スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL

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スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL
ジャンル プロレスゲーム
対応機種 スーパーファミコン
開発元 ヒューマン
発売元 ヒューマン
ディレクター 須田剛一
シナリオ 須田剛一
プログラマー 薗田直樹
音楽 山崎正通
志倉千代丸
YUKIE SUGAWARA
上茶慎太郎
美術 田村季章
シリーズ ファイヤープロレスリングシリーズ
人数 1 - 4人(対戦)
メディア 32メガビットロムカセット
発売日 1994年12月29日
デバイス ターボファイルツイン対応
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スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL』は、ヒューマン株式会社より発売されたスーパーファミコン用ソフト。ファイヤープロレスリングシリーズのスーパーファミコン版第4弾ソフトである[1]

概要[編集]

監修に当時『週刊プロレス』の編集者でライターの斎藤文彦を招聘。

リングの対角線を走りこみコーナーにもたれかかる相手に攻撃したり、コーナー上に持ち上げ雪崩式の技が出せるようになった。

場外への飛び技が走りこみ技に加えエプロン近くから飛ぶ技も追加された。コーナーからの飛び技にミサイルキックなどの立っている相手に放つ技が追加された。

ダウン時の動作に仰向けダウンとうつ伏せダウンの要素が追加された。

前作までのクリティカルサブミッションに加え(サブミッションも梶原型・ヴァン型・クラウザー型の3タイプに細分化)、打撃系、スープレックス系、スリーパー系のクリティカルを追加した。

ダメージソースに既存の体力に加え気力の要素を追加。気力が削られると体力が多く残っていてもKOされやすくなったり丸め込み技などでピンフォールを奪われやすくなるようになった。

流血システムを改良。流血後体力回復スピードが上がる選手が登場するようになった。

試合中にパフォーマンスを行えるようになった。パフォーマンスを行うと気力を回復できる。

ストーリーモード「チャンピオンロード」を追加。

「戦いの記録」という戦績記録シムテムが導入。ワンナイトマッチモードで戦績を積み重ねランクを上げると、エディットモードの振り分けポイントや使用可能技の制約が解放されるというシステムであった。

ゲーム内容[編集]

モード[編集]

  • ワンナイトマッチ
  • トーナメント
  • オープンリーグ
  • チャンピオンロード
  • オプションモード
  • エディットモード

チャンピオンロード[編集]

ストーリー[編集]

主人公の若手レスラー純須杜夫(すみすもりお)は、日本・世界の様々な団体で活躍。様々な団体の王座に君臨。果ては総合格闘技界や地下プロレスまでも制圧し、プロレス・格闘技界の全て名声を手に入れる。しかし、彼は得体の知れない虚構感に捕らわれいた。そしてある日、ホテルの一室にいる純須の手にはピストルが握られていた。

なおこのストーリーを手掛けたのは、同作品のディレクターの現グラスホッパー・マニファクチュアのCEO須田剛一。発売当時ユーザーから「ストーリーが暗い」と批評されたが、須田は「完全に僕のエゴイズム」「明るすぎる今のプロレスは嫌い」と答え意図的に暗いストーリーにしたと回答している[2]。また、ストーリーの結末については須田が後年『週刊ファミ通』の連載「エアポート51」にて[3] 、プロレスラー、フリッツ・フォン・エリック一家の事件(特にケリー・フォン・エリックの生涯)と、ロックバンドニルヴァーナのメンバーであったカート・コバーンの生涯にインスパイヤされた物と解説している。

登場人物[編集]

