タックイン (自動車)

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タックインとは、自動車において旋回中にエンジン出力を絞る(スロットルを閉じる)とハンドルを切っている方向に急激に切れ込む現象をいう。コーナーへ進入した後でスピードが出すぎていることに気付き、アクセルペダルを戻すような場面で発生することがある。初期の前輪駆動方式の自動車で発生しやすかった。

和製英語で、由来は不明である。この現象を指す簡潔な英語のフレーズも特にない。ISO 9816にある、この現象に相当する表現は「Power-off reaction of a vehicle in a turn」となっている。

原理[編集]

前輪駆動車の場合、アクセルを戻すことによって発生するエンジンブレーキがフロントにかかり、結果として旋回力が増幅する。

その理由は、高速旋回中の車両の姿勢が、後輪のスリップアングル相当に内向きとなっているためである。つまり、低速時の旋回姿勢(内輪差という言葉とともに自動車教習所で習う)とは逆で、前輪の回転半径が後輪のそれより小さくなっており、フロントタイヤのエンジンブレーキすなわち旋回中心側でのブレーキが車両の回転力を生む。

また、旋回と駆動の両方に使われていた前輪のグリップが、アクセルオフの瞬間(ほんの一瞬だけ)は旋回のみに使われることになり、一時的に前輪のグリップが上がることが、タックイン開始のきっかけとなる。

注意点[編集]

この特性をよく理解していれば、タックインとアンダーステアを利用して連続するカーブを速く安定して走りぬけることが可能となる。しかしながら、この特性をよく理解していない、もしくは知らない状態でタックインが発生した場合、そのまま内側のガードレールに激突したり、慌ててアクセルを開けるとアンダーステア傾向が顔を出し、カーブの外側へ飛び出したりと、思わぬ重大事故につながることがある。

前輪駆動車の普及以降はタイヤの性能向上が目覚ましく、コーナリング時にブッシュの変形でリアタイヤがフロントと同相となって車両の安定を保つサスペンションジオメトリーも一般化しておりタックインの影響を大幅に減らしているが、物理的に完全に消すことはできず、凍結など、路面が滑りやすくなる条件下では顕著となる。

創作物でのタックイン[編集]

カーレースゲームで、タックインっぽい挙動を取り入れているものがある。具体例としては、リッジレーサー4リッジレーサー5で、シリーズ他作と同様のいわゆるリッジドリフトの挙動をする「ドリフト」タイプの他に、異なった味付けの挙動の「グリップ」タイプに設定されている車が挙げられる(初代のバグっぽい挙動であるいわゆるサイレントドリフトとの関連も考えられるが)。作品の設定としては、

  • 前輪駆動ではない、ないし、前輪駆動と明確には設定されていない
  • 急激に旋回すると同時に、減速が緩やか(ないし無し)で前へも進む
  • ブレーキワークでも起こせたりする

といったことが挙げられる。

関連項目[編集]