ソドムとゴモラ


破壊される街から脱出するロトと妻子だが、神の言いつけを破って後ろを振り向いた妻が塩の柱になり始めている[注釈 1]。
ソドム(ヘブライ語:סדום、英語:Sodom)とゴモラ(עמורה、Gomorrah)は、聖書に登場する都市。旧約聖書の最初の書物『創世記』において、天からの硫黄と火によって滅ぼされたとされ、後代の預言者たちが言及している部分では、例外なくヤハウェの裁きによる滅びの象徴として用いられている。また、悪徳や頽廃の代名詞としても知られる[注釈 2]。
預言者アブラハムの甥にあたるロトと彼の家族は神の使いによりソドムの街を脱出した。
罪[編集]
ソドムの罪(ホモ・セクシャルときにソドミー)[注釈 3]については、諸説ある中で主に他者への不寛容さや同性愛[注釈 4]が語られている[4]。
旧約時代からの伝承を受け継いで編纂された新約聖書においても、「ユダの手紙」において「ソドムやゴモラ、またその周辺の町は、この天使たちと同じく、みだらな行いにふけり、不自然な肉の欲の満足を追い求めたので、永遠の火の刑罰を受け、見せしめにされています 」[5]との記載があり、ソドムやゴモラが「不自然な肉の欲」によって罰されたことを古代のユダヤ地方が伝承していたことが確認できる。
イスラム教の聖典クルアーンにも町の名前は出てこないものの、ほぼ同じ物語が述べられており、クルアーンにおけるルート(ロト)は預言者として認識されている。預言者ルート(ロト)に従わなかったために、彼に従ったわずかな仲間を除き滅ぼされた。その際、神に滅ぼされた他の民(ノアの洪水で滅んだ民や、アード族やサムード族など)とは異なり、ルートの民(すなわちソドムの住民)は、偶像や他の神を崇拝する罪ではなく、男色などの風俗の乱れの罪により滅ぼされた[注釈 5]。
神は『創世記』で罪深い都市に怒り滅ぼしたのち、次の書物『出エジプト記』でモーセに「十戒」を言い渡し、殺人や姦淫を禁じた。神は「十戒」の中で同性愛への具体的言及はしていないが、『出エジプト記』の次の書物『レビ記』18章は性の規定であり、神はモーセに近親者を「犯してはならない」こと(18章前半)、「隣の妻と交わり」の禁止(18章20節)、「女と寝るように男と寝てはならない」こと(18章22節)、「獣と交わり」の禁止(18章23節)などを言い渡し、「あなたがたはこれらのもろもろの事によって身を汚してはならない。わたしがあなたがたの前から追い払う国々の人は、これらのもろもろの事によって汚れ、その地もまた汚れている。ゆえに、わたしはその悪のためにこれを罰し、その地もまたその住民を吐き出すのである。」 (18章24節-25節)と警告している。
なお創世記19章と士師記19章には多くの共通点のあることが指摘されている[注釈 6]。
預言者エゼキエルの預言や象徴行動を記した異質の預言書エゼキエル書においてもソドム(エルサレムの妹)の罪に関する記述がある[注釈 7]。
地理[編集]
シディムの谷[編集]
ソドムとゴモラの廃墟は死海南部の湖底に沈んだと伝えられる。これは、「シディムの谷(ヘブライ語: עמק השדים 英語: Vale of Siddim)」と、シディムの谷の至る所にある「アスファルト」の穴[注釈 8]に関する『創世記』の描写と、死海南部の状況が似通っていることなどから、一般にもそう信じられているが、その一方で、死海南岸付近に点在する遺跡と結びつけようとする研究者も存在する。
バブ・エ・ドゥラーとヌメイラ[編集]
ソドムを死海南東部に位置する前期青銅器時代(紀元前3150年 - 2200年)の都市遺跡バブ・エ・ドゥラー(Bab edh-Dhra)、ゴモラをこの遺跡に隣接する同時代の都市遺跡ヌメイラ(Numeira)と考える研究者もいる。いずれも現代のヨルダン・ハシミテ王国、カラク県に位置する。なおこの都市遺跡の近隣には、天から降る硫黄と火からロトが逃げ込んだとされるロトの洞窟の遺跡(アラビア語: دير عين 'أباطة UNGEGN式: Deir 'Ain 'Abata デイル・アイン・アバタ)がある。ビザンティン(東ローマ)時代に、ロトの洞窟の伝説地の上に教会が建てられたが、この教会の遺跡が現在残されている。教会の左手には、ロトが逃げ込んだとされる洞窟が実在する。
