タカナ

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タカナ
W takana5021.jpg
タカナ(2005年2月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: フウチョウソウ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: アブラナ属 Brassica
: カラシナ B. juncea
変種 : タカナ var. integrifolia
学名
Brassica juncea var. integrifolia
和名
タカナ(高菜)

タカナ高菜、大芥菜、学名:Brassica juncea var. integrifolia)とはアブラナ科越年草で、カラシナの変種。20~60cmほどの丈に成長する。近縁の野菜としてコマツナカツオナなどが知られる。原産地は中央アジア。平安時代の『和名抄』に「タカナ」の記述が見られ、この頃には既に日本に伝来していたとみられる。本格的な導入は明治時代で中国から奈良県農事試験場(奈良農試)に種子が入り、その後は特に福岡県瀬高町、和歌山県新宮市、山形県内陸部の3ケ所で栽培されるようになった[1]

品種や栽培方法によって変化するが、葉や茎は柔らかく辛味がある。辛みの成分はマスタードなどと同じイソチオシアン酸アリル。主に漬け物として食用される。野沢菜広島菜と共に日本三大漬け菜に数えられる[2][1]

食べ方[編集]

高菜漬[編集]

高菜漬け
高菜漬けで巻いた握り飯「めはりずし」
高菜の油炒め。九州でよく食べられる。
高菜漬けの販売用パック

タカナの美しい緑色を保つために袋詰めして冷凍加工している新高菜漬と、熟成中に乳酸発酵するべっ甲色で特有の香りのある古高菜漬に分けられる[1]。新高菜漬はアリル辛子油を主体にしているのに対し、古高菜漬はフェノール類を主体にしており特有の香りがある[1]。古高菜漬には製品化に際して流水による脱塩時間が長く低塩(4%程度)で古漬臭も低いものと、流水による脱塩時間が短く高塩(7%程度)で古漬臭の強いものがある[1]

細かく刻んだ状態の刻み高菜で売られていることも多く、昆布と混ぜた高菜昆布や胡麻と混ぜたゴマ高菜などがある[1]。高菜漬を利用した料理には次のようなものがある。

和歌山県新宮市などでは高菜漬を刻まずに葉を広げておにぎりを包んだめはりずしも知られ、新高菜漬が使われるようになっている[1]。めはりずしは新宮駅の名物駅弁であった(2013年終売[3])。

福岡県瀬高町は三池高菜の産地で主に古高菜漬が作られている[1]

高菜漬を鶏の水炊きに刻み入れ、煮込んだ鍋もある。高菜漬の酸味が強く出るため、ポン酢などにつけなくとも美味しく食べられる。唐辛子を加えて同様に漬け込んだ辛子高菜福岡県熊本県の名産品として人気がある。また明太子を加えて漬け込んだ明太高菜は、博多福岡市)の名産品として知られる。

福岡県熊本県豚骨ラーメンを提供する店は、お好みでラーメンにトッピングできる唐辛子を利かせた油いための高菜漬を用意している店も多い。

なお、久住高菜や阿蘇高菜などを利用した漬物はカラシナの一族として「カラシ菜漬」に分類されることがある[1]

漬物以外の食べ方[編集]

高菜漬ではない食べ方もある。和歌山県太地町ではイルカのすき焼きに、高菜をそのまま煮ることもある。高菜で鯨類の臭みを抑えるためとされる[4]

品種[編集]

三池高菜[編集]

主に福岡県の筑後地方南部で栽培されている品種。同県大牟田市の三池山で栽培されていたことからこの名がある[2]。紫色の入った大きな葉と厚い葉脈が特徴で、その高さは1メートルにも達することがある。種は秋まきで、春に収穫する[2]

柳川藩主であった立花氏明治時代になって柳川市三橋町に創設した「旧立花家農事試験場」で改良された品種で、中国の四川青菜と在来種の紫高菜を掛け合わせたものである[2]

大牟田市が発祥といわれる高菜の油炒め三池炭鉱の労働者たちに愛され、現在でも地元で愛されている[2]

雲仙こぶ高菜[編集]

長崎県雲仙市吾妻町で栽培されている品種[5]。茎に小さな突起があるのが特徴で[5]、苦みが少ないことからサラダなどにして生食する事も可能である[6]

中国から引き揚げてきた同市出身の峰眞直が種を持ち帰り栽培を始めたのが始まりで、いったんは雲仙から全国に広まったものの、三池高菜におされた事や、元々収穫量が少ないために次第に作られなくなっていった[5]。しかし、地元の野菜を復活させようと2002年に地元の生産者や行政などで作る「雲仙こぶ高菜再生プロジェクトチーム」が結成され、現在は10軒ほどの農家が栽培している[5]

また、雲仙こぶ高菜はイタリアの「スローフード協会国際本部」が最も希少価値が高い食材に贈っている「プレシディオ」(食の砦)の認定を日本の食材では初めて受けている[6]

阿蘇高菜[編集]

熊本県の阿蘇地方で栽培されている高菜である。平地の高菜に比べると小さめで、しんなりしにくいため漬物作りに向いているという[7]。収穫期は3月中旬から下旬の間で、機械を使わずに一本ずつ手で収穫する。その際に茎を手折って収穫する事から、阿蘇では収穫作業を「高菜折り」と呼ぶ[8]

阿蘇の高菜漬けには弱めの塩分で数日間漬けた「新漬け」と強めの塩分で1年ほどつけた「古漬け」があり[8]、新漬けは香りを生かしてご飯のお供などに、古漬けはご飯のお供のほか、油炒めや高菜めしなどの料理に利用される[9]

減反政策の影響で余った農地で高菜を作り、高菜漬けを積極的に売り込んだことがきっかけで近年では「阿蘇の味」として定着し、現在では高菜漬けは海外にも出荷されている[9]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g h i 漬物の製造法”. 全日本漬物協同組合連合会. 2022年4月8日閲覧。
  2. ^ a b c d e 豊田(2006):96ページ
  3. ^ 【終売】めはり寿司ウェブサイト駅弁資料館「新宮駅の駅弁」2020年2月2日閲覧
  4. ^ 日下生和子, 吉田 穣(和歌山信愛女子短期大学教授)、湯崎真梨子(和歌山大学産学連携・研究支援センター教授)(編)、2014年3月28日、『地域食材活用スキル講座 Kumano☆食と農の学校 レシピ集』(PDF)、高等教育機関コンソーシアム和歌山 p. p.29 ,p.52
  5. ^ a b c d 豊田(2006):123ページ
  6. ^ a b 地域食品ブランド表示基準”. 食品産業センター. 2013年7月12日閲覧。
  7. ^ 豊田(2006):135ページ
  8. ^ a b 阿蘇たかな漬けとは?”. 阿蘇たかな漬協同組合. 2013年7月12日閲覧。
  9. ^ a b 豊田(2006):54ページ

参考文献[編集]

  • 豊田謙二監修 『九州宝御膳物語 おいしい郷土料理大事典』、西日本新聞社、2006年