ストームグラス

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嵐の前に、ストームグラス内にできた葉状の結晶

ストームグラス: Storm Glass)は、19世紀のヨーロッパで使われた天気予報の道具。複数の化学薬品をアルコールに溶かしてガラス管に詰めたもので、溶液や沈殿の状態によって近未来の天気が分かる、とされる。

特徴[編集]

一般的なストームグラス[1]は、樟脳 2 ドラム硝酸カリウム 1/2 ドラム、塩化アンモニウム 1/2 ドラムを粉末にして 2 オンスの50v/v%エタノールに溶かし、長さ 10 インチ・直径 3/4 インチ程度の試験管に入れ、針で細孔を開けた紙や革で封じて作る。ストームグラスの内容は、天気に応じて次のように変化する、といわれている。

  • 天気が晴れるなら、ガラス管内の固形分は完全に底に沈み、液体は澄みきる。
  • 雨に変わる前は、沈殿物の量が徐々に増え、星のような形のものが透明の溶液中を浮遊する。
  • 嵐やひどい風の前には、固形分の一部が溶液の表面まで達し、大きな葉のような形になる。溶液は濁り、発酵しているように見える。この現象は天気の変わる24時間前に見られる。
  • 冬、特に雪や霜のときには、管の高い位置まで沈殿物が積もる。内容物はとても白く、浮遊する点状のものが見られる。
  • 夏、とても天気がよく暑くなるときは、沈殿物は管の非常に低い位置までしか積もらない。
  • 風や嵐が接近してくるときは、接近してくる方向の反対側のガラス管の壁に沈殿ができる。

ストームグラスの内容が変化する原因ははっきりとしないが、大気の温度湿度気圧大気電気学的な影響等によって、溶解度結晶形状が変化するためと考えられている。

歴史[編集]

気象学の開祖のひとりであるロバート・フィッツロイ (Robert FitzRoy) の記述[2]によると、ストームグラスは Corti という人物が最初に考案した。Malacredi というイタリア人によってイギリスに持ち込まれ、ストームグラスとして一般に知られるようになった。19世紀初期にはすでに航海時における天気予報の道具として使われていた[3]

フィッツロイ自身もストームグラスに大きな関心を持ち、彼が船長を務めたビーグル号の探検航海中、ストームグラスの様子を観察し、変化を詳細に書き残している。また、フィッツロイが1860年に考案したフィッツロイ・バロメーターと呼ばれる装置[4]にも、温度計や気圧計とならんでストームグラスが取り付けられている。1870年に発表されたジュール・ベルヌの小説『海底二万里』に登場する潜水艦ノーチラス号にもストームグラスが設置されている[5]

脚注[編集]

  1. ^ James Smith, The Panorama of Science and Art: Embracing the Sciences of Aerostation, p833, Nuttall, Fisher, and Co., Liverpool, 1815. Google Book Search
  2. ^ Proceedings of the British Meteorological Society, p72, Taylor and Francis, London, 1863. Google Book Search
  3. ^ Jeffery Dennis, Ample instructions for the barometer and thermometer, p6, London, 1825. Google Book Search
  4. ^ http://kids.earth.nasa.gov/archive/air_pressure/barometer.html
  5. ^ Jules Verne, Vingt mille lieues sous les mers Project Gutenberg

関連項目[編集]