モアブとアンモン[編集]
創世記によると、この洞窟でロトと2人の娘の間に生まれた男の子2人[注釈 9]が、それぞれモアブとアンモンの民族の祖先となったとされるが、ロトの洞窟を含む前述の遺跡すべてが、かつてモアブと呼ばれた地、現代のカラク県(ヨルダン王国)にあることは、ソドムとゴモラ、ロト、そしてモアブの伝承を考える上で興味深い。上記の考古遺跡から出土した考古資料は、現在ヨルダンのカラク考古博物館(カラク城内)やアンマン国立考古博物館で見ることができる。
セドム[編集]
ソドムのための執り成し[編集]
創世記18章後半部(16節から33節)で、ロトのおじであるアブラハムが、ソドムとゴモラに関して事前にヤハウェと問答している。ヤハウェは、ソドムとゴモラの罪が重いという機運が高まっているとして、それを確かめるために降(くだ)ることをアブラハムに告げた。アブラハムはそれに応じて、正しい者が50人いるかもしれないのに滅ぼすとは、全くありえない、と進み出て言った。それに対しヤハウェは、正しい者が50人いたら赦(ゆる)すと言った。そこでアブラハムは「塵芥(ちりあくた)に過ぎない私ですが」と切り出し、正しい者が45人しかいないかもしれない、もしかしたら40人しかいない、30人、20人と、正しい者が少なくても赦すようにヤハウェと交渉をした。最終的に、「正しい者が10人いたら」というヤハウェの言質を取り付けた結果、ロトを救出し、ソドムとゴモラを滅ぼした。
創世記19章前半部「ソドムの滅亡」主な内容[編集]
ヤハウェの使い(天使)2人[注釈 10]がソドムにあるロトの家へ訪れ、ロトは使いたちをそれとは知らずにもてなした。やがてソドムの男たちがロトの家を囲み、「なぶりものにしてやるから」と言って使いたちを出すよう騒いだ[6]。ロトは2人の使いたちを守るべく、かわりに自分の2人の処女の娘達を差し出そうとしたが、群衆はあくまで男性の使いたちを要求する。使いたちは、ヤハウェの使いとして町を滅ぼしに来たことをロトに明かし、狼狽するロトに妻と娘とともに逃げるよう促し、町外れへ連れ出した。ロトがツォアル(ヘブライ語: צוער 英語: Zoara)という町に避難すると、ヤハウェはソドムとゴモラを滅ぼした。ロトの妻(ヘブライ語: אשת לוט)は禁を犯して後ろを振り向き[注釈 1]、塩の柱(ヘブライ語: נציב מלח ネツィヴ・メラー)に変えられた[7]。ヤハウェはアブラハムに配慮して、ロトを救い出した。
科学的な調査[編集]
ケレンサ・グリッグソンによると、死海に沿った平原の5か所の灰白色の町のすぐそばのエリアにおいて、ゴルフボールサイズの硫黄の玉が発見されている。これまでの20年間多くの標本が採取され、世界中の研究所に送られている。ニュージーランドのグレイスフィールドでのスペクトラム解析において解析されたある試料は、硫黄含有量が98.4%であることが明らかになった。この純度の硫黄含有量は、この平原の5つの町以外には世界中のどこにも見られないと報告されている。創世記19章24節には、「主は硫黄と火とを主の所すなわち天からソドムとゴモラの上に降らせて」と書かれており、この硫黄の試料の量と純度の観測に基づき、その場所がソドムとゴモラであると結論付けている科学者もいる[8]。
2005年から行われているヨルダンの死海周辺にある古代都市遺跡タル・エル・ハマムの発掘調査により、紀元前1650年ごろに隕石の空中爆発によって広範囲が破壊されたという研究結果が発表された[9]。この隕石爆発は、史上最大級とされるツングースカ大爆発を遥かに上回る、広島型原爆の1000倍以上のエネルギーであったと推定され[10]、通常の自然では考えられないほどのその高熱や衝撃の証拠となる遺物が多数発見されており、その分布も爆風に起因する一貫した方向性が見られる[11]。また、この「破壊層」は、その高熱と衝撃により死海から撒き散らされ、その後600年にも渡って周辺地域一帯が無人の放棄状態とされた原因と考えられる高濃度の塩分が特徴的であり、この際の塩害と「ロトの妻が塩の柱になった」というエピソードには関連性が窺われる[11][12]。研究チームは、この史実が天からの硫黄と火による都市滅亡の伝承につながった可能性があるとしている。一方でタル・エル・ハマムの空中爆発に関する研究については多くの疑義があり、否定的に捉えられている(詳細英語版「Tell el-Hammam」参照)。
