ゾイド (架空の生物)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

この項では、ゾイドシリーズに登場する架空の生物および兵器としてのゾイドについて記述する。実在の玩具シリーズとしてのゾイドは、「ゾイド」の項を参照されたい。

生物としてのゾイドは器官が凝縮されたゾイドコアを持つ金属生命体であり、兵器としてのゾイドはそれを改造して生体兵器としたものである。兵器としてのゾイドは人間が騎乗して戦うことから始まり、やがて電気的に操縦され、武装を施した巨大な陸戦兵器となった。

ゾイドの定義[編集]

惑星Ziに存在する生命体を総称して金属生命体と呼ぶ。その中で、ゾイドコアを持つものをゾイドと呼ぶ。

金属生命体の発生[編集]

惑星Ziの海中で発生した好熱性の細菌達は巧みな化学合成によりエネルギーを得て様々な形質へと変化していった。体液はほぼZiの原子海水と同じ成分だが、周囲に金属を殻とするものが現れて、海底での生存の覇者となった。この時期の金属生命体を原始金属生命体と呼ぶ[1][2]。この時期に生まれたゾイドカブトガニは後々の時代でもほぼ姿を変えず、地底溶岩湖に生息しているという[1]。一方で、この原始金属生命体から金属粘膜生体へと枝分かれし、ゾイド人や惑星Zi植物へとさらに進化した[1]

遺伝によって金属を子孫へ伝えることは不可能であるが、体を構成する金属を後天的に取り込むシステムはさほど複雑ではなかった。そうして、Ziの生命体は金属生命体へと進化していった。

別惑星の生物でありながら、その形態や生態が地球の生物に酷似しているのは収斂進化[3]によるものとされ、地球のそれぞれの場所に近い環境で生きていたゾイドもまた地球の生物によく似た姿へと変化を遂げたためである。

ゾイドコア[編集]

環境の激変はZiの生物にとって非常に厳しいものであった。そこで、これを乗り切るための手段としてゾイドコア[4]が発達した。ゾイドコアの中には種としての基本生体(内臓等)が凝縮されており、生命体の核である。内部は高温高圧であるために真球状となっており、自ら重心移動して動く。このゾイドコアを持つ金属生命体がゾイドなのである。ゾイドはゾイドコアが生きている限り体が傷ついても再生することが出来る。ゾイドコアはいかに外環境が変化しても、かつて生命が生まれた「高温高圧の原子海水」を再現する命のゆりかごなのである。外見は地球製の核分裂チャンバーに酷似とされ、地球製の機械では考えられない莫大な電力を生み出す[1]。ゾイドコアの発達によってゾイドは捕食した生物のたんぱく質を自らの体内組織へと転化し、金属元素は骨格や外殻に転嫁することが可能となった[1]

このゾイドコアを持つ金属生命体のうち、野生ゾイド、現在では絶滅した古代ゾイド、太古に家畜化されたゾイド等を総合して金属外骨格生命体と分類する[2]

ゾイドの繁殖[編集]

野生ゾイドは成長すると体内に自分のコアと同じ小さなゾイドコアをいくつか(ゾイドによって異なる)作り出す。成体ゾイドが死んだとき、その小さなコアは新たなる生命の卵となり、再び成長していく。ゾイドは無性生殖とも言える[1]

ゾイドの成長[編集]

発生した幼体は水中の金属原素を接収し、骨格や外皮を形成していく。やがて陸生型ゾイドは四肢を生やして陸に上がってから成長する。大型ゾイドの場合は成体になるまで50年以上はかかるとされる[1]

恐竜型ゾイドの大繁殖、動物型ゾイドの台頭[編集]

野生ゾイドは恐竜型が先ず繁栄した。しかし、これらは約5000~3000万年前に発生した全球凍結の発生によってゾイドの成長に必要な水圏が使用できなくなり、繁殖に支障をきたすと地上世界において絶滅、生き残りも地下世界に追いやられた。一方で、恐竜型ゾイドの繁栄期には物陰にいた動物型ゾイドはそのエネルギー効率の良さと、必ずしも水を必要としない繁殖能力から繁栄していった。このことから、恐竜型ゾイドは古代ゾイドとも呼称される[1]

戦闘機獣の誕生[編集]

野生のゾイド[編集]

