スペースX Crew-3

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スペースX Crew-3
Crew Dragon Endurance at the ISS.jpg
Crew-3ミッションでISSにドッキングしている クルードラゴン・エンデュランス
名称USCV-3
任務種別ISS乗員輸送
運用者スペースX
COSPAR ID2021-103A
SATCAT №49407
任務期間176日 2時間
特性
宇宙機クルードラゴン・エンデュランス
宇宙機種別クルードラゴン
製造者スペースX
打ち上げ時重量12,055 kg (26,577 lb)[1]
乗員
乗員数4
乗員
長期滞在第66次 / 第67次長期滞在
任務開始
打ち上げ日2021年11月11日02:03:31 UTC
ロケットファルコン9ブロック5B1067.2[2]
打上げ場所ケネディ宇宙センターLC-39A
打ち上げ請負者スペースX
任務終了
回収担当シャノン英語版
着陸日2022年5月6日 04:43 UTC[3]
着陸地点大西洋 / メキシコ湾
軌道特性
参照座標地球周回軌道
体制低軌道
傾斜角51.66°
国際宇宙ステーションのドッキング(捕捉)
ドッキング ハーモニー・モジュール前方側
ドッキング(捕捉)日 2021年11月11日23:32 UTC
分離日 2022年5月5日 05:02 UTC[4][3]
dock時間 174日 5時間
SpaceX Crew-3 logo.svg
スペースX Crew-3ミッションパッチ
SpaceX Crew-3 (official portrait).jpg
チャリ、マーシュバーン、マウラーおよびバロン

スペースX Crew-3クルードラゴン宇宙機での4回目の任務飛行であり、NASAの商業乗員飛行全体での3回目の有人飛行である。このミッションは2021年11月11日02:03:31 UTC国際宇宙ステーションに向けて成功裡に打ち上げられた[5]。この飛行がクルードラゴン・エンデュランスにとっては初飛行となった[6]

今回のの打ち上げで、宇宙に行った人間は、600人目がマウラー、601人目がバロンとなって600人を超えた[7]


名称[編集]

これまでのクルードラゴンのカプセルは、最初がレジリエンス、次がエンデバーと言うように、それぞれの最初の乗員によって名付けられてきた。2021年10月7日、三番目のカプセルはエンデュランス(Endurance、「忍耐力」「我慢強さ」)と呼ばれることが発表された[8]。この名称は、新型コロナウイルス感染症の大流行を耐え抜き、宇宙機を組み立て、それを飛ばす予定の宇宙飛行士を訓練したスペースXとNASAのチームの栄誉を称えたものである[9]この名称は英語版、シャクルトンの帝国南極横断探検隊の栄誉を称えたものでもある。3本マストの帆船は、南極到着前に氷に閉じ込められて1915年に沈没した[10]

クルー[編集]

2020年9月にESAのドイツ人宇宙飛行士マティアス・マウラー英語版が最初にこのミッションに選別された[11][12][13]。NASAの宇宙飛行士であるラジャ・チャリ英語版トーマス・マーシュバーン英語版は2020年12月14日にクルーに追加された[14][15]。4番目の座席はロシアの宇宙飛行士が座るものと予想して空席のままで、NASAとロスコスモスの間で、ソユーズと商業乗員輸送機の座席を交換するバーター取引協定の開始を示唆したが、2021年4月に当時のNASA長官スティーヴ・ユルチク英語版は、この協定はCrew-3の打ち上げまでに発効される可能性は低いと述べた[16]。4番目の座席は、2021年5月にケイラ・バロン英語版に割り当てられた[17]

チャリは1973年スカイラブに向けて出発したスカイラブ4号以来のNASAの宇宙飛行ミッションを指揮する新人宇宙飛行士となった。それまで宇宙飛行をしたことのなかったジェラルド・カー英語版がスカイラブでの84日間の飛行で3名のクルーを率いた[18]。このフライトはマウラーとバロンにとっても初めての宇宙飛行である[19]

地位 宇宙飛行士
宇宙船コマンダー アメリカ合衆国の旗 ラジャ・チャリ英語版, NASA
第66次 / 第67次長期滞在
1回目の宇宙飛行
パイロット アメリカ合衆国の旗 トーマス・マーシュバーン英語版, NASA
第66次 / 第67次長期滞在
3回目の宇宙飛行
第1ミッションスペシャリスト アメリカ合衆国の旗 ケイラ・バロン英語版, NASA
第66次 / 第67次長期滞在
1回目の宇宙飛行
第2ミッションスペシャリスト ドイツの旗 マティアス・マウラー英語版, ESA
第66次 / 第67次長期滞在
1回目の宇宙飛行
References: [20][21][12][14][15][17]
地位 宇宙飛行士
宇宙船コマンダー アメリカ合衆国の旗 チェル・N・リンドグレン英語版, NASA
パイロット アメリカ合衆国の旗 ロバート・ハインズ英語版, NASA
第1ミッションスペシャリスト アメリカ合衆国の旗 ステファニー・ウィルソン, NASA
第2ミッションスペシャリスト イタリアの旗 サマンタ・クリストフォレッティ, ESA
References: [22][23][24]