ソドムとゴモラを題材とした芸術作品[編集]
絵画[編集]
- アルブレヒト・デューラー『ソドムを逃れるロトと娘たち』(Lot Fleeing with His Daughters from Sodom)、1498年、油彩
- ジョン・マーティン『ソドムとゴモラ』(Sodom and Gomorrah)、1854年、油彩(上部右上画像)
文学[編集]
- サドが獄中で想像を巡らせて執筆した、ルイ14世治世下を舞台とした性的倒錯や残酷な殺人の饗宴。当時の禁書。
- マルセル・プルースト『失われた時を求めて』第四篇「ソドムとゴモラ」、1922-1923年、小説
- 本書はフランスの社交界を舞台として、第四篇では男性同士が同性愛(ソドム)をし、女性同士が同性愛(ゴモラ)をしている。同性愛行為を「ソドム」、「ゴモラ」と呼ぶことは同性愛者でもある作者プルーストが当てはめた概念である。本小説の「ソドムとゴモラ」のテーマに方向性を同じくする作品として、フランスの詩人シャルル・ボードレールの詩集『悪の華』(1857年)が挙げられる[13]。
- ヤクプ・カドリ・カラオスマンオウル『Sodom ve Gomore』、1928年、小説
- トルコ共和国初代大統領ムスタファ・ケマル・アタテュルクと親交のある知識人ヤクプ・カドリによる4作目の小説。1920年代のコンスタンティノープル(イスタンブール)を舞台にラブストーリーを展開し、当時のイスタンブールの道徳的堕落をテーマの1つとしてこの都市をソドムとゴモラに例えている。
映画[編集]
- マイケル・カーティス監督『悪魔の満潮時』、1922年
- 原題は『Sodom und Gomorrha』。
- ロバート・アルドリッチ監督『ソドムとゴモラ』、1962年
- ジョン・ヒューストン監督『天地創造』、1966年
- ミッチェル・ブラザーズ監督『Sodom and Gomorrah: The Last Seven Days』、1975年
- ピエル・パオロ・パゾリーニ監督『ソドムの市』、1975年
- マルキ・ド・サドの小説『ソドムの百二十日』の実写映像作品。舞台は20世紀のイタリアに変更された。世界各国で上映禁止。パゾリーニ監督は映画撮影終了直後に殺害された。
- ジョセフ・サージェント監督『ソドムとゴモラ』、1993年、TV映画
- 原題は『Abraham』。
戯曲[編集]
- ジャン・ジロドゥ『ソドムとゴモル』、1943年
楽曲[編集]
- オール・セーブド・フリーク・バンド「Don't Look Back」(1976年アルバム『Brainwashed』収録)
- ヴィレッジ・ピープル「Sodom And Gomorrah」(1978年アルバム『Macho Man』収録)
- ヴェノム「One Thousand Days in Sodom」(1981年アルバム『Welcome to Hell』収録)
- THE SODOM PROJECT「Sodomism」(1983年アルバム『ADK Omnibus Vol.1』収録)
- 歌は殺しについてのシャウトの繰り返し。他のバンドとのオムニバスアルバム『ADK Omnibus Vol.1』(ADK Records)収録のこの曲は、THE SODOM PROJECTの1984年のアルバム『聖レクイエム』をイタリアのF.O.A.D. Recordsが2018年に再リリースした際に収録された。アルバム『聖レクイエム』の残酷なイラストは、映画『ソドムの市』のいくつかの残酷シーンの合成からなる。
- W.A.S.P.「King Of Sodom And Gomorrah」(1986年アルバム『Inside The Electric Circus』収録)
- ボーカルのブラッキー・ローレスはこのアルバムでベースギターからリズムギターに変更した。
