ステレグシュチイ級フリゲート

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20380型警備艦 (ステレグシュチイ級)
«Стойкий».jpg
艦級概観
艦種 警備艦 (フリゲート)
艦名
建造期間 2001年 - 建造中
就役期間 2007年 - 就役中
前級 11540型 (ネウストラシムイ級)
11661型 (ゲパルト型)
次級 最新
性能諸元
排水量 基準:1,850トン
満載:2,200トン
全長 104.5 m
全幅 13.0 m
吃水 3.7 m
機関 CODAD方式
16D49ディーゼルエンジン (5,916 bhp) 4基
固定ピッチ・プロペラ 2軸
速力 最大 27ノット
航続距離 4.000海里/15ノット
乗員 100名
艦載機 Ka-27PL哨戒ヘリコプター 1機
レーダー フルケ2ロシア語版 3次元 1基
MR-231 航法用 1基
モノメント 対水上捜索・SSM射撃指揮用 1基
5P-10E 砲射撃指揮用 1基
ソナー ザーリャ2 艦首装備式 1基
ミノタウル 可変深度式 1基
電子戦 TK-25電波探知妨害装置
PK-10 10連装デコイ発射機 4基

ステレグシュチイ級フリゲート(ステレグシュチイきゅうフリゲート、英語: Steregushchiy-class frigate)は、ロシア海軍フリゲートの艦級。海軍での正式名は20380型警備艦Сторожевые корабли проекта 20380[1][2][3]。また、発展型の20381/20385/20386型も、本項で扱う。

来歴[編集]

2000年3月4日、ウラジーミル・プーチン大統領は、「2010年までのロシア連邦海軍行動基本方針」を承認した。これに基づき、沿海用の汎用警備艦として計画されたのが本級である[4]

2001年5月25日、サンクトペテルブルク市のアルマーズ中央海洋設計局が設計を受注した[1]。同設計局はミサイル艇の製造などで実績があり、シリャフテンコ主任設計官によって率いられていた。最終案は2001年12月14日に承認され、その1週間後には、同市のセーヴェルナヤ・ヴェルフィ造船所で、ネームシップの建造が開始された。当初は2005年竣工予定とされていたが[4]、工期の遅れから、進水は2006年、就役は2008年に遅延した[1]。また2番艦以降は、海軍の要請を受けて、防空能力を強化した改良型である20381型、7・8番艦は巡航ミサイルの運用能力を付与した20385型、そして無人機の運用能力などを付与された20386型へと、順次に設計変更を受けている[5]

設計[編集]

本級はステルス艦として設計された。主船体は鋼製で、9つの水密区画に区分されている。水線下形状は大幅に刷新されており、水中抵抗は従来船型の25パーセント減となった。また艦首にはブルワークが付されている[1]ステルス性への配慮も含めて、上部構造物には複合材が導入されており、主船体への新型鋼材の採用もあり、船殻重量の軽量化が達成された。上記の水中抵抗軽減もあって、より軽量小型で出力が低い主機関でも所要の速力を確保できたことから、従来の設計と比して、艦内スペースは相対的に余裕があるものとなっている[4]

主機関は、コロムナ16D49ディーゼルエンジン4基によって2軸の固定ピッチ・プロペラを駆動するCODAD方式とされた。また非常用推進器として、隠顕式のアジマススラスターも装備されている。電源としてはコロムナ22-26DGディーゼルエンジンを原動機とする発電機4セットが搭載され、総出力2,000キロワットを確保した[1]

装備[編集]

C4ISR[編集]

マスト頂部のレドームには、Sバンドの3次元レーダーである5P27M「フルケ2」ロシア語版が収容されている。その下方のマスト本体は、アメリカ海軍の先進型閉囲マスト/センサーと同様、特定周波数の電波だけを透過させる構造になっており、内部には対水上捜索・SSM射撃指揮用のレーダーが収容されている。機種はモノメントまたは3Ts-25E「ガルプン-B」と見られている。なお「フルケ2」の両脇には、目標捕捉用のMTK-201M電子光学センサーが配置されている[6]

ソナーとしては、中周波数のザーリャ2をバウ・ドームに収容するほか、艦尾からはミノタウル可変深度曳航アレイ(VDS-TASS)を展開できる[6]

武器システム[編集]

防空システムとして、20380型では、GSh-6-30 30mmガトリング砲2基と9M311近SAMの4連装発射機2基からなるコールチク1基を艦橋構造物直前の01甲板レベルに、またAK-630M 30mmCIWSを艦中部両舷に備えていた。しかしロシア海軍は、この防空能力に不満を表明したことから、2番艦以降では、より長射程の3K96「リドゥート」が導入された。これは陸上用のS-400と並行して開発されたもので、R-73短距離空対空ミサイルを元にした短射程の9M100ミサイル(射程15 km)、中射程の9M96E/96E2ミサイル(射程40/120 km)、そしてS-300FM「フォールト-M」と共通の長射程の48N6E2ミサイル(射程200 km)と、複数のミサイルを使い分けることで、単一のシステムで広範囲をカバーできるようになっている[7]。20381型では12セル、20385型では16セルのVLSが搭載された[5]