純須杜夫(すみす もりお)
1969年1月2日生まれ。青森県八戸市出身。好きなタイプはジュリエット・ルイス
神経質かつ無愛想な人となりで「心に荊をもつ青年」と呼ばれる。若元一徹のプロレス道場で指導を受け、道場卒業後VJP、OJP、UHWいずれかの団体にフリー参戦。それらの団体から離れ完全なフリーランスに転身後、異種格闘技戦に挑戦、欧州遠征を経て日本選手権に出場、決勝戦で冴刃明と対戦(準優勝)。その後渡米し、総合格闘技大会「グルーサムファイティング」に出場(優勝)。アメリカの大手団体に参戦、一徹道場の同期生(後述)とタッグ王座に挑み王座奪取。世界選手権に出場。
若元一徹
大日本プロレス[4]で活躍後、移籍先のVJPでは鬼軍曹の異名を取り指導する若手たちを震えあがらせていた。選手として引退後はプロレス道場の道場主として後身の指導にあたっていたが、純須と戦い(純須の道場卒業試験試合)再度プロレスの魅力に惹かれ地下プロレスの世界へ身を投じる。その後ディック・スレンダーとの試合で死亡したことが語られる。なお、彼の死後も試合敗北後のコンティニュー画面では登場する。
冴刃明
UHWのエースとして期待を集めるも団体は分裂。新たにGONGSを旗揚げ、地下プロレスへ身を投じ行方不明となった若元の後を継ぐように純須の世話をやく。純須が欧州遠征していた時に大口を叩きその発言がきっかけになり日本選手権が開催されることになり、同選手権決勝戦で純須を破り優勝。その後も世界選手権に出場、準決勝で主人公と戦うことになる(この時に初めて倒すことができる)。麗子という妹がいる(後述)。
一徹道場の同期生
ジ・アンダーグラウンド、ザ・スパイク、ディック・ロードの3人。道場でのスパーリング相手に指名した選手がストーリー第十章のタッグパートナーとなる。
カルロス・クラウザー
伝説のプロレスラーの一人。現在ではその一線を退いているが、実力は健在でチャプター8で純須とスパーリングをしてあらゆるテクニックを伝授する。なお、このスパーリング3連戦は一定時間が過ぎると終了し、勝敗に関係なくストーリーが進行する。
ダイナミック・キッド
イギリス出身。純須が憧れていた伝説のレスラーの一人で、過去に一徹にトレーニングを受けていたこともあり、純須の兄弟子ともいえる。精神的にボロボロの彼にプロレスラーとしての格を教える。引退していたが、後にタッグチャンピオンをかけての対決で戦う事になる。試合後に死亡したかのような描写があり、純須が号泣しているが、実際の生死は不明。
マイティボウイ・スミス
ダイナミック・キッドの従妹でありタッグパートナーでもある。チャプター10でキッドと共に純須と対決する。
ディック・スレンダー
世界選手権決勝戦の対戦相手で、ストーリーモードの最終ボス。非常に冷酷かつ凶悪な人物であり、それまで対戦してきた相手の命をすべて奪っている(地下プロレス時代に若元一徹を、世界選手権準決勝では道場の同期生をそれぞれ倒し命を奪っている)。
冴刃麗子
ヒロイン。冴刃明の妹、兵庫県神戸市出身、職業はモデル。兄の存在や影響からプロレスやプロレスラーの事を心良く思っていない。純須との初対面からしばらくの間は様々な行動や発言で純須の心を傷つける。しかし純須の人格に触れ、徐々に打ち解けていくが渡米中に一切連絡をよこさない純須に痺れを切らし、自棄になって親が勧めた縁談を受け入れ婚約したと世界選手権前の純須に告白する。だが実際は純須の気を引くために言ったことであり、エンディングでは純須に想いを告白していた。また描写はないものの、純須の子どもを身ごもっていた事が開発者のコメントで語られている。

開発[編集]

本作のディレクターを担当した須田剛一は、本作から技をかけるタイミングが「組み合って腰を落とした時」から「組み合う時」に変更された事に関して、「『ファイプロ』は腰カックンでしょ!って意見も多かった。(中略)ヒューマンの、『ファイプロ』創生期から携わっている人にとっても、踏絵に近いものがあったと思いますよ。でも、『スペシャル』は、それまでに出た『ファイプロ』を、システムから何から何まで含めて、全否定して作るという気持ちがあったんで、あまり気にしなかった」と語っている[5]

