タナロット寺院

タナロット寺院(インドネシア語:Pura Luhur Tanah Lot)は、インドネシア・バリ島中西部のタバナン県の海岸にあるヒンドゥー寺院でバリ六大寺院のひとつ。タナロットは「海の中の土地(Tana)」と「岩(Lot)」の合成語[1]。
概要
[編集]寺院はバリのヒンズー教文化の中心的な場所でもあり、さまざまな宗教的儀式が行われる。寺院は海中に船のように浮かぶ大きな岩盤の上に置かれ、夕暮れ時にはインド洋に沈む夕日をバックにシルエットとなり浮かぶ寺院の姿は神秘的で圧巻であり、バリ島を代表する観光地ともなっている。干潮時には陸続きとなり、歩いて渡ることができる。岩の上の寺院内にはヒンズー教徒以外は入れないが、干潮時に寺院の建つ岩場まで行くことは可能である。岩の下には聖水が湧く泉があり、観光客も参拝できる[2]。
岩場は長年の潮の満ち引きによって少しずつ形を変えてきた。エルニーニョ現象による海面の上昇などが原因で、1980年に海岸の浸食が進んでいたが、バリ島の歴史的建造物保護のために出資された日本のODAによる景観を再生するプロジェクトが行われ修復された。名前の由来は、真ん中の土地という意味のトゥンガ・ロットが変化したものといわれている。また、通称ロックテンプルとも呼ばれている[1]。
寺院に向かう参道には、数多くの土産店や飲食店が建ち並ぶが、特にレストラン・カフェのあたりは高台となっており、ここから夕日にシルエットとなる寺院の全容が鑑賞できる。またタナロット名物にクレポンがあるが、これはパンダンハルムという植物で色を付けた餅で椰子砂糖シロップであるグラメラを包み、ココナッツフレークを掛けた素朴な菓子で、噛むと中から甘いグラメラが噴出し、甘く懐かしい味がする[2]。
特に雨季が明けて乾季に入る4月から10月は雨が少なく、晴れた日が多いため、海と寺院、夕日を一望できる確率が高い。バリ島にはこのほかサンセットで有名な観光地として、ウルワツ寺院やクタビーチがあるが、それらに比較し日没時の観光客は少ない[1]。
由来
[編集]16世紀にジャワの高僧ダン・ヒャン・ニラルタがこの地を訪れ、海に浮かぶ岩島の美しさに心惹かれ、この景観こそ神々が降臨するにふさわしい場所として、村人に海の守護神を祀る寺院を建てるよう勧めたのが起源とされる[2][1]。
海蛇の巣
[編集]海岸の洞窟には、寺院の守り神とされる毒をもつ海蛇の巣があり、悪霊や侵入者から寺院を守る守護神だとされ、お布施を払うと拝観することができる[2][1]。
ケチャックダンス
[編集]日没頃から寺院の付近でケチャックダンスが行われる。ウルワツ寺院より規模は小さいが、日没を背景に行われ、会場が小さいため、ダンサーとの距離が近い[1]。
所在地・その他
[編集]- Beraban, Kediri, Tabanan Regency, Bali 82121, Indonesia
- 開場時間:午前6時から午後7時まで