- hide(X JAPAN)「EYES LOVE YOU」、1993年8月5日
- アクセプト「Sodom & Gomorra」(1994年アルバム『Death Row』収録)
- 後半ギターソロに「剣の舞」が引用される。
- セリオン「The Rise of Sodom and Gomorrah」(1998年アルバム『Vovin』収録)
- ペット・ショップ・ボーイズ「The Sodom and Gomorrah Show」、「Sodom (Trentemoller Mix)」、「Gomorrah (Dettinger Remix)」
- この3曲は全て2006年のアルバム『ファンダメンタル』限定盤2枚組に収録されている(通常盤は「The Sodom and Gomorrah Show」1曲のみ)。
- 奇妙な都市伝説を解決する刑事ドラマ『都市伝説の女』の主題歌に起用された。
- Bushido「Sodom & Gomorrha」(2017年アルバム『Black Friday』収録)
- ソドム「Sodom & Gomorrah」(2020年アルバム『Genesis XIX』収録)
- アルバムタイトル『Genesis XIX』は創世記19章の意味。このバンドはこの他、「Sodomy & Lust」(1987年EPアルバム『Expurse of Sodomy』収録)、「Sodomized」(1993年EPアルバム『Aber bitte mit Sahne』収録)、「Gomorrah」(1994年アルバム『Get What You Deserve』収録)、「The Sin of Sodom」(2007年アルバム『The Final Sign of Evil』収録)、「S.O.D.O.M.」(2013年アルバム『Epitome of Torture』収録)を作曲し、バンド名をタイトルとしたアルバム『Sodom』(2006年)もリリースした。
- ショーン・ジェームズ「Sodom & Gomorrah」(2022年アルバム『A Place In The Unknown』収録)
- ドリアン・エレクトラ「Sodom & Gomorrah」(2023年アルバム『Fanfare』収録)
- エレクトラはミュージックビデオで「I ♥ SODOMY」というプリントをした帽子やトップスを身に着けている。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ a b 妻が振り向いた理由は、旧約聖書、新約聖書いずれにも記述はない。ユダヤ教における解釈では、ソドムの男と結婚した娘たちを気にかけて振り返った、というものがある[1]。イスラム教のクルアーンにおける説話では妻はソドムに留まり滅びの罰を受けた(クルアーン15章「アル・ヒジュル」)。
- ^ 例えばカリブの海賊都市ポート・ロイヤルは「新世界のソドム」と呼ばれている[2]。売春宿、賭博場、酒場がひしめき合っていたこの都市はカトリック教会から「キリスト教世界において最も堕落した町」として非難された[3]。ポート・ロイヤルは17世紀末の地震と津波で大半が海中に沈んだ。
- ^ 一般にソドムの罪の意で用いられる「ソドミー(sodomy、羅:sodomia)」の語が登場する最初の著作であるペトルス・ダミアニ(Petrus Damiani)の「ゴモラの書(Liber Gomorrhianus)」(1049年)では、ソドムの悪徳は(それ以前はそうではなかったが)もっぱら性的なふるまいに関するものとして理解されている。彼はそれを4種に分類しているが、ゲイのほか、相手を必要とするものも含め、いずれも非生殖的な行為となっている。ソドミーは当初から同性同士の性行為に限定されていないことに注意。『福音と世界』新教出版社 2017年3月号26頁より引用。なおジョン・ボズウェルによるとキリスト教会が一貫して同性間の性行為に敵意と不寛容を示し始めたのは13世紀に入ってからである。Boswell "Christianity, Social Tolerance and Homosexuality"(1980)301頁参照。