対艦兵器としては、20380・20381型では3M24「ウラン」艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基を搭載している。また20385型では、それに代えてUKSK VLSが搭載され、カリブルNK巡航ミサイルの運用能力が付与された[5]

比較的小型の艦であるが、艦尾甲板をヘリコプター甲板とし、上部構造物後端にKa-27PL哨戒ヘリコプター1機分のハンガーを設けて、航空運用能力を備えている[2]。また20386型では、無人機の運用能力も付与される[3]

なお、最新の電子機器が搭載されている為に徴兵レベルの兵員では扱えず、乗員の訓練や後方支援のシステムにも大幅な変更・改善が加えられている[4]

兵装諸元表[編集]

20380型 20381型 20385型
A-190 100mm単装砲×1基
AK-630M 30mmCIWS×2基
コールチク複合CIWS×1基
GSh-6-30 30mmガトリング砲×2基
9M311近SAM 4連装発射機×2基
3K96 リドゥート用VLS×12セル 3K96 リドゥート用VLS×16セル
3M24 SSM 4連装発射機×2基 UKSK VLS×8セル
(カリブルNK用)
連装短魚雷発射管×2基
(RPK-9 SUM発射機兼用)

同型艦一覧[編集]

本級は、各型あわせて20隻が建造される予定である。初期に建造された艦はいずれもバルチック艦隊に配属されているが、最終的には全ての艦隊に配分される方針である[2]。なお、太平洋艦隊配備予定の20381型は極東方面コムソモリスク・ナ・アムーレ市アムール造船所で建造されている。

設計 # 艦名 起工 進水 就役 備考
20380型 530 ステレグシュチイ
«Стерегущий»
2001年12月21日 2006年5月16日 2007年11月14日 2008年2月27日バルチック艦隊編入
20381型 531 ソーブラジテルヌイ
«Сообразительный»
2003年5月20日 2010年3月31日 2011年7月31日 バルチック艦隊編入
532 ボイキー
«Бойкий»
2005年7月27日 2011年4月15日 2013年5月16日[8] バルチック艦隊編入
333 ソヴエルシェンヌイ
«Совершенный»
2006年6月30日 2015年5月22日 2017年7月20日[9] 太平洋艦隊編入
545 ストイキー
«Стойкий»
2006年11月10日 2012年5月30日[10] 2014年5月28日[11] バルチック艦隊編入
グロームキー
«Громкий»
2012年4月20日 2017年7月28日 建造中(太平洋艦隊編入予定)
20385型 グレミャーシチー
«Гремящий»
2012年2月1日 建造中(太平洋艦隊配備予定)
プロヴォールヌイ
«Проворный»
2013年7月25日 建造中(太平洋艦隊配備予定)

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 594. ISBN 978-1591149545. 
  2. ^ a b c 岡部いさく「注目のロシア軍艦 : その最新動向 (特集 ロシア海軍の現況)」、『世界の艦船』第817号、海人社、2015年6月、 78-85頁、 NAID 40020458492
  3. ^ a b 小泉悠「ロシア水上戦闘艦の戦力分析 (特集 世界の水上戦闘艦 その最新動向)」、『世界の艦船』第832号、海人社、2016年3月、 98-103頁、 NAID 40020720349
  4. ^ a b c d Polutov Andrey V.「ロシア海軍の新型フリゲイト計画」、『世界の艦船』第619号、海人社、2003年12月、 106-107頁。
  5. ^ a b c 小泉悠、小林義秀、加川嬴介「写真特集 今日のロシア軍艦」、『世界の艦船』第817号、海人社、2015年6月、 21-55頁、 NAID 40020458457
  6. ^ a b 多田智彦「現地報告: ロシアの国際海洋防衛展示会IMDS2015」、『軍事研究』第50巻第10号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、2015年10月、 42-57頁、 NAID 40020591742
  7. ^ 多田智彦「ロシア海軍の新しい艦載兵器 (特集 ロシア海軍の現況)」、『世界の艦船』第817号、海人社、2015年6月、 86-91頁、 NAID 40020458494
  8. ^ Russian Navy Gets Advanced Stealth Corvette”. sputniknews.com (2013年5月16日). 2016年3月14日閲覧。
  9. ^ Корвет «Совершенный» вошел в состав Тихоокеанского флотаロシア国防省サイトプレスリリース(2017年7月20日)
  10. ^ Severnaya Verf Shipyard Put Corvette Stoiky Afloat”. rusnavy.com (2012年5月30日). 2016年3月14日閲覧。
  11. ^ (ロシア語)ТАСС. (2014年5月28日). http://itar-tass.com/spb-news/1220693