セイヨウコウホネ

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セイヨウコウホネ
Nuphar lutea (habitus).jpg
セイヨウコウホネ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: スイレン目 Nymphaeales
: スイレン科 Nymphaeaceae
: コウホネ属 Nuphar
: セイヨウコウホネ N. lutea
学名
Nuphar lutea
(L.) Sm.
英名
yellow water-lily
brandy-bottle

セイヨウコウホネ(Nuphar lutea)は、スイレン科水生植物欧州の温暖な地域や北西アフリカ、西アジアなどに分布する[1]

生態[編集]

湿地などで生育する。地中に根茎を広げ、そこから葉柄を伸ばして水面に浮葉をつける。葉柄の長さは水深によって異なるが、葉柄を伸ばして最大5メートルの深さまで生育することができる。[2] 湿潤な土壌は土中の酸素が不足するため、葉や塊茎の通気組織塊茎へ酸素を輸送している。水や養分は若い葉から塊茎へ送られ、古い葉をとおして放出されるという流れになっている。[3] 塊茎はマスクラットの餌となることもある。は水上に伸びた花茎の先端につき、花茎一本には一つの花が付く。花は両性花で、直径は2-4cm、黄色い花弁のように見えるのはがく片で、花の本体はがく片の内側にある多数の小さな黄色い部分である。花から発せられるエタノール性の香りに引き付けられて飛来するハエなどの昆虫によって受粉する虫媒花である[2]。果実は緑色の瓶のような形をしており、多数の種子が中に入っている。種子は主に水流によって散布される。

セイヨウコウホネはスイレン属の種に比べて水質汚染に強いとされている[2]

化学的特性[編集]

本種は「brandy bottle」の英名で呼ばれることもあるが、これは花からアルコールのような芳香がすることに由来する[4]

また、水中などの嫌気的な環境におかれた種子からレゾルシノールというフェノール類を放出することが知られている。レゾルシノールは生物にとって有害な物質で、種子からレゾルシノールを分泌することで、他の植物や微生物に対するアレロパシー効果があるものと考えられている[5]

分類学[編集]

一部の植物学者は本種をコウホネ属 Nuphar の唯一の種として扱うべきとの考えを持ち、そうなると本種は旧北区全域にわたる分布域を持つ種であり、他の種はすべて本種の亜種または品種であるとの判断となる[6][7]。しかしコウホネ属を8種に分けて扱うのが一般的である[8]

シンボル[編集]

フリースラント州の旗

セイヨウコウホネの葉をモチーフにした赤いハート型のシンボルは、seeblatt英語版 と呼ばれている。オランダフリースラント州の旗には7つの seeblatts が使用されている。 また、ブリストル大聖堂ウェストミンスター修道院には、天井にセイヨウコウホネの花を形どった浮き出し彫りが施されており、不淫を意味するモチーフと考えられている[9]

利用[編集]

観賞用に栽培されることがある。また、ホメオパシー信者の間では、セイヨウコウホネの成分を抽出したものを使用することがある[10]

画像[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Flora Europaea: Nuphar lutea
  2. ^ a b c Blamey, M. & Grey-Wilson, C. (1989). Flora of Britain and Northern Europe. ISBN 0-340-40170-2
  3. ^ Dacey, J. W. H. (1981). Pressurized ventilation in the yellow water lily. Ecology, 62, 1137–47.
  4. ^ Reader's Digest Field Guide to the Wild Flowers of Britain. Reader's Digest. 1981. p. 29. ISBN 9780276002175.
  5. ^ Sütfeld, R., Petereit, F. & Nahrstedt, A. Resorcinol in exudates of Nuphar lutea J Chem Ecol (1996) 22: 2221-2231.
  6. ^ Beal, E. O. (1956). Taxonomic revision of the genus Nuphar Sm. of North America and Europe. Journal of the Elisha Mitchell Scientific Society 72: 317–346.
  7. ^ Plants Profile: Nuphar lutea”. Natural Resources Conservation Service. United States Department of Agriculture. 2010年4月13日閲覧。
  8. ^ USDA Germplasm Resources Information Network: Nuphar Archived 2009-08-27 at the Wayback Machine.
  9. ^ Reader's Digest Field Guide to the Wild Flowers of Britain. Reader's Digest. (1981). p. 29. ISBN 9780276002175. 
  10. ^ http://www.homeopathycenter.org/remedy/nuphar-luteum

関連項目[編集]

外部リンク[編集]