「チャンピオンロード」のストーリーに関しては、「『ファイプロ』は、パーティーゲームとしても人気がありましたし、ある種スタンダードになっていた思うんですよ。だから僕は、シングルプレイの遊び方を強化したいという考えがあって。『スーパーファイヤープロレスリング3』をデバッグしているときに、シングルプレイが面白くなかったんですよ。ひとりでプレイするお客さんのテンションを考えたとき、内容に意味なり意図を見出せないと、正直しんどい、という屁理屈があって。(中略)それから、当時の課長が退職されるときと、『スペシャル』が動く時期が同じだったんですよ。それで、置き土産じゃないですけど、「須田くん、『スペシャル』は好きに作っていいよ」と言っていただいたということもあって」と語っている[5]

その他に、「『ファイプロ』というジャンルのゲームに関しては、プランナーがいないと絶対に作り得ないというのがあったんですよ。プランナーが、プロレスの知識量という部分でイニシアチブを握って、統括するから。だから、プランナーの存在理由という意味も含めて、『ファイプロ』のプロジェクトでは、プランナーの立ち位置があったんですよ。そういうこともあって、『スペシャル』からはディレクターって名乗ろうと思っていたんですよ。このゲームというのは、お客さんに何を見せたいのかというのをハッキリさせたかったんです。単なるプロレスのシミュレータなのか、それともアクションゲームなのかという、どっちつかずのポジションは抜けたいなと思って。だから「プロレスはプロレス」だと。勝ち負け云々、バランス云々という部分を全部無視したゲームにしたかったというのがあったんですね」と語っている[5]

「チャンピオンロード」の主人公である純須杜夫の名前に関しては、「(元ネタはロックバンドのザ・スミスとそのボーカルのモリッシーだと聞かれて)名前を考えるときに、自分がウン十万人のお客さんに作るストーリーの登場人物の名前を考える役割になるなんて、思ってもみなかったんですね。で、なっちゃって、実際に考えるんですけど、自分の中から出てくるワードというのは、「佐藤」とか「鈴木」とかの前に、「バーニー」とか「ジョニー・マー」とか、そういう名前が先に出てきちゃうんで。だから、無意識の内に、何も考えないでつけましたよ」と語っている[5]

ストーリーの結末に関しては、「(ストーリーを)書いて行って最初にできたのが純須の自殺だったんですよ。で、最後の勝ち負けで、ハッピーエンドとバッドエンドに分岐させようと思ったんですけど、「ちょっと待てよ」と。「エンディングに、ハッピーもバッドもクソもないだろう」と。生きた奴の、人生そのものがエンディングであって、ハッピーだバッドだというのは、そいつが決めればいいことだし。人生の選択を、ゲームは都合よくシステムの中に置き換えているじゃないですか。『スペシャル』以降に作っていくアドベンチャーゲームもそうなんですけど、その頃から分岐に関しては疑問を感じていて、「こんないさぎの悪いものをお客さんに見せるなんて失礼だな」と思ってました」と語っている[5]

スタッフ[編集]