- ^ 創世記19章8節における、町の男たちに対するロトの提案は「わたしにはまだ嫁がせていない娘が2人おります。皆さんにその娘たちを差し出しますから、好きなようにしてください。」(新共同訳)だった。このことからロトは客を差し出せと押しかけた男たちの目的が同性間性行為だとは考えていなかった可能性がある。『虹は私たちの間に』新教出版社2008年,43頁を参照。
- ^ クルアーン7章「高壁」によれば、預言者ルート(ロト)はソドムの人々に「あなたがたは、あなたがた以前のどの世でも、誰も行わなかった淫らなことをするのか。あなたがたは、情欲のため女でなくて男に赴く。いやあなたがたは、途方もない人びとである。」と言った(80節-81節)。ソドムの人々を瓦礫の「雨」によって滅ぼした神は、「見なさい。罪に耽る者の最後がどんなものであったかを。」と言った(84節)。クルアーン26章「詩人たち」によれば、預言者ルート(ロト)はソドムの人々に「あなたがたは創造された者の中男だけに近付き、 主があなたがたのために創られた配偶者を顧みないのですか。いや、あなたがたは罪を犯す者です。」と言った(165節-166節)。ソドムの人々を石の「雨」によって滅ぼした神は、「警告されていた者たちには、災厄の雨であった。」と言った(172節-173節)。またこれらはソドムに関する叙述であって、イスラム教におけるLGBTの見解と必ずしも一致しない。
- ^ 創世記19章と士師記19章の話の共通項として、(1) 町の人々が、「よそ者」である旅人にホスピタリティを提供しようとしないこと。(2) 自分の家を宿として提供したのは、その町の人々にとっては「よそ者」の寄留者だったこと。(3) 町の人々が詰め掛けてきて家を取り囲み、旅人を外に出すように要求したこと。(4)「アナシーム」「ヤーダァ」「イーシュ」「ラアー」の用語が使われていること。(5) 男の身を守るために女を差し出して代理の辱めを受けさせるようにすること、である。『虹は私たちの間に』新教出版社2008年,46頁より引用。さらに Boughton(1992). Kader(1999)29-33. Carden(2006). Olyyan(1994). Walter Wink, "Homesexuality and the Bible".
- ^ 「お前の妹ソドムの罪はこれである。彼女とその娘たちは高慢で、食物に飽き安閑と暮らしていながら、貧しい者、乏しい者を助けようとしなかった。 彼女たちは傲慢にも、わたしの目の前で忌まわしいことを行った。そのために、わたしが彼女たちを滅ぼしたのは、お前の見たとおりである。」(16章49節-50節)
- ^ ソドムとゴモラの王が、シディムの谷の戦い(Battle of the Vale of Siddim)で逃亡中に落ちた穴。
- ^ ロトの2人の娘は、父であるロトが年老いていくことと、洞窟の周辺に「男の人が来てくれる」という世間の習慣がないことを懸念していた。そこでロトの2人の娘は洞窟で、ロトとの間に子どもを作った。姉が産んだ男の子はモアブ(「(私の)父親から」という意味。ヘブライ語: מואב)と名づけられ、妹が産んだ男の子はベン・アミ(「私の肉親の子」という意味。ヘブライ語: בן עמי)と名づけられた。
- ^ 19章で「天使たち」のヘブライ語表記は、「המלאכים(ハマルアヒーム)」等、男性形である。なお、「אלוהים (エロヒーム)」(ヤハウェのこと)も男性形である。
- ^ 米国には「ハドソン川のソドム」(Sodom on the Hudson)と呼ばれる都市がある。その都市は、ニューヨークである。この呼び名は、この都市がセックスにまみれている「Sex and the City」だからである[14]。1998年から2004年にかけ、『セックス・アンド・ザ・シティ』というニューヨークを舞台にしたロマンティック・コメディのTVドラマが米国で放送され、空前の大ヒット作品となった。
- ^ 「Don't Look Back」という題名の曲を作っているアーティストは数多くいるが、ソドム(とゴモラ)を直接はっきりと描写していない場合が多い。ブルース・スプリングスティーンの「Don't Look Back」(1977年)は「angel」(天使)が登場するものの直接的描写はない。オアシスは「Don't Look Back in Anger」(怒りによって後ろを振り返ってはならない)という題名の曲があるが、創世記において天使は「anger」(怒り)に関して言及していない。
