セルフメディケーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

セルフメディケーション(Self-medication)とは、自分自身で健康を管理し、あるいは疾病を治療すること。
WHOでは、「自分自身の健康責任を持ち、軽度な身体の不調(minor ailments)は自分で手当てすること」と定義している。[1]

概説[編集]

自分の健康に責任を持ち、それを管理することによって、過剰なまでに医療機関を受診してしまうことによる手間と費用を省くことができる。

政府の側からは、それによって政府予算の重荷となりつづけている保険医療費が抑制される効果も期待されている。

医師が足りず、いわゆる「3分間診療」や、医師の過労状態などに陥ってしまっている医療機関にとっては、セルフメディケーションによって来院する人が数が適切なレベルまで減ることで、本当に医療を必要としている人に医師のマンパワーや医療資源をまわすことができる[2]

そもそも、軽度の怪我や軽度の身体の不調の多くは自然治癒力で治るものである。十分な休養栄養を適切にとれば、わざわざ人工的なことをしなくても、身体自体が持つ自然治癒力で回復する。これはすでに古代ギリシャの時代から、医学の父ともされるヒポクラテスが説いていたことで、現代にいたるまでこの基本は変わっていない。

健康に責任を持つには、まず普段から自分の健康に責任を持とうとする意識・自覚が必要で、普段から生活習慣を整え、睡眠を十分にとり、食事内容に気をつけ、適度な運動を行うことが基本になる。たとえば睡眠不足になったら、自分で意識してきっかけをつくり睡眠を十分にとるようにする。食事に関しては(ちょうど子供の学校などで管理栄養士が給食の内容を気にかけてくれるように)自分の食事内容を自分自身で気にかけ、日々の食事内容を意識的に記録し、カロリーの計算や栄養素の検討を行い、特定の栄養素の過不足になったらそれらの量を調整する。また、誰から指摘されなくとも自発的に、運動不足になる前に、普段から自覚的に適量の運動を行う。こうしたことが基本なのである。[3]。日本人は昔から温泉を活用してきた。たとえば身体が不調な場合は湯治場で比較的安価に長期滞在し、身体の不調を自力で治してきた歴史があり、現在でもそれは行われている。

健康維持のため、あるいは軽度の不調から回復する助けとするための市販薬サプリメント薬草等に関する知識を自力で得る方法としては、適宜、図書館等を活用してまっとうな薬剤師が書いた書籍を読んだり、あるいはインターネット上で薬剤師が無料で公開している情報などを読むことができる。それでも分からないことがある場合や疑問がある場合は、直接に薬剤師登録販売者に問い合わせて情報を得ることもできる。以前は病院で処方を書いてもらわなければ手に入れられなかった医薬品の中には、現在では処方箋なしで薬局で自力で購入できるようになっているもの(つまり市販薬となっているもの)もある。

疾病のうちのほうに関しては、昔から誰もがやっていることだが、ごく小さな切り傷や軽い擦り傷などは、水で汚れをよく洗い流して数日~1週間程度放置しておくだけで、他にまったく人工的なことをしなくとも、自然治癒力で治癒する。

具体例、詳細例[編集]

健康管理として、不足していると考えられる栄養素をサプリメントなどで補う。

軽い症状の緩和や予防に自己責任で、一般に売られている一般用医薬品を使用して治療する。たとえば水虫になった時に自分で薬局で買った薬を塗るなど。

利点[編集]

  • 日常的な健康管理へと繋がる。
  • 医療機関利用のための手間と費用を省くことができる。
  • 医療保険費を抑制できる。
  • 医療機関に対する過負荷(医師の過労、「3分間診療」など)を軽減できる。
  • 医療機関に近づくことでかえって他の患者のウィルスなどに感染しまうリスクなども減らせる。

注意点[編集]

  • 自分の健康状態には自分で責任を持つ、という自覚が必要。
  • 生活習慣や食習慣が健康維持の基本であるので、医薬品に頼り切るような発想から抜け出す必要がある。
  • 医学・薬学的知識も必要となる場合があるので、それなりに学習する努力は必要。
  • 一部に高価なサプリメントなどもあるため、費用については注意が必要
  • 効果の証明されていない健康食品を販売する業者や、一部に悪徳な事業者もある。
  • 不十分・誤った知識によるセルフメディケーションは悪い結果となる可能性がある。
  • 医療機関を避けることにより、重大な疾患などの発覚が遅れる可能性がある。


歴史[編集]

世界[編集]

日本[編集]

徳川家康は、自分の健康に留意しており、当時としてはかなり長生きした。平時にはお供とともに鷹狩りなどに出かけることで適度な運動をとっていた。山野を歩くことになる鷹狩りはけっこうな運動となったのであり、精神的なストレスの解消ともなった。また家康は漢方薬薬草にも造詣が深く、医者にむやみに頼らず、自ら調合した薬を服用していた。また当時の他の武将たち同様に、家康も温泉を活用した。

脚注[編集]

  1. ^ Guidelines for the Regulatory Assessment of Medicinal Products for Use in Self-Medication,WHO Geneva 2000
  2. ^ セルフメディケーションによって、一種のトリアージュが行われることになる。
  3. ^ 自覚が不足して、生活習慣が正常な状態から極端に逸脱してしまうと、セルフメディケーションを成立させることが困難になり、それどころか病院でも治療は困難となってしまうことは多い。人間の身体というのは、あくまで生きている存在であり、機械の自動車の部品のように、普段気を抜いて壊してしまっておいてから「壊れたらならばユニットごと交換すれば済むさ」というようなものではない。人体というものの性質上、健康というのは、普段から継続的に注意して維持するよりしかたないものなのである。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]