  • プログラム・ディレクター:薗田直樹
  • プロダクション・プログラマー:川上智
  • グラフィック・ディレクター:田村季章
  • スキル・アニメーション:朝倉好則
  • プロダクション・ビジュアル・デザイナー:AKIHISA YOSHIMURA
  • ミュージック・コンポーズ:山崎正通
  • ストーリー、スクリーン・プレイ:須田剛一
  • プロダクション・マネージャー:阿部浩之、KAZUHIKO YAMADA、米澤正弘、HIDENORI YAGI
  • アシスタント・ディレクター:DAISUKE TAKAHASHI
  • エグゼクティブ・ゲーム・デザイナー:増田雅人
  • エグゼクティブ・デザイン・スーパーバイザー:小林裕一
  • コード・プログラマー:薗田直樹、HIROYUKI FURUICHI
  • アディショナル・コード・プログラマー:阿部浩之、愛甲剛、米田晃人、SHIKA NAKAYAMA
  • アクション・プログラマー:川上智、渡邊肇
  • スキル・プログラマー:渡邊肇
  • アディショナル・スキル・プログラマー:HIDEAKI OGUMA、TARO ADACHI、NOBUTAKA KOBAYASHI
  • オープニング・プログラマー:SHIKA NAKAYAMA
  • ビジュアル・グラフィック:田村季章、武市州生、HIDENORI NISHIOKA、HIROAKI TANAKA、佐々木恵介
  • アディショナル・ビジュアル・グラフィック:山崎正順、KOUSUKE OHTAKE、青柳健二、島崎洋一郎、TAZROW MURAYAMA
  • ビジュアル・デザイナー:AKIHISA YOSHIMURA、HIROKI TAKAHASHI
  • スキル・アニメーター:朝倉好則、TAZROW MURAYAMA、島崎洋一郎、高岡謙次
  • アディショナル・スキル・アニメーター:田村季章、加藤亮、田村大也、TAKEHIRO OHKAWA
  • レスラー・デザイナー:高岡謙次
  • レスラー・グラフィック:加藤亮、島崎洋一郎、青柳健二
  • バックグラウンド・デザイナー:田村大也
  • インフォメーション・グラフィック:MASAHARU OMI、加藤亮
  • フォント・デザイナー:MASAHARU OMI
  • オープニング・グラフィック:田村大也
  • グラフィック・コンサルタント:TOSHIYUKI OHHASHI、山口直純
  • グラフィック・ヘルパー:山口直純、山岸正美、MAKOTO KAWAMOTO
  • コンポーザー:山崎正通、志倉千代丸、YUKIE SUGAWARA、上茶慎太郎
  • フォーリー:山崎正通
  • スーパーバイザー斎藤文彦
  • ディレクター:須田剛一

評価[編集]

項目 キャラクタ 音楽 お買い得度 操作性 熱中度 オリジナリティ 総合
得点 3.6 3.4 3.3 3.6 3.9 3.5 21.2
  • ゲーム本『プロレススーパーゲーム列伝』(2001年ソニー・マガジンズ)では、「登場選手が団体ごとに区切られているのも本作からの大きな魅力。試合に参加する選手をすべてコンピュータに操作させ、その試合経過を眺める"ファイプロ観戦"が本格化したのは本作からだったように思う。しかし、本作のいちばんの特徴はなんといってもひとりの新人レスラーが頂点に昇りつめるまでの戦いをオリジナルストーリーで描く『チャンピオンロード』モードだ。このモードの何が凄いって、シナリオ担当・須田剛一氏がプロレスを見て感じた幻想・妄想がダダ漏れの脚本である」と評している[7]

関連項目[編集]

関連書籍[編集]

  • スーパーファミコン必勝法スペシャル『スーパーファイヤープロレスリングスペシャル』1995年、ケイブンシャ ISBN 4-7669-2134-8
  • スーパーファミコン必勝法スペシャル『スーパーファイヤープロレスリングスペシャル エディットレスラーブック』1995年、ケイブンシャ ISBN 4-7669-2164-X

脚注[編集]

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  1. ^ 1994年7月に発売された『ファイプロ女子ALL STAR DREAMSLAM』は「ファイプロ女子」という独立シリーズとなるため。
  2. ^ 参考文献 エディットレスラーブック 29頁。
  3. ^ 週刊ファミ通 2008年7月13日号 197頁、「エアポート51」第23回。
  4. ^ 1995年に設立された大日本プロレスとは無関係。
  5. ^ a b c d e 結城昌弘「『ファイプロ スペシャル』『シルバー事件』を創った男」、『CONTINUE』Vol.9、太田出版2003年4月22日、 125 - 129頁、 ISBN 9784872337556
  6. ^ 「超絶 大技林 '98年春版」、『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、 265頁、 ISBN 雑誌26556-4/15
  7. ^ 馬波レイ、大地将 「'94年 スーパーファイヤープロレスリングスペシャル」『プロレススーパーゲーム列伝』 ソニー・マガジンズ2001年10月30日、80 - 81頁。ISBN 9784789717601