スパム (モンティ・パイソン)

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『スパム』
"Spam"
Spam can.png
実際のスパム缶詰
モンティ・パイソンのスケッチ
初出 空飛ぶモンティ・パイソン
放送話 第2シリーズ第12話
スパム
初回放送日イギリスの旗 1970年12月15日
日本の旗
1976年9月24日
執筆者 テリー・ジョーンズ
マイケル・ペイリン
再演 "Another Monty Python Record"
 (en(1971年)
復活ライブ!』(2014年)
初出での各メンバーの主な役柄
クリーズ ハンガリー人
チャップマン 食堂の女性客・バン夫人
アイドル 食堂の男性客・バン氏
ジョーンズ 食堂のウェイトレス
ペイリン 歴史学者
公式動画
Spam - Monty Python - YouTube
モンティ・パイソンの作品
空飛ぶモンティ・パイソンのエピソード一覧
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スパム』(: Spam)は、1970年テレビ番組空飛ぶモンティ・パイソン』第2シリーズ第12話のラストに放送されたスケッチである。迷惑行為を表す「スパム」の語源となった。『スパムの多い料理店』、『スパムの多い大衆食堂』とも呼ばれる[1]

スケッチの内容[編集]

何故かヴァイキングのたくさんいる大衆食堂にバン夫妻(エリック・アイドルグレアム・チャップマン)が天井から吊り降ろされてやってきて、厚化粧のウェイトレステリー・ジョーンズ)にメニューを尋ねる。ウェイトレスはメニューを読み上げるが、その中は「豚肉と煮豆とスパム」「スパムと卵とソーセージとスパム」「スパムとスパムとスパムとスパムと煮豆とスパムとスパムと…」などと「スパム」ばかり入っている。スパム嫌いのバン夫人(チャップマン)は逆上するが、ウェイトレスはスパム入りのメニューしかないと言い張る。「スパム」が連発されるうちに、周りにいたヴァイキングたちが「スパム、スパム、スパム……」と合唱を始め、食堂はわけのわからない状態になる[1]

そこへハンガリー人(ジョン・クリーズ)がハンガリー英語辞書を手に現れるが、辞書頼りのためウェイトレスへの注文が卑猥な発言(「かわいいお尻ちゃん」「私の腸はスパムでいっぱい」)になってしまい、不審者として警官に連れて行かれる。

カットが変わって歴史学者マイケル・ペイリン)が登場し、ヴァイキングについて語り始めるが、その話の内容もすぐスパムだらけになり、背景の幕が吹っ飛ぶとそこは元の食堂で、結局ヴァイキングが合唱。食堂をバックに流れるクレジットも「SPAM」で溢れている[1]

誕生秘話[編集]

「スパム・スケッチ」を執筆したのは、同じオックスフォード大学を卒業したテリー・ジョーンズマイケル・ペイリンである[1]。それまでもビジュアル的でショックのある笑いを追求していた2人は、このスケッチも例にもれずシュールなものに仕上げた。だが、番組のメンバーによる台本読み合わせでこのスケッチを読んだ際、エリック・アイドルテリー・ギリアムは爆笑したものの、グレアム・チャップマンジョン・クリーズ(ともにケンブリッジ大学卒)は気に入らず[1]、「書き直してもっとよくできるかもしれない」と持ちかけた。しかし、その結果書きあがった台本を読むと、ある程度筋の通ったストーリーになってしまい、本来のスケッチにあったリズムとインパクトが失われてしまった。そこでジョーンズとペイリンは、撮影の直前にこっそり台本を最初の物とすり替え撮影したという。

また、このスケッチが執筆された背景には、スパムが第二次世界大戦に端を発する英国の食糧不足から外れた数少ない肉類の一つだったために、見慣れていて飽き飽きする食べ物という意識を募らせていたという事実がある。英国の配給制は戦後もしばらくの間続いたが、その中で肉類は、配給制解除がもっとも遅かった(1954年7月解除)物資の一つであった。従って1940年前後の生まれであるパイソンズメンバーのほとんどは、少年時代に肉の配給制を経験しており、唯一の英国外出身のテリー・ギリアム(1968年に英国籍取得)はもともとアメリカ人で、スパムの原産国の出である。

ダブル・ミーニング[編集]

このスケッチにおいて「スパム(SPAM)」は「スパーム(Sperm)(英語で「精子」の意)」と発音が似ていることから、それを使ったダブル・ミーニングの言葉遊びがしばしば用いられる[1]。例えば「玉子とスパム」が「卵子と精子」、「ソーセージとスパム」が「男性器と精子」、バン夫人が「〜と、ソーセージのスパム抜きをちょうだい」と頼んだのに対しウェイトレスが「精子のない男性器」ととらえて嫌悪感をあらわにした、などと解釈できるといったネタである。同様に、ヴァイキングの歌の中の「可愛いスパム」という歌詞は「可愛い精子」と解釈できるし、「私の腸はスパムでいっぱい」は、直前の「かわいいお尻ちゃん」共々男色行為を連想させる。このように、このスケッチにはダブル・ミーニングを使った隠喩があちこちに散りばめてある。

迷惑行為としての「スパム」との関連[編集]

このスケッチにおいて「スパム」が執拗に繰り返される様子が、迷惑メールなどを表す「スパム」の語源の一つとされる[2] 。詳しくはスパム#迷惑行為とスパムを参照。

その他[編集]

自社の製品を元ネタに使われたホーメル食品英語版は、はじめはあまり好意的ではなかったものの、宣伝効果を狙って、ミュージカル『スパマロット』のスポンサーをつとめたり、「スパム博物館」を設立してモンティ・パイソンのコーナーを設けたりするなど、次第にスケッチを支持するようになった。

2014年パイソンズ復活ライヴでは、スケッチとしては最後から二番目に演じられた。この際、バン夫人の役は死去したグレアム・チャップマンに代わりキャロル・クリーヴランドが演じた。

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 須田泰成 『モンティ・パイソン大全』 洋泉社1999年、196頁。ISBN 978-4896913620
  2. ^ Origin of the term "spam" to mean net abuse”. Templetons.com. 2013年11月9日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]