このNASA宇宙飛行士グループ22英語版(ニックネーム「ザ・タートルズ」)で初めて宇宙に飛び立ったスペースX Crew-3のラジャ・チャリ英語版ケイラ・バロン英語版は、宇宙飛行士グループへの敬意を表してゼロGインジケーターとして亀のぬぐるみを持参した[25]。さらにドイツ人のマティアス・マウラー英語版NASA宇宙飛行士グループ19英語版(ニックネーム「ザ・ピーコック」)のために、亀は "Pfau" (ドイツ語で「孔雀」の意)と名付けられた[26]

ミッション[編集]

商業乗員輸送計画英語版でスペースXが運用する3回目のミッションは、2021年11月11日に打ち上げられる予定だった[27]。しかし、大西洋の悪天候のために2021年11月3日に延期され[28]、さらに宇宙飛行士1名の軽微な健康上の問題のために2021年11月7日に再延期された[29]。悪天候の影響で、打ち上げは2021年11月9日にさらに延期された[30]

この打ち上げの遅れにより、NASAはCrew-3の打ち上げ前にCrew-2の宇宙飛行士を帰還させることを決定し、このため、宇宙ステーションのクルーがクルードラゴンで間接的に引き継がれる初めてのケースとなった[31]。スペースX Crew-2は2021年11月8日にステーションから離脱し、翌9日に着水した。スペースX Crew-3ミッションは、2021年11月11日02:03:31 UTCにケープカナベラルから打ち上げられた[32]

Crew-3の帰還は2022年4月から5月上旬へと数回にわたって遅延した。5月5日(05:20 UTC)にドッキングが解除され、176日間を宇宙空間ですごしたのちに着水した[33]

このミッションの欧州担当部分は "Cosmic Kiss" と呼ばれている[34]

NASAのスペースX Crew-3の宇宙飛行士は、2021年10月28日にフロリダ州のケネディ宇宙センターで行われたカウントダウンドレスリハーサルに参加し、2021年11月11日のCrew-3の打ち上げに備えた。
2021年11月21日木曜日に、LC-39Aから打ち上げられるスペースX Crew-3メンバーが搭乗したファルコン9と「エンデュランス」
スペースX Crew-3の告知ポスター
背後に見えるエンデュランスで着水した後の、NASAの宇宙飛行士トーマス・マーシュバーン英語版

