スナノミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
スナノミ
スナノミ
スナノミ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: 隠翅目 Siphonaptera
: スナノミ科 Hectopsyllidae
: スナノミ属 Tunga
: スナノミ Tunga penetrans
学名
T. penetrans L.
和名
スナノミ
英名
w:Jigger flea
スナノミ

スナノミ(砂蚤、Tunga penetrans)は、ノミ目スナノミ科に属するノミ。成虫は体長1mmとノミの中では最小である[1][2]

生態[編集]

原産地は西半球の北緯30度から南緯30度にあたるアメリカ大陸西インド諸島と考えられている[1]。アフリカ、南アメリカ、西インド諸島を含む熱帯から亜熱帯にかけて広く分布し乾燥した砂地などに生息する[1][2]

スナノミは乾燥した砂地のほか豚小屋や鳥小屋の周囲にも生息し、雌雄ともにヒトや家畜、イヌネコネズミなどの皮膚に寄生して吸血する[1][2]。雌は産卵のためにヒトやブタなどの宿主内の皮膚に真正寄生して真皮から吸血によって栄養をとる[1][2]。卵が成熟すると腹部が膨らんで5mm以上となり、腹部後端から1日に150個から200個の卵を産卵し死に至る(宿主への寄生からは2~4週間後である)[1][2]。虫卵は砂地に落ちてから数日で孵化[1][2]。幼虫は土中で1週間から3か月で蛹になり、蛹は1週間から1年で成虫になる(これらの期間は気候条件に左右される)[1]

スナノミ症[編集]

スナノミ症にかかった足

スナノミ症は、スナノミの雌の成虫が宿主の皮膚内でネオゾームと呼ばれる腫大した構造を形成することで生じる寄生虫性皮膚疾患[2]

症状と治療[編集]

スナノミの虫体は跳躍力が最高約3.5cmと弱いためにスナノミ症の好発部位は足(踵、爪下部、趾間)である[1][2]。症状は炎症による刺激感や掻痒、疼痛など[2]。悪化すると足や指などのガス壊疽により切断に至ることがある[1]。また破傷風を併発することがある[1][2]

直接的な治療はノミの除去で、細菌による二次感染に対しては抗生物質の投与が行われる[1][2]

伝播[編集]

スナノミの原産地はアメリカ大陸や西インド諸島で、1492年クリストファー・コロンブスによる新大陸発見の航海ではサンタマリア号の船員がハイチでスナノミによる被害を受けた[1]1861年から1867年メキシコ出兵では野営したフランスの兵士らが集団で発症した[1]

19世紀終わりのインド人の集団移動ではインドからパキスタンにまで拡大[1]第一次世界大戦での東アフリカ戦線や第二次世界大戦でのエチオピア戦線でも兵士が集団で感染して被害を受けている[1]

日本では1975年に最初に報告がある[1][2]。適当な砂地と温度が虫卵の孵化には不可欠であり日本では輸入例から二次発生した事例は報告されていない[2]。ただし発見後早期の対処がなければ土着する危険性もあると指摘されている[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r スナノミ感染者の輸入例 国立感染症研究所、2016年12月31日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m タンザニア連合共和国滞在中に感染したスナノミ症の1例 日本臨床皮膚科医会雑誌32(2)、2016年12月31日閲覧。