- ^ ミュージックビデオは全編にわたって多くの女性たちが額縁の中に姿を現わしている。アウトロでhideが歌詞に掲載されていない台詞を言う間に額縁の中に次々に映し出される髪の長い人物たちは女性ではなくhide本人である。
出典[編集]
- ^ Tamar Kadari, Lot's Wife: Midrash and Aggadah, Jewish Women's Archive
- ^ MARKUS MILLIGAN (2020年8月2日). “PORT ROYAL – THE SODOM OF THE NEW WORLD”. HeritageDaily
- ^ “330年前の地震で海に沈んだカリブの「海賊の都」ポートロイヤル 海賊の富で潤った「もっとも堕落した町」”. ナショナルジオグラフィック日本版サイト. (2022年8月21日)
- ^ 池上良太、福地貴子『図解 旧約聖書 <No.033 ソドムとゴモラの人々>』新紀元社、2015年 。
- ^ 「ユダの手紙」7節、『新約聖書』新共同訳(ここで実際に指摘されている性行為は、売買春と、「異なる肉」すなわち人間と天使という異なる種類の存在の間での性交のこと。『虹は私たちの間に』新教出版社 2008年 38頁より引用。例としてD'Angelo(2001). Letha Scanzoni & Virginia Mollenkott, Is the Homosexuality My Neighbor?(1978)59も参照。)
- ^ 『創世記』(新共同訳)19章5節 Ron Rhodes は日本語で「なぶりものにする」と訳されている「ヤーダァ(yadha)」について「必ずしも性行為を意味するものではない/"yadha" does not necessarily mean, to have sex with」と述べている。"Commonly Misunderstood Bible Verses"27頁より引用。
- ^ 庄子大亮『大洪水が神話になるとき』河出書房新社、2017年、16頁。ISBN 978-4-309-62508-9。
- ^ Grigson, Kerensa (2015). Bible Truth Revealed. Australia: Bible Truth Revealed. ISBN 978-0-9941997-3-7
- ^ “神の怒りで滅亡の町か ヨルダンの遺跡で隕石の痕跡”. テレ朝news (テレビ朝日). (2021年9月23日) 2021年9月26日閲覧。
- ^ “ソドムを滅ぼしたのは隕石? 3600年前に爆発か―国際研究”. 時事ドットコム (時事通信社). (2021年9月24日) 2021年9月26日閲覧。
- ^ a b “古代中東の都市が「ツングースカ大爆発」のような天体衝突で破壊されていた可能性が高まる”. sorae (sorae). (2021年9月23日) 2021年9月26日閲覧。
- ^ 秋山文野 (2021年9月21日). “ツングースカ級の小天体衝突で滅びた? ヨルダン渓谷の3600年前の遺跡で発見、ソドム伝承の由来にも”. Yahoo!ニュース (ヤフー) 2021年9月26日閲覧。
- ^ 中堀浩和『ボードレール: 魂の原風景』(春風社、2001年)、p. 289。
- ^ Michael Powell (2002年8月23日). “Sex and the City Get a New Museum”. ワシントンポスト
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 『虹は私たちの間に』 山口里子著、新教出版社、2008年 ISBN:978-4-400-42706-3
外部リンク[編集]
- ソドムとゴモラの遺跡発掘(英語)
- ソドムとゴモラ湖底沈没説(英語)
- 旧約聖書を科学的に検証(ヘブライ語)