบาท” (タイ語). สถาบันการขนส่ง จุฬาลงกรณ์มหาวิทยาลัย. チュラーロンコーン大学. 2018年11月3日閲覧。Archived 17-07-2019 at the Wayback Machine.
  4. ^ 柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 (京都大学学術出版会、2010年)p.47
  5. ^ 『The Railways of Thailand』 p.183 White Lotus
  6. ^ 柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 (京都大学学術出版会、2010年)p.163
  7. ^ 柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 (京都大学学術出版会、2010年)p.25
  8. ^ 柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 (京都大学学術出版会、2010年)p.26
  9. ^ 柿崎一郎 『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』 (京都大学学術出版会、2010年)p.25 - p.28

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]