スパイダーマン (1967年のテレビアニメ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

スパイダーマン(Spider-man:1967 TV series)は、1967年(昭和42年)9月9日から1970年(昭和45年)6月14日までアメリカ合衆国ABCネットワークで放送されたマーベルテレビアニメシリーズ。

概要[編集]

本作はカナダとの共同制作によって、1967年(昭和42年)9月9日から1970年(昭和45年)6月14日までアメリカ合衆国ABCで全3シーズン全52話が放送された。この番組では1963年(昭和38年)の漫画(コミカルタッチ)を元に作られている。後に何度もシリーズ作品が作られているため、ここでは旧アニメシリーズとして扱う。現在の配給はディズニー・エービーシー・共同テレビジョンが行っており、ライセンスはディズニー・エンタプライズが所有している。1990年代には1990年代のアニメシリーズが製作された。ただし、本作の著作権であるマーベルが2010年代まで本作と東映版を配信していた。

本作による製作事情[編集]

適当な台本や演技、そして極端な低予算で知られる[1]。低予算であったため、予算を倹約するためスパイダーマンのコスチュームの蜘蛛の巣柄は顔、腕とブーツだけになり、残りは無地になっていた(胸と背中のクモは残された)。また、前の放送分で使ったアニメーションを別の回で使い回すのを多用しており、ニューヨーク市上空を飛ぶシーン、ピーターが白いシャツを脱ぎ捨て下に着ていたスパイダースーツに着替えるところ、マスクを着用して変身するところなどは、すべて使い回しだった。登場人物の動きも最小限とされた。第1期は初回放送予定の日にちの3か月前の時点で完成しておらず、たとえば、"Farewell Performance"という回は1967年(昭和42年)8月の時点ではまだ収録中で、 アメリカ合衆国のリンドン・ジョンソン大統領(当時)の59歳の誕生日を新聞が報じている場面までしかできてなかった[2]。第1期の制作元であるグラントレー=ロレンス社が倒産した後、2期・3期分はラルフ・バクシ監督のもとクランツ社で制作された[3]が、予算はさらに劇的に減らされ、第3期に入るも予算の削減が激しくなり、第3期中2話分(『Phantom from the Depths of Time』『Revolt in the Fifth Dimension』)は『ロケット・ロビンフッド』2話分(『From Menace to Menace』『Dementia Five』) の動画をまるまる再利用し、登場人物のロビンフッドをスパイダーマンに差し替えただけで制作された。また、放映済みの分を最小限の変更だけ加えて再利用することも行われた。

テーマソング[編集]

本作のテーマソング『スパイダーマンのテーマ』は映画でも使われ、カバーもされた人気曲である[4]。歌詞はアカデミー賞受賞者ポール・フランシス・ウェブスターによるもので、作曲はボブ・ハリスである[4][5]。オリジナル版はトロントのRCAスタジオ(動画の制作と同じ場所)でカナダ放送協会所属の歌手12人(ビリー・ヴァン・シンガーズとローリー・ボウワー)を使って収録された。音楽はニューヨークのRCAスタジオで別撮りのものを合成した[5]。歌手には収録分だけが支払われ、それ以降の再放送出演料は支払われてなかった。

本作による吹替事情[編集]

第1期ではレイ・エリス作曲による「オリジナル・サウンドトラック」が使用されたが、第2期・3期ではKPM(NFL等)、Capitol、Conroy、Josef Weinbergerといった音楽ライブラリを使用している。 第1期のサウンドトラックは未収録であり、後者では不完全な状態で第2期の音楽ライブラリを流用している。 当時の日本語吹き替え版は邦訳ミスが多かった、本作の現行吹替版での放送は現在のところ未定である。

日本での放送[編集]

日本の放送では『快傑くも人間』のタイトルで1971年にテレビ放送が開始、初回放送時は富山敬が担当された。1974年7月に東京12チャンネル⇒テレビ東京(現在)で中断置きながら1975年3月まで放送されてからは"スパイダーマン"に変更されている。1980年代には田中秀幸による吹替版がテレビ東京でアニメランドの第2部で放送された。再放送は1990年代まで断続的に続いた。

登場人物[編集]

メインキャラクター[編集]

デイリー・ビューグル[編集]