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Dragon Endurance”. NASA (2021年11月14日). 2021年11月15日閲覧。 “Mass: 12055 kg”
  2. ^ CRS-22 Mission Overview”. 2021年5月27日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  3. ^ a b Kelvey, Jon (2022年5月2日). “Nasa’s Crew-3 astronauts set to return to Earth this week” (英語). The Independent. https://www.independent.co.uk/space/nasa-crew3-return-earth-b2069979.html 2022年5月3日閲覧. "Nasa’s head of human spaceflight Kathy Lueders said the space agency aims to have the Crew-3 astronauts undock from the ISS in their Crew Dragon spacecraft around pm EDT on Wednesday 4 May, with a splashdown off the Florida coast to follow on 5 May." 
  4. ^ Kanayama, Lee (2022年4月27日). “Crew Dragon Freedom makes its first docking at the ISS on the Crew-4 mission”. NASASpaceFlight.com. https://www.nasaspaceflight.com/2022/04/dragon-freedom-docks-crew-4/ 2022年5月3日閲覧. "This handover is expected to be complete by May 4, when Endurance is slated to depart the ISS, however this timeline will be contingent on recovery weather conditions." 
  5. ^ SpaceX debuts new Dragon capsule in launch to the International Space Station”. Spaceflight Now (2021年11月11日). 2021年11月11日閲覧。
  6. ^ Clark, Stephen. “Astronauts choose ‘Endurance’ as name for new SpaceX crew capsule – Spaceflight Now” (英語). 2022年5月6日閲覧。
  7. ^ Roulette, Joey (2021年11月10日). “More than 600 human beings have now been to space”. 2021年11月11日閲覧。 “They've tipped the number of people to have gone to space to over 600, according to a tally maintained by NASA”
  8. ^ NASA's SpaceX Crew1 Post-Splashdown Briefing. NASA Video. 2 May 2021. 2021年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。YouTubeより2021年11月2日閲覧  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  9. ^ Wall, Mike (2021年10月7日). “Meet "Endurance": New SpaceX Crew Dragon capsule gets a name”. Space.com. 2021年11月14日閲覧。
  10. ^ Astronauts choose "Endurance" as name for new SpaceX crew capsule”. Spaceflight Now (2021年10月8日). 2021年10月8日閲覧。
  11. ^ Brown, Mike (2020年10月1日). “SpaceX and NASA Detail a Packed 12 months for Crew Dragon: What to Know”. Inverse. 2020年11月16日閲覧。
  12. ^ a b Becker, Joachim Wilhelm Josef (2020年11月13日). “Spaceflight mission report: SpaceX Crew-3”. Space Facts. 2020年11月16日閲覧。
  13. ^ Crewed Spaceflight Tweets [@MannedTweets] (2020年9月8日). "BREAKING NEWS ‼ Michal Vaclavik, Czech representative at ESA: Now baked at ESA. It is clear that ESA astronaut Thomas Pesquet will fly on Crew-2, but we have now agreed that another ESA astronaut, Matthias Maurer, will fly to Crew-3 in September 2021. @ShuttleAlmanac t.co/lQ7LPYfaDp" (ツイート). 2021年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブTwitterより2021年11月2日閲覧
  14. ^ a b Potter, Sean (2020年12月14日). “NASA, ESA Choose Astronauts for SpaceX Crew-3 Mission to Space Station”. NASA. 2020年12月14日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  15. ^ a b Clark, Stephen (2020年12月29日). “Three astronauts assigned to Crew Dragon mission in late 2021”. Spaceflight Now. 2020年12月29日閲覧。
  16. ^ Clark, Stephen. “NASA chief: Russian cosmonauts unlikely fly on U.S. crew capsules until next year”. Spaceflight Now. 2021年4月24日閲覧。.
  17. ^ a b Kayla Barron Joins NASA's SpaceX Crew-3 Mission to Space Station”. NASA (2021年5月17日). 2021年5月17日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  18. ^ Raja Chari is the first rookie astronaut in 48 years to command a NASA mission”. Spaceflight Now (2021年11月10日). 2021年11月11日閲覧。
  19. ^ SpaceX launches mostly-rookie Crew-3 mission to ISS”. nasaspaceflight.com. NASASpaceFlight.com (2021年11月10日). 2021年11月11日閲覧。
  20. ^ JSR 799 draft”. Jonathan's Space Report (2021年11月10日). 2021年11月11日閲覧。
  21. ^ NASA assigns astronauts for third SpaceX commercial crew mission”. SpaceNews (2020年12月14日). 2020年12月21日閲覧。
  22. ^ Kjell N. Lindgren (M.D.) NASA Astronaut”. NASA (2016年3月7日). 2021年5月7日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  23. ^ Robert Hines NASA Astronaut”. NASA (2021年4月26日). 2021年6月13日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  24. ^ Marshburn, Thomas [@AstroMarshburn] (2021年6月12日). "Had a great week in Cologne, Germany, home of our crewmate @astro_matthias Our backup, @Astro_Stephanie joined us for our final training trip to the European Space Agency before we launch this fall! t.co/Zn8TaDn9NK" (ツイート). 2021年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブTwitterより2021年11月2日閲覧
  25. ^ SpaceX Crew-3”. Twitter. 2021年11月11日閲覧。
  26. ^ Crew-3 Mission”. 2021年11月12日閲覧。
  27. ^ Sempsrott, Danielle (2021年10月19日). “NASA, SpaceX Adjust Next Crew Launch Date to Space Station”. NASA. 2021年10月20日閲覧。
  28. ^ Sempsrott, Danielle (2021年10月30日). “NASA, SpaceX Adjust Next Space Station Crew Rotation Launch Date”. NASA. 2021年10月30日閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  29. ^ SpaceX's Crew-3 astronaut launch for NASA delayed by "minor medical issue"”. Space.com (2021年11月1日). 2021年11月5日閲覧。
  30. ^ NASA rules out weekend Crew Dragon launch, may bring station crew home first”. Spaceflight Now (2021年11月4日). 2021年11月5日閲覧。
  31. ^ SpaceX crew launch bumped to next week; astronaut on mend” (2021年11月4日). 2021年11月5日閲覧。
  32. ^ Forum Crew-3”. NASASpaceFlight.com (2021年11月5日). 2021年11月6日閲覧。
  33. ^ published, Mike Wall (2022年5月3日). “SpaceX's Crew-3 astronaut mission will return to Earth early Friday morning” (英語). Space.com. 2022年5月4日閲覧。
  34. ^ ESA astronaut Matthias Maurer officially assigned first flight”. esa.int. ESA (2020年12月14日). 2020年12月15日閲覧。