セイヨウバラ

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セイヨウバラ
セイヨウバラの一品種、チャールストン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
: バラ属 Rosa
和名
セイヨウバラ

セイヨウバラは、長い年月にわたって育種改良されてきた、複雑な雑種性を持つバラの園芸品種である。

解説[編集]

セイヨウバラは、アジア西部からヨーロッパにかけて原産するダマスクバラ、ジャコウバラ、フランスバラ、中国原産のコウシンバラ、ボタンバラ、日本原産のノイバラテリハノイバラを中心に多くの種類の交配によって誕生した。今日のものは植物学的に分類するにはあまりに複雑なので、便宜的にブッシュ(灌木)かつる性か、または花の大小によって区別する。

主な種類[編集]

ブッシュ[編集]

四季咲き大輪[編集]

花壇・切り花などに人気。種類も最も多い。品種名の前にはH.T. (ハイブリッド・ティー)をつける。

  • クリスチャン・ディオール Christian Dior 花は赤色の大輪で形が良い。樹勢はやや強健。
  • クイーン・エリザベス Queen Elizabeth 1952年、アメリカのラマーツの作。明るいピンク色の花を多数つける。非常に強健で、切り花用や露地植え用に広く栽培される。
  • アマツオトメ(天津乙女) Amatsuotome 1962年、日本の寺西の作。花は黄色の大輪。強健で花つきが良く、切り花用だが、花壇用にも向く。
  • スーパー・スター Super Ster 1960年、ドイツのタンタウの作。花はサンゴ色を帯びた朱赤色。強健で花つきが良く、花壇用、切り花用として人気。
  • ピース Peace 1945年、フランスのメイヤンの作。花は黄色の巨大輪。
  • フジ(不二) Frau Karl Druschki 1901年、ドイツのランベルトの作。花は純白の大輪で、二季咲き。半つる性。

中輪房咲き[編集]

花つきが良く、長持ちする。品種名の前にはF. (フロリバンダ)をつける。

  • ワイルド・ファイアー Wild Fire 花は緋紅色の八重咲きで平開する。花壇や鉢植え向き。
  • チャールストン Charleston 1963年、フランスのメーヤンの作。花ははじめ深紅色のぼかしが入った黄色で、開花後、花全体が深紅色になる。半八重咲きでやや大輪。
  • ファンファーレ Fanfare 花は八重咲きで、はじめは朱紅色だが、満開時には桃色になる。
  • フロリック Flolik 花は桃色の八重咲き。

小輪房咲き[編集]

花は四季咲きで種類も豊富。今日ではあまり見られない。品種名の前にはPol. (ポリアンタ)をつける。

コウシンバラの矮性型[編集]

多く鉢植えにされる。品種名の前にはMin. (ミニアチュア)をつける。

つるバラ[編集]

大輪つるバラ[編集]

もともとつる性のものもあるが、多くはハイブリッド・ティーの枝変わり。品種名の前にはCl. (クライミング)をつける。

  • サマー・スノー Summer Snow 花は白色の八重咲き中輪。花つきが良く、集まって咲く。
  • スパニッシュ・ビューティ Spanish Beauty 花はピンク色。花つきが非常に良い。
  • クリムソン・グローリー Crimson Glory 花は深紅色でビロード状の光沢があり、芳香が強い。同名のハイブリッド・ティーの枝変わり。
  • コックテイル Cooktail 花は紅色で一重の中輪。花弁の基部と雄しべは黄色。

中輪つるバラ[編集]

テリハノイバラ系、ノイバラ系、フロリバンダの枝変わり、半つる性のシュラブなどがある。

小輪つるバラ[編集]

主にテリハノイバラ系で、葉に光沢があり、花期が遅い。

参考文献[編集]

  • 林弥栄『山渓カラー名鑑・日本の樹木』山と渓谷社、1985年、255・256頁頁。ISBN 4-635-09017-5 

関連項目[編集]