スパイダーマン/ピーターパーカー (Peter Parker) 
- ポール・ソール
デイリービューグルの記者である本作の主人公。証拠写真のためにカメラを持っている、彼は研究が得意である。
スパイダーマンに着替える前、場合によっては手腕に付けているクモ糸発射装置「ウェブ・シューター」を調整チェックをすることがある。
日本語版声優は富山敬(快傑くも人間)、田中秀幸(アニメランド)。
ジェイ・ジョナ・ジェイムソン (J. Jonah Jameson) 
声 - ポール・クリグマン
デイリービューグルの社長、通称JJJ[6]。いつもスパイダーマンの正体を知りたがっており、彼はどんな事件が起きても犯人をスパイダーマンの手下だと決め付けている。
今度はピーターが写真を持ってきても全く信用せず、スパイダーマンの活躍についてもジェイムソンは全く信じていない。
日本語版吹替では社長ではなくジェームスン編集長、日本語版声優は北村弘一(アニメランド)。
ベティー・ブラント (Betty Brant) 
声 - ペグ・ディクソン
デイリービューグルの女性秘書だが、スパイダーマンのこともピーターのことも信頼しており、(彼女にとっても)良い上司とは言えないジェームソン社長といつも対立している。
日本語版吹替ではベティ、日本語版声優は横尾まり(アニメランド)。

サブキャラクター[編集]

ヴィラン[編集]

ドクター・オクトパス (Doctor Octopus) 
声 - バーン・チャップマン、トム・ハーヴェイ
オリジナルでの通称はドクオック、本名はオットー・オクタビアス、スパイダーマンの最初(1話Aパート)の宿敵である。
日本語版での名称ではたこ八博士(たこ八)、名前の由来ではたこ焼き。吹替声優では南利明(快傑くも人間)、田中康郎(アニメランド)が担当。秘密基地を覗いていたスパイダーマンとピーターを探していたベティを拉致してパワーを奪う計画も町を破壊する計画も失敗し、次にはスマーター博士が開発したロケットを盗むこともあったが最終的には失敗した。そしてスパイダーマンの事を『貴様』と言う。
ミステリオ (Mysterio) 
声 - クリス・ウィギンス
彼はスタントマンの活動をしている、クウェンティン・ベック。
第3話『The Menance of Mysterio』より、袋を持った偽スパイダーマンの姿で初登場した[7]、48話『The Madness Of Misterio』では緑色の顔をした姿で再登場した。
彼は、スパイダーマンのスパイダーセンスの調子を悪くするほど特殊な能力を持っている。
初登場の回では、彼はスパイダーマンを苦しめて蜘蛛の姿でセンサーを鳴らさない様に強盗をして住民にスパイダーマンが犯人だと思い込ませて、次には編集長にスパイダーマンに罠を落とすための協力をするも、最後にはその悪事計画がスパイダーマンにバレてしまい、映画の舞台まで滅茶苦茶にされて彼は激怒し、その後はスパイダーマンによって捕まった。
エレクトロ (Electro) 
声 - トム・ハーヴェイ
指で電気を操る特殊能力を持つ男性、彼の出した雷で足を乗せて別の場所へ移動している。
赤鬼とヴァルチャーと一緒に手を組んだ時でも犯罪行為を行った。だがその後も、スパイダーマンによって捕獲されてしまう。
ヴァルチャー (Vulture) 
声 - ポール・ソール、ギル・フェンウィック
ハゲタカ姿の男性、この作品では少し若い設定。最初は黒い羽の赤い肌のハゲタカをヴァルチャーの調整機で洗脳させていたが、機械の故障で言うことを聞かなくなってスパイダーマンを倒す計画に失敗し、2度目は時計台でジェイムソンを潰そうとしていたが、今度はスパイダーマンに止められて計画が失敗してしまう。
グリーン・ゴブリン (Green Goblin) 
声 - カール・バナス
正体はノーマン・オズボーン。衣装の色は赤く、旧吹替でのネーミングでは赤鬼、アニメランドでは小鬼と呼ばれていた。
ライノ (Rhino) 
声 - ポール・ソール、立壁和也(日本語吹替版)
サイの着ぐるみを着ている男性、『わっせ、わっせ』と走って列車にパトカー等次々に壊してしまうが、自分で作った黄金のライノは何時も大切にしている。
サンドマン (Sandman) 
声 - トム・ハーヴェイ
5話Bパート『Sand of Crime』より登場、彼は砂男であり、どんな場所でもすり抜けて人間の形に戻ることができるが、彼は水に弱い。
スコーピオン (Scorpion) 
声 - カール・バナス
スティルウェル博士によって作られた怪人・サソリ。彼はかつて、デイリービューグルの窓から侵入してブラント秘書とジェイムソン社長を巻き込んでいた。旧吹替ではスコルピオンという名称になっていた。
リザード /カーチス・コナー博士 (Lizard Man, Dr. Curtis Conner) 
声 - ギル・フェンウィック
中身はコナーズ博士、スパイダーマン(ピーター)が作った薬を彼に飲ませた事によりトカゲから人間に戻った。そして彼には妻と息子がいる(2話Aパートに登場)。
オックス (Ox) 
声 - ポール・ソール
Blueprint For Crimeより登場、本作では彼の髪が描写されており、彼はプロッターの手下でカウボーイの男性と一緒に3人でスパイダーマンと戦う。
キング・ピン (King Pin) 
声 - ポール・ソール
第22話「キングピン(King Pinned)」で登場、彼には格闘技を持っており自分の机も壊してしまうほどの破壊力を持っている。
デスペラード (Desperado) 
声 - バーナード・コーワン
白いカウボーイを被った赤マスクの男、本来の名前はモンタナ。
スペンサー・スマイス博士
4話Bパート「Captured by J. Jonah Jameson」からゲストとして登場、スパイダーマンを捕獲させるロボット「スパイダースレイヤー」を作った博士であり、これを悪用したジェイムソンは、スパイダーマンの正体をバラそうとしていたが逃げ出して激怒していた。
その他のヴィラン[編集]
マグニート博士 
声 - バーナード・コーワン
Xメンに登場するヴィラン、磁石の形をした光線銃でスパイダーマンと戦う。
ファンタスティック・ファキール (The Fantastic Fakir) 
声 - ポール・ソール
ラッパを吹いてワニなどを呼び出す悪人、マハラジャの手下である
ドクター・ヴォン・シュリック (Doctor Von Schlick) 
声 - バーナード・コーワン
ひとさしゆびから石油を出すことができる
スタン・パーターソン (Stan Patterson) 
声 - アルフィー・スコップ 、リー・パーターソン (Lee Patterson) : 声 - ポール・キングマン
双子の兄弟、泥棒好きである。名前の由来はスタン・リー。
ドクター・ノア・バディー
透明になる機械で透明になった男性、コミック版「ワールド・オブ・スパイダーバース」でも登場。
ファントム (Phantom) 
声 - マックス・ファーガソン
容姿は見えないが、マネキンを使って家具を盗む行為を繰り返したり、シャドースコープで影を作成し現金を盗んでいた。
ミス・トラブル (Miss Trubble) 
声 - ペグ・ディクソン (英)
Here Comes Trubbleより登場。
神話図書館を経営しているオーナー、パンドラの箱でギリシャ神話やローマ神話を呼び出すことができる。
パラフィーノ (Parafino)
ワックスミュージアムのオーナー、ワックスを武器にしてスパイダーマンと戦う。
チャールズ・カメオ(Charles Cameo)とブルータス(Brutus)
チャールズは変装もでき、物真似上手な詐欺師である。警官姿のブルータスは、チャールズのお手伝い係である。