文明の初期、ゾイドは今のようなメカ生体ではなく、捕獲した野生ゾイドを一部加工し、飼育されていた。狩猟時代、ゾイドは人々にとって狩りの対象でしかなかったという。

ZAC2099以降の惑星Ziにおいては、惑星Zi大異変の影響で多くのゾイド原種が絶滅危惧状態に追いやられ、保護政策がとられている[5]。そのため、この「金属外骨格生命体」に分類される野生体原種は希少であり、同時代の他のゾイドのよりもはるかに強靭な生命力を有している[2]

*備考
ゾイドシリーズ初期においては一部書籍等で設定画[6]や系統図が公開された。
1999年以降のシリーズでは「ゾイド公式ファンブック」にて比較的早期に触れられ、ゾイドコレクションやゴジュラスギガセイスモサウルス等一部のキットにはパッケージ裏に野生態の図が記載されている。
ゲームの『ジェノブレイカー編』には数体野生体が登場し、多くはゾイドエッグから孵る。同ゲームではレアヘルツの影響で暴走こそしないが、戦闘ゾイドに改造しないと寿命が短くなる。

家畜ゾイド[編集]

人々はゾイドを生活のために使い続けた。人々の手でゾイドコアからゾイドを育て何世代にもかけてゾイドを家畜とした。ゾイドは運搬、作業、狩猟、競技、戦闘などに用いられた。

戦闘用ゾイド[編集]

文明が発達すると、ゾイドコアに直接命令が伝えられるようになった。コアに簡単な電気信号を送ることでゾイドをコントロール出来るようになった。

ゾイドの巨大化[編集]

野生ゾイドをコントロール出来るようになったが、高い運動性能をも求められるようになった。そこでサイバネティックスパーツと呼ばれる人工パーツ[7]で体の一部を置き換えることでそれを解決した。この頃のゾイドの戦闘は人がまたがって乗り、武器を持って直接戦うという地球で言えば騎兵としての役割でしかなかった。その後、どんどんと体は人工パーツに置き換え、最終的にはゾイドに直接武装を取り付け、そのスペース確保のためにより大きな動力を取り付け巨大化し、現在の戦闘機獣が誕生した。しかし、戦闘機獣と化したゾイドは繁殖能力を失ったために、人の手による人工的な養殖が必要不可欠となった。これに対して、後にはオーガノイドシステムを利用した強制的な増殖や完全な人工ゾイドであるブロックスなど開発されている。ゾイドのボディを人工のものに置き換える場合には元の姿に近い姿にする必要があり、ゾイドコアを戦車の動力源にすると言う地球人の案は失敗となった[1]

*備考
ただし、作中ではこの設定が必ずしも守られているとは言い難い描写も存在する。モチーフは同じであるが機体のサイズが違うゾイド(ジェノザウラーのゾイドコアをデスザウラーのボディに組み込んだブラッディデーモンが該当)等も存在し、また、ワイツタイガーの分離形態であるワイツウルフは、虎型のゾイドコアで狼型のボディを動かしている。ただし、これらのゾイドもその特殊な仕様から相応のデメリットも併せ持っている。詳細は各ゾイドの記事を参照。

生体兵器としてのゾイド[編集]

これらの改造が施された生体兵器サイボーグ兵器)としてのゾイドを「メカ生体」と分類する。野良化したゾイドや、BLOXのような人工ゾイド群もここにカテゴライズされる[1]。通常の兵器よりも生物に近い自然かつ俊敏な動作が可能で、機種によっては爪や牙など元々動物として持っていた武器を機体の武装に反映させることにより、それを行使しての近接格闘戦にも対応できる。しかも装甲部は金属細胞と同じ働きを持っているため多少の損傷なら自己修復できる機能も有している。元となったゾイドが強靭な種であればあるほどその改造型も強大な兵器となるが、体の全てを機械化されても核に残る生物としての本能と性質が機体の動作性に影響を及ぼすことがあり、元から気性が荒い種や個体をベースにした場合は戦闘時に凶暴化してスペック以上のパワーを発揮するものの操縦を受け付け辛くなったり、逆に大人し過ぎる種は操縦し易いが戦闘時には怯えて動きが鈍くなる等の傾向がある。さらに時にはパイロットとの相性や精神面での繋がりによってもゾイドの操縦性および戦闘能力が大きく左右される場合もある。どのゾイドもバイオテクノロジーによって本来の野生体よりも大型化されており[8]、必ずしも野生体とメカ生体の大きさが同一であるとは限らない。野生体のモルガは3mほどだが戦闘ゾイドに改造されたモルガは12m近くあり、ガイサックも原種はわずか80cmの生物だったがこれも全長10mまで巨大化されている。ゆえに戦闘ゾイドごとに同一の原種を用いながらも異なるサイズの機体も存在し、ディメトロドンゲーター[要出典]ダークスパイナースピノサパー[8]アイアンコングハンマーロック[要出典]などはその顕著な例である。

