スーパーの女

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スーパーの女
監督 伊丹十三
脚本 伊丹十三
出演者 宮本信子
津川雅彦
三宅裕司
小堺一機
伊東四朗
音楽 本多俊之
撮影 前田米造
浜田毅
柳島克巳
高瀬比呂志
編集 鈴木晄
製作会社 伊丹プロダクション
配給 東宝
公開 日本の旗 1996年6月15日
上映時間 127分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 15億円(配給収入)[1]
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スーパーの女』は、1996年日本映画伊丹十三による脚本監督作品。原作は安土敏の「小説スーパーマーケット」。

スーパー大好き主婦が幼馴染の経営するダメスーパーマーケットを立て直していくというサクセスストーリーである。

伊丹十三にとっては前二作(『大病人』『静かな生活』)が興行的に失敗に終わったため、「この映画では失敗が許されない」と覚悟をもって臨んだ作品であったが、結果的に大ヒットを記録した。


あらすじ[編集]

おかっぱ頭のスーパーマーケット大好き主婦・井上花子は、スーパー「安売り大魔王」の中で小学校時代の幼馴染・小林五郎と再会する。花子は「もう一つスーパーを見て欲しい」と五郎に言われついて行った先のスーパー「正直屋」のダメぶりを五郎に愚痴るのが、実は五郎がその「正直屋」のオーナーだった。

五郎は花子にスーパーの悪いところを直してくれと頼み、花子はレジチーフとして「正直屋」に勤務。近所で繁盛しているライバル店「安売り大魔王」と戦う事になる。

最初はスーパーのレジ係として勤務した花子だが、職人気質な人達がチーフに就いている各部門で問題が続発し、特に精肉部・鮮魚部とは事あるごとに対立する。やがて実績を買われて副店長に昇進した花子は顧客の意見を聞き反映する試みを行い、製品のリパック(店頭に置いてあった製品を回収し再度ラップし、また店頭に置く事)の禁止を店舗会議で直訴し五郎も承諾させ、正直屋の商売方針を改善。徐々に来る客も増えていった。

一方精肉部のチーフは出入りの屑肉処理業者を使い店に納入されている高級国産牛を不正に横流しし、私腹を肥やしていた。ある晩、精肉部助手の報告を受け、花子と五郎は屑肉処理業者をとり押さえ、精肉部のチーフを問い詰める。

旗色が悪くなった「安売り大魔王」の社長は、以前から内通していた「正直屋」の店長に「必要な人員をごっそり引き抜いてくるように」と言い、ある朝、「正直屋」の朝礼で店長がその話を持ち上げる。当初は先行きの不安感から店長側につく者が多かったが、花子が「安売り大魔王」の現状と「正直屋」の展望の話をし、スーパーの売り手としての自覚を持った店員は花子の説得で大半は店に残る決意をする。その中には花子と販売戦略の違いから対立していた鮮魚部のチーフもいた。

結局、正直屋を出る事になったのは店長と精肉部のチーフの他数名だけだった。閉店後、従業員と食事に行っていた花子たちは精肉部のチーフと店長が店の肉を持ち出そうとしている一報を聞き、阻止しようと店に向かうが手違いから店長たちの乗る冷凍車に花子は閉じ込められてしまう。トラックをヒッチハイクした五郎と店長たちの冷凍車とのカーチェイスを繰り広げたのち、警察も応援に加わり店長達を追い詰める事に成功し、店長と精肉部のチーフは逮捕された。行き着いた先がとある漁港で正月も漁に出る事を知った花子は漁師の好意で初荷を全て買取る契約をする事に成功した。

年が明けて1月2日。正月商戦において盛況に沸く正直屋は閑古鳥の鳴く安売り大魔王に見事に勝利を収めるのだった。

キャスト[編集]

正直屋
お客さま
その他
安売り大魔王

スタッフ[編集]

作品解説[編集]

全体的にコメディタッチにストーリーが展開してゆくが、後半には冷凍トラックとデコトラ(芸術丸I)のカーチェイスシーンもあり、アクション映画の要素も併せ持つ娯楽作品に仕上がっている。

原作は「小説スーパーマーケット」。著者の安土敏こと荒井伸也は、1996年当時、スーパーマーケットチェーン「サミット」の社長であり、この映画の製作には同社が全面協力している。

考察[編集]

最も大きな特色は、2000年雪印集団食中毒事件を皮切りに相次いで起こった大規模な食品事故を機に社会的関心が高まった、食の安全食品偽装といったテーマを、その数年前に既に描いていたという点である。例えば、

  • 変色した肉を赤い蛍光灯でごまかす。
  • 売れ残りの食品をパックし直して新しい日付で売る(通称:リパック)。
  • 輸入牛を和牛として売る。
  • 前日の売れ残った惣菜を翌日の弁当に入れる。

である。さらにこの作品ではいわゆる牛肉偽装事件が発覚する前から生産地の偽装について取り上げており、伊丹十三の先見性を世に知らしめる事となった。この映画による影響で改善されたスーパーマーケットも数多くあったといい、試写を見たあるスーパーの店員達はその上層部に「私たちはこの店をこんなスーパーにしたいんです」と訴えたという逸話も残っている。このような経緯もあり、社員教育研修用の素材ビデオとしても活用されている。

脚注[編集]

  1. ^ [1]日本映画製作者連盟1996統計

外部リンク[編集]