その他[編集]

メイ・パーカー (May Parker) 
声 - ペグ・ディクソン
ピーターのおばあさん。通称では、メイおばさん。いつもピーターの面倒をみている。
ベン・パーカー (Ben Parker) 
声 -
ピーターの叔父であり、メイの夫でもある。通称では、ベンおじさん。孫であるピーターに心優しくしており、ピーターにとっては両親みたいな存在だったが、映画スタジオから逃げてきた銀行強盗に殺されてしまう。ちなみにシーズン1では未登場であり、シーズン2の1話でゲストとして登場した。
スマーター博士 (Dr. Smarter) 
声 - ギル・フェンウィック(英)、矢田稔(アニメランド)
ロボットとロケットを開発している博士。
メリー・ジェーン・ワトソン (Mary Jane Watson) 
声 - ペグ・ディクソン
ピーターのガールフレンド、シーズン3から登場。
ジョージ・ステイシー
NY警察に勤務している警部、スパイダーマンの身を守った命の恩人である。彼の娘にはグウェンがいるが、本作には登場しない。

主題歌[編集]

オリジナル版『スパイダーマンのテーマ
歌:カナダ放送協会所属の歌手12人 (ビリー・ヴァン・シンガーズとローリー・ボウワー)
日本版『快傑くも人間』
歌:混声合唱

オリジナル版エピソード[編集]

シーズン話数放送期間
初回放送最終回放送
1全20話(38回)1967年9月9日 (1967-09-09)1968年1月20日 (1968-1-20)
2全19話(19回)1968年9月14日 (1968-09-14)1969年1月18日 (1969-1-18)
3全13話(20回)1970年3月22日 (1970-03-22)1970年6月14日 (1970-6-14)

シーズン1[編集]

話数
(US)
話数
(71年JP)
話数
(86年JP)
原題サブタイトル 快傑くも人間での邦題 アニメランドでの邦題
1 2 1-2 The Power of Dr. Octopus / Sub-Zero for Spidey タコはち博士の怪 / ?
2 3 3-4 Where Crawls the Lizard / Electro, the Human Lightning Bolt
3 4 5-6 The Menace of Mysterio
4 5 7-8 The Sky is Falling / Captured by J. Jonah Jameson
5 6 9-10 Never Step on a Scorpion / Sands of Crime
6 7 11-12 Diet of Destruction / The Witching Hour 金属を食う怪物 / ?
7 8 13-14 Kilowatt Kaper / The Peril of Parafino
8 9 15-16 Horn of the Rhino
9 10 17-18 The One-Eyed Idol / Fifth Avenue Phantom
10 11 19-20 The Revenge of Dr. Magneto / The Sinister Prime Minister
11 12 21-22 The Night of the Villains / Here Comes Trubble ? / 生き返った怪獣
12 13 23-24 Spider-Man Meets Dr. Noah Boddy / The Fantastic Fakir
13 14 25-26 Return of the Flying Dutchman / Farewell Performance
14 15 27-28 The Golden Rhino / Blueprint for Crime
15 16 29-30 The Spider and the Fly / The Slippery Dr. Von Schlick ハエ男しゅつげん / ?
16 17 31-32 The Vulture's Prey / The Dark Terrors
17 18 33-34 The Terrible Triumph of Dr. Octopus / Magic Malice ロケット泥棒タコはち / ? ロケット泥棒タコはち / ?
18 19 35-36 Fountain of Terror / Fiddler on the Loose
19 20 37-38 To Catch a Spider / Double Identity
20 21 39-40 Sting of the Scorpion / Trick or Treachery

シーズン2[編集]

話数
(US)
話数
(71JP)
話数
(86JP)
原題サブタイトル 快傑くも人間での邦題 アニメランドでの邦題
21 1 41-42 The Origin of Spiderman 快傑くも人間誕生 スパイダーマン誕生 前編 後編
22 - 43-44 King Pinned 未放送 暴力団の企み
23 45-46 Swing City
24 47-48 Criminal in the Clouds
25 49-50 Menace From the Bottom of the World
26 51-52 Diamond Dust
27 53-54 Spider-man Battles the Molemen
28 55-56 Phantom from the Depths of Time
29 57-58 The Evil Sorcerer
30 59-60 Vine
31 61-62 Pardo Presents
32 63-64 Cloud City of Gold
33 65-66 Neptune's Nose Cone
34 67-68 Home
35 69-70 Blotto
36 71-72 Thunder Rumble
37 73-74 Spider-man Meets Skyboy
38 75-76 Cold Storage
39 77-78 To Cage a Spider

シーズン3[編集]

話数
(US)
話数
(86年JP)
原題サブタイトル アニメランドでの邦題
40 79-80 The Winged Thing / Conner's Reptiles -
41 81-82 Trouble with Snow / Spider-Man vs. Desperado
42 83-84 Sky Harbor / The Big Brainwasher
43 85-86 The Vanishing Dr. Vespasian / Scourge of the Scarf
44 87-88 Super Swami / The Birth of Micro-Man
45 89-90 Knight Must Fall / The Devious Dr. Dumpty
46 91-92 Up from Nowhere
47 93-94 Rollarama
48 95-96 Rhino / The Madness of Mysterio
49 97-98 Revolt in the Fifth Dimension
50 99-100 Specialists and Slaves
51 101-102 Down to Earth
52 103-104 Trip to Tomorrow

映像ソフト化[編集]

アメリカでは、1980年代1990年代2000年代前半に続いてVHS収録された。
2004年6月29日には、リージョン1の6枚組のDVD-BOX全52話が収録されたものがウォルト・ディズニー・スタジオ・ホーム・エンターテインメント(5年後にはディズニーがマーベルを買取)によって発売されたが、2017年2月下旬には絶版となった。シーズン2以降はフィルムを直接送出する形態(音声はフィルムトラックの光学音声)が使われているが、オープニング・エンディング・シーズン1では本放送時に準じている。
DVDタイトル 収録内容 発売日
Spider-Man – The '67 Collection (日本未発売) ディスク6枚・全52話を完全収録 2004年6月29日

その他[編集]

2014年から2015年にかけて発表された漫画『スパイダーバース』と2018年公開の映画『スパイダーマン: スパイダーバース』に本作のスパイダーマンが登場し、いずれも本作の作画が再現されている。アース67の声はヨーマ・タコンヌが担当し、日本語吹き替え版では稲田徹が担当した。

脚注[編集]

  1. ^ Marvel Animation Age
  2. ^ Spider-Man (1967) TV.com Season 1 Episode 13
  3. ^ Spider-Man (1967) Internet Movie Database
  4. ^ a b tv.com
  5. ^ a b spiderfan.com
  6. ^ 1971年の放送では新聞おやじだったが、1986年の放送ではジェイムスン編集長に代わった。
  7. ^ 1990年代のアニメでも同様なタイトル『The Menance Of Mysterio (日本語版では『怪人ミステリオのトリック』)』があるが、内容は本作と異なり、シナリオも一新されている。

外部リンク[編集]