*備考
 惑星Zi大異変以降、野性ゾイドの激減に伴い戦闘ゾイドには家畜化されたゾイドを使用しているため、野性の本能を失い以前よりも性能が下がっているとされる。この時代に導入されているライオン型やタイガー型のような主力クラスのゾイドも、そのほとんどはコピー品だという[9]。そのため、その後作られたゾイドには古代文明の技術であるオーガノイドシステムによるゾイドの生命力強化が図られることになるが、副作用もあったためライガーゼロ開発以降はその純粋野生体本来の生命力と戦闘能力が着目され、再び野生体を利用するようになる。完全な人工ゾイドであるブロックスは野生の本能が無いため操縦し易く出力も安定しているが、小型ゾイドより出力の大きいゾイドコアはTB8を除いて未だ作られていない。

野良ゾイド[編集]

戦闘で損傷し、乗り捨てられたゾイドが何らかの形で再び野生化した物。凶暴化していることが多いとされる[10]。こうした野良ゾイドもまた生存に必要なエネルギーや元素を確保すべく他のゾイドを襲撃、捕食することがあると言う[1]

*備考
GBシリーズの『ジェノブレイカー編』や『白銀の獣機神』、『ZOIDS SAGA シリーズ』の敵はこれであることが多い。アニメでは『ZOIDS』のホワイトゴルドスや『フューザース』のファイヤーフェニックス、『ジェネシス』のエレファンダー、バトルストーリー内のデススティンガーなどが最たる例である。

武装の進化[編集]

初期は先ほどにも述べた通り、ゾイドに人がまたがって剣や盾を持ち武装し戦っていた。しかし次第にゾイド自体に手を加え、四肢を人工パーツに取り替え、コックピットを取り付け、人が扱えないほどの投石機やボウガンなどを装備するようになる。さらに進むと、ゾイドそのものが格闘を行ったり、コアから連動した武器が開発されるようになり、ゾイドそのものが兵器となるようになった。

ゾイドに関する技術[編集]

マグネッサーシステム[編集]

マグネッサーシステムはゾイドシリーズにおいて広く普及しているテクノロジーの一つである。

磁気風を発生させることでゾイドを飛行させる[10]用法がもっともメジャーだが、ゾイドにおいてはゾイドコアから発する電力を惑星Zi地表と反発させ、駆動をアシストするマグネッサー効果が普遍的に備わっている[11]

技術的な応用性があり、一部の陸戦ゾイドにおいては磁力風によって地上を高速滑走する効果を齎す[12]。一部のゾイドに搭載されるマグネーザーもマグネッサーシステムを応用させドリルを高速回転させている[13]ゾイドブロックスは各パーツごとにマグネッサーシステムを導入し、そのチェンジマイズを迅速に行っている[14]

荷電粒子砲[編集]

荷電粒子砲はゾイド世界の最強兵器の一つに位置付けられており、ミサイルや機関砲、そして通常のビーム砲などの火器とは一線を画した描かれ方をしている。

ゾイドシリーズにおいてはデスザウラーにおける初登場以後、その多くはジェノザウラーセイスモサウルスといった帝国陣営大型ゾイドで採用された。その原理は荷電粒子または静電気を『シンクロトロンジェネレータ』で光速まで増大・加速、機体に存在する射出口から発射する[15]という、ビーム兵器としては比較的メジャーなプロセスを用いている。逆に、ゾイドシリーズにおいては荷電粒子砲と呼称されていない、他のビーム砲の原理は明らかにされていない。近縁の装備として荷電粒子エネルギーを円盤状に集束させて放つビームススマッシャーが存在し、ギルベイダーが搭載する。 その防護手段は限定され、作中ではエネルギーシールド超電磁シールドホーングラビヴィティモーメントバリア反荷電粒子シールド集光パネル等が存在する。射出する荷電粒子やエネルギーの供給方法、威力や射程、連射力、仕様、呼称は機体によって差異が存在する。詳細は搭載機の各項目参照。

オーガノイドシステム[編集]

オーガノイドシステムは、古代ゾイド人によって生み出されたオーバーテクノロジーであり、ゾイドの戦闘能力を向上させるシステムである。その代償として、ゾイド自身が狂暴になるだけでなく、パイロットの精神にも悪影響を及ぼす。西方大陸戦争初期に陣営を問わず利用されたが、その弊害からライガーゼロのような完全野生体ベース機が登場すると、ネオゼネバス帝国を除いて利用されなくなっていった。

ゾイドのエネルギー[編集]

初期[編集]

原始金属生命体は自分と同類の金属生命体を捕食し、それを自分のエネルギーとして活動していた。生態系の最下層に植物や小さな小さな虫が存在し、それを食べた者がさらに強い者に食べられるという食物連鎖が続いた。

中期[編集]

ゾイドコアを持ったゾイドへ金属生命体が進化すると、ゾイドコアを中心とした食物連鎖が成立していった。ゾイドコアにはゾイドにとって必要な要素が凝縮されており、それを捕食すれば一気にそれを補えた。

後期[編集]

戦闘機獣となったゾイドはコアを捕食することが出来ない。そのため人の手によって整備、補給が不可欠となった。ゾイドコアを生存させるためには高温高圧の原始海水と同じ成分を一定期間で補充してやらなければならず、また人工の体を作動させるためにはサーボモーターのバッテリー、内部機関を動かす為のオイルが必要となった。

*備考
 アニメ『ゾイドジェネシス』における戦闘ゾイドはレッゲルと呼ばれるゲル状の液体を燃料としている、それ以外のシリーズでは厳密なゾイドのエネルギーについては特に言及されていない。

地球人の漂着[編集]

ZAC2029年頃、太陽系第三惑星(地球)からの移民船、グローバリーIII世号が漂着した。ゾイド人はこの時、地球人と交流し、彼等の持つ高度な科学技術によって次々とゾイドの武装は進化していった。特に惑星Ziでは遅れていたエレクトロニクスの分野がもたらされ、それによってレーザー兵器や誘導するミサイル兵器が誕生し、またレーダーなどによって索敵、照準を合わせる装備が開発された。ヘリックとゼネバス、互いの国家に様々な兵器がもたらされ、初の新世代ゾイド同士の本格的な戦闘となったアルダンヌ会戦では、多くの兵士が自分たちの兵器に驚愕した(ただし、ガリウスやグライドラー、グランチュラなど地球人来訪前に作られたはずのゾイドも設定上はビーム砲やミサイルなど近代兵器をいくつか搭載しており、これ等も地球人によって後付で装備されたものと考えられるが、詳細は不明)。

ゾイド起源に関する異説[編集]

ゾイドの起源に関する説の一つとして、ゾイドコアは古代文明人もしくは外宇宙人の手によって作り出されたもので、ゾイドは自然発生したものではなく、人工生命体だとする説が存在するとされる。それは惑星Ziに済む生物と野生ゾイドの間に共通点こそあるものの、原始金属生命体と金属外骨格生命体(野生ゾイド)の間を繋ぐ種が存在しておらず、ゾイドが生物として不自然な点が多すぎる点に起因している。一部の研究家の間では中央大陸に住む神族がかつて超古代に金属外骨格生命体(ゾイド)を誕生させた古代文明人の末裔だとする説も存在するが、その荒唐無稽さから俗説の域を出ていない[2]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b c d e f g h i j k ゾイドコアボックス付属「THE ZOIDS BIBLE Zi HISTORY FILE」より
  2. ^ a b c d 電撃ホビーマガジン2002年11月号151~153ページ「SMACK ZOIDS Bパート」
  3. ^ トミー「RZ-071 ライガーゼロフェニックス」パッケージ解説より
  4. ^ 昭和の第一期シリーズ(中央大陸戦争第一次大陸間戦争)時は「ゾイド生命体」と呼ばれていた
  5. ^ 小学館「ゾイド公式ファンブック3」より
  6. ^ 小学館「戦闘機械獣のすべて」
  7. ^ トミー「RZ-064 ゴジュラスギガ」パッケージ解説より
  8. ^ a b 電撃ホビーマガジン2002年5月号より
  9. ^ 電撃ホビーマガジン2002年1月号より
  10. ^ a b 小学館「ゾイド公式ファンブック」 ISBN 4-09-102830-6
  11. ^ ゾイドコアボックス付属「Ziヒストリーファイル」
  12. ^ 小学館「戦闘機械獣のすべて」 ISBN 4-09-102004-6
  13. ^ トミー「EZ-049 バーサークフューラー」パッケージ解説
  14. ^ 小学館「ゾイド公式ファンブック4」 ISBN 4-09-106132-X
  15. ^ 小学館 ゾイドバトルストーリー2巻より ISBN 4-09-104761-0