ソラリスの陽のもとに

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ソラリスの陽のもとに』(ソラリスのひのもとに、原題:Solaris)は、ポーランドSF作家スタニスワフ・レムが1961年に発表したSF小説。最初の日本語訳(ロシア語版からの重訳)は、1964年に早川書房S-Fマガジン』に掲載され、1965年にハヤカワ・SF・シリーズで刊行された。2004年にポーランド語からの直訳が、『ソラリス』の題名で国書刊行会より刊行された。

惑星ソラリス』として1972年にソ連で、『ソラリス』として2002年にアメリカで、2度映画化された。

主要登場人物[編集]

クリス・ケルビン
主人公。心理学者。
スナウト
サイバネティクス研究者。
サルトリウス
物理学者。
ハリー
ケルビンの元恋人。過去に自殺した。

あらすじ[編集]

時代は未来。舞台は、異常な軌道を持ち、有機的な活動を見せる不可思議な海で覆われた惑星ソラリス。主人公ケルビンは惑星上空に浮かぶソラリス・ステーションに到着し、ステーションで発生する奇妙な現象と「海」の謎を探ろうとする。

ステーションに到着した研究員ケルビンは先任者の一人であるスナウトに出会うが、なかなかまともな会話が成立しない。別の研究員ギバリャンはすでに自殺しており、サルトリウスは自室に閉じこもっている。研究員たちは、ステーションに存在しないはずの人間が出現するという奇妙な現象により精神的に苛まれていた。

ケルビンの居室にもほどなくして、何年も前に自殺した恋人ハリーが死ぬ直前の年頃の姿で現れる。謎の人間たちは、ケルビンら4人の研究員の記憶をもとにして「海」が生み出したコピーだった。彼らが「客」と呼ぶそれは、一見人間のようだが、怪我をしてもすぐに再生するなど人間としてはありえないふるまいもする。ケルビンらはそれぞれ自分の「客」のオリジナルに関して強い情念やトラウマを持っており、「客」との生活で精神が蝕まれる。

ケルビンはオリジナルのハリーの死への自責の念に苦しみながらも、「ハリー」に好意を持つようになる。一方で、ソラリス学の研究史を振り返りながら「海」の真意を探ろうとする。

顕微鏡で「ハリー」を検査したケルビンの発見にヒントを得て、サルトリウスらは「客」を物理的に消滅させる方法を考案し、準備を進める。ギバリャンが残した音声記録をこっそり聞いた「ハリー」は自分が「海」に作られた道具であること、ケルビンに苦痛を与えていることを知り、サルトリウスの装置で消滅させられることを自ら選ぶ。

「海」は「客」を送り込むことで人類に苦痛を与えようとしていたのか、好意を示そうとしていたのか、実験しようとしていたのか。ステーションで「ハリー」とケルビンがつちかった愛情にはどんな意味があったのか。理解への道は果てしないが、ケルビンは「ハリー」の喪失を乗り越え、ソラリスに残ることを選ぶ。

日本語訳書[編集]

参考文献[編集]

  • 『世界のSF文学』伊藤典夫編、自由国民社、1984年
  • 『SFハンドブック』早川書房編集部編、早川書房、1990年、ISBN